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5.最後の旅行
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旅行に行く約束をしてから、約2週間後。
俺たちは、日帰りで京都に行くことになった。
「ふわぁぁ……眠い」
「ふふっ。朝5時、だもんね」
電車待ちの駅ホーム。だらしないあくびをこぼす俺の隣で、楓がふわりと笑った。
昨日は、あれやこれやといろいろ考えていたらすっかり寝るのが遅くなった。楓と初めて旅行に行くのが楽しみだったり、この旅行が終わったら別れを切り出さないといけない悲しさだったり、なんとも複雑な感情の整理をしていたら、なかなか寝付けなかった。
一方の楓は、眠い目を擦っている俺とは対照的に、しっかりと眠れたらしい。
「……ふわ……はふっ……あ、ごめん」
そんなことなかった。恥ずかしそうに頬を赤く染めながら、楓は両手で口元を覆う。
「その……すごく楽しみで、昨日あんまり寝れなくて」
「ははっ、俺もだ」
やっぱり好きだなぁ、としみじみ思う。
でもだからこそ、俺は今日、楓と別れる。
このまま一緒にいても、俺は楓を幸せにできないから。
大好きな楓を、悲しませるだけだから。
俺の余命は、あと23回だ。早くも、残り3割を切っている。
今日までの2週間弱、あまり意識しないよういつも通り手を繋いでいたら、思った以上に回数を重ねていった。普段こんなにも手を繋いでいたのかと思うと、無性に恥ずかしくなる。
けれど。それでもまだ、手を繋ぎたくなる。
やはり、恋は病だ。
直視したくない現実から目を背けるように、俺は視線を楓から外した。
土曜日の早朝の駅ホームは、人がまばらだ。スーツ姿のサラリーマンや、部活の合宿に行くと思しき荷物の多い学生。あとは、俺たちと同じように旅行に行くのか、パンフレットを片手に楽しそうに話し込んでいるカップルくらいだ。日帰りで行く俺たちとは違い、大きなスーツケースを持っているあたり、きっと何泊かするのだろう。
……もし楓とずっと付き合っていたら、いつかそんな未来もあったのかもしれないな。
そんなありえない未来を想像しかけて、俺はまた急いで目を逸らした。
「あ! 電車、来たみたいだよ!」
嬉々としてはしゃぐ楓の笑顔を見て、俺は改めて覚悟を決めた。
それから俺たちは電車に乗り込み、今日行く観光名所やら絶対食べたいグルメやらと話していたら、あっという間に目的地に着いた。
「わあぁ……っ!」
楓が感嘆の声を漏らす。俺も思わず息を呑んだ。
そこは人で溢れていた。俺たちの住む田舎の駅とは比べ物にならないほどで、休日ということも相まってか、右も左も見えるのは人やスーツケースばかりだ。
「楓、はぐれないように」
「あ……う、うん!」
しっかりと、俺は楓の右手を握る。あと20回。
彼女の手はほんのりと温かくて、柔らかい。切なくなりそうな気持ちを振り払うように、俺は一足先に前を歩き始めた。
改札を出て、案内板を頼りにバス停へと向かう。
「最初は金閣寺に行くんだよな?」
「うん! 中学の修学旅行じゃ回れなかったから。俊哉くんの班は行ったんだっけ?」
「うん。って言っても見た目は教科書のまんまだし、庭園とか他のところは全然覚えてないんだけどな」
「ふふっ。じゃあ、良かった」
京都には一度、中学の修学旅行で俺も楓も来たことがあった。
けれど、あのころの俺たちはまだ恋人どころかほとんど話したこともなく、班も違っていたのでそれぞれが違うコースを回っていた。旅行の行き先を決めようと、二人でいろんなサイトをあさっていた時に、「修学旅行で京都行ったけど、一緒に回りたかったなー」という楓の発言をきっかけに京都に決定した。
そんな先週の出来事をなんとなく思い出しながら、俺はスマホのメモ帳を起動させる。
今日の観光コースは、金閣寺のほかに龍安寺、清水寺、あとは八ツ橋か。
なんか寺ばっかりだな、なんて京都旅行には当たり前の感想を抱いていたら、ぐいと手を引っ張られた。あと19回。
「と、俊哉くん……! 私たちが乗る予定のバス、あれ! な、並ぶとこ違うみたい……!」
「な、なにっ!?」
「急ご! まだ間に合う……はず!」
そんな慌ただしい感じで、俺たちの京都旅行は始まった。
なんとかバスには間に合い、二人していかにもな目立ち方をしつつバスに揺られること30分強。直通のバスは、何度も教科書で目にした金箔が貼られた舎利殿のあるお寺に俺たちを運んでくれた。
「わあ……これが、金閣寺! 確かに、教科書で見たまんまだ……!」
「だろ? こう何度も見ると、あんまり感動もないっていうか」
「ううん。私は……そんなことないよ」
「え? なんで?」
「だって……一緒に教室で勉強した日を思い出すし」
「あ……」
言われて、俺も思い出す。
そういえば、去年教室で一緒に勉強を始めた時、最初にした科目は日本史だった。
勉強の苦手な俺に、楓はわかりやすく丁寧に教えてくれたっけ。
「じゃ、じゃじゃん……! も、問題です! 金閣寺が建てられた時の室町幕府3代将軍は誰でしょうか!」
「え」
「10秒でお答えください……!」
「ええっ! ちょ、待って! えーっと……」
唐突な出題に戸惑う。
待て待て待て。思い出せ。これは確か……そう! 楓が「3代将軍だから、三つ。つまり、『みっつで義満』って覚えたらいいよ」って言ってたやつだ!
「3、2、1……」
「みっつで義満!」
「おぉ……覚えてたんだ……!」
「あ、当たり前だろ!」
声が裏返ったけれど、気にしない。
なんか見られてる気がするけど、きっと気のせい。
傍から見ればバカップルみたいなやり取りをしながら、俺たちは笑い合い、手を繋いだ。あと14回。
そして、周囲の庭園やらお堂やらを見て回ってから、次の目的地である龍安寺へと向かった。龍安寺は金閣寺から徒歩でしばらく行ったところにあり、道中は八つ橋を食べながら歩いた。
「ん~~っ、八つ橋おいひい……」
「楓って、小柄なわりに意外と食いしん坊だよな」
「ほ、放っておいて……ください!」
ハムスターみたいに膨らんだ頬をつついていたら、いつの間にか龍安寺を通り過ぎていて、楓に軽く怒られつつ戻った。あと12回。
「へぇー。これがかの有名な枯山水庭園で、虎の子渡しの石庭かー」
「おぉ……俊哉くん、すごい。知ってたんだ……!」
「いや、知らない。パンフレットをカンニングした」
「え!」
「そもそも足利よし……みっつでよしみつ……そう! 足利義満でギリなのに枯山水庭園とか知ってるわけなかろう」
「確かに……」
「確かにとはなんだ、確かにとは」
「あはは、ごめんごめん」
場の雰囲気に似合わないじゃれ合いをしつつ、俺は庭に並べられた15個の石をひとつの場所で見ようとしてみた。もちろん無理だった。「違う視点で見ないと、見えないものもあるんだよ」なんて教訓を垂れる楓がいかにも先生っぽくて、そういえば楓の将来の夢は学校の先生だったっけ、なんてことをしみじみ感じていた。
それから昼食をはさみ、最後に予定していた清水寺へと足を向けた。あと8回。
「わぁ……綺麗だね……!」
「ああ、絶景だな」
本堂からせり出した、いわゆる「清水の舞台」からは、境内に立ち並ぶ木々に京都市内の街並み、遥か彼方に連なる山々が一望できた。
3月の頭とはいえ風は冷たく、左手に感じる温もりが一層に感じられ、心にまで沁みてくる。あと6回。
「ここ、地上から12メートルもあるんだって」
「へぇ~、たっけーな」
さすがの俺でも知っていることわざが思い出された。
清水の舞台から飛び降りる。
そのくらいの意志を持って、思い切って大きな決断をする時に使う、ことわざ。
「思ったんだけどさ」
ふと、聞いてみたくなった。
「もし俺が、ここから飛び降りるって言ったら、どうする?」
「俊哉くんが、清水の舞台から……?」
楓は、ぽかんとした表情をした。なにを言いたいのか測りかねているようだった。
でも、俺が答えを待っているのだとわかると、それとわかるほどに真剣に考えてくれた。
「……んー。一緒に飛び降りる、かな」
「……ははっ。そっか」
予想通りの返しに、俺は苦笑した。
「え、なに?」
「いんや、なんでもない。ありがとな」
「え、え?」
困惑する彼女の手を、握り直す。あと5回。
やっぱり、彼女は優しい。
内容も理由も訊かずに、そばにいようとしてくれる。
大きな決断をしようとしても、一緒にいようとしてくれる。
だからこそ、俺は――。
「よし。そろそろ行くか」
この旅行の終点は、もうすぐだ。
俺たちは、日帰りで京都に行くことになった。
「ふわぁぁ……眠い」
「ふふっ。朝5時、だもんね」
電車待ちの駅ホーム。だらしないあくびをこぼす俺の隣で、楓がふわりと笑った。
昨日は、あれやこれやといろいろ考えていたらすっかり寝るのが遅くなった。楓と初めて旅行に行くのが楽しみだったり、この旅行が終わったら別れを切り出さないといけない悲しさだったり、なんとも複雑な感情の整理をしていたら、なかなか寝付けなかった。
一方の楓は、眠い目を擦っている俺とは対照的に、しっかりと眠れたらしい。
「……ふわ……はふっ……あ、ごめん」
そんなことなかった。恥ずかしそうに頬を赤く染めながら、楓は両手で口元を覆う。
「その……すごく楽しみで、昨日あんまり寝れなくて」
「ははっ、俺もだ」
やっぱり好きだなぁ、としみじみ思う。
でもだからこそ、俺は今日、楓と別れる。
このまま一緒にいても、俺は楓を幸せにできないから。
大好きな楓を、悲しませるだけだから。
俺の余命は、あと23回だ。早くも、残り3割を切っている。
今日までの2週間弱、あまり意識しないよういつも通り手を繋いでいたら、思った以上に回数を重ねていった。普段こんなにも手を繋いでいたのかと思うと、無性に恥ずかしくなる。
けれど。それでもまだ、手を繋ぎたくなる。
やはり、恋は病だ。
直視したくない現実から目を背けるように、俺は視線を楓から外した。
土曜日の早朝の駅ホームは、人がまばらだ。スーツ姿のサラリーマンや、部活の合宿に行くと思しき荷物の多い学生。あとは、俺たちと同じように旅行に行くのか、パンフレットを片手に楽しそうに話し込んでいるカップルくらいだ。日帰りで行く俺たちとは違い、大きなスーツケースを持っているあたり、きっと何泊かするのだろう。
……もし楓とずっと付き合っていたら、いつかそんな未来もあったのかもしれないな。
そんなありえない未来を想像しかけて、俺はまた急いで目を逸らした。
「あ! 電車、来たみたいだよ!」
嬉々としてはしゃぐ楓の笑顔を見て、俺は改めて覚悟を決めた。
それから俺たちは電車に乗り込み、今日行く観光名所やら絶対食べたいグルメやらと話していたら、あっという間に目的地に着いた。
「わあぁ……っ!」
楓が感嘆の声を漏らす。俺も思わず息を呑んだ。
そこは人で溢れていた。俺たちの住む田舎の駅とは比べ物にならないほどで、休日ということも相まってか、右も左も見えるのは人やスーツケースばかりだ。
「楓、はぐれないように」
「あ……う、うん!」
しっかりと、俺は楓の右手を握る。あと20回。
彼女の手はほんのりと温かくて、柔らかい。切なくなりそうな気持ちを振り払うように、俺は一足先に前を歩き始めた。
改札を出て、案内板を頼りにバス停へと向かう。
「最初は金閣寺に行くんだよな?」
「うん! 中学の修学旅行じゃ回れなかったから。俊哉くんの班は行ったんだっけ?」
「うん。って言っても見た目は教科書のまんまだし、庭園とか他のところは全然覚えてないんだけどな」
「ふふっ。じゃあ、良かった」
京都には一度、中学の修学旅行で俺も楓も来たことがあった。
けれど、あのころの俺たちはまだ恋人どころかほとんど話したこともなく、班も違っていたのでそれぞれが違うコースを回っていた。旅行の行き先を決めようと、二人でいろんなサイトをあさっていた時に、「修学旅行で京都行ったけど、一緒に回りたかったなー」という楓の発言をきっかけに京都に決定した。
そんな先週の出来事をなんとなく思い出しながら、俺はスマホのメモ帳を起動させる。
今日の観光コースは、金閣寺のほかに龍安寺、清水寺、あとは八ツ橋か。
なんか寺ばっかりだな、なんて京都旅行には当たり前の感想を抱いていたら、ぐいと手を引っ張られた。あと19回。
「と、俊哉くん……! 私たちが乗る予定のバス、あれ! な、並ぶとこ違うみたい……!」
「な、なにっ!?」
「急ご! まだ間に合う……はず!」
そんな慌ただしい感じで、俺たちの京都旅行は始まった。
なんとかバスには間に合い、二人していかにもな目立ち方をしつつバスに揺られること30分強。直通のバスは、何度も教科書で目にした金箔が貼られた舎利殿のあるお寺に俺たちを運んでくれた。
「わあ……これが、金閣寺! 確かに、教科書で見たまんまだ……!」
「だろ? こう何度も見ると、あんまり感動もないっていうか」
「ううん。私は……そんなことないよ」
「え? なんで?」
「だって……一緒に教室で勉強した日を思い出すし」
「あ……」
言われて、俺も思い出す。
そういえば、去年教室で一緒に勉強を始めた時、最初にした科目は日本史だった。
勉強の苦手な俺に、楓はわかりやすく丁寧に教えてくれたっけ。
「じゃ、じゃじゃん……! も、問題です! 金閣寺が建てられた時の室町幕府3代将軍は誰でしょうか!」
「え」
「10秒でお答えください……!」
「ええっ! ちょ、待って! えーっと……」
唐突な出題に戸惑う。
待て待て待て。思い出せ。これは確か……そう! 楓が「3代将軍だから、三つ。つまり、『みっつで義満』って覚えたらいいよ」って言ってたやつだ!
「3、2、1……」
「みっつで義満!」
「おぉ……覚えてたんだ……!」
「あ、当たり前だろ!」
声が裏返ったけれど、気にしない。
なんか見られてる気がするけど、きっと気のせい。
傍から見ればバカップルみたいなやり取りをしながら、俺たちは笑い合い、手を繋いだ。あと14回。
そして、周囲の庭園やらお堂やらを見て回ってから、次の目的地である龍安寺へと向かった。龍安寺は金閣寺から徒歩でしばらく行ったところにあり、道中は八つ橋を食べながら歩いた。
「ん~~っ、八つ橋おいひい……」
「楓って、小柄なわりに意外と食いしん坊だよな」
「ほ、放っておいて……ください!」
ハムスターみたいに膨らんだ頬をつついていたら、いつの間にか龍安寺を通り過ぎていて、楓に軽く怒られつつ戻った。あと12回。
「へぇー。これがかの有名な枯山水庭園で、虎の子渡しの石庭かー」
「おぉ……俊哉くん、すごい。知ってたんだ……!」
「いや、知らない。パンフレットをカンニングした」
「え!」
「そもそも足利よし……みっつでよしみつ……そう! 足利義満でギリなのに枯山水庭園とか知ってるわけなかろう」
「確かに……」
「確かにとはなんだ、確かにとは」
「あはは、ごめんごめん」
場の雰囲気に似合わないじゃれ合いをしつつ、俺は庭に並べられた15個の石をひとつの場所で見ようとしてみた。もちろん無理だった。「違う視点で見ないと、見えないものもあるんだよ」なんて教訓を垂れる楓がいかにも先生っぽくて、そういえば楓の将来の夢は学校の先生だったっけ、なんてことをしみじみ感じていた。
それから昼食をはさみ、最後に予定していた清水寺へと足を向けた。あと8回。
「わぁ……綺麗だね……!」
「ああ、絶景だな」
本堂からせり出した、いわゆる「清水の舞台」からは、境内に立ち並ぶ木々に京都市内の街並み、遥か彼方に連なる山々が一望できた。
3月の頭とはいえ風は冷たく、左手に感じる温もりが一層に感じられ、心にまで沁みてくる。あと6回。
「ここ、地上から12メートルもあるんだって」
「へぇ~、たっけーな」
さすがの俺でも知っていることわざが思い出された。
清水の舞台から飛び降りる。
そのくらいの意志を持って、思い切って大きな決断をする時に使う、ことわざ。
「思ったんだけどさ」
ふと、聞いてみたくなった。
「もし俺が、ここから飛び降りるって言ったら、どうする?」
「俊哉くんが、清水の舞台から……?」
楓は、ぽかんとした表情をした。なにを言いたいのか測りかねているようだった。
でも、俺が答えを待っているのだとわかると、それとわかるほどに真剣に考えてくれた。
「……んー。一緒に飛び降りる、かな」
「……ははっ。そっか」
予想通りの返しに、俺は苦笑した。
「え、なに?」
「いんや、なんでもない。ありがとな」
「え、え?」
困惑する彼女の手を、握り直す。あと5回。
やっぱり、彼女は優しい。
内容も理由も訊かずに、そばにいようとしてくれる。
大きな決断をしようとしても、一緒にいようとしてくれる。
だからこそ、俺は――。
「よし。そろそろ行くか」
この旅行の終点は、もうすぐだ。
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