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第4章 熱に灼かれて、まぐわう一夜
ありのままで触れ合って ※
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それからおよそ一〇分がたち、ふたりの姿はベッドの上にあった。
胡坐をかいた俊平の膝の上に腰を下ろした美亜は、さきほどからずっと彼にすがりついて離れない。それはただただ、濃密な口づけに没頭しているがためだ。
深くまで舌を絡ませる積極性は今までになく、悪戯っぽく歯列をなぞられるのは新鮮な心地だった。より好ましいつながり方を求めてしきりに頭の角度を入れ替えては、甘美な蜜を好む蝶のように唾液をせがむのも妙にいじらしい。
しかし、何より俊平は、口づけひとつでこれほど満ち足りた気分になれることにひどく感動していた。まるで口腔粘膜越しにセックスしている錯覚すら起こしそうなほどの濃厚で甘く、淫らな応酬はどこまでいっても終わりが見えない。いや、仮に終わりがあったとして、これほどまでに満ち足りた心地よさから誰が進んで離れようとするだろうか? とさえ思われた。
「ちゅぷ、れろぉ、んっ、はぁ……、シュンくぅん。……むちゅ、んあ、ちゅ、ぱぁっ」
奏でられる粘ついた水音の切れ間から、愛しい少女が甘やかな声で自分の名を呼ぶ。その度に脳髄が快く痺れる感覚に襲われ、俊平もまた蕩けそうな口腔交尾に耽溺しつつあった。
けれども一方で、彼の下半身にはドクドクと熱い血潮を集めて、より深く目の前の雌と交わりたいと主張してやまない分身がある。自然と周囲の筋肉を引き締めて、早くしろと急かす様に腰を蠢かすのだ。
次第に無視できなくなっていく男の昂りに、美亜の方も無意識のうちに気が付いたらしい。妖しい腰つきに呼応するように、バスローブ越しに分かるほどにクイクイッと自らの尻も揺らす。あるいは彼女の方とても、そうしなければこらえきれない情欲の火を抱えていたのかもしれない。
お互いの視界には間違いなく、辛抱たまらなくなっている相手のセックスアピールが映っているはずだった。
しかし、どちらも手は出さない。むしろもっと欲望を煽り立てるように身体を押し付け合って、唇の感触に没入していく。
我慢比べでもないのにそうするのは、これが前戯だと気づけたからだ。互いの秘部に触れずとも、口づけだけでお互いを十分に昂らせることができる。それを初めて知った喜びのまま、感激を伝えあうように幾度となく唇を重ねれば、それだけで自身が恋人と溶け合うような心地さえ味わえるのだった。
とはいえ、いくら薄くなっていく血中酸素濃度が思考を鈍麻させようと、恋人が苦しそうに眉根をひそめたのを見逃すほど俊平も鈍ってはいなかった。
「ぷはぁ、はぁはぁっ、美亜、大丈夫か?」
「はぁ、けほけほっ。……うん。何とか、ね」
肩で息をしたまま陶然としたまなざしが俊平を見上げる。その淡い青に映る自分自身もまた、だらしなく欲情しているように彼には思われてならなかった。
「なんというか、凄かったな。キスだけなのに」
「うん、びっくりした。キスでこんな気持ちよくなったのなんて初めて」
「あんなに気持ちいいなんてな」
「ホント、ヤバいね。自分で止められなくなりそうだったもん」
「な」
「ね」
荒れた息遣いの合間に多くは語れなかったけれど、実のところその必要もなかったのかもしれない。それほどまでにふたりで共有した快感は静かながらも劇的なものだった。
「キスだけであれだったなら、今エッチしたらどうなっちゃうんだろうね?」
そう呟いた美亜の瞳が、ふしだらな想像に妖しく揺らめく。
「怖いか?」
「少し。でも、それ以上にドキドキしてるかも。シュン君は?」
「俺か。俺はこれでも自分を抑えるのに必死だよ」
「ふふ。そっか」
自分でもわかるほどにぎらついた視線にさらされているはずなのに、美亜は心底嬉しそうな微笑みを浮かべる。そんな彼女の指先が、ローブの腰紐にかかった。
「じゃあ、して。我慢しないで、あたしのこと犯して」
襟元が緩んでずれ落ち、白く細い肩が、形の良い乳房がこぼれ出た。薄く腹筋の浮かぶお腹も露わとなり、女性的な曲線を描き始める腰の上あたりでバスローブの落下は止まる。
しかし、それもほんの一瞬のこと。彼女は下半身を覆うタオル地をおのずから剥ぎ取り、脚の付け根を隠す淡い茂みすら恋人の眼下にさらした。栗色の和毛は既にしっとりと湿り気を帯び、恥丘にひたりと張り付いている。
「キスだけでもう濡れてきちゃった。だから、このまま入れて?」
後ろ手を突き、美亜はゆっくりとベッドに仰向けになった。その間も誘うように両脚は広げたまま、自らの色づいた秘苑を恋人へと見せつける。
まるでひっくり返ったカエルのように、はしたなくも蠱惑的なポーズ。
俊平はかっと頭に血が上るような感覚に見舞われた。
あつい。熱い。暑い。
全身を焦がすような衝動のままに、彼もまたバスローブを脱ぎ捨てる。ビンッと張り詰めた逸物がクーラーに冷まされた空気にさらされて、雄々しく武者震いした。
まもなく自らを貫くであろう肉杭。その猛りようから目が離せぬまま、美亜の表情が淫蕩にほころびる。吐息さえ知らぬ間に荒げさせてしまうほどに、昂りは抑えきれていない。
ようやく目線を上げた彼女はそっと秘唇に指先をやった。二枚の肉厚な花弁を人差し指と中指で押し開き、蜜に潤んだ桃色の肉孔を愛する人に差し出してみせる。
「ほら、見て? あたしのここ、シュン君のおちんちんに期待して、もうこんなにトロトロになっちゃった」
「あぁ、見える。凄いよ。美亜のおまんこ、鳥肌が立つくらいに美味しそうだ」
「ふふっ。いいんだよ、好きなだけ味わっても。いっぱいいっぱい、あたしのことを可愛がってね?」
「あぁ、もちろん。美亜が満足いくまで、今夜は抱き尽くしてやるからな」
むわりと薫り立つ甘酸っぱい淫臭に、俊平の平衡感覚がクラリと揺らいだ。
もう下手な御託は横に置き、一刻も早く目の前の据え膳に飛びつきたい。
そんな衝動を何とか抑えつつ、俊平は避妊具を握った手元に血走った視線を落とした。まだ学生である美亜と付き合ううえで、これだけは守らなければならない最後の一線だ。時間をかけて興を削がぬよう、手早く準備しようとして――、その小さな包装袋が何かに弾かれ視界から消えたのに彼は唖然とした。
その「何か」の正体が美亜のつま先であると気が付くために、たっぷり三秒はかかっただろう。
「お、おい。何をするんだ」
急な足癖の悪さを見せた少女をたしなめながら、彼は避妊具が飛んだ方向を目で追った。
「そんなの要らない。だから早く、生で入れて」
「はぁ? だからそんな危ないことは……」
「大丈夫だよ。だって、あたしピル飲んでるから」
「なっ、ピルって、お前……っ!」
思ってもみなかった告白に俊平は唖然とした。
もちろん、ピルというものがどういう効果をもたらす薬であるか、彼も知識として知ってはいる。性交渉の上でコンドームという物理的違和感を厭うのであれば、そんな避妊の選択肢もあることくらいは。
けれども、所詮はそこまでだ。自分が責任をもって避妊すればいいと思っていたし、何より自然な生理現象を抑え込む薬を成長途上の少女に使わせること自体、いささかの忌避感が拭えなかった。あるいは大切な相手の身体を、一時とはいえ自分の都合のいいように変えてしまうことへの躊躇いもあったのかもしれない。
そんな恋人の戸惑いが伝わったのだろうか。美亜は首を横に振って、言葉を継いだ。
「心配してくれなくてもいいんだよ。これにはいたって真面目な理由があるんだから」
「真面目な理由?」
「そう。あたしね、普段から生理が重いときがあって、ずっと悩んでたの。そうしたらお母さんが考えてくれて、病院でピルをもらおうことになったんだ。だから別に、シュン君のためっていうわけじゃなくて……」
「要は受験対策、ってことか」
「うん、そういうこと。だからまあ、妊娠しないっていうのはあくまでも副産物になるのかな」
――でも、せっかくなんだしさ。
少女は期待のこもった蕩け眼で男を見上げた。
「この状況を利用しない手はない、でしょ?」
まるで小悪魔のように甘く囁いて、彼女は恋人の返事を促した。
もちろん、求められているのは言葉ではなく行動だ。子どもだましのように易しく、唯一無二の正解が彼の目の前に文字通り転がっている。
(いいのか、本当に生でしても?)
時ここに至っても、わずかな逡巡が頭の片隅に浮かんだ。
だがそれも、マグマのように沸き上がった劣情の前にあまりにも無力だった。
「……っ、ひぅんっ! はあぁ、すご……シュン君の、あついぃっ」
鼻息荒く美亜の膝裏を掴んで腰をグイと押し出せば、反り返った屹立は薄紅色の熱いぬかるみの上に着地した。異なる体温に触れた肉割れ目が驚いたようにひくつき、敏感な裏筋をくすぐる。それが何とも言えない愉悦を俊平にもたらした。
たった一枚、一ミリにも満たない薄皮がないだけ。ただそれだけのはずだ。
なのに、初めて直接擦り合わせた粘膜同士が生む快感は、これからの行為への期待を高めるのに十分すぎた。
「本当に挿入れるぞ、生で」
「うんっ。いいから来て、早くぅ」
最後にそう訊く合間にも彼の腰はフライング気味に揺れ動いて、縦すじに溢れた淫汁を肉茎で塗り広げられずにはいられなかった。熱くずっしりと質量を伴ったその往復に美亜も腰をくねらせながら、焦れたように猫撫で声で懇願する。
膨れ上がった切っ先がクパリと口を広げた肉孔をとらえたのは、ちょうどその時だった。
先端部に吸い付いた膣粘膜の蠱惑的な蠢きが、最後に残った一片の理性をとろかせた。
(――あぁっ、ダメだ。もう我慢ならないっ!)
「あ、はあぁン……っ! きたぁ、シュン君の大きいのズチュズチュってぇ……ッ!」
つかまえた両脚をそのまま肩に担ぎ、柔らかな肢体を二つ折りにするように俊平は恋人の身体へのしかかった。天井を仰いだ恥割れを目がけ、体重の乗った肉槍を深々と突き刺していく。たまらず喜悦の声を上げる美亜。そんな彼女の上で、彼もまた「おおぉ」と深いため息を漏らさずにはいられなかった。
初めて何物にも隔てられることなく最愛の少女と一体になった感動。
これまで味わったことのない、みっちりと詰まった牝肉を一気に最奥までかき分けていく生感覚。
腰骨が甘く痺れ、背筋に寒気を覚えるほどの快感が走る。こんなものを一度経験してしまえば、もう避妊具付きのセックスなど考えられなくなるではないか。そんな危惧さえ脳裏をよぎるほどの快い感触だった。
「くぅ……ッ、美亜の膣内、最高だよ。いつもよりもキツくって、ねっとりと俺のものに絡みついてくる。副産物だとか言ってたのに、本当は内心、生セックスに期待していたんじゃないのか?」
「シュン君だって、人のこと言えないじゃん……っ。こんなにおちんちん大きくして、口では心配してても実際は生でしたかったこと、丸分かりなんだからね? 大体男の人って……あっ、ひ、くぅンっ! や、話の途中に動くの、反則だって、ばぁ……っ」
情けない喘ぎ声をごまかすためについつい叩いた憎まれ口が、売り言葉になりかける。だが、互いの下半身を支配する幸福感と快楽欲求の前にそんなものは些事も同然。男が恍惚とした表情で一度腰を使えば、少女もまた文句を言い残しつつもその口元はだらしなく蕩けて、甘いよがり声を漏らす。それが何度も繰り返されるうちに意味ある言葉は消え、互いの肌がぶつかり合う音、荒い息遣い、肉悦に震える喘ぎばかりが部屋に充満するようになっていった。
胡坐をかいた俊平の膝の上に腰を下ろした美亜は、さきほどからずっと彼にすがりついて離れない。それはただただ、濃密な口づけに没頭しているがためだ。
深くまで舌を絡ませる積極性は今までになく、悪戯っぽく歯列をなぞられるのは新鮮な心地だった。より好ましいつながり方を求めてしきりに頭の角度を入れ替えては、甘美な蜜を好む蝶のように唾液をせがむのも妙にいじらしい。
しかし、何より俊平は、口づけひとつでこれほど満ち足りた気分になれることにひどく感動していた。まるで口腔粘膜越しにセックスしている錯覚すら起こしそうなほどの濃厚で甘く、淫らな応酬はどこまでいっても終わりが見えない。いや、仮に終わりがあったとして、これほどまでに満ち足りた心地よさから誰が進んで離れようとするだろうか? とさえ思われた。
「ちゅぷ、れろぉ、んっ、はぁ……、シュンくぅん。……むちゅ、んあ、ちゅ、ぱぁっ」
奏でられる粘ついた水音の切れ間から、愛しい少女が甘やかな声で自分の名を呼ぶ。その度に脳髄が快く痺れる感覚に襲われ、俊平もまた蕩けそうな口腔交尾に耽溺しつつあった。
けれども一方で、彼の下半身にはドクドクと熱い血潮を集めて、より深く目の前の雌と交わりたいと主張してやまない分身がある。自然と周囲の筋肉を引き締めて、早くしろと急かす様に腰を蠢かすのだ。
次第に無視できなくなっていく男の昂りに、美亜の方も無意識のうちに気が付いたらしい。妖しい腰つきに呼応するように、バスローブ越しに分かるほどにクイクイッと自らの尻も揺らす。あるいは彼女の方とても、そうしなければこらえきれない情欲の火を抱えていたのかもしれない。
お互いの視界には間違いなく、辛抱たまらなくなっている相手のセックスアピールが映っているはずだった。
しかし、どちらも手は出さない。むしろもっと欲望を煽り立てるように身体を押し付け合って、唇の感触に没入していく。
我慢比べでもないのにそうするのは、これが前戯だと気づけたからだ。互いの秘部に触れずとも、口づけだけでお互いを十分に昂らせることができる。それを初めて知った喜びのまま、感激を伝えあうように幾度となく唇を重ねれば、それだけで自身が恋人と溶け合うような心地さえ味わえるのだった。
とはいえ、いくら薄くなっていく血中酸素濃度が思考を鈍麻させようと、恋人が苦しそうに眉根をひそめたのを見逃すほど俊平も鈍ってはいなかった。
「ぷはぁ、はぁはぁっ、美亜、大丈夫か?」
「はぁ、けほけほっ。……うん。何とか、ね」
肩で息をしたまま陶然としたまなざしが俊平を見上げる。その淡い青に映る自分自身もまた、だらしなく欲情しているように彼には思われてならなかった。
「なんというか、凄かったな。キスだけなのに」
「うん、びっくりした。キスでこんな気持ちよくなったのなんて初めて」
「あんなに気持ちいいなんてな」
「ホント、ヤバいね。自分で止められなくなりそうだったもん」
「な」
「ね」
荒れた息遣いの合間に多くは語れなかったけれど、実のところその必要もなかったのかもしれない。それほどまでにふたりで共有した快感は静かながらも劇的なものだった。
「キスだけであれだったなら、今エッチしたらどうなっちゃうんだろうね?」
そう呟いた美亜の瞳が、ふしだらな想像に妖しく揺らめく。
「怖いか?」
「少し。でも、それ以上にドキドキしてるかも。シュン君は?」
「俺か。俺はこれでも自分を抑えるのに必死だよ」
「ふふ。そっか」
自分でもわかるほどにぎらついた視線にさらされているはずなのに、美亜は心底嬉しそうな微笑みを浮かべる。そんな彼女の指先が、ローブの腰紐にかかった。
「じゃあ、して。我慢しないで、あたしのこと犯して」
襟元が緩んでずれ落ち、白く細い肩が、形の良い乳房がこぼれ出た。薄く腹筋の浮かぶお腹も露わとなり、女性的な曲線を描き始める腰の上あたりでバスローブの落下は止まる。
しかし、それもほんの一瞬のこと。彼女は下半身を覆うタオル地をおのずから剥ぎ取り、脚の付け根を隠す淡い茂みすら恋人の眼下にさらした。栗色の和毛は既にしっとりと湿り気を帯び、恥丘にひたりと張り付いている。
「キスだけでもう濡れてきちゃった。だから、このまま入れて?」
後ろ手を突き、美亜はゆっくりとベッドに仰向けになった。その間も誘うように両脚は広げたまま、自らの色づいた秘苑を恋人へと見せつける。
まるでひっくり返ったカエルのように、はしたなくも蠱惑的なポーズ。
俊平はかっと頭に血が上るような感覚に見舞われた。
あつい。熱い。暑い。
全身を焦がすような衝動のままに、彼もまたバスローブを脱ぎ捨てる。ビンッと張り詰めた逸物がクーラーに冷まされた空気にさらされて、雄々しく武者震いした。
まもなく自らを貫くであろう肉杭。その猛りようから目が離せぬまま、美亜の表情が淫蕩にほころびる。吐息さえ知らぬ間に荒げさせてしまうほどに、昂りは抑えきれていない。
ようやく目線を上げた彼女はそっと秘唇に指先をやった。二枚の肉厚な花弁を人差し指と中指で押し開き、蜜に潤んだ桃色の肉孔を愛する人に差し出してみせる。
「ほら、見て? あたしのここ、シュン君のおちんちんに期待して、もうこんなにトロトロになっちゃった」
「あぁ、見える。凄いよ。美亜のおまんこ、鳥肌が立つくらいに美味しそうだ」
「ふふっ。いいんだよ、好きなだけ味わっても。いっぱいいっぱい、あたしのことを可愛がってね?」
「あぁ、もちろん。美亜が満足いくまで、今夜は抱き尽くしてやるからな」
むわりと薫り立つ甘酸っぱい淫臭に、俊平の平衡感覚がクラリと揺らいだ。
もう下手な御託は横に置き、一刻も早く目の前の据え膳に飛びつきたい。
そんな衝動を何とか抑えつつ、俊平は避妊具を握った手元に血走った視線を落とした。まだ学生である美亜と付き合ううえで、これだけは守らなければならない最後の一線だ。時間をかけて興を削がぬよう、手早く準備しようとして――、その小さな包装袋が何かに弾かれ視界から消えたのに彼は唖然とした。
その「何か」の正体が美亜のつま先であると気が付くために、たっぷり三秒はかかっただろう。
「お、おい。何をするんだ」
急な足癖の悪さを見せた少女をたしなめながら、彼は避妊具が飛んだ方向を目で追った。
「そんなの要らない。だから早く、生で入れて」
「はぁ? だからそんな危ないことは……」
「大丈夫だよ。だって、あたしピル飲んでるから」
「なっ、ピルって、お前……っ!」
思ってもみなかった告白に俊平は唖然とした。
もちろん、ピルというものがどういう効果をもたらす薬であるか、彼も知識として知ってはいる。性交渉の上でコンドームという物理的違和感を厭うのであれば、そんな避妊の選択肢もあることくらいは。
けれども、所詮はそこまでだ。自分が責任をもって避妊すればいいと思っていたし、何より自然な生理現象を抑え込む薬を成長途上の少女に使わせること自体、いささかの忌避感が拭えなかった。あるいは大切な相手の身体を、一時とはいえ自分の都合のいいように変えてしまうことへの躊躇いもあったのかもしれない。
そんな恋人の戸惑いが伝わったのだろうか。美亜は首を横に振って、言葉を継いだ。
「心配してくれなくてもいいんだよ。これにはいたって真面目な理由があるんだから」
「真面目な理由?」
「そう。あたしね、普段から生理が重いときがあって、ずっと悩んでたの。そうしたらお母さんが考えてくれて、病院でピルをもらおうことになったんだ。だから別に、シュン君のためっていうわけじゃなくて……」
「要は受験対策、ってことか」
「うん、そういうこと。だからまあ、妊娠しないっていうのはあくまでも副産物になるのかな」
――でも、せっかくなんだしさ。
少女は期待のこもった蕩け眼で男を見上げた。
「この状況を利用しない手はない、でしょ?」
まるで小悪魔のように甘く囁いて、彼女は恋人の返事を促した。
もちろん、求められているのは言葉ではなく行動だ。子どもだましのように易しく、唯一無二の正解が彼の目の前に文字通り転がっている。
(いいのか、本当に生でしても?)
時ここに至っても、わずかな逡巡が頭の片隅に浮かんだ。
だがそれも、マグマのように沸き上がった劣情の前にあまりにも無力だった。
「……っ、ひぅんっ! はあぁ、すご……シュン君の、あついぃっ」
鼻息荒く美亜の膝裏を掴んで腰をグイと押し出せば、反り返った屹立は薄紅色の熱いぬかるみの上に着地した。異なる体温に触れた肉割れ目が驚いたようにひくつき、敏感な裏筋をくすぐる。それが何とも言えない愉悦を俊平にもたらした。
たった一枚、一ミリにも満たない薄皮がないだけ。ただそれだけのはずだ。
なのに、初めて直接擦り合わせた粘膜同士が生む快感は、これからの行為への期待を高めるのに十分すぎた。
「本当に挿入れるぞ、生で」
「うんっ。いいから来て、早くぅ」
最後にそう訊く合間にも彼の腰はフライング気味に揺れ動いて、縦すじに溢れた淫汁を肉茎で塗り広げられずにはいられなかった。熱くずっしりと質量を伴ったその往復に美亜も腰をくねらせながら、焦れたように猫撫で声で懇願する。
膨れ上がった切っ先がクパリと口を広げた肉孔をとらえたのは、ちょうどその時だった。
先端部に吸い付いた膣粘膜の蠱惑的な蠢きが、最後に残った一片の理性をとろかせた。
(――あぁっ、ダメだ。もう我慢ならないっ!)
「あ、はあぁン……っ! きたぁ、シュン君の大きいのズチュズチュってぇ……ッ!」
つかまえた両脚をそのまま肩に担ぎ、柔らかな肢体を二つ折りにするように俊平は恋人の身体へのしかかった。天井を仰いだ恥割れを目がけ、体重の乗った肉槍を深々と突き刺していく。たまらず喜悦の声を上げる美亜。そんな彼女の上で、彼もまた「おおぉ」と深いため息を漏らさずにはいられなかった。
初めて何物にも隔てられることなく最愛の少女と一体になった感動。
これまで味わったことのない、みっちりと詰まった牝肉を一気に最奥までかき分けていく生感覚。
腰骨が甘く痺れ、背筋に寒気を覚えるほどの快感が走る。こんなものを一度経験してしまえば、もう避妊具付きのセックスなど考えられなくなるではないか。そんな危惧さえ脳裏をよぎるほどの快い感触だった。
「くぅ……ッ、美亜の膣内、最高だよ。いつもよりもキツくって、ねっとりと俺のものに絡みついてくる。副産物だとか言ってたのに、本当は内心、生セックスに期待していたんじゃないのか?」
「シュン君だって、人のこと言えないじゃん……っ。こんなにおちんちん大きくして、口では心配してても実際は生でしたかったこと、丸分かりなんだからね? 大体男の人って……あっ、ひ、くぅンっ! や、話の途中に動くの、反則だって、ばぁ……っ」
情けない喘ぎ声をごまかすためについつい叩いた憎まれ口が、売り言葉になりかける。だが、互いの下半身を支配する幸福感と快楽欲求の前にそんなものは些事も同然。男が恍惚とした表情で一度腰を使えば、少女もまた文句を言い残しつつもその口元はだらしなく蕩けて、甘いよがり声を漏らす。それが何度も繰り返されるうちに意味ある言葉は消え、互いの肌がぶつかり合う音、荒い息遣い、肉悦に震える喘ぎばかりが部屋に充満するようになっていった。
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