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第2章 水着少女と夜更けの逢瀬

ぬかるみの奥底へ ※

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「……気持ち、いい。アソコ舐められるのすっごく気持ちいい、です」



 少女の答えは、消え入りそうに小さな声だった。



「ホントは、死んじゃいたいくらい恥ずかしいの。……ホントだよ? あたしの一番恥ずかしいところ、こんなに近くで見られて、嗅がれて、味まで知られちゃったんだもん。……でも、それなのに、どこかイヤじゃないあたしもいるの。もっともっとシュン君に意地悪されたいって、お腹の奥がジクジク疼いてる、そんな感じで」



 そこまで言って、美亜は不意に口をつぐんだ。

 余計なことまで馬鹿正直に口走ってしまったという後悔が、彼女の顔から読み取れた。



「だ、だけどねっ。実際もっとしてほしいとか、そういうんじゃ――」

「つまり、恥ずかしさを忘れるくらい気持ちよくすればいいわけだな。俺も美亜に死なれるのは困るし」

「えっ……、い、や、だから違くてっ!」



 一瞬の困惑に眉をひそめた美亜は次の瞬間、全てを理解したように戦慄した。

 土壇場で力を取り戻した身体が、弾けるように拘束を振りほどく。再び迫る男の手から逃れるように身をひるがえし、四つん這いになってでも逃げだそうとする。

 だが、少女のささやかな反抗はここまでだった。

 布団の上から出ることも叶わぬうちに、男の手は彼女を捕まえてしまったのだ。そして、今度は逃げられないよう、もう一度しっかりと太ももを抱きすくめた。



「やあぁっ、お願い、離してぇ……っ」

「逃げるなよ。痛くはしないんだからさ」



 悲鳴にも似た哀願の声を遠くに聞きながら、俊平は再び潤み切った股座に顔をうずめた。

 愛液と唾液にまみれた女性器が、眼前で蠱惑するようにヒクヒクとわななく。

 その誘いに応ずるように、小さな粒芽から肉厚の陰唇、そして淫裂の一重一重に至るまで、彼は唾液たっぷりの舌で隈なく舐り上げた。

 あくまでも優しく、それでいて容赦なく、美亜の肉体を追い詰めていく。



「いやぁ、おねが、い……もうやめ……っ、あんっ、やあぁあ……っ」



 哀れに赦しを乞う唇とは正反対に、既に限界近くまで高められていた美亜の肢体はしかし、口淫の再開を何よりも待ち望んでいたようだ。

 まるで舌先で奏でられる楽器のように、汗だくの白い背中は美しく反り、柳腰がへこへこと空腰を打つ。四つん這いのまま繰り広げられる淫靡な求愛ダンスは、恋人の情欲をあおりたてるのに十分すぎるほどだった。



「はぁ、ふ……だめぇ、これ……もう頭変になっちゃ、ぅ……っ」



 とめどなく注ぎ込まれる快感にとうとう耐えきれなくなったのか、美亜は布団の上にどさりと突っ伏してしまう。けれども、その下半身は俊平の手によって陥落は許されず、尻だけを高々と突き上げる卑猥な体勢にならざるをえなかった。



(もう、ダメだ……。挿入れたい。このトロトロの膣内に思う存分吐き出したい……っ)



 まるで自らにささげられるように突き出された女尻から目が逸らせないまま、俊平は愛液にまみれた口元をぬぐった。

 彼の我慢は、もう限界だった。

 いや、眼下でヒクつく恋人の媚肉を前にして、自制を保っていられる男が一体どこにいようか?

 俊平は、もはや窮屈となったハーフパンツを下着ごと乱暴に脱ぎ捨てた。

 そして焦る手つきで先走り滴る男根にコンドームを取り付けると、豊かな尻の谷間に主張するように擦り付けた。



「あっ、つ……っ。しゅ、シュン君? それって――」



 グリグリと押し付けられた熱感に、驚いたように美亜は振り返る。



「え、あ、あの、ちょっと待ってっ。今あたし敏感になってて、それで……」

「ごめんな。美亜が感じてる姿見てたら、もう我慢できなくなって。このまま後ろから挿入れるから、ジッとしてろよ?」

「話聞いてっ! ね、お願いだから――」



 逃げ出そうとする安産型の尻をがっしりと捕まえ、熱い強張りをぬかるみの中に押し沈めていく。

 できるだけゆっくり、じっくりと。

 それはまだ不慣れな少女への配慮、ではない。

 互いが繋がる瞬間を存分に味わい、たっぷりと味わわせる。

 そんな底意地の悪い支配欲の発露そのものだった。



「や、ダメ、ダメだってばっ――あ゛っ、んあ゛あぁあぁぁぁ……っ!?」

「あぁぁっ、凄いっ。美亜の膣内、俺のにねっとり絡みついて……っ!」



 永遠にどこまでも沈み込んでいくと錯覚するほどスローな貫入感に、ふたりの喘ぎ声が重なり合った。

 数日前まで男を知らなかった美亜の蜜穴。

 それはまだ初心な固さを残しつつも、先ほどまでの執拗な口唇愛撫でグズグスにほぐれ、絶頂をお預けにされたことでどうしようもなくオスの生殖液に飢えていた。

 そんな只中を穿った恋人のペニスは、まさに劇薬だった。幾重にも重なる肉襞は一斉に色めきだち、亀頭を喜悦のうちに迎え入れ、熱烈に肉幹へ抱きすがった。そして、一刻も早い蹂躙を乞い願うように、凶悪なまでに逆立ったカリ首や敏感な裏筋にしゃぶりついたのだ。

 ――こんな膣内で好き勝手に腰を動かしたら、どれだけ気持ちが良いことだろう?

 甘い快感に酔わされようとも欲望に限りはなく、男はさらなる快楽を望んだ。

 しかし、俊平が猛然と腰を突き動かそうとしたその直前、美亜の背中に緊張が走った。



「あぁっ……や、ら……い、ィク……もぅっ……イっちゃ、う゛ぅ……ッ」



 亀頭冠が膣奥をグッと押し上げた瞬間、蕩けきった膣襞が突如としてペニスをきつく食い締め、ビクビクッと激しく痙攣し始めたのだ。

 美亜の身体が弓なりに仰け反り、張り詰めた尻が天井に向かって何度も小刻みに跳ね上がる。



「あ、あぁ……んん、くふぅっ……あ゛っ、……はぁ、ああぁぁ……っ」



 絞り出すような喜悦の声と共に、間欠的な痙攣。

 陰茎を締め上げるリズムに合わせ、尻の谷間で褐色のすぼまりがキュッキュッと収縮する。その繰り返しを呆然と眺めているだけで、何かいけないものを見てしまった思いにとらわれた。



「もしかして挿入しただけでイった、のか?」

「……だからダメって言ったのに、この鬼畜ぅ」



 要らぬこととは思いながらも訊けば、恨めし気な罵倒が震え声で返ってきた。

 いまだ去らぬオーガズムの余韻に、枕に顔をうずめたまま、全身を艶めかしく波打たせる美亜。その背中はクライマックスを迎えた満足感にあふれ、次第に落ち着きを見せ始めている。

 けれど、それでは収まらないのが俊平の方だった。

 極上の雌穴を寸前で犯し損ね、彼の飢餓感は限界を振り切りかけていた。そこに火照った肢体を無防備に投げ出され、名残惜しそうな柔襞に甘く吸い付かれれば、もはや理性など無用の長物と化す。



「――やばい。今の美亜、エロすぎ」



 ボソッと零した呟きは、誰に聞かせるためのものでもない。

 全ては美亜が、こんなにエロくて可愛い美亜が悪いのだ。そんな勝手な言い訳を自分への免罪符にして、ペニスが抜ける直前まで腰を引く。

 そして狭まった膣洞を一気にこじ開けるように、力を込めて腰を振り出した。



「きゃんっっ!? しゅ、シュン君っ……! 今、あたしイったばっかりだって……っ」

「俺がまだイケてない」

「う、うん。わかってるっ。わかってるけどぉ、お願いだから少し休憩させてっ」

「悪い。美亜が可愛すぎてムリだ。でも無理させる分、ちゃんと気持ちよくさせてやるから安心しろ、な?」

「そんなの、交換条件にもなってな―――、ヒィっ……、ああぁっ、あぁぁん……っ!」



 抗議の声はピストンの回数を重ねるごとに影を潜め、代わって切なげなよがり声が部屋に響き始めた。

 はじめは馴染ませるように、ゆっくりと腰を使う。

 それでも、絶頂に至って間もないためであろう。美亜は一突きごとに敏感な反応を見せ、身体を淫らにくねらせた。

 まだ二度目とはいえ痛みもなさそうに見えたのには、俊平も内心で安心していた。

 快楽に歪んだ表情ならばともかく、苦痛に苛まれる恋人の顔など見たくもない。それに、これだけ感じやすくなっているのならば、多少強引な責めだって問題ないはずだ。

 そんな安堵から抽挿は自然と速く、リズミカルなビートを刻み始める。

 そうして気が付けば、肌と肌とがバチュン、バチュンと粘着質な音を立ててぶつかり、白い桃尻が卑猥に波打つくらいにストロークは激しいものになっていた。



「あぁんっ! そこ、ダメぇ……っ。そこ引っかかれると、恥ずかしい声、抑えられなくなっちゃ、うぅ……っ!」



 潤んだ膣襞の甘やかな摩擦感を楽しみながら、探るように肉棒の角度を変えて、ヘソ下裏に狙いをつける。そうしてやると、美亜の嬌声が一オクターブ高くなった。

 彼女が好きなGスポットだ。

 あからさまに反応が変わるものだから、俊平も少し楽しくなってくる。



「別にいいんだぞ。美亜のエッチな声、俺しか聞いてないんだから」

「や、だぁ……っ、廊下まで声響いちゃ、うから、……んくぅっ、許してよぉ」

「そんなに心配しなくても大丈夫だって。ここの壁、意外と厚いんだから」

「でもぉ……」



 俊平は大学時代にも夏休み合宿の手伝いのため、この海浜会館を訪れたことがある。そのときは大学将棋部の面々と一緒だったが、夜、部屋に集まって飲み会をした際にこんな話を聞いた。

 曰く、『この会館ではいくら騒いでも大丈夫』と。

 なんでも台風が強いこの地域特有の事情で、避難所になりそうな公共施設は頑丈な造りを求められるため、部屋の壁もみな分厚くしてあるのだとか。

 実際、その後は深夜までのどんちゃん騒ぎをしたにもかかわらず、翌日になって管理人や富永から大目玉を食らうことも、子どもたちからうるさくて眠れなかったというクレームを受けることもなかった。

 そういうわけだから、美亜の心配は杞憂に過ぎない。とはいえ、恥ずかしがる彼女の姿もまたそれはそれで愛らしいものだった。
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