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第1章 初めては涙雨に濡れて

初めてと、その証 ※

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 余韻に浸る彼女を背に、俊平はデスクの引き出しに手を伸ばす。
 美亜のアタックを受け始めてから、万一の保険として準備していた避妊具。いざ使う場面が来てしまったことは内心複雑だったが、同時に用意しておいてよかったという安堵もある。

「そっか、そうだよね。今からが本番、なんだから」

 下着を下ろし、ごそごそとコンドームを装着する後ろ姿に、美亜もはっとして呟く。
 その表情には再び緊張の色が見えた。遂に身体を重ねるのだと、初体験の少女は見るからに怯えていた。

「なるべく優しくする。心配すんな」
「……うん」
「下脱がすから、お尻ちょっと浮かせて」
「……ん」

 腰紐に手をかけ、愛蜜がぐっしょりと染みたショーツを両脚から引き抜く。
 屹立した股間を直視できない様子の美亜は、秘部を手でおおい隠す。
 そのまま彼女の両脚の間に身体を滑り込ませ正常位で交わろうとするが、股間に置かれた手はかたくななままだ。

「美亜?」
「……あはは、こんな恥ずかしいんだね、正常位って格好。男の人の目の前で股開くとか、全然正常じゃいられなくない?」

 そんな軽口を叩いて見せる美亜。だが実際、ひどく恥ずかしいらしい。一目でわかるほどに顔を赤らめ、俊平と全く目を合わせようとしない。
 微かな震えに彼女の恐怖が見える。先ほどまで肉悦に緩み切っていた肢体は、今は見るからに力が入っている。

「美亜、深呼吸」
「へ?」
「俺に合わせて深呼吸してみろ。そのままじゃ、きっと辛くなるから」

 目を丸くする美亜をよそに、先に深呼吸をして見せる。
 二度三度繰り返すうち、美亜もそれに倣い始めた。二人で一緒に深く息を吸い、吐く。その繰り返し。
 その間も髪をなでて少しでも落ち着くようにしてやる。
 そうしていると次第に、彼女の肩から力が抜けていくのが見て取れた。

「ごめん、もう大丈夫。……いいよ、して?」

 落ち着きを取り戻すとともに、気持ちも定まったようだった。
 恐る恐る、しかし決心のこもった目でそう告げながら、美亜は秘部を隠す手をどけた。
 悪天候でカーテンも閉めているとはいえ、昼日中の室内は薄明るい。髪色よりも淡いブラウンの恥毛が、愛液に塗れて肉丘にピトリと張り付いているのが見えた。そのあわいには開脚に合わせて少し広がった花弁はテラリと濡れて、俊平の視線に恥じらうようにヒクついている。
 男を知らない肉ビラは可愛らしく形が整っているが、充血して煽情的に色づいてもいた。そこからあふれた蜜の一滴がしたたり、会陰からアナルに向かって糸を引く。思わず生つばを飲み込ませる光景がそこには広がっていた。

「そんなにじっくり見ないでよ。恥ずかしすぎて死んじゃう」
「悪い。……挿入れるから、力抜いて」
「……うん」

 その瞬間を見届けられる覚悟まではないのか、視線を逸らす美亜。
 一方の俊平も、もはや理性の限界を迎えつつあった。はやる気持ちのまま、蜜濡れの膣穴にペニスの先端をあてがう。
 亀頭に感じた美亜の灼けるような熱が妖しく彼の牡性をくすぐった。

「ん゛っ、くうぅう~~っ!」

 そしてそのまま腰を進めようとする。
 だが、先端が膣内におさまりかけたところで強い抵抗感にぶつかり、同時に痛々しい悲鳴が上がった。
 ハッとして顔を上げれば、赤らんだ顔を苦悶に歪めている美亜。
 見かねて一旦腰を引こうとするが、彼女はそれを咎めるように俊平の腕を握った。

「やめないでっ。大丈夫だから。そのまま続けて?」
「でも……っ」
「大丈夫。あたしがしてほしいの。だから、気にしないで、ね?」

 それでもと心配げに向けた目は、彼女の真剣な視線とぶつかる。
 ――ずっと恋焦がれてきた相手に、自分の全てをもらってほしい。
 美亜は無言のうちに、そう訴える。
 その健気な様子が狂喜するほどに、愛おしかった。
 頷きを返し、もう一度挿入を試みる。今度はしばし焦燥を抑え、じっくりと。
 肉竿全体を淫裂にこすりつけ、たっぷりと愛液を馴染ませる。その先端を膣口に少しだけ押し込んだところで一旦立ち止まり、タイミングを図る。
 そして息遣いの合間、わずかに強ばりが緩んだ瞬間。
 狭い濡れ穴に自身の分身を押し込むように、美亜の女体にのしかかった。
 亀頭が沈み込むのと同時に覚えた抵抗感。それを意図的に無視して更に深く挿入していく。反射的に逃げようとする腰を抑え込んだ時にプツリと微かに感じたのは、きっと破瓜の瞬間だったのだろう。美亜の形良い眉が苦痛に歪み、ギュっと目蓋に力を入れるのが痛々しい。

「ぃ、つっ、ぅぅ……っ」
「く……っ」

 言葉にならない悲鳴を上げる美亜。俊平も味わったことのない肉棒への締め付けに呻いた。
 けれど、ここで中途半端に止めたとして、きっと痛みに変わりはない。
 苦痛の時間をなるべく短くしてやること。今彼にできるのはそれしかないのだ。
 動きを止めることなく一息のうちに、陰茎を根元まで挿入し終える。異物挿入に対する反射的な締め付けと膣襞がもたらす摩擦感に思わず腰を動き出したくなる誘惑にかられるが、それをぐっとこらえる。大事な相手を痛みに苛んでまで得る快楽なんて、あまりに虚しい。
 押し殺した悲鳴交じりの、美亜の荒い呼吸が耳を突く。なるべく身動ぎしないよう、彼女が落ち着くのをじっと待った。

「ふう、くぅ……はぁ……ふうっ」

 覆いかぶさるように身を寄せると、美亜の吐息が段々と整っていくのがわかる。
 目尻に浮かんだ涙、苦痛の証であるそれを拭ってやる。と、彼女はそれまでグッと閉じていた目蓋を薄く開いた。
 どこか戸惑うような瞳。
 何故動かないかと彼女の眼差しは問うていた。その意図は知れたが俊平はあえて応えず、半開きの唇に口付けを落とした。

「……ぷ、はっ。シュン、君? 我慢しないで、動いてもいいんだよ?」
「俺のことは気にしなくていいから。今はこっちに集中してろ」
「で、でも……ぁむ、ちゅ、ん、んん……っ」

 痛みが少しでも紛れることを願い、角度を変えつつキスを重ねる。次第に深く、けれど決して息は苦しくならないように、何度も何度も唇をついばむように。
 それと首筋から乳房への愛撫。あまり強い刺激にならないように手の平を滑らせ、穏やかな快楽で彼女の緊張を解きほぐしていく。
 それをどれだけ繰り返しただろうか。
 触れ合う肌が、美亜の身体から少しずつ力が抜けていくのを感じとる。最初は肉棒の侵入を拒むように痛いくらいだった膣口の締まりも、いつしか解れてきているようだった。
 微かに甘いため息、いつの間にか美亜の口元から再び漏れるようになっていた。
 キスが間断途切れ、美亜の涙に濡れた瞳がぼんやりと揺れているのに気づく。

「どうした?」
「ううん。なんていうか、その、ホントにしちゃってんだなって。なんだかフワフワして夢の中みたい」
「なんだよそれ。実感湧いてきたのか?」
「そうかも。シュン君のがあたしの中に入っちゃってるって、すごく感じるの。熱くて、硬い。それなのに時々ピクって動いて。一番近くでシュン君を感じてる、そんな気分。――ねえ、あたしの中、気持ちいい?」
「……正直、すごく気持ちいいよ。トロトロに濡れてるのにギュって締め付けてきて、入れてるだけなのに我慢できないくらいで。もしかしたら、美亜の初めてをもらったっていう嬉しさも大きいのかもな」
「なら、良かった。……ねぇ、もう動いていいよ?」
「もう大丈夫なのか?」
「ちょっとズキズキするけど、さっきよりはだいぶ楽。シュン君がキスでいっぱい慰めてくれたおかげだね」

 そう言って美亜が微笑む。
 たったそれだけのことが、随分久方ぶりな気がした。

「さっきはシュン君があたしのこと、気持ちよくしてくれたでしょ。だから今度はシュン君にも気持ちよくなってほしい。――だから、ね。あたしで気持ちよくなって?」
「……分かった。痛かったら遠慮なく言えよ」
「うん」

 その答えに安心し、ゆっくりと腰を前後し始める。
 潤沢な愛液の潤みの中でもわかる、初心な膣襞のきつい摩擦感。こなれてはないがゆえの鮮烈な刺激に、美亜の純潔を初めて犯しているのだという実感が相まって、狂おしいほどに快い。俊平自身、久しぶりのセックスの快感にたちまち射精欲求に屈しになるが、それを気合で抑え込む。
 まだ少し痛そうに眉間にしわを寄せる美亜。
 けれど、辛いわけではないらしい。下腹部を内側からズンッと突き上げられる未知の感覚を受け止めかねているといったところだろうか。

「くぅ……っ、ん、ふぅ……っ。ぁ、うぅ……」

 体を起こし、今度は彼女の細腰を掴んで次第に大きくピストン運動をし始めた。
 美亜は枕に腕を絡ませながら、声にならない微かな喘ぎを漏らす。
 ふと結合部を見ると、わずかに出血はあったものの、溢れた愛液に朱色は薄まっているようだった。

「ぁん……はぁ、くぅ……ふ、う……、ねえ、シュン君っ。どう? 気持ち、いい?」
「……ああ、すごく気持ちいいよ、美亜の膣内(ナカ)。美亜は? 辛くないか?」
「大丈夫、だよ。……ぁく、ふぅ……、でも、やっぱりよく分かんないかな。突かれるたび息苦しくなって、変な声、漏れちゃって恥ずかしい、けどぉ」
「そうだな。確かに声、エロくなってきてるかも」
「え、エロい声っ? そんなの、ぁくっ、……出してないしっ!」
「男にはエロく聞こえるんだよ。自分じゃ気づいてないかもしれないけど、段々とさっきみたいな甘ったるい声になって来てるんだからなっ」

 そう言いながらも、美亜の蜜壺に肉棒を突き入れる腰の動きを俊平は止めることができなかった。
 我慢で押しとどめられるという線はとっくに通り過ぎていた。
 プツプツとした膣襞は沈み込んだペニスを撫で上げながら迎え入れ、腰を引けばどこまでもねっとりと絡みついて離れない。
 一突きするたびに陰嚢の裏でぐつぐつと精液が煮えるような快楽が思考を焦がし、本能のままに腰を動かす。
 そんな極上の肉壺の持ち主は、少女のあどけない顔で腰を振る恋人を熱っぽく見上げている。
 そのギャップがたまらなく俊平の官能を刺激した。

「あ、はぁ。そう言うシュン君だって、すごくいやらしい顔してるよ。夢中で腰動かして、ズンズンってあたしの中かき回してるっ」
「優しくするってカッコつけたのに、ごめんな。美亜のナカ、どんどん気持ちよくなってきて我慢できないんだよ」
「いいんだよ、そんな気遣いなんて。シュン君とエッチしてるんだもん。シュン君があたしの身体に夢中になるくらい感じてくれてる。それだけですっごくうれしいの。恋人になっただけでも幸せだったのに、その何倍も満たされる感じがするんだよ?」

 官能に濡れた微笑みを浮かべる美亜は、慈しみ深い聖女のように満ち足りているように見えた。
 俊平としてもそれは喜びに違いなかった。けれど、それと同時にこの聖女の微笑を突き崩し、獣の本性を暴いてやりたいという欲望も身をもたげてきた。
 そのときふと先ほど敏感に感じていたクリトリスのことを思い出す。
 腰を掴んだ手を忍ばせつつ結合部まで移動させる。そして親指で不意打ちするようにプクリと膨らんだ粒芽を擦り上げると、

「ひゃうぅぅううぅっ!?」

 高い嬌声とともに仰け反る美亜。
 スイッチが入ったように膣襞が淫らに痙攣し、肉棒を扱き上げる。俊平は背筋を立ち昇る快楽に震えながら、クリトリスと膣内、その両方を同時に刺激し続ける。

「最初からこうしてやればよかった。美亜、ここ好きだもんな」
「今クリ触るの、反則ぅっ。背中ぞわぞわして変になっちゃうからぁ……っ!」

 乱暴なまでの愛撫快楽を拒むように手を伸ばしてくる美亜だったが、その力の入らない細腕はいともたやすく跳ね除けられた。

「あぁ、だ、めぇっ。これダメだってぇ。中と同時にされたらあたし、あたしぃ……っ」

 快楽にゆがむ美亜の表情に、嬌声、汗に濡れる柔肌。彼女が身動ぎする度に立ち上るえも言われぬフェロモンが俊平を誘い、知らず知らずのうちに腰遣いを荒くさせる。
 形の良い胸の膨らみが激しいピストンの度に愛らしく弾む。先ほどの口淫でしこり立った乳首がテラリと妖しくぬめり光る。
 グチュリグチュリと肉の交わりが奏でる淫らな水音が、互いの肌が打ち合う音とオーバーラップしていく。

「美亜、どうだ? 気持ちいいか?」
「わかんないっ、わかんないよそんなことぉ……っ、ああっ、ゃあん!」

 俊平の問いかけに恥ずかしがって答えない美亜だが、すっかり目尻が緩み切った恍惚の表情は隠せていない。
 それにヴァギナの締め付け。とろける様に絡みつく処女肉は、俊平がもたらす刺激一つ一つに素直な反応を見せる。薄いゴム越しとはいえ、既に精液を媚びる術を知るわななきに、俊平の我慢はもう限界に近かった。

(ああ、出したい! 美亜の膣内に思いきりっ!)

 高まりゆく射精欲求のまま、美亜の腰をしっかりとつかみ直す。切羽詰まったような、忙しないストローク。頭ではともかく、肉体は既に弾けるような絶頂の時を渇望していた。

「シュン君っ……やっ、コレ……、激しすぎ、るぅっ!」
「美亜、ゴメン。俺、もうイく……っ!」
「っ! あ、あぁん……っ、そっ、かぁ……っ、もう出ちゃうんだ、ねっ。……いいよ、出してぇっ。そのまま、私の中でぇ……っ!」

 美亜は、無意識に俊平を求めて手を伸ばす。
 それに応じるように覆いかぶさり、彼女を壊してしまうのではないか思われるほどに強く抱きすくめる。
 全身の肌に感じる彼女の柔らかさ。そして、抱きしめられたことでより一層強まった膣肉の締め付けが最後のダメを押す。
 射精欲求に総身を支配された、本能的で動物的なピストン。

「美亜、俺もう――っ」
「いいよ、シュンくん……っ! あ゛あぁ……っ!」

 渾身の力で最奥へ一突きした瞬間、ゾリゾリと肉棒を削った快感に全身が硬直する。
 目の前が一瞬白むほどの、強烈な快感。脳から四肢の指先までを電流が貫くのと同時に、鈴口から精液が迸り出る。

「うっ、ぐぅ……っ!」
「あっ、おくぅ……、ぁああぁぁあぁ……っ!」

 まさに今この瞬間、美亜を自分のモノにしている――。
 その喜びと満足感とがもたらす深い射精快楽は、これまで経験したものとまるで一線を画していた。
 大事ないように避妊していることなど、頭ではわかっている。それでも雄として生まれ持った性なのか、ビュルビュルッと弾ける生殖汁を子宮口に塗りたくるように、自然と腰が蠢いてやまなかった。

「美亜、美亜ぁ……っ」
「ひぅ、あくぅっ……、なにぃ、これぇ……っ?」

 ふたりの愛の結晶を孕ませようと、執拗に子宮を揺らす恋人の欲望。
 まだ処女を失ったばかりの美亜の方とて、その女体は素直な愛され方を本能的に知っている。軽イキした膣襞は男の律動に合わせるようにキュンキュンと震え、白濁液を搾り出そうと淫らに扱き上げる。
 ただ美亜本人は、自分の意志とは無関係に行われる自律的な性の営みに戸惑っているらしい。
 身の置き所を失ったように女体をよじらせ、絞りだした熱い吐息で恋人の頬を灼くばかり。
 そうして永遠に続くかと思われたオーガズムは、不安を覚え始めた頃にようやく遠のき始めた。
 濃密な快楽の余韻と、激しい交合の疲労感。
 たっぷりと精を吐き出した俊平は、快い夢見心地に浸る。だが、しきりに背中をタップする小さな手のひらと美亜の呻きに気が付くとたちまち現実感を取り戻し、急いで身を起こした。

「だ、大丈夫か、美亜? ……ごめん、本当にごめん。優しくするって言ったのに、俺」
「はぁ、ふぅ……っ。大丈夫、謝んなくても、いいよ。シュン君も我を忘れるくらい気持ちよかったんだもんね?」

 途中からの自らの醜態を思い出し、平謝りになる俊平。
 しかし、美亜は荒い息をつきつつも、割りとあっけらかんとそう言ってニヤリと笑った。
 そして、タオルケットで体を隠しながら自分も身を起こそうとするが――

「っ! あ、痛たた……っ」
「おい、無理すんなって」

 破瓜の痛みで下半身がいうことをきかないのか、よろめいた彼女に俊平が助け舟を出す。

「あはは、ありがとね。……あ」

 苦笑いを浮かべた彼女は決まり悪そうに視線を落とす。そこで何かに気付いたように、声を上げた。
 俊平も視線の先を追うと、一滴分の血痕がシーツに丸いシミを作っていた。

「ベッド、汚しちゃったね」
「いいよ別に。洗えば問題ない」
「でもこんなにシミつけちゃって、なんか恥ずかしいっていうか。……っていうか、それよりさ」

 いいよ別に、と答える俊平だったが、美亜が何か求めるように自分を見上げていることに気付く。

「えっと、どうした?」
「あたしに言うことあるよね。謝るとかの前に、ね?」

 何事か彼女の気に障ることがあったのか。一瞬そんな不安が頭をよぎったが、どうやら謝ることではないらしい。
 しばし考えあぐねていたが、彼女が破瓜の痕跡を「んっ」と指し示したところで合点がいく。
 小動物のように返事を求める美亜を抱きしめ、その頭をポンポンとやりながら、

「痛かったのに最後まで頑張ってくれて、ありがとうな美亜」
「ん、それでよし」

 これが正解。満足げな様子の美亜はそう告げるように額を擦り付けてくる。
 そんな抱きしめる腕に力が入ってしまうほどに愛おしい自分の恋人。段々と沼の深みに沈み込み始めた感覚だったが、引き返すつもりなど俊平には毛頭なかった。
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