23 / 69
死体パズル
第23話
しおりを挟む
二年前、当時学生だった俺、売野紘一はオカルト研究サークルといういかがわしい集まりに所属していた。
活動内容(といっても、自由参加で毎回出る必要もないが)は、心霊スポットや廃墟を巡るといった、単なる肝試しのようなものだった。
ことの発端は、松岡大吾の一言だった。
「最近、俺の従兄が失踪したんだが多分自殺だと思う。アイツ、暇さえあれば富士の樹海の写真集とか眺めてるような陰キャだったから、今頃は憧れの地で朽ち果てているかもな」
「ちょっとなにそれー、超ウケるんだけど! じゃあ次の行き先は松岡さんの従兄に皆で会いに行くってのはどう?」
松岡の発言に一早く反応したのは、二年の苺谷灯だ。
サークルの中心メンバーである松岡と苺谷がそう言ったことで、俺たちは富士の樹海のキャンプ場へ行くことになった。
富士の樹海キャンプに参加したのは俺(売野)、松岡、苺谷の他に、寒川健作と白雪美保という一年生だった。
寒川は長身の痩せた男で、白雪は無口で大人しいタイプの女だ。この二人は付き合っているようで、大体何時も行動を共にしていた。
登場人物は把握できたか?
リーダー格の松岡、パリピギャルの苺谷、ヒョロガリの寒川、大和撫子の白雪、そして俺こと売野。この五人の名前は覚えておいてくれよ。
東京から俺と松岡が交代で車を運転して、キャンプ場に着いたのは17時頃だった。俺と松岡は疲れ切っていてバンガローでダラダラ酒盛り、苺谷と白雪の女子二人は近くの民宿の風呂に入ると言い、寒川は焚火の為の薪を取りに行った。
18時、バーベキュー場に行ってみると寒川が真っ青な顔をしていた。何処を探しても白雪の姿がないと言う。電話をかけても出ない。子どもじゃねーんだし、そのうち戻るだろうって俺は言ったんだが、寒川はずっと落ち着かない様子だった。
そしてそれから三十分しても、白雪は姿を現すことはなかった。
松岡が直前まで一緒にいた苺谷にそれとなく心当たりを訊いていたが、知らないの一点張り。
19時、痺れを切らした寒川は、白雪を探しに樹海に入ると言い出した。俺たちは必死に止めたのだが無駄だった。寒川は俺と松岡の制止を振り切って、バンガローを飛び出した。
本来ならこの時点で警察に知らせるのが適切な判断だったのだろうが、まだ俺は事態を楽観的に考えていた。
もし仮に白雪が遭難していたのだとしても、無暗に動き回りさえしなければすぐ近くにキャンプ場があるのだ。寒川が見つけて連れて帰ってくるだろうと、高をくくっていた。
俺と松岡と苺谷の三人はバンガローで酒を飲んでいて、日付が変わるころには眠ってしまっていた。
翌朝、俺、松岡、苺谷の三人は森の中で首と手足のない、胴体だけの裸の男女の死体を発見する。
後日、警察のDNA鑑定によって、死体はそれぞれ寒川健作と白雪美保のものであることが断定された。
活動内容(といっても、自由参加で毎回出る必要もないが)は、心霊スポットや廃墟を巡るといった、単なる肝試しのようなものだった。
ことの発端は、松岡大吾の一言だった。
「最近、俺の従兄が失踪したんだが多分自殺だと思う。アイツ、暇さえあれば富士の樹海の写真集とか眺めてるような陰キャだったから、今頃は憧れの地で朽ち果てているかもな」
「ちょっとなにそれー、超ウケるんだけど! じゃあ次の行き先は松岡さんの従兄に皆で会いに行くってのはどう?」
松岡の発言に一早く反応したのは、二年の苺谷灯だ。
サークルの中心メンバーである松岡と苺谷がそう言ったことで、俺たちは富士の樹海のキャンプ場へ行くことになった。
富士の樹海キャンプに参加したのは俺(売野)、松岡、苺谷の他に、寒川健作と白雪美保という一年生だった。
寒川は長身の痩せた男で、白雪は無口で大人しいタイプの女だ。この二人は付き合っているようで、大体何時も行動を共にしていた。
登場人物は把握できたか?
リーダー格の松岡、パリピギャルの苺谷、ヒョロガリの寒川、大和撫子の白雪、そして俺こと売野。この五人の名前は覚えておいてくれよ。
東京から俺と松岡が交代で車を運転して、キャンプ場に着いたのは17時頃だった。俺と松岡は疲れ切っていてバンガローでダラダラ酒盛り、苺谷と白雪の女子二人は近くの民宿の風呂に入ると言い、寒川は焚火の為の薪を取りに行った。
18時、バーベキュー場に行ってみると寒川が真っ青な顔をしていた。何処を探しても白雪の姿がないと言う。電話をかけても出ない。子どもじゃねーんだし、そのうち戻るだろうって俺は言ったんだが、寒川はずっと落ち着かない様子だった。
そしてそれから三十分しても、白雪は姿を現すことはなかった。
松岡が直前まで一緒にいた苺谷にそれとなく心当たりを訊いていたが、知らないの一点張り。
19時、痺れを切らした寒川は、白雪を探しに樹海に入ると言い出した。俺たちは必死に止めたのだが無駄だった。寒川は俺と松岡の制止を振り切って、バンガローを飛び出した。
本来ならこの時点で警察に知らせるのが適切な判断だったのだろうが、まだ俺は事態を楽観的に考えていた。
もし仮に白雪が遭難していたのだとしても、無暗に動き回りさえしなければすぐ近くにキャンプ場があるのだ。寒川が見つけて連れて帰ってくるだろうと、高をくくっていた。
俺と松岡と苺谷の三人はバンガローで酒を飲んでいて、日付が変わるころには眠ってしまっていた。
翌朝、俺、松岡、苺谷の三人は森の中で首と手足のない、胴体だけの裸の男女の死体を発見する。
後日、警察のDNA鑑定によって、死体はそれぞれ寒川健作と白雪美保のものであることが断定された。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
『量子の檻 -永遠の観測者-』
葉羽
ミステリー
【あらすじ】 天才高校生の神藤葉羽は、ある日、量子物理学者・霧島誠一教授の不可解な死亡事件に巻き込まれる。完全密室で発見された教授の遺体。そして、研究所に残された謎めいた研究ノート。
幼なじみの望月彩由美とともに真相を追う葉羽だが、事態は予想外の展開を見せ始める。二人の体に浮かび上がる不思議な模様。そして、現実世界に重なる別次元の存在。
やがて明らかになる衝撃的な真実―霧島教授の研究は、人類の存在を脅かす異次元生命体から世界を守るための「量子の檻」プロジェクトだった。
教授の死は自作自演。それは、次世代の守護者を選出するための壮大な実験だったのだ。
葉羽と彩由美は、互いへの想いと強い絆によって、人類と異次元存在の境界を守る「永遠の観測者」として選ばれる。二人の純粋な感情が、最強の量子バリアとなったのだ。
現代物理学の限界に挑戦する本格ミステリーでありながら、壮大なSFファンタジー、そしてピュアな青春ラブストーリーの要素も併せ持つ。「観測」と「愛」をテーマに、科学と感情の境界を探る新しい形の本格推理小説。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる