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第17話 男根喪失殺人事件
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都内某所の公衆トイレの個室で三十代男性の死体が発見された。
男は胸を数か所刃物で刺された跡があり、その上何故か男性器を切り取られて持ち去られていた。
「正に令和の阿部定事件だな」
工口彰久が厳しい表情で呟いた。
「犯人は何故局部を持ち去ったのでしょう?」
朝立元気は青褪めた顔で首を傾げている。
「……さてな。最愛の男の形見にでもするつもりだったか。それより、ガイシャの身元はわかったのか?」
「はい。それが殺された男は全国指定暴力団・女遊部組の幹部・鈴口駿夫と判明しました」
「ヤー公かよ」
「犯人、わかったかも」
そこでギャル探偵・肉倉エリカが何時もの如く、何処からともなく現れる。
「何だエリカちゃん、今日はやけに歯切れが悪い決めゼリフじゃないか」
「仕方ないでしょ。まだ犯人を特定するには情報が足りないんだから」
「まァいい。エリカちゃんの考えを聞かせてよ」
「犯人が鈴口のチンポを持ち去った理由。それは鈴口のチンポには真珠が入っていたからだよ」
「何だって!?」
「犯人はチンポから取り出した最高級真珠を売って金にする気なんだ。警部、今すぐ都内の質屋を押さえておいて」
「いや、でもエリカさん、真珠を入れてるっていうのは実際にはシリコンリングやシリコンボールを入れることであって、本当に真珠を入れているわけでは……」
朝立がやんわりエリカの推理を否定する。
「いいや朝立、良く聞け。フィクションの世界のヤクザのチンポには必ず真珠が埋まっているし、桜の木の下には絶対に死体が埋まっている。それからファーストクラスに乗っている連中はすべからく高級ソープに通っている。これは絶対の真理だ!」
「……何ですそれ? 最後のはただの警部の偏見ですよね?」
「いいか? 奴らは高い金を支払うことで人を見下し、優越感に浸ることでしか絶頂に達せられない悲しい生き物なのだ! 私のような下々の人間とは穴兄弟になりたくないと思っているのだ!」
「……警部、話が脱線しすぎています。いい加減戻って来てください」
「わかった。一応、エリカちゃんの言う通り、質屋や中古アクセサリーショップを押さえておいておこう」
🔫 🔫 🔫
果たして数日後、都内の質屋に経年劣化したイカ臭い真珠を持ってきた不審な女が現れた。
女は鈴口の元交際相手で、ピロートークで聞かされた「俺のチンポには200万の真珠が眠っている」の言葉を信じたのだという。
こうして事件は一件落着。今回も難事件であった。ふぅ。
男は胸を数か所刃物で刺された跡があり、その上何故か男性器を切り取られて持ち去られていた。
「正に令和の阿部定事件だな」
工口彰久が厳しい表情で呟いた。
「犯人は何故局部を持ち去ったのでしょう?」
朝立元気は青褪めた顔で首を傾げている。
「……さてな。最愛の男の形見にでもするつもりだったか。それより、ガイシャの身元はわかったのか?」
「はい。それが殺された男は全国指定暴力団・女遊部組の幹部・鈴口駿夫と判明しました」
「ヤー公かよ」
「犯人、わかったかも」
そこでギャル探偵・肉倉エリカが何時もの如く、何処からともなく現れる。
「何だエリカちゃん、今日はやけに歯切れが悪い決めゼリフじゃないか」
「仕方ないでしょ。まだ犯人を特定するには情報が足りないんだから」
「まァいい。エリカちゃんの考えを聞かせてよ」
「犯人が鈴口のチンポを持ち去った理由。それは鈴口のチンポには真珠が入っていたからだよ」
「何だって!?」
「犯人はチンポから取り出した最高級真珠を売って金にする気なんだ。警部、今すぐ都内の質屋を押さえておいて」
「いや、でもエリカさん、真珠を入れてるっていうのは実際にはシリコンリングやシリコンボールを入れることであって、本当に真珠を入れているわけでは……」
朝立がやんわりエリカの推理を否定する。
「いいや朝立、良く聞け。フィクションの世界のヤクザのチンポには必ず真珠が埋まっているし、桜の木の下には絶対に死体が埋まっている。それからファーストクラスに乗っている連中はすべからく高級ソープに通っている。これは絶対の真理だ!」
「……何ですそれ? 最後のはただの警部の偏見ですよね?」
「いいか? 奴らは高い金を支払うことで人を見下し、優越感に浸ることでしか絶頂に達せられない悲しい生き物なのだ! 私のような下々の人間とは穴兄弟になりたくないと思っているのだ!」
「……警部、話が脱線しすぎています。いい加減戻って来てください」
「わかった。一応、エリカちゃんの言う通り、質屋や中古アクセサリーショップを押さえておいておこう」
🔫 🔫 🔫
果たして数日後、都内の質屋に経年劣化したイカ臭い真珠を持ってきた不審な女が現れた。
女は鈴口の元交際相手で、ピロートークで聞かされた「俺のチンポには200万の真珠が眠っている」の言葉を信じたのだという。
こうして事件は一件落着。今回も難事件であった。ふぅ。
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