人狼ゲーム『Selfishly -エリカの礎-』

半沢柚々

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『腸』――17日目

199.『夜の時間(10)』

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 ――――AM01:05、応接間

千景 勝平
「……………………」

白百合 美海
「…………まさか、用心棒が」

小田切 冬司
「…………食えないやつだね。
 頭は悪くないみたいだよ、用心棒は」

千景 勝平
「…………なあ、小田切」

小田切 冬司
「なに?」

千景 勝平
「このゲーム、……俺たちが不利なんだよな?」

小田切 冬司
「そうだね。
 現時点で村人と確定しているのは、
 ……朔也、直斗、それに竜崎くん。
 ……直斗は霊媒師だし、朔也は共有者で……もう一人が誰かわかっている。
 …………あれだけガチャガチャしちゃったから、朔也は自分が今夜の襲撃対象だったと気付いたかもしれない。
 すると…………トラップよりも、もう一人を村人認定する確率が高いかも。
 …………自分が死んだら意味ないからね」

白百合 美海
「……………………」

小田切 冬司
「でも、ひとつわかったことがあるよ」

千景 勝平
「…………?」

白百合 美海
「……なに?」

小田切 冬司
「たぶん……独断と偏見だけど、
 用心棒は少なくとも竜崎くんではないみたい」

白百合 美海
「なぜ…………?」

小田切 冬司
「彼はそんなに頭が働かない」

千景 勝平
「…………ひでえ言い様だな」

小田切 冬司
「でも、二人よりは俺の方が彼のことを知ってるからね。
 …………そして、その論法でいくと、空太も用心棒の可能性は低いかも。
 怪しいところは……佐倉さん、七瀬さん、……それに、間宮さん、かな」

白百合 美海
「そんな…………果帆がゲームを進行させた張本人だなんて、
 …………アキラを守らなかったなんて、考えたくないわ」

小田切 冬司
「その3人の可能性が高いんじゃないかってことだよ。
 どっちにしろ、その3人を襲撃の対象にはできない。
 朔也と直斗と竜崎くんには票が集まらないから、襲撃でやるしかないんだ」

白百合 美海
「…………後回しにすると、どうなるの?」

小田切 冬司
「その前に俺たちが処刑される可能性が高い」

白百合 美海
「………………3人で、生き残りたいもんね、ここまで来たら」

小田切 冬司
「…………ありがとう。白百合さん」
(俺の汚い愛情も知らず…………ありがとう)

千景 勝平
「……………………」
(俺は…………死ぬなら死ぬで、構わないのかもしれないな)

小田切 冬司
「…………そろそろ解散しようか。
 一時を過ぎたよ」

千景 勝平
「…………そうだな」

白百合 美海
「待って…………明日の投票、どうする?」

小田切 冬司
「…………明日、和歌野さんが嘘を吐いていることがバレる。
 たぶん、彼女に票が集まるだろうね。
 悪いけど彼女のことは庇えないよ、……分が悪いし、……小日向さんを売ったことは許せない、あれほどの関係でありながら」

白百合 美海
「でも、…………それはあたしたちも同じ、よね」

千景 勝平
「………………」

小田切 冬司
「…………そうだね」

白百合 美海
「あのときはついカッとなってしまったけど、
 …………あたしだって朔也や果帆を裏切るんだわ。
 サキちゃんのこと、責められる立場にない、全然……」

小田切 冬司
「……白百合さんはそうでも、みんなはそうじゃないよ、たぶん。
 これはただの人狼ゲームじゃない、本物の殺人ゲームなんだ。
 …………感情で動いてしまうのが、人ってものだよ」

千景 勝平
「その点については同感だな。
 ……いいだろ、投票に関してはその場の流れもあるわけだしな。
 ……ただ、和歌野のことは、庇わない方向性で」

小田切 冬司
「そうだね」

白百合 美海
「…………わかったわ」

小田切 冬司
「…………そろそろ休もう」

白百合 美海
「ええ……」

千景 勝平
「行くぞ、白百合…………送ってく」

白百合 美海
「いつもありがとう、勝平くん」

小田切 冬司
「…………それじゃ二人とも……おやすみ」

白百合 美海
「おやすみなさい…………」
**





――――16日目、終了





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