369 / 389
『腸』――17日目
179.『朝の時間(4)』
しおりを挟む――――PM14:15、空太の部屋
本堂 空太
「…………果帆」
間宮 果帆
「うん…………?」
本堂 空太
「…………なんかさ」
間宮 果帆
「…………うん」
本堂 空太
「なんかさ…………俺、今日、
人狼にやられる気がするんだ」
間宮 果帆
「…………なんで」
本堂 空太
「いや、勘だけどさ。
……白百合も、勝平も、七瀬もさ、恋人が人狼にやられてさ。
…………三日連続でカップルの片割れじゃん。
…………ってことさ……、残るカップルって、俺らだけじゃない?」
間宮 果帆
「…………バカか、お前は。
お前かあたし、殺すメリットが人狼にあると思う?
…………あのな、人狼は、
村人と確定してる朔也か、直斗か、竜崎を狙いたいはずなんだ。
この三人は票が集まらないからな。
だから、カップルばかりってのはたまたまで…………。
てゆーか、うん、大丈夫だよ。襲撃は、とりあえず」
本堂 空太
「…………そうなのかなあ」
間宮 果帆
「そうだよ。…………それより、問題は投票だ。
今のところ、美海とサキが占い師を名乗り出てて……、それに、直斗が霊媒師だって暴露した。
…………直斗が村人と確定してるのは確実だから、たぶん、本当に霊媒師なんだと思う。
あと、空太と勝平も、一応村人として美海とサキに宣言されてるから…………投票はされないと思う。
と…………なると。
今日の投票では、佐倉か、七瀬か、花菜か、小田切か、…………あたしだ」
本堂 空太
「そんな…………果帆…………」
間宮 果帆
「言っとくけどあたしは村人だぞ。
…………大丈夫。空太が心配することなんかない、なにも」
本堂 空太
「…………俺は絶対に、果帆に投票なんてしないからっ」
間宮 果帆
「…………あんたさ、昨日、誰にも入れなかったろ。
…………そーゆーの、…………ずるって言うんだよ。
もうみんな覚悟を決めたんだ。
空太も…………覚悟してくれ、頼むから」
本堂 空太
「…………ごめんね。
確かに…………ずるかったよな。
汚いところみんなに押し付けて、俺だけは綺麗なままでいたいなんて……」
間宮 果帆
「…………ああ」
本堂 空太
「…………でも、捨てきれないんだよ。
誰も殺したくないって気持ち……。
それって…………そんな、責められることかな?」
間宮 果帆
「…………責められることじゃない。
…………でも、実際あたしらはもう、…………目黒に手をかけてるんだよ」
本堂 空太
「…………っ、うぅ」
(…………急に、涙が出てきた。
果帆は驚いた顔で、俺を見詰めた)
間宮 果帆
「…………空太………………。
………………っっ、くっ」
本堂 空太
(釣られて…………果帆も泣き始めた。
果帆の涙を見るは、二度目だった。
俺は果帆を引き寄せた。
…………今の俺たちには、傷を舐め合うことしかできなかったんだ……)
【残り:12人】
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

【完結】Amnesia(アムネシア)~カフェ「時遊館」に現れた美しい青年は記憶を失っていた~
紫紺
ミステリー
郊外の人気カフェ、『時游館』のマスター航留は、ある日美しい青年と出会う。彼は自分が誰かも全て忘れてしまう記憶喪失を患っていた。
行きがかり上、面倒を見ることになったのが……。
※「Amnesia」は医学用語で、一般的には「記憶喪失」のことを指します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる