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『腸』――16日目
163.『16日目の投票(5)』
しおりを挟む有栖川 直斗
「いや、待てよ、その確率は低いだろ」
小田切 冬司
「まあ、8分の1の確率だけどね」
間宮 果帆
「…………どっちにしろ、とりあえず占い師の話を信じなきゃ始まらないんじゃないのか?
美海か、サキ…………どっちかが本物って前提で」
小田切 冬司
「…………そうだね」
本堂 空太
(…………不思議なものだけど。
…………小田切は、きらきらしていた。
…………純粋にゲームを楽しんでいるように見えた。
経験者は…………小田切だけだもんな、もう)
乃木坂 朔也
「…………話の腰を折るけど、いいか?」
間宮 果帆
「ああ……」
乃木坂 朔也
「俺…………俺さ、
『共有者』のカード、引いたんだよな」
本堂 空太
「えっ」
筒井 惣子郎
「そ、そうか、……そうなのか!
これは…………固いんだよな」
小田切 冬司
「うん…………朔也は村人って確定してるからね」
七瀬 和華
「共有者って…………確か」
佐倉 小桃
「ええ。二人いるはずよ」
**(…………もう一人は、あたしだもの)**
筒井 惣子郎
「それでもう一人は誰なんだ?」
乃木坂 朔也
「…………もう一人は名乗りでない。
二人で話し合って、そう決めた」
全員
「……………………」
目黒 結翔
「な、なんでだよ!」
小田切 冬司
「…………人狼を罠にかけるため」
本堂 空太
「え?」
小田切 冬司
「つまり、こう言うこと。
例えば、空太がもう一人の共有者だとして、
そして、白百合さんが人狼だとして、
空太を占って『人狼でした』って言ったとするでしょ?
でも…………」
本堂 空太
「ああ、そっか。
…………もう一人の共有者は俺が人狼じゃないって知ってるから、嘘を吐いてるってバレるんだ」
小田切 冬司
「そう言うこと。
…………ましてや、朔也は村人と確定してるから、そこは誰にも疑えないしね。
…………すごくいい一手だと思うよ、朔也」
千景 勝平
**(小田切のやつ…………生き生きとしてやがる。
……なんなんだよ、泣く泣くやってるんじゃないのかよ…………人狼の立ち位置を)**
「…………お前さ、純粋に、楽しんでんじゃねえか?」
小田切 冬司
「え?」
千景 勝平
「そうだろーがよ。すごくいい一手だとかなんとか。
…………これはただのゲームじゃない、殺人ゲームなんだよ……っ!
現にもう、四人も死んでるんだよっ……!」
小田切 冬司
「…………ごめん。配慮が足りなかった」
**(…………勝平くん、白百合さん、ごめんね。
…………もしかしたら俺は、ゲームをすることを望んでいたのかもしれない)**
全員
「……………………」
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