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『腸』――15日目

150.『投票と夜の時間(12)』

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 ――――AM02:00、応接間

白百合 美海
「………………」

千景 勝平
「……………………」

小田切 冬司
「……………………」

千景 勝平
「…………明日のことを考えよう」

小田切 冬司
「…………そうだね」

白百合 美海
「…………うん」

千景 勝平
「…………用心棒が裏切ったことがはっきりとわかる。
 そして、人狼が……俺たちが二人も殺したことが。
 明日の投票は間違いなく、…………誰かが処刑される」

小田切 冬司
「……白百合さん…………」

白百合 美海
「…………ん……、なに……?」

小田切 冬司
「簡単に言うなって思われるかもしれない。
 …………でも、覚悟してほしい。
 俺たち、生き残らないと駄目なんだ。アキラのためにも、八木沼さんのためにも」

白百合 美海
「……………………」

千景 勝平
「……やめろよ。
 白百合は根っからこんなことできる性分じゃねえんだ。
 …………俺の、後ろにいればいい。お前は手を汚したわけじゃないんだから」

白百合 美海
「……そんなことないよ。あたしたちはもう、……運命共同体なんだから。
 勝平くんと小田切くんの罪は、あたしの罪よ。
 ………………ごめんね、勝平くんばっかりにこんな思いさせて」

千景 勝平
「白百合…………」

白百合 美海
「…………あたし、……やるよ。
 ……上手くできるかわからないけど、二人の足を引っ張らないように」

小田切 冬司
「……………………」

白百合 美海
「……うう、……うう」
(…………止まっていた涙が、また、溢れだした)

小田切 冬司
「白百合さん…………」
(…………今の君は…………すごく、綺麗だ)

千景 勝平
「…………悪い。
 俺もちょっと……泣いていいか」

小田切 冬司
「……………………」

白百合 美海
「…………うん」

千景 勝平
「…………俺の話を聞いてくれるか……」

白百合 美海
「……うん、…………うん」

千景 勝平
「…………由絵と付き合ってもうすぐ3年になる。
 俺さ、高校に上がった時くらいかな、……白百合のこと……気になっちまったんだ」

白百合 美海
「……………………」

千景 勝平
「お前、また同じクラスになって……、
 …………由絵はさ、それに気付いてたみたいで、
 …………でも……、大切だった。大切に思ってた、ちゃんと、誰よりも……」

白百合 美海
「…………うん、……わかってるよ、勝平くんっ」

千景 勝平
「白百合…………っ」

小田切 冬司
「……………………」

白百合 美海
(あたしたちは、ひとしきり泣いた。
 小田切くんはそんなあたしたちを、黙って見守っていてくれた……)



 ………………。

 ……………………。

 …………………………。





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