326 / 389
『腸』――15日目
136.『アキラの死(4)』
しおりを挟む佐倉 小桃
**(千景くん…………あなたはずっと、らしくないのよ)**
「待って。そうよ…………。
用心棒が守った先が人狼だったら、そもそも意味がないじゃない。
だからこそ道明寺くんは、意図的に避けてるために昨日までのローテーションを組んでいたんだわ。
なのに、千景くん……、何故あなたは、ローテーションから外れてるの?
あなたなら率先して引き受けそうなのに、不自然だわ。
一度も人狼の襲撃対象になってないのはどうしてなの?」
千景 勝平
「……ああ? それは道明寺も言ってただろ。
たまたまそこにいた面子で決めたって。勝手に決めたことだって。
なのに……っ、そこにいきなり由絵が入るとか言ってるからおかしな話になってんだろっ」
佐倉 小桃
「あたしはそんなことが言いたいんじゃないわ。
……なぜ、後からでも参加しなかったの?
あなたは…………あたしが見る限りだけど…………、…………こんな場面で秋尾くんのことを引き合いに出すのも、あれだけど……、
彼と違って、快活な人のはずよ。
面倒見が良くって、人のために動ける人のはずだわ。
そんなあなたなのに…………なぜなの、千景くん」
竜崎 圭吾
「…………まさか、佐倉は勝平が…………、
人狼だって……」
有栖川 直斗
「なっ、おいそんなことで」
間宮 果帆
「待てよ。守られてないってんなら、あたしら女子はみんなそうだ。
男子だって、小田切も目黒も、空太も同じだろ。
……勝平がローテーションに組まれてないってだけで、人狼だって決め付けるには根拠がなさすぎるんだよ」
佐倉 小桃
「…………そうね。ごめんなさい。
でも、だったら尚更、今晩は千景くんが引き受けるべきだと思うわ。
この状況で彼女にそんな役をやらせるなんて」
筒井 惣子郎
「やめろよ!
佐倉、どうしたんだよ、君らしくもない」
佐倉 小桃
「………………」
**(だって…………どう考えてもおかしいじゃない)**
筒井 惣子郎
「…………今晩は俺を襲撃してくれ。
生徒会長として、責任を持って引き受ける」
竜崎 圭吾
「よせよ、惣子郎。
なんで会長ってだけでお前がそこまで責任取るんだよ」
筒井 惣子郎
「みんなが争うのが嫌なだけだ。
だから、そうしてくれよ」
七瀬 和華
「筒井くん…………」
**(あなたが相手だったら…………守るしかないじゃない。
…………お父さん……)**
全員
「……………………」
八木沼 由絵
「ねえー、喧嘩なんてやめようよー」
間宮 果帆
「由絵!」
千景 勝平
「由絵…………」
本堂 空太
(…………八木沼が、戻ってきた)
有栖川 直斗
「…………美海は、大丈夫なのか?」
八木沼 由絵
「うん。すこし落ち着いたみたいだよー、
はいこれ、洗い物!
…………今晩は由絵でいいよー。
大丈夫、きっとなにかの間違いだもん」
千景 勝平
「なっ、間違いかどうかなんて、わかんねえだろ!?
もしものことがあったらどうするんだよ!!」
八木沼 由絵
「いいって言ってるの!!!」
全員
「……………………」
本堂 空太
(八木沼は、なぜかわなわなと震えていた。
…………唇を噛み締めながら……)
八木沼 由絵
「…………由絵…………由絵、知ってるんだよ。
勝平が…………勝平が、美海を…………」
千景 勝平
「…………はあ?」
全員
「……………………」
千景 勝平
「お前…………なにが言いたいんだ?」
八木沼 由絵
**(みんなの前で、言うことじゃないよね……)**
「…………ごめん、みんな。
…………ごめんね~。
とにかく、今晩は由絵でいいから。…………それがいいの」
千景 勝平
「なに言ってるんだよ、…………なに、言ってるんだよ!」
八木沼 由絵
「いいの!!
…………じゃ、あたし、美海のところ戻るから~、
ばいば~い~!」
千景 勝平
「………………」
本堂 空太
(勝平は、ゆっくりと椅子に腰を下ろした)
間宮 果帆
「…………勝平。
知ってると思うけど、由絵は……言い出したら聞かないから。
…………そーゆーやつだからさ」
千景 勝平
「………………ああ」
本堂 空太
(八木沼…………頑固って聞いてたけど、本当にそうみたいだ。
…………それよりさっき八木沼が言いかけてた、白百合のことってなんだったんだろ?
勝平が…………白百合を…………?)
【残り:15人】
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
【完結】Amnesia(アムネシア)~カフェ「時遊館」に現れた美しい青年は記憶を失っていた~
紫紺
ミステリー
郊外の人気カフェ、『時游館』のマスター航留は、ある日美しい青年と出会う。彼は自分が誰かも全て忘れてしまう記憶喪失を患っていた。
行きがかり上、面倒を見ることになったのが……。
※「Amnesia」は医学用語で、一般的には「記憶喪失」のことを指します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる