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『腸』――15日目
136.『アキラの死(4)』
しおりを挟む佐倉 小桃
**(千景くん…………あなたはずっと、らしくないのよ)**
「待って。そうよ…………。
用心棒が守った先が人狼だったら、そもそも意味がないじゃない。
だからこそ道明寺くんは、意図的に避けてるために昨日までのローテーションを組んでいたんだわ。
なのに、千景くん……、何故あなたは、ローテーションから外れてるの?
あなたなら率先して引き受けそうなのに、不自然だわ。
一度も人狼の襲撃対象になってないのはどうしてなの?」
千景 勝平
「……ああ? それは道明寺も言ってただろ。
たまたまそこにいた面子で決めたって。勝手に決めたことだって。
なのに……っ、そこにいきなり由絵が入るとか言ってるからおかしな話になってんだろっ」
佐倉 小桃
「あたしはそんなことが言いたいんじゃないわ。
……なぜ、後からでも参加しなかったの?
あなたは…………あたしが見る限りだけど…………、…………こんな場面で秋尾くんのことを引き合いに出すのも、あれだけど……、
彼と違って、快活な人のはずよ。
面倒見が良くって、人のために動ける人のはずだわ。
そんなあなたなのに…………なぜなの、千景くん」
竜崎 圭吾
「…………まさか、佐倉は勝平が…………、
人狼だって……」
有栖川 直斗
「なっ、おいそんなことで」
間宮 果帆
「待てよ。守られてないってんなら、あたしら女子はみんなそうだ。
男子だって、小田切も目黒も、空太も同じだろ。
……勝平がローテーションに組まれてないってだけで、人狼だって決め付けるには根拠がなさすぎるんだよ」
佐倉 小桃
「…………そうね。ごめんなさい。
でも、だったら尚更、今晩は千景くんが引き受けるべきだと思うわ。
この状況で彼女にそんな役をやらせるなんて」
筒井 惣子郎
「やめろよ!
佐倉、どうしたんだよ、君らしくもない」
佐倉 小桃
「………………」
**(だって…………どう考えてもおかしいじゃない)**
筒井 惣子郎
「…………今晩は俺を襲撃してくれ。
生徒会長として、責任を持って引き受ける」
竜崎 圭吾
「よせよ、惣子郎。
なんで会長ってだけでお前がそこまで責任取るんだよ」
筒井 惣子郎
「みんなが争うのが嫌なだけだ。
だから、そうしてくれよ」
七瀬 和華
「筒井くん…………」
**(あなたが相手だったら…………守るしかないじゃない。
…………お父さん……)**
全員
「……………………」
八木沼 由絵
「ねえー、喧嘩なんてやめようよー」
間宮 果帆
「由絵!」
千景 勝平
「由絵…………」
本堂 空太
(…………八木沼が、戻ってきた)
有栖川 直斗
「…………美海は、大丈夫なのか?」
八木沼 由絵
「うん。すこし落ち着いたみたいだよー、
はいこれ、洗い物!
…………今晩は由絵でいいよー。
大丈夫、きっとなにかの間違いだもん」
千景 勝平
「なっ、間違いかどうかなんて、わかんねえだろ!?
もしものことがあったらどうするんだよ!!」
八木沼 由絵
「いいって言ってるの!!!」
全員
「……………………」
本堂 空太
(八木沼は、なぜかわなわなと震えていた。
…………唇を噛み締めながら……)
八木沼 由絵
「…………由絵…………由絵、知ってるんだよ。
勝平が…………勝平が、美海を…………」
千景 勝平
「…………はあ?」
全員
「……………………」
千景 勝平
「お前…………なにが言いたいんだ?」
八木沼 由絵
**(みんなの前で、言うことじゃないよね……)**
「…………ごめん、みんな。
…………ごめんね~。
とにかく、今晩は由絵でいいから。…………それがいいの」
千景 勝平
「なに言ってるんだよ、…………なに、言ってるんだよ!」
八木沼 由絵
「いいの!!
…………じゃ、あたし、美海のところ戻るから~、
ばいば~い~!」
千景 勝平
「………………」
本堂 空太
(勝平は、ゆっくりと椅子に腰を下ろした)
間宮 果帆
「…………勝平。
知ってると思うけど、由絵は……言い出したら聞かないから。
…………そーゆーやつだからさ」
千景 勝平
「………………ああ」
本堂 空太
(八木沼…………頑固って聞いてたけど、本当にそうみたいだ。
…………それよりさっき八木沼が言いかけてた、白百合のことってなんだったんだろ?
勝平が…………白百合を…………?)
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