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『腸』――9日目
111.『弥重の死(2)』
しおりを挟む――――9日目、PM20:00、会議室
皆さんには失望しました。
本堂 空太
(会議室のテレビには、そう一言だけ表示されていた。
シーンとしてから、徐々にざわつくみんな。
…………画面が一度、砂嵐にかわる。
………………そして)
-----------------------------------------------
都丸 弥重
≪……………………≫
-----------------------------------------------
佐倉 小桃
「や…………弥重……?」
千景 勝平
「都丸…………」
本堂 空太
(画面には、目隠しをされ、椅子に縛り付けられた都丸が映っていた。
俺たちが穏やかに過ごしていたこの数日間、ろくに風呂もご飯もさせてもらえなかったんだろう。
元々華奢だった都丸の頬は更に痩せこけ、髪の毛は油でべたついていた)
-----------------------------------------------
都丸 弥重
《う…………うぅ、》
-----------------------------------------------
本堂 空太
(画面の中の都丸は、そう呻き声をあげた。
…………よく見ると、都丸が座らせられてる椅子は、どこか変だった)
道明寺 晶
「くっそ! 電気椅子だ!」
小日向 花菜
「な、なんだって!?」
目黒 結翔
「うそだろ…………」
白百合 美海
「いゃっ……!」
-----------------------------------------------
都丸 弥重
《………………………………。
ぅ、ぐ、ぐぐぐぎゃああああああああ!》
-----------------------------------------------
本堂 空太
(途端に、都丸は体をがたがたと激しく震わせ、悲鳴を上げた。
まるで…………まるで、この世のものとは思えないような、地獄の断末魔のようだった。
…………俺は思わず耳を塞いでいた)
本堂 空太
「っっ――――――!」
筒井 惣子郎
「やめろぉおお!! やめてくれえええ!!」
佐倉 小桃
「いやああああああ弥重えええええ!!」
目黒 結翔
「うわあああああああああああ!!」
-----------------------------------------------
都丸 弥重
《ああああああああああああああああががががががががが!
がががぎががががががががぁぐがががぎゃぐががががががー!》
-----------------------------------------------
間宮 果帆
「はぁっ……はぁっ……はぁっ」
乃木坂 朔也
「……………………うぅ」
七瀬 和華
「っ………………っ」
本堂 空太
(果帆は過呼吸のように荒い息を繰り返し、朔也は口元を必死で押さえつけ、七瀬は耳を塞いで倒れ込んだ)
白百合 美海
「ひぃぃ、…………ぇっく…………うぅ」
八木沼 由絵
「うわあああん! うわあああん!」
本堂 空太
(白百合は耳を塞いで泣きじゃくり、八木沼は大きな泣き声をあげていた)
竜崎 圭吾
「くそっ! くそっ! くそっ!!」
本堂 空太
(竜崎は野球に使う大切な腕で、何度も何度も壁を殴っていた)
千景 勝平
「……ちっくしょう……ちくしょう…………」
本堂 空太
(勝平は、膝から崩れ落ちて床に何度も頭を打ち付けていた。
………………、やがて)
-----------------------------------------------
都丸 弥重
≪…………ぐ…………ぐ…………≫
-----------------------------------------------
本堂 空太
(…………都丸は徐々に、徐々に、大人しくなっていった……。
体から煙を立てて、黒こげになって…………そして、死んでいった…………。
でも、電気椅子の衝撃だけはまだ受けているんだろう。体はまだ激しく揺れたままだった)
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