290 / 389
『腸』――3日目
100.『平穏な一日(2)』
しおりを挟む**
――――PM14:00、朔也の部屋
乃木坂 朔也
「……………………」
(何度も眺めてしまう…………閖白えりかの写真。
……美海は、美海だ。俺の中でそう結論が出たはずなのに、どうしても気になってしまう。
本人に聞くべきか。…………まずはアキラに聞くべきか。
この辺りの結論がまだ出ない)
乃木坂 朔也
「………………」
(…………とりあえずトイレ行くか)
……………………。
佐倉 小桃
「あ…………乃木坂くん」
乃木坂 朔也
「…………佐倉か」
(トイレの前で佐倉と出くわした。
昨日の電話を思い出す。すこし、気まずい)
佐倉 小桃
「…………疲れは取れたの?」
乃木坂 朔也
「ああ。…………ごめんな、気を遣わせて」
佐倉 小桃
「……謝らないでって言っても謝っちゃうのは乃木坂くんの性分よね。
いいのよ、気にしないで」
乃木坂 朔也
「…………ごめん。
……………………佐倉」
佐倉 小桃
「はい」
乃木坂 朔也
「返事は…………改めて、ちゃんとするから、
すこし時間をくれるか?」
佐倉 小桃
「ええ、…………ええ、いくらでも待つわ!」
乃木坂 朔也
「ありがとう。
…………それじゃ、な」
佐倉 小桃
「ええ、また」
(…………乃木坂くん、ありがとう)
乃木坂 朔也
「……………………」
…………。
乃木坂 朔也
(やっぱり、アキラと話をしよう。
そう思った俺は、部屋から新聞と例の金庫に入っていた写真を手に、アキラの部屋へと急いだ)
――――PM14:30、晶の部屋
コンコンコン――――
乃木坂 朔也
(ドアをノックすると、すぐにアキラが出てきた)
道明寺 晶
「おおー、誰だー?
…………って朔也か、どうした?
入っていいぜー?」
乃木坂 朔也
「ああ、入るぞ」
(俺はアキラの部屋へ足を踏み入れる。
……………………すると)
乃木坂 朔也
「……美、海…………」
白百合 美海
「あ、朔也!」
乃木坂 朔也
「…………ど、して」
(どうしてって…………恋人同士だから当然だよな……。
しかし、正直想定外だった。今は美海の顔が見れない。
俺は平然を装って、努めて明るく振る舞った)
乃木坂 朔也
「美海がいたのか、二人の邪魔しちゃ悪いな!」
白百合 美海
「あら、どうしたの、突然。
そんなこと普段は気にしないじゃない」
乃木坂 朔也
「いやまあそうだけど……」
道明寺 晶
「なんだ、朔也。…………話でもあるのか?」
乃木坂 朔也
「ああ、いや、なんでもないんだ。
暇だったから顔を出しただけだ。
…………じゃあな」
道明寺 晶
「? お、おお」
(…………なにを持ってんだ?
…………新聞? ………………まさか)
乃木坂 朔也
(俺はアキラの部屋を後にした)
**
【残り:16人】
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説



戦いに行ったはずの騎士様は、女騎士を連れて帰ってきました。
新野乃花(大舟)
恋愛
健気にカサルの帰りを待ち続けていた、彼の婚約者のルミア。しかし帰還の日にカサルの隣にいたのは、同じ騎士であるミーナだった。親し気な様子をアピールしてくるミーナに加え、カサルもまた満更でもないような様子を見せ、ついにカサルはルミアに婚約破棄を告げてしまう。これで騎士としての真実の愛を手にすることができたと豪語するカサルであったものの、彼はその後すぐにあるきっかけから今夜破棄を大きく後悔することとなり…。

冥府探偵零時
札神 八鬼
ミステリー
人とは二度死ぬものである。
一度目は肉体の死。
肉体が死ぬと、魂は冥府へと向かう。
二度目は魂の死。
魂が死ぬと完全に消滅し、転生は出来ない。
この物語は、冥府探偵である零時 時人が、
一人の助手とストーカーを引き連れ、
事件を紐解いていく物語である。

【完結】略奪されるような王子なんていりません! こんな国から出ていきます!
かとるり
恋愛
王子であるグレアムは聖女であるマーガレットと婚約関係にあったが、彼が選んだのはマーガレットの妹のミランダだった。
婚約者に裏切られ、家族からも裏切られたマーガレットは国を見限った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる