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『腸』――1日目
054.『夜の時間(2)』
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――――PM21:30、朔也の部屋
乃木坂 朔也
「………………。
…………なんだよ、これ」
(風呂を出た俺は自分の部屋を調べることにした。
俺に与えられた役割は共有者。
カードに書かれた金庫の番号を開けると、
そこには、ワイヤレス式のイヤホンマイクが入っていた。
これで、もう一人の共有者の佐倉と、深夜11時以降電話ができると言う。
おそらく、パソコンに繋げて使うのだろう。
金庫に一緒に入っていたメッセージカードを読むと、11時を過ぎるとパソコンの電源が入るようになるそうだ。
たぶん、他の能力者もこの辺りの仕組みは同じなのだろう。
……………………だが。
……今の俺にとっては、そんなことはどうでも良かった。
どうでも良いと言うより、俺は完全に思考停止していた。
金庫の中には、メッセージカードの他に分厚い封筒が置かれていた。
疑問に思いながらも中身を取り出すと……)
乃木坂 朔也
「…………美、海……」
(…………美海の、写真だった。
それも、………………ポルノ写真。
妖艶な顔つきをした美海が、惜しげもなく白い素肌を晒していた。
俺は一瞬の思考停止の後、それを咄嗟に手放していた。
手元にあった十数枚の写真が足元に散らばる。
中には、本当に際どいものもあった。
…………なぜ? なんだ、これは?
合成? 本物?
なぜ、犯人はこんなものを俺に?
中学1年の入学式で初めて出会ってから、
ずっと、ずっとずっと、世界中の誰よりも大切に思っている女の子。
その女の子の、こんな写真を、……こんな侮辱するような写真を……。
犯人への怒りで興奮が押さえられなかった。
もっとも、その興奮は、大好きな女の子の妖艶な写真に生理的に反応してしまったせいもあり、そんな自分に嫌悪感を抱いた。
呆然と、俺は足下の写真を見下ろしていた)
乃木坂 朔也
「……………………?」
(一枚、裏返っているものがあった。
そこに、赤文字が書かれていた)
乃木坂 朔也
「…………閖白……えりか?」
(誰の名前だ、これは。
……………………美海?)
――――モニタールーム
菫谷 昴
「やっと見付けたか、クソ色男」
如月 仁
「……………………。」
菫谷 昴
「お前も見ろよ、美海の写真。
エロいっしょ?」
如月 仁
「…………やめろ」
菫谷 昴
「けっ、つまんねー男」
**
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