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『腸』――1日目
041.『空太と果帆(2)』
しおりを挟む間宮 果帆
「………………」
**(美海はいつも明るくて、不安や不満なんてほとんど見せることはない。あたしに対しても。
それは、親友として寂しく思うところでもあったけど……さっきの美海は…………。
ちくしょう、なんで独りになりたがるんだよ。
側にいれないんじゃ、慰めることもできないじゃないか……)**
本堂 空太
「あ、あのさ」
間宮 果帆
「あ、ああ」
**(まずい、物思いに耽りすぎたか)**
本堂 空太
「……白百合、さ……大丈夫かな」
(あんな白百合、見たことないもんな)
間宮 果帆
**(……思うことは一緒、か)**
「……あたしも心配だよ。
美海はさ、弱味をあまり見せないってゆーか……、意外かもだけど、甘え下手なんだよ。
秋尾のことも責任を感じてるだろうし…………あたしもあんな美海初めてで、どう接したらいいか……」
本堂 空太
「そっか…………。
…………………………。
あのさ、思ったんだけどさ」
間宮 果帆
「ああ」
本堂 空太
「ゲームの話なんだけど」
間宮 果帆
「ああ……」
本堂 空太
「カードを見た後のみんなの反応でさ、誰が人狼なのか想像はできるんじゃないかって、俺、思うんだよね」
間宮 果帆
「…………へえ?
空太にしては、意外にいい線行ってると思うけど」
本堂 空太
「はは、俺にしてはって一言余計!
それでさ、すこし考えて見たんだけど」
間宮 果帆
「…………うん」
本堂 空太
「…………全然わかんない」
間宮 果帆
「バカかお前は!」
本堂 空太
「わったた、やめて叩かないでっ、
俺が思ったのは、小田切は村人なのかなってくらいでっ」
間宮 果帆
「へえ? 理由を聞こうじゃないか」
本堂 空太
「いやほら……筒井がさ、役職バラそうって提案したとき、真っ先に否定してたじゃん?
人狼だったらそんなことしないんじゃないかなって」
間宮 果帆
「どうかな?
人狼は疑われたら最後だろ。
あたしだったら、敢えて村人に優位な発言をして、自分から疑いをそらすかもな」
本堂 空太
「え、えぇえ~? めんどくせー!
じゃあ小田切が人狼ってこと?」
間宮 果帆
「いやいや、そうとは言わないよ。
だけど、そんなん判断材料にならないってこと。
それにその論理で行くと、明らかに気落ちしてる美海や勝平なんてものすごーく怪しいだろ。
それに、場を支配してるアキラや、やたらカリカリしてるサキも。
あたしやあんただって同じことだよ」
本堂 空太
「そ、そうか…………」シュン
間宮 果帆
「ま、いい線は行ってるって。
要するに心理戦なわけだろ?
人の心理ってのは言葉では上手く繕えても、行動や表情では嘘が付けないからな。
よく観察することが大前提だと思うぞ。
…………まあ、ゲームをやるかどうかは、さておき」
本堂 空太
「そ、うだよな。
ごめんな、俺、犯人探しみたいな真似してさ……」
間宮 果帆
「いや…………今はみんなを信じよう」
本堂 空太
「……ってことは、果帆はアキラが提案したみたいに、
票が割れるようにって考えてる?」
間宮 果帆
「当然だ。殺し合いなんて真っ平だかんな。
美海も由絵も、アキラや朔也たちも、……大切な仲間だ。
それにお前は……大切な、た、大切な…………恋人だ」
本堂 空太
「……果帆…………」
間宮 果帆
「な、なんだよ……」
本堂 空太
「……好きだよ」
間宮 果帆
「な、なななんな、な、な、なんだよ唐突に!」
本堂 空太
「いや、唐突に愛を伝えたくなった」
間宮 果帆
「バッカじゃん!!」
本堂 空太
「ははは……」
(秋尾や都丸のことがあった。
笑ってる場合じゃないのはわかってる。
けど、今は……今だけは…………)
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