150 / 389
――19日目
142.『朝の時間(4)』
しおりを挟む――――PM13:00、書斎
本堂 空太
「……………………」
(ひとりになりたかったけど、
…………どうにも、落ち着かなかった。
…………部屋にいると、果帆が来るんじゃないかって気がして……。
人狼かもしれない。そう思ったら、果帆と今までのように話せる気もしなかったし、…………話したくなかった)
本堂 空太
「……………………」
(俺は書斎の扉を開けた。
もわっと、ホコリとカビの臭いが鼻に纏わりついた。
…………さすがに、ここには誰も来ないだろう。
見渡すと、机と椅子があった。
俺はそこに、どさっと疲れたように腰掛けた。
新聞が、山積みになっている…………。
手持ち無沙汰だった俺は、なんとなくそのひとつを手に取って、読んでみた。
古い記事だ。10年くらい前の…………。
なんとなく目を通していた俺は、とある記事で、なんとなく目を止めた)
本堂 空太
「…………繭見沢一家惨殺事件」
(…………そういえば昔、テレビでよくやってた気がする。
俺は7才だったからよく覚えてないけど、大ニュースだったから…………。
内容はこうだった。
当時15歳の少年Aが、実の両親を殺害。続いて交際相手だった同い年の少女の、両親、祖父母、兄、少女自身も殺害、その後、自殺をはかった。
少年Aの妹と、被害者宅の弟は未だ行方知れず…………。
そんな、惨殺事件だった。これはおおごとだ)
本堂 空太
「……………………」
(記事によると、少年Aの本名は閖白 仁。ゆりしろ ひとしと読むそうだ。
閖白仁に殺害された実の両親は、閖城 朝子(ゆりしろ あさこ)と閖城 大(ゆりしろ まさる)。
…………被害者宅の構成はこうだった。
父の墨谷 創太(すみたに そうた)さん、母の墨谷 夏海(すみたに なつみ)さん、祖母の墨谷 志津江(すみたに しずえ)さん、兄の墨谷 颯太(すみたに ふうた)さん、
…………交際相手だった少女は墨谷 南海(すみたに みなみ)さん…………。
行方不明となっているのは、当時7才だった墨谷 昂太(すみたに こうた)くんと、同い年の少女、閖白 えりか(ゆりしろ えりか)ちゃん…………。
…………生きていれば、俺と、同い年なんだな)
本堂 空太
「……………………」
(俺は新聞記事を山へ戻した。
…………余計に気が滅入ってしまった……。
ここは空気が悪い。
…………俺は書斎を後にした)
【残り:9人】
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説



【完結】共生
ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。
ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。
隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる