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――19日目
141.『朝の時間(3)』
しおりを挟む有栖川 直斗
「…………どうして俺じゃなかった。
…………俺だって、能力者のはずだ」
小田切 冬司
「普通に考えたら、共有者より霊媒師の方が邪魔だと思うよ。
でも、別に和歌野さんが村人ってことが判明しても、それはそれで良かったんじゃないかな、人狼は」
竜崎 圭吾
「…………自分で『裏切り者』って暴露してたくらいだからな」
小田切 冬司
「うん」
千景 勝平
「…………仕方がなかった。
あの状況で、和歌野に票が集まったのは」
竜崎 圭吾
「ああ。朔也の件は悔しいけど、俺は後悔してないぜ。
もし俺だったら、惣子郎を裏切るような真似はしない、例え裏切り者でも」
小田切 冬司
「…………でも、和歌野さんの振る舞い方は間違いではなかったよ。
…………人狼に気付いてほしかったんでしょ、自分の正体に」
有栖川 直斗
「…………結局はサキちゃんも、犯人の手の上で踊らされただけだ。
人狼や、俺たちと同じように…………」
本堂 空太
「……………………」
有栖川 直斗
「…………みんな、被害者なんだ」
七瀬 和華
「…………助けは、もう来ないのね」
小田切 冬司
「…………来ないね」
本堂 空太
(これだけ待ったんだ。
警察が助けてくれるかもなんて、この後に及んで誰も信じちゃいなかった。
…………俺たち、生き残ったら、人殺しってことで逮捕されるのかな…………)
間宮 果帆
「…………なあ、美海」
白百合 美海
「…………うん?」
間宮 果帆
「…………大丈夫か」
白百合 美海
「…………平気」
間宮 果帆
「…………そうか」
有栖川 直斗
「…………なあ、美海は誰を占ったんだ」
白百合 美海
「…………それをここで言うの?」
有栖川 直斗
「…………占って、どうだったかだけでいいよ」
白百合 美海
「……………………。
…………占ったわ。人狼が誰なのか、見付けた」
千景 勝平
「………………」
七瀬 和華
「………………」
間宮 果帆
「………………」
白百合 美海
「………………夜の会議で、話すから。
…………部屋に戻ってもいい?」
小田切 冬司
「…………うん。いいよ」
佐倉 小桃
「白百合さん、これ」
白百合 美海
「……??」
佐倉 小桃
「……昨日と同じあんぱんだけど、
少しでも、食欲が出たら」
白百合 美海
「……ありがとう、小桃ちゃん」
本堂 空太
(…………白百合はそう言って、すこし微笑んだ。
可憐な花のように)
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