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――2日目
051.『犯人は(1)』
しおりを挟む小田切 冬司
「ねえ、アキラ」
道明寺 晶
「なんだ?」
小田切 冬司
「朝食のとき、話したいことがあるって言ってたでしょ?
その続きが聞きたいな」
道明寺 晶
「犯人の目的の話か?」
小田切 冬司
「そう。それ」
筒井 惣子郎
「俺も聞きたいな。
俺は和歌野が言ったように、怨恨の可能性が高いんじゃないかって思うんだが」
道明寺 晶
「ここにいる誰に? 全員に?」
筒井 惣子郎
「……………………」
小田切 冬司
「……………………」
道明寺 晶
「怨恨として考えると、16人ものメンバーを集めた理由がよくわからないんだ。
誰かに恨みがあるなら、極端な話、そいつ個人をぶっ殺しちまえばいい話だろ?」
筒井 惣子郎
「それは…………確かにそうだな」
竜崎 圭吾
「俺、恨みを買った覚えなんかないしよー」
和歌野 岬
「怨恨と言うのは、自分の意図しないところで発生するものよ」
竜崎 圭吾
「……まあ、和歌野が言ってることも一理あるけどさ」
間宮 果帆
「でも、だとしたら理由はなんだ?
これだけの人数を誘拐して、…………殺し合いを強要する意味は」
道明寺 晶
「俺はな、快楽目的じゃないかって思ってるんだ」
有栖川 直斗
「…………快楽目的?」
道明寺 晶
「ああ。要するに、異常な趣味趣向のあるやつの悪趣味なゲームってわけよ、そのまんまだけどな」
小田切 冬司
「じゃあなに? 特別な理由はないってこと?」
道明寺 晶
「ああ。…………強いて言えば、2年前の宍銀学院3年B組に執着があるってことくらいだ」
千景 勝平
「……ここにいる誰かに、ってことじゃなくて、3年B組事態に執着があるってことか」
道明寺 晶
「そうだな。だがそれだと、なぜこの16人なのかがわからない。
…………一つ考えられるとしたら」
小田切 冬司
「だとしたら?」
道明寺 晶
「気付いたと思うが、俺らはカップルや親友ばかりなんだよ。
俺と美海、空太と果帆、勝平と由絵、それに筒井と七瀬。…………秋尾と都丸もそうだったろう。
それに、朔也と直斗は俺の親友だ。サキちゃんと花菜にしたって、ただの友達にしては親しすぎるところがあるだろ。
美海は果帆の親友だし、果帆と由絵は幼馴染みだ。
筒井と竜崎もそうだろ?」
筒井 惣子郎
「そうだな」
竜崎 圭吾
「否定はしないぜー」
道明寺 晶
「あとこの際だから言うけど、目黒は美海にベタ惚れじゃん?」
目黒 結翔
「ちょおおいちょちょちょっちょ」
道明寺 晶
「見ろ、この動揺を」
目黒 結翔
「ちちちがあうああいやそうじゃ、なくないけどあぁあああぁ……」
道明寺 晶
「…………ここからはプライバシーの話になるから控えるが、
小田切や佐倉も、人には言えないそう言う感情とか、抱えてんじゃないのか?」
佐倉 小桃
「…………プライバシーもなにもないわね。
でも、そうね。当たりよ、道明寺くん」
小田切 冬司
「…………俺はノーコメントってことで」
本堂 空太
(…………やっぱり佐倉、まだ朔也のことが好きなんだ…………。
ノーコメントって言ってるけど、小田切もそうなのかな? 否定しないってことは、暗に肯定してることでもあるし。
小田切が、ここにいる誰かを好き…………? ちょっと想像できないけど、今まで浮いた話がなかったってのは、そーゆーことだからなのかも。
片想い……なんだろうなあ…………。
…………誰に? まさか果帆じゃないだろうなあ……)
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