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三章 精霊乱舞

4話 2日目

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「んで、なんで跨っているのかを聞いてもイイかなぁ?」
リーファは何故か自分のお腹の上で跨っているアリシアに状況説明を求めた。
「だって…急に、にぃにの心臓の鼓動が止まったんだもん…」
「はぁ?馬鹿な事言ってんじゃ…」
「いや、止まっておったぞ?」
眠っているはずの少女が喋りだす。
「なんじゃ、すまなかったの…しかし、我の夢の中に入ると人の生命活動は止まるんじゃな…」
少女は寝ているはずの顔を少し、すまなそうにしていた。
「じゃあ…」
「うん、本当に止まっていたんだよ?」
「「…。」」
アリシアは心配した顔を、リーファは本当だった事に驚きと少しの気まずさに口を閉じ、見つめ合っていた。
「えっと、ごめん…私が悪かった」
「ううん、大丈夫…にぃにが生きているから大丈夫…」
そして、また沈黙が3人の空間を埋め尽くそうとする。
「えっと、寝よっか…」
リーファがそう提案すると、アリシアは頷きお腹から降りて眠りについた。


翌朝、リーファ達は食堂にて会議をしていた。
「んで、率直に聞くけど、あと五日…いえ、今日含め6日の間、どうやって死守、あるいは今回の首謀者の捕縛、または討伐をするの?」
シスカは昨日、被害者を探索している時から思っている事だった。今回の事件は自分達には余りにも事が大きすぎる。解決する策をフル回転で考えても思いつかなかった。
「えっと…オリヴィエお姉ちゃんが7日持たせればどうにかしてくれるっては言っているけど…」
リーファ、アリシア、ロゼは3人で顔を見合わせる。
「じゃあ、言い方を変えるわ…それが、もしもした時のことを考えてる?その時、ちゃんとした力を振るえる?」
「「「…。」」」
リーファ、アリシアだけでなく、ロゼも口を閉ざす。無論、考えていなかった訳では無いが、情報が少なすぎる。打開策を立てようにも圧倒的な程に…そして、とてつもなく強大な力もその背後にいる。それをどうにかする力…それも無い…と、その時だった。
「じゃあ、私が誰かと契約してあげよっか?」
白椿ハクアが微笑みながら、さも当然のように提案をしてきた。
「え…っと、因みにどういったのが得意なの?」
白椿に聞く理由としては、精霊の中でも得意不得意がある。紅椿は剣術を得意とし、瑞魔女は魔術を…と、そんな感じである。リーファは、何が得意かによって作戦や戦術を立てようとしているのである。
「んー…言うよりは、見た方がいいのかなぁ…百聞は一見にしかずっていうでしょ?」
白椿はそう言うと、アリシアに近づいて行く。そして、何かを察したのかアリシアは1歩…また1歩と後ろへ下がるが、後ろには壁、前には白椿とまさに板挟み状態にとうとう諦めた。
「んふふ、アリシアちゃんだっけ?私の見立てだと、私とあなたは相性が抜群なのよ。」

「えっと…それはどう言う…」

「まぁ…それは、お・た・の・し・み♪」
ちゅっ…と白椿はアリシアの唇を奪うと、アリシアの体は薄らと光を放つが、数瞬のうちに消えた。
「ちょ…白椿さん、わ、私…あぅ…」
白椿がアリシアを抱きかかえリーファの所へ戻ってくる。
「んじゃ、契約も済んだ事だし、お庭に行こっか~」
白椿はそう言い残し、アリシアを抱きかかえたまま外へ出る。
「えっと、取り敢えず皆で外行こっか…」

全員が外へ出ると白椿とアリシアは何やら打ち合わせをしているように見えた。
「何話してるの?」
リーファが問いかけると、白椿はレクチャーをしている所だと言う。まぁ、初めてなので当たり前かとリーファ達は待った。
「んじゃあ、模擬戦やってみようか。」

「ん?模擬戦?」

「そぉ、模擬戦…リーファちゃんとよ、勿論、霊装つけてね?じゃなきゃ死ぬかも?」

そう言うと、アリシアに合図を送り、アリシアはそれを見て頷くと言葉を紡いだ。
「其の力を…今一度、私に力を貸したまへ…汝は我が力…我は汝の器なり、今ここに顕現させる…」
アリシアと白椿の周りには濃縮した魔力が円を描くように漂い始め、その濃縮が頂点に達する。
【神威霊装二ノ式・白椿】
アリシアがそう呟くと白椿は白く光る。アリシアも白く光を放ち2つの光は融合を果たす。少しして、光が収まりアリシアが出て来る。
「えっ…と、なにそれ…」
リーファの目の前にはアリシアが居るのは当然なのだが、清潔感漂う白を基調としたドレス。しかし、背後には禍々しく見える月…背には片翼の翼、なにより、アリシアの目は赤と黄色に輝いていた。

「さぁ…リーファちゃん、剣を取りなさい。」

それは、アリシアではなく白椿が言ったのだと分かる。けれど、その笑顔は紛れもなく清潔感や、優しさ、そんなものは皆無…ただただ、そこには殺戮を好む白い天使が居た。












えっと、こんばんわ聖香愛琉です。最近更新が遅れてばっかりでナーバス…と言うより、色々と忙し過ぎて少し、やばいかなぁって思いますね。さて、そろそろ受験が始まりますね。いや、始まってるのかな?自分の時は取り敢えず受けたら、受かった…て感じでしたけど、受験生のみなさん、頑張って欲しいですね!!
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