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三章 精霊乱舞
3話 龍ノ詠
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「ほー、ここが紅椿の隠れ家なのか…隠れ家って言うより、豪邸だよね~」
ロゼは隠れ家に入ると、ちょっと驚きつつもそう言った。
「まぁ、こういう事態に備えてここの地下全体が隠れ家になっています。では、私の妹がお待ちです。行きましょうか」
紅椿は、屋敷の扉を開けて中に入るよう促した。屋敷の中は、ゴシック様式で落ち着いた感じになっていた。皆、興味が湧いたようにうろうろとしていると
「姉さん戻ったのですか?」
リーファは声の方向へ振り向くと、そこには白と黒が基調の着物を着た精霊が居た。
「あぁ、今戻った。留守の間は何事も?」
「えぇ、何事も…あら、あちらの方々は?」
声の主は、とてもお淑やかで柔らかい感じがしてリーファは思わず「綺麗…」とこぼす。
「あら、ありがとうございます。えぇと、私は白椿と言います。貴方達は?」
リーファ達は、各々自己紹介を終えると
「なるほど、貴方が姉さんと今共にいる子なのね」
「えっと、一応…そうですね。」
「ふふ、そうなの。これからも…姉さんをよろしくお願いしますね?」
「は、はい」
「では、お風呂をご用意しましたのでどうぞごゆっくりと、私は食事の準備をしてきますね。」
そう言って、白椿は奥の方へと歩いていった。
「ふむ、取り敢えずお風呂に入って食事としようじゃないか」
紅椿は、そう言ってみんなをお風呂へと連れていった。お風呂を上がったら食事が用意されていて、10品あったがどれも美味しかった。食事の後、ステラとシスカが疲れたので寝ると言い、寝室も各々割り当てられた。リーファは、アリシアと保護した少女と眠ることにした。今日1日が新しいことだらけで疲れていたのか、意外と眠りにつくのが早かった。
「のう、リーファよ」
「ん?誰?」
そう言って目を開けると、そこは真っ暗だった。
「誰か呼んだぁ?」
「なんだ、覚えておらんのか…仕方のない奴だ…私だ…えっと」
「あぁ、少女Aね」
「誰が少女Aだ!全く…まぁ、名前など今はどうでもいい、久方振りの人の子だ、少し話に付き合ってくれ…」
「えぇ…まあ、いいけどさ」
そう答えると、少女はあどけない顔で笑うとこう告げる。
「そうだねぇ…龍ノ詠を分かる?」
「いや、全く…どんな詠なの?」
「ふむ、では…」
そこは、真っ暗な空間だった。けれど、龍にとってそれはどうでもよかった。何せ、龍は眠っていて起きれないのだから…しかし、真っ暗な世界に何十年、何百年、何千年、何万年と過ごしていた。しかし、ある時その真っ暗な空間は突如光に照らされた。
「ん?その光って…もしかして」
「そうじゃ、この銀河や惑星が出来たのだ。話を戻そう」
「うん」
リーファが頷くと、少女はまた語り始めた。
星ができて生命が誕生した。眠っていた龍は関係の無い事だと思っていた。しかし、それから月日が経つにつれて、何故か興味が湧き出した。あぁ、この星にはどのような事があるのか…どんな生き物が生きているのか…そう思った。そしてある時、龍は人に化けてこの世界に降り立った。しかし、その当時は何も無く、作物や家畜で国の領土取り合いが多かった。その事を知った龍は、人間にこういった。
「ねぇ、なんでそんなにいがみ合って生きているの?」
「ねぇ、なんで…」
「ねぇ…」
そう繰り返すうちに、少女は周りから疎まれていった。けれど、龍は人を好きになった。なんて面白い種なんだ、私はこの種がどうなるのか見守ってみよう…と、しかし、少女はある日、人間に捕まって奴隷商人に売られた。
「どうして、私をこんな所へ?」
少女は問うた。問われた人間はこう答えた。
「お前は、変な奴だ…人間は啀み合うもの。それを、永遠と問い続けようとするお前は…いや、これは私の決断ではない。すまない…」
そして、普通の少女には耐え難い凌辱を受け続けた。それは、奴隷と言うよりもただ買った貴族の…ご主人様の欲望を満たす物として、しかし、少女はそんな事はどうでもよかった。思うことは一つだけ
(あぁ、この種は…少しやりすぎな所がある…と、言っても私には何ともないが…エリンのことが気になる。)
今、買われている屋敷には少女以外にも1人年端もいかない女の子エリンがいた。事情を聞くと、1か月前に捕まって奴隷商人に売られたとか。けれど、エリンは少女より若いはずなのに健気で優しい。それが、少女の心の拠り所でもあった。
「ふぅ…今日はもういいや、お前、部屋に戻ってろ。」
「はい…」
少女は、貴族に言われた通りに部屋に戻るが、いつも居るはずのエリンがそこには居なかった。少女は考えるよりも先に屋敷を必死になって探した。しかし、エリンどころか、さっき居たはずの貴族も居なかった。少女は嫌な予感がした。この類いの予感は前の貴族の屋敷でもあった。そう、地下の部屋…拷問部屋である。少女は直感で貴族の部屋の本棚を壊すと、地下へと続く階段があった。急いで降りる。
「なんだ…この変な匂いは、媚薬の香…それと、何か他の…まさか!?」
もう考えている暇はなかった。少女は階段を蹴り駆けた。扉の向こうからは、悲鳴と下卑た笑い声。何をしているのかなんて、想像することも容易かった。少女は、膂力を最大にして扉をぶち破ると、そこにはエリンが居た。
「た…すけ…て、ーーさん、助け…」
エリンがそれ以上喋ることは無かった。少女は、それが死んでしまったことを悟る。
「ちっ、死んだか…まだやり足りなかったのになぁ…まぁ、今度はお前でやればいいか」
そう言って、貴族は手に持っていた鉈で少女の四肢を切り落と…すことは無かった。
「おいおい、刃の通らない体ってなんだよ…ば、化物…よ、寄るな!!」
「お前が、エリンを…殺したのか?」
「ち、ちが…私じゃない!!」
「では、お前が持っているそれはなんだ?」
少女は、貴族の持っている鉈を指さした。
「こ、これは…ひぃ、た、頼む…殺さないでください!!」
少女は、魔力を高める。普段の少女からは考えられない量の魔力に貴族は失神しかけるが
「お前には…少し、痛い目を見てもらわねばならないな…【拘束】」
貴族を拘束し動けなくしたあと、少女はエリンに近寄る。見るも無残だった…四肢はなく、切られた断面は止血もせずに包帯を巻いたのだと直ぐにわかった。下腹部は…言わずとも…しかし、近寄ると僅かだが胸が上下に動いてることがわかった。それは、奇跡的にエリンはまだ瀕死の状態とわかった。ならば、やることは1つだけ…
【我は、一にして全】
すると、エリンの体と切り落とされた四肢が輝く。流れた血は全てエリンの体へ戻り、四肢は接合され、失われたものを全て元に戻した。見るものによっては、神と崇められるだろうそれを、貴族は目の当たりにした。
「お、お前のその目は…化物どころじゃない…一体なんなんだよ!!」
少女は、何を言っているのかと思ったが大体想像はついた。
「その…玉虫色の目は…」
「何、私はただの少女さ。けれど、この時代は何もかもが駄目だった…それだけ…さて…っと、次は君の番だ。エリンを傷付け、凌辱した報いは受けてもらわなくてはね。その次は、この世界だ。」
貴族は背筋が凍った…今、自分の目の前にいる存在は、何か所か、人間とも思えなかった。
「お前は、一体何者だ!?」
再度、貴族が聞いてくる。少女は真顔でこう答えた。
「なに、ただの龍の子さ、それ以上も以下もない。もう、良いだろう。お前に裁きを与える受け取れ」
【永劫ノ焔】
すると、貴族の体は玉虫色の焔に身を焼かれる。それは、焼き尽くしては再生を繰り返す。
「や、やめでぐだざぃ…おねがいじまず…」
「いや、お前にはこれがお似合いだろう…さて、次は世」
「ーーさん?」
「ん?あぁ、エリン目が覚めたの。取り敢えず、これは織って」
少女は貴族の上着をエリンに投げ渡す。
「ととっ…ーーさんその、助けてくれたんですね。」
「えぇ、前は守れなかったもの…貴方を…いや、違うか…さて、エリン…お前に2つの選択肢をやる。選べ」
「選択肢?」
「あぁ、1つ…私と共に来る。2つ…ここに留まり死ぬか」
「えっ…どうして?」
「私は…人が好きだ。大好き…けれど、こんな腐った人間が跋扈するこの世界は嫌いだ。故に、私はこの世界を破壊する。さぁ、選べ」
「わ、私は…ーーさんについて行きます。助けて貰った命、また捨てるわけには…」
「ならば、それでいい…ウムルよ」
そう呼びかけると、何も無い空間から1人のメイドが現れた。
「なんでしょう」
「この少女を私の所へ連れて行って」
「宜しいのですか?」
「…。」
「宜しいのですか?」
メイドは2度確認する。
「あぁ、構わない…エリンなら構わない」
「分かりました。では、そのように」
メイドはエリンを抱えると帰って行った。
「さて、お前はここで死ぬ訳だが…あー、何か言い残した事はあるか?」
「お、お前は…化物の中の化物だ!!」
「ふん、それしか言えぬのならそのままでいいか」
少女は、金に輝く龍になり、屋敷を壊して飛翔する。
(この世界…いや、この時代の人間に教えてやろう…啀み合うものではなく、手を取り、愛し合うことを…)
そして、世界の人々は。絶望を見た…この星を覆い尽くす程の龍に…そして
(お前達人間は…増えすぎた。いや、増えることはいいこと…しかし、増えて啀み合うことしか出来ないなら…もう一度やり直せ)
【全にして一】
それは全てを飲み込んだ。比喩でもなんでもなく本当に飲み込み、全世界の至る所が壊れ、人は死に絶えた。残ったのは、僅かな人と動植物のみ。
(私が再び現れる時は、お前達人間がまた啀み合い、愚かなことに手を染め闇が膨れ上がった時だ。)
世界ガ闇ニ染マル時金輝龍ガ現レル…
ソノ龍ハ外カラ来タ龍デアル…
私達ハ余リニモ愚カダッタ…
シカシ、私達ハ龍ノ封印ニ成功シタ…
コノ封印ハ、二千年後ニハ解ケルダロウ…
ソノ時、私達ノ子孫達…
「っとまぁ、龍ノ詠とか言ってはおるが…実際は詠でもなんでもないのじゃよ」
「ふぅん…まぁ、確かにそうかもしれない。けど、二千年後には封印が解けたとして、その龍は怒ってないのかな?」
「さぁてな、しかし、案外怒ってないのかもしれないな」
「さて、我の話に付き合ってくれた礼だ」
少女は、リーファの額にキスをする。
「これで、ウムルが来た時に客人であることが分かるだろう。また、夢の中で会おうね。」
そして、視界が真っ白になる。目が覚めたらアリシア跨っているのが目に見えた。
どうも、聖香愛琉です。11月は何かと忙しく更新できなくてすみませんでした。最近っていうか、11月から今日までを振り返ると結構忙しくしていたなぁって思いました。皆さんはどうですか?残り1週間と少しですが、少し、今年は何ができたかとか考えるのもいいかもしれないですね!では、また次の更新で
ロゼは隠れ家に入ると、ちょっと驚きつつもそう言った。
「まぁ、こういう事態に備えてここの地下全体が隠れ家になっています。では、私の妹がお待ちです。行きましょうか」
紅椿は、屋敷の扉を開けて中に入るよう促した。屋敷の中は、ゴシック様式で落ち着いた感じになっていた。皆、興味が湧いたようにうろうろとしていると
「姉さん戻ったのですか?」
リーファは声の方向へ振り向くと、そこには白と黒が基調の着物を着た精霊が居た。
「あぁ、今戻った。留守の間は何事も?」
「えぇ、何事も…あら、あちらの方々は?」
声の主は、とてもお淑やかで柔らかい感じがしてリーファは思わず「綺麗…」とこぼす。
「あら、ありがとうございます。えぇと、私は白椿と言います。貴方達は?」
リーファ達は、各々自己紹介を終えると
「なるほど、貴方が姉さんと今共にいる子なのね」
「えっと、一応…そうですね。」
「ふふ、そうなの。これからも…姉さんをよろしくお願いしますね?」
「は、はい」
「では、お風呂をご用意しましたのでどうぞごゆっくりと、私は食事の準備をしてきますね。」
そう言って、白椿は奥の方へと歩いていった。
「ふむ、取り敢えずお風呂に入って食事としようじゃないか」
紅椿は、そう言ってみんなをお風呂へと連れていった。お風呂を上がったら食事が用意されていて、10品あったがどれも美味しかった。食事の後、ステラとシスカが疲れたので寝ると言い、寝室も各々割り当てられた。リーファは、アリシアと保護した少女と眠ることにした。今日1日が新しいことだらけで疲れていたのか、意外と眠りにつくのが早かった。
「のう、リーファよ」
「ん?誰?」
そう言って目を開けると、そこは真っ暗だった。
「誰か呼んだぁ?」
「なんだ、覚えておらんのか…仕方のない奴だ…私だ…えっと」
「あぁ、少女Aね」
「誰が少女Aだ!全く…まぁ、名前など今はどうでもいい、久方振りの人の子だ、少し話に付き合ってくれ…」
「えぇ…まあ、いいけどさ」
そう答えると、少女はあどけない顔で笑うとこう告げる。
「そうだねぇ…龍ノ詠を分かる?」
「いや、全く…どんな詠なの?」
「ふむ、では…」
そこは、真っ暗な空間だった。けれど、龍にとってそれはどうでもよかった。何せ、龍は眠っていて起きれないのだから…しかし、真っ暗な世界に何十年、何百年、何千年、何万年と過ごしていた。しかし、ある時その真っ暗な空間は突如光に照らされた。
「ん?その光って…もしかして」
「そうじゃ、この銀河や惑星が出来たのだ。話を戻そう」
「うん」
リーファが頷くと、少女はまた語り始めた。
星ができて生命が誕生した。眠っていた龍は関係の無い事だと思っていた。しかし、それから月日が経つにつれて、何故か興味が湧き出した。あぁ、この星にはどのような事があるのか…どんな生き物が生きているのか…そう思った。そしてある時、龍は人に化けてこの世界に降り立った。しかし、その当時は何も無く、作物や家畜で国の領土取り合いが多かった。その事を知った龍は、人間にこういった。
「ねぇ、なんでそんなにいがみ合って生きているの?」
「ねぇ、なんで…」
「ねぇ…」
そう繰り返すうちに、少女は周りから疎まれていった。けれど、龍は人を好きになった。なんて面白い種なんだ、私はこの種がどうなるのか見守ってみよう…と、しかし、少女はある日、人間に捕まって奴隷商人に売られた。
「どうして、私をこんな所へ?」
少女は問うた。問われた人間はこう答えた。
「お前は、変な奴だ…人間は啀み合うもの。それを、永遠と問い続けようとするお前は…いや、これは私の決断ではない。すまない…」
そして、普通の少女には耐え難い凌辱を受け続けた。それは、奴隷と言うよりもただ買った貴族の…ご主人様の欲望を満たす物として、しかし、少女はそんな事はどうでもよかった。思うことは一つだけ
(あぁ、この種は…少しやりすぎな所がある…と、言っても私には何ともないが…エリンのことが気になる。)
今、買われている屋敷には少女以外にも1人年端もいかない女の子エリンがいた。事情を聞くと、1か月前に捕まって奴隷商人に売られたとか。けれど、エリンは少女より若いはずなのに健気で優しい。それが、少女の心の拠り所でもあった。
「ふぅ…今日はもういいや、お前、部屋に戻ってろ。」
「はい…」
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「なんだ…この変な匂いは、媚薬の香…それと、何か他の…まさか!?」
もう考えている暇はなかった。少女は階段を蹴り駆けた。扉の向こうからは、悲鳴と下卑た笑い声。何をしているのかなんて、想像することも容易かった。少女は、膂力を最大にして扉をぶち破ると、そこにはエリンが居た。
「た…すけ…て、ーーさん、助け…」
エリンがそれ以上喋ることは無かった。少女は、それが死んでしまったことを悟る。
「ちっ、死んだか…まだやり足りなかったのになぁ…まぁ、今度はお前でやればいいか」
そう言って、貴族は手に持っていた鉈で少女の四肢を切り落と…すことは無かった。
「おいおい、刃の通らない体ってなんだよ…ば、化物…よ、寄るな!!」
「お前が、エリンを…殺したのか?」
「ち、ちが…私じゃない!!」
「では、お前が持っているそれはなんだ?」
少女は、貴族の持っている鉈を指さした。
「こ、これは…ひぃ、た、頼む…殺さないでください!!」
少女は、魔力を高める。普段の少女からは考えられない量の魔力に貴族は失神しかけるが
「お前には…少し、痛い目を見てもらわねばならないな…【拘束】」
貴族を拘束し動けなくしたあと、少女はエリンに近寄る。見るも無残だった…四肢はなく、切られた断面は止血もせずに包帯を巻いたのだと直ぐにわかった。下腹部は…言わずとも…しかし、近寄ると僅かだが胸が上下に動いてることがわかった。それは、奇跡的にエリンはまだ瀕死の状態とわかった。ならば、やることは1つだけ…
【我は、一にして全】
すると、エリンの体と切り落とされた四肢が輝く。流れた血は全てエリンの体へ戻り、四肢は接合され、失われたものを全て元に戻した。見るものによっては、神と崇められるだろうそれを、貴族は目の当たりにした。
「お、お前のその目は…化物どころじゃない…一体なんなんだよ!!」
少女は、何を言っているのかと思ったが大体想像はついた。
「その…玉虫色の目は…」
「何、私はただの少女さ。けれど、この時代は何もかもが駄目だった…それだけ…さて…っと、次は君の番だ。エリンを傷付け、凌辱した報いは受けてもらわなくてはね。その次は、この世界だ。」
貴族は背筋が凍った…今、自分の目の前にいる存在は、何か所か、人間とも思えなかった。
「お前は、一体何者だ!?」
再度、貴族が聞いてくる。少女は真顔でこう答えた。
「なに、ただの龍の子さ、それ以上も以下もない。もう、良いだろう。お前に裁きを与える受け取れ」
【永劫ノ焔】
すると、貴族の体は玉虫色の焔に身を焼かれる。それは、焼き尽くしては再生を繰り返す。
「や、やめでぐだざぃ…おねがいじまず…」
「いや、お前にはこれがお似合いだろう…さて、次は世」
「ーーさん?」
「ん?あぁ、エリン目が覚めたの。取り敢えず、これは織って」
少女は貴族の上着をエリンに投げ渡す。
「ととっ…ーーさんその、助けてくれたんですね。」
「えぇ、前は守れなかったもの…貴方を…いや、違うか…さて、エリン…お前に2つの選択肢をやる。選べ」
「選択肢?」
「あぁ、1つ…私と共に来る。2つ…ここに留まり死ぬか」
「えっ…どうして?」
「私は…人が好きだ。大好き…けれど、こんな腐った人間が跋扈するこの世界は嫌いだ。故に、私はこの世界を破壊する。さぁ、選べ」
「わ、私は…ーーさんについて行きます。助けて貰った命、また捨てるわけには…」
「ならば、それでいい…ウムルよ」
そう呼びかけると、何も無い空間から1人のメイドが現れた。
「なんでしょう」
「この少女を私の所へ連れて行って」
「宜しいのですか?」
「…。」
「宜しいのですか?」
メイドは2度確認する。
「あぁ、構わない…エリンなら構わない」
「分かりました。では、そのように」
メイドはエリンを抱えると帰って行った。
「さて、お前はここで死ぬ訳だが…あー、何か言い残した事はあるか?」
「お、お前は…化物の中の化物だ!!」
「ふん、それしか言えぬのならそのままでいいか」
少女は、金に輝く龍になり、屋敷を壊して飛翔する。
(この世界…いや、この時代の人間に教えてやろう…啀み合うものではなく、手を取り、愛し合うことを…)
そして、世界の人々は。絶望を見た…この星を覆い尽くす程の龍に…そして
(お前達人間は…増えすぎた。いや、増えることはいいこと…しかし、増えて啀み合うことしか出来ないなら…もう一度やり直せ)
【全にして一】
それは全てを飲み込んだ。比喩でもなんでもなく本当に飲み込み、全世界の至る所が壊れ、人は死に絶えた。残ったのは、僅かな人と動植物のみ。
(私が再び現れる時は、お前達人間がまた啀み合い、愚かなことに手を染め闇が膨れ上がった時だ。)
世界ガ闇ニ染マル時金輝龍ガ現レル…
ソノ龍ハ外カラ来タ龍デアル…
私達ハ余リニモ愚カダッタ…
シカシ、私達ハ龍ノ封印ニ成功シタ…
コノ封印ハ、二千年後ニハ解ケルダロウ…
ソノ時、私達ノ子孫達…
「っとまぁ、龍ノ詠とか言ってはおるが…実際は詠でもなんでもないのじゃよ」
「ふぅん…まぁ、確かにそうかもしれない。けど、二千年後には封印が解けたとして、その龍は怒ってないのかな?」
「さぁてな、しかし、案外怒ってないのかもしれないな」
「さて、我の話に付き合ってくれた礼だ」
少女は、リーファの額にキスをする。
「これで、ウムルが来た時に客人であることが分かるだろう。また、夢の中で会おうね。」
そして、視界が真っ白になる。目が覚めたらアリシア跨っているのが目に見えた。
どうも、聖香愛琉です。11月は何かと忙しく更新できなくてすみませんでした。最近っていうか、11月から今日までを振り返ると結構忙しくしていたなぁって思いました。皆さんはどうですか?残り1週間と少しですが、少し、今年は何ができたかとか考えるのもいいかもしれないですね!では、また次の更新で
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