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4、アマデウスの為の夜想曲
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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト――クラシック音楽の天才と呼ばれたかの作曲家の名を知らぬものは少ないだろう。彼の偉人は幼い頃よりその非凡な才能を発揮したという。
その作曲家の魂を同じくする子供が、新宿二丁目のBARに居る。
名前は同じく「アマデウス」――十四歳で成長が止まってしまった彼は、その外見のせいか、二十歳を超えても所作が幼い。しかし、同じく不老者の集まりである『JOKERS』入りは避けられ、口だけは立派に達者な毒舌家に成長した。
強制されることを嫌い、自由気ままな生活をしているように見えるが、根は誰よりも常識的で真面目だ。
「ワーグナー。俺、しばらく部屋に籠るからね」
「あら、仕事が入ったの?」
「そう。だからご飯はよろしく。『オペラ』以外では声かけないでね」
「はいはい、頑張って頂戴」
BARに繋がる勝手口の階段から顔だけを出して、報告を終えると二階にある自室に籠る。
アマデウスは今生でも作曲家としての才能を見出され、義務教育終了と共に、大手のレコード会社と契約し、不定期で作曲及び編曲を請け負っているのだ。
新人歌手からアニメソングまで幅広く手掛けている。その鋭敏な音楽的感性は如何なく発揮され、時には添削も依頼されるほどだ。そして、その返信は辛辣だが、適格でリテイクは少ない――らしい。
「俺の作品がリテイクなんか食らう訳ないじゃん」とすべて本人からの自己申告なのでどこまでが真実かは甚だ怪しい。ペンネームも教えてくれないので、確かめようがない。
しかし、ある日、ヴェルディが暴いてしまったことがある。
夏の始まりの天気が荒れていた日だったと、ワーグナーは記憶している。滅多に音楽番組など観ない三人が、店にある三十二型のテレビで天気速報を確認していた時だ。
「……さっきのアイドルの新曲と二つ前のバンドの曲はアマデウスの作品か。転調が同じだった。ゴーストライターまで手掛けて――っ!!」
アマデウスは目に涙を一杯に溜め、顔を真っ赤にしてヴェルディの後頭部をビール瓶で殴った。
「ア、アマっち……ヴェルが死んじゃうわ」
「うるさい!! ヴェルディなんか嫌いだ!! ばーか!!」
どかどかと階段を駆け上がって自室に引きこもってしまったアマデウス。
「あいつは何を泣いているんだ?」
「あの子、プライドが服を着ているような子なんだから、発言は慎重にね。指摘なんかされたくないの。たとえ、ヴェルに悪気が無くても、ね」
「……褒めたつもりだったんだが……」
「意外とマイナス思考で繊細よ、アマっちは。あんたは言葉足らずだし、『転調が同じ』だけじゃあ、アマっちには『変化がない』って言われたのと同義なの」
「ワーグナー」
「謝るなら早めにね」
「謝る理由がない。それよりも俺は炙ったスルメイカが食いたい」
「少しは罪悪感を持ちましょうね!?」
結局はワーグナーが荒れ狂う天気の中、アマデウスの大好物であるロリポップキャンディを箱買いし、手作りのクッキーとドーナッツで部屋から出すことには成功した。
だが、ヴェルディとは一週間は口を利かず、気に留めないヴェルディも謝る気配がないので、ワーグナーだけが気を遣う日々だった。
あれの二の舞は避けたいので、ヴェルディにはよく言い聞かせ、アマデウスの仕事には絶対に口を挟まないという誓約書と血判状も書かせる羽目になった。
周囲が子供として接するせいで、アマデウスの精神年齢は低く、我が儘で気まぐれな言動が目立つ。
しかし、ルーイの見解は異なる。
「あの子、ちゃんと年齢を重ねているよ。肌とか、歯とか、よくよく観察していればちゃんと加齢しているのが解る。精神年齢ばかりは、うちも成長しない連中しかいない。どうしようもないね」
「『JOKERS』はお肌のターンオーバーも止まっているものね。羨ましい。父親にこんなことで嫉妬するのもどうかと思うけどさ!!」
「君はただ不規則な生活のせいでしょ。夜型の生活はやっぱり駄目だよ」
「昔、同じ発言を母さんに言って怒らせてたのを覚えてるわ……」
この見た目のせいで早くに実家と音信不通になってしまったアマデウスに言わせると、ワーグナーとルーイの関係はとても妬ましいという。まだまだ甘えたい盛りのまま家を出てしまったがゆえに、虚勢を張って口が裂けても言葉にしないアマデウスを、こっそりと甘やかそうと試みる。
だが、これは至難の業である。煽て過ぎて「からかってるだろ」と逆に不興を買ったことは数知れず――。
そのような過去の経緯もあり、アマデウスの仕事には一切触れないという不文律の下で過ごしてきた。
今回の仕事はいつも短期で納入するアマデウスには珍しく、三度もリテイクとアレンジを加えた大作となり、納入後は三人で小さなパーティーを催した。
「ふう、すごい達成感」
「よかったじゃない。またテレビで初のお披露目?」
「ううん、今回はアルバム用の書下ろしだって。献品が届くと思う」
話題はそれ以上掘り返さなかった。あまり深く追求すると、アマデウスがまた機嫌を損ねる。
しかし、今回ばかりは話を掘り下げておくべきだった。
パーティーの翌週、ヴェルディが「アマデウスはいるか?」と剣呑な声音で店に入ってきた。
「アマっちなら、眠いって部屋に戻ったわよ。なにかあったの?」
「あいつの作品が盗まれている」
「――なんですって?」
ヴェルディはジャケットのポケットからスマホを出して録音した曲を再生した。曲調、展開の仕方、独特の転調とアマデウスの特徴を踏襲している。だが、アレンジがきつく知り合いで耳のいい者でなければ解らない。
「これ、どこで流れてたの?」
「ラジオ。あいつはラジオなんか聴かない。把握していないと思う。この曲の情報を検索したら、作曲家名が別人になっていた」
ヴェルディはスマホのディスプレイを何度かタッチして、またワーグナーに見せた。
「レーベルはアマっちが契約している会社ね。アルバムで発表すると偽って、他の作曲家の手柄にしたって訳か……」
「あいつはゴーストライターもやっているし、ここまでアレンジしてしまったら別作品かとも言える。オマージュと言う逃げの方法も――ぎりぎりのラインだな」
「……ひとまず、本人の意思を確かめましょ」
寝ぼけているアマデウスも、この一件を聞きつければすぐに部屋から店に下りてきた。
「俺の曲だ」と小さな声で呟く。じわじわとこみ上げてくる涙を我慢している顔だった。
「ばっちり著作権法違反で訴えられるわ。もしも、あんたが望むなら訴えて――」
「無理だ」
「なあに、あんたが諦めるの? 二か月もかかりきりだった曲じゃない」
「……この曲、歌ってるバンドのアルバムに収録されるんだ。ボーカルがシンガーソングライターでもあるって売りだし、曲も買い切りだもん。契約書をちゃんと読まなかった俺が悪い……」
ワーグナーは、「あんたらしくないわね」と眉間に皺を寄せた。
「だって!!」と歯噛みするアマデウスに「そんな殊勝な態度だと、また同じ手を使われるわよ」とエプロンを脱ぎ捨てた。
「ヴェル、アマっちの部屋から契約書を探してきて。アレンジだけでも『抹消』するわ」
「了解」
「ま、待ってよ!! 『抹消』しようにも、もうこの曲は世間に出回っているのに!!」
「言い訳すんな!! 自分の作品にこそ誇りを持たなくてどうする!! 自分のガキに責任を持てないなら産むんじゃねえ!!」
ワーグナーのあまりの迫力に、アマデウスは仰け反った。
「安心なさい、『抹消』するのは作品のアレンジと契約書の文言だけ。社長には、ちょこっと痛い目を見てもらうけどね」
「……でも、そんな局地的な範囲の狭い『抹消』は難しいって言ってたじゃないか……」
ワーグナーはいつもの笑顔に戻って「おばか」とアマデウスの額を指で弾いた。
「こういう時くらい頼ってよ。せっかくの縁でしょ」
ヴェルディは言葉を探しているアマデウスの腕を引いた。部屋に案内しろと言いたいのだ。
アマデウスは依頼主の社長から送られてきた契約書をクリアファイルから取り出して、ヴェルディに渡した。
まだ戸惑っているアマデウスの背をゆるりと押して、ヴェルディと共にアマデウスはワーグナーに契約書を手渡した。ワーグナーはカウンターから出てソファに座り、契約書の中身を確認して「やはり違反ね」と嘆息すると、契約書に手を当てる。
精神集中している際の彼は神々しさを感じる。今回はタイトルを付けるまでもなかった。
契約書の文言はバラバラと空気中に散らばり、するりと消えた――。
「……ありがとう……」
「どういたしまして」
アマデウスは目尻を赤くして、にこりと笑うワーグナーに礼を言った。
後に解ったことだが、どうやら件のレーベルの社長は同じ手口で何件も著作権法違反を犯していたことが発覚した。他にも贈収賄の疑いや海外の海賊版の輸入なども手を出していたせいで、アマデウスが契約を切った直後に逮捕されたとニュースが流れていた。
ワーグナーは「やっぱりね」と言った。
「知ってたの?」
「いいえ、知らないわ。ただ、こいつは叩けば埃がわんさか出て来るって第六感が働いたの」
アマデウスは大好きなイチゴミルクのロリポップキャンディを口にしながら、ソファにごろりと横になった。ヴェルディはまたスマホでゲームをしている。
しばらくすると、飴を手にしたまま、アマデウスはくうくうと寝息を立て始めた。
ワーグナーとヴェルディは、見て見ぬふりをする。
BGMはオペラではなく、モーツァルト作曲「きらきら星」のオルゴール・バージョンに変えた。
to be continued...
その作曲家の魂を同じくする子供が、新宿二丁目のBARに居る。
名前は同じく「アマデウス」――十四歳で成長が止まってしまった彼は、その外見のせいか、二十歳を超えても所作が幼い。しかし、同じく不老者の集まりである『JOKERS』入りは避けられ、口だけは立派に達者な毒舌家に成長した。
強制されることを嫌い、自由気ままな生活をしているように見えるが、根は誰よりも常識的で真面目だ。
「ワーグナー。俺、しばらく部屋に籠るからね」
「あら、仕事が入ったの?」
「そう。だからご飯はよろしく。『オペラ』以外では声かけないでね」
「はいはい、頑張って頂戴」
BARに繋がる勝手口の階段から顔だけを出して、報告を終えると二階にある自室に籠る。
アマデウスは今生でも作曲家としての才能を見出され、義務教育終了と共に、大手のレコード会社と契約し、不定期で作曲及び編曲を請け負っているのだ。
新人歌手からアニメソングまで幅広く手掛けている。その鋭敏な音楽的感性は如何なく発揮され、時には添削も依頼されるほどだ。そして、その返信は辛辣だが、適格でリテイクは少ない――らしい。
「俺の作品がリテイクなんか食らう訳ないじゃん」とすべて本人からの自己申告なのでどこまでが真実かは甚だ怪しい。ペンネームも教えてくれないので、確かめようがない。
しかし、ある日、ヴェルディが暴いてしまったことがある。
夏の始まりの天気が荒れていた日だったと、ワーグナーは記憶している。滅多に音楽番組など観ない三人が、店にある三十二型のテレビで天気速報を確認していた時だ。
「……さっきのアイドルの新曲と二つ前のバンドの曲はアマデウスの作品か。転調が同じだった。ゴーストライターまで手掛けて――っ!!」
アマデウスは目に涙を一杯に溜め、顔を真っ赤にしてヴェルディの後頭部をビール瓶で殴った。
「ア、アマっち……ヴェルが死んじゃうわ」
「うるさい!! ヴェルディなんか嫌いだ!! ばーか!!」
どかどかと階段を駆け上がって自室に引きこもってしまったアマデウス。
「あいつは何を泣いているんだ?」
「あの子、プライドが服を着ているような子なんだから、発言は慎重にね。指摘なんかされたくないの。たとえ、ヴェルに悪気が無くても、ね」
「……褒めたつもりだったんだが……」
「意外とマイナス思考で繊細よ、アマっちは。あんたは言葉足らずだし、『転調が同じ』だけじゃあ、アマっちには『変化がない』って言われたのと同義なの」
「ワーグナー」
「謝るなら早めにね」
「謝る理由がない。それよりも俺は炙ったスルメイカが食いたい」
「少しは罪悪感を持ちましょうね!?」
結局はワーグナーが荒れ狂う天気の中、アマデウスの大好物であるロリポップキャンディを箱買いし、手作りのクッキーとドーナッツで部屋から出すことには成功した。
だが、ヴェルディとは一週間は口を利かず、気に留めないヴェルディも謝る気配がないので、ワーグナーだけが気を遣う日々だった。
あれの二の舞は避けたいので、ヴェルディにはよく言い聞かせ、アマデウスの仕事には絶対に口を挟まないという誓約書と血判状も書かせる羽目になった。
周囲が子供として接するせいで、アマデウスの精神年齢は低く、我が儘で気まぐれな言動が目立つ。
しかし、ルーイの見解は異なる。
「あの子、ちゃんと年齢を重ねているよ。肌とか、歯とか、よくよく観察していればちゃんと加齢しているのが解る。精神年齢ばかりは、うちも成長しない連中しかいない。どうしようもないね」
「『JOKERS』はお肌のターンオーバーも止まっているものね。羨ましい。父親にこんなことで嫉妬するのもどうかと思うけどさ!!」
「君はただ不規則な生活のせいでしょ。夜型の生活はやっぱり駄目だよ」
「昔、同じ発言を母さんに言って怒らせてたのを覚えてるわ……」
この見た目のせいで早くに実家と音信不通になってしまったアマデウスに言わせると、ワーグナーとルーイの関係はとても妬ましいという。まだまだ甘えたい盛りのまま家を出てしまったがゆえに、虚勢を張って口が裂けても言葉にしないアマデウスを、こっそりと甘やかそうと試みる。
だが、これは至難の業である。煽て過ぎて「からかってるだろ」と逆に不興を買ったことは数知れず――。
そのような過去の経緯もあり、アマデウスの仕事には一切触れないという不文律の下で過ごしてきた。
今回の仕事はいつも短期で納入するアマデウスには珍しく、三度もリテイクとアレンジを加えた大作となり、納入後は三人で小さなパーティーを催した。
「ふう、すごい達成感」
「よかったじゃない。またテレビで初のお披露目?」
「ううん、今回はアルバム用の書下ろしだって。献品が届くと思う」
話題はそれ以上掘り返さなかった。あまり深く追求すると、アマデウスがまた機嫌を損ねる。
しかし、今回ばかりは話を掘り下げておくべきだった。
パーティーの翌週、ヴェルディが「アマデウスはいるか?」と剣呑な声音で店に入ってきた。
「アマっちなら、眠いって部屋に戻ったわよ。なにかあったの?」
「あいつの作品が盗まれている」
「――なんですって?」
ヴェルディはジャケットのポケットからスマホを出して録音した曲を再生した。曲調、展開の仕方、独特の転調とアマデウスの特徴を踏襲している。だが、アレンジがきつく知り合いで耳のいい者でなければ解らない。
「これ、どこで流れてたの?」
「ラジオ。あいつはラジオなんか聴かない。把握していないと思う。この曲の情報を検索したら、作曲家名が別人になっていた」
ヴェルディはスマホのディスプレイを何度かタッチして、またワーグナーに見せた。
「レーベルはアマっちが契約している会社ね。アルバムで発表すると偽って、他の作曲家の手柄にしたって訳か……」
「あいつはゴーストライターもやっているし、ここまでアレンジしてしまったら別作品かとも言える。オマージュと言う逃げの方法も――ぎりぎりのラインだな」
「……ひとまず、本人の意思を確かめましょ」
寝ぼけているアマデウスも、この一件を聞きつければすぐに部屋から店に下りてきた。
「俺の曲だ」と小さな声で呟く。じわじわとこみ上げてくる涙を我慢している顔だった。
「ばっちり著作権法違反で訴えられるわ。もしも、あんたが望むなら訴えて――」
「無理だ」
「なあに、あんたが諦めるの? 二か月もかかりきりだった曲じゃない」
「……この曲、歌ってるバンドのアルバムに収録されるんだ。ボーカルがシンガーソングライターでもあるって売りだし、曲も買い切りだもん。契約書をちゃんと読まなかった俺が悪い……」
ワーグナーは、「あんたらしくないわね」と眉間に皺を寄せた。
「だって!!」と歯噛みするアマデウスに「そんな殊勝な態度だと、また同じ手を使われるわよ」とエプロンを脱ぎ捨てた。
「ヴェル、アマっちの部屋から契約書を探してきて。アレンジだけでも『抹消』するわ」
「了解」
「ま、待ってよ!! 『抹消』しようにも、もうこの曲は世間に出回っているのに!!」
「言い訳すんな!! 自分の作品にこそ誇りを持たなくてどうする!! 自分のガキに責任を持てないなら産むんじゃねえ!!」
ワーグナーのあまりの迫力に、アマデウスは仰け反った。
「安心なさい、『抹消』するのは作品のアレンジと契約書の文言だけ。社長には、ちょこっと痛い目を見てもらうけどね」
「……でも、そんな局地的な範囲の狭い『抹消』は難しいって言ってたじゃないか……」
ワーグナーはいつもの笑顔に戻って「おばか」とアマデウスの額を指で弾いた。
「こういう時くらい頼ってよ。せっかくの縁でしょ」
ヴェルディは言葉を探しているアマデウスの腕を引いた。部屋に案内しろと言いたいのだ。
アマデウスは依頼主の社長から送られてきた契約書をクリアファイルから取り出して、ヴェルディに渡した。
まだ戸惑っているアマデウスの背をゆるりと押して、ヴェルディと共にアマデウスはワーグナーに契約書を手渡した。ワーグナーはカウンターから出てソファに座り、契約書の中身を確認して「やはり違反ね」と嘆息すると、契約書に手を当てる。
精神集中している際の彼は神々しさを感じる。今回はタイトルを付けるまでもなかった。
契約書の文言はバラバラと空気中に散らばり、するりと消えた――。
「……ありがとう……」
「どういたしまして」
アマデウスは目尻を赤くして、にこりと笑うワーグナーに礼を言った。
後に解ったことだが、どうやら件のレーベルの社長は同じ手口で何件も著作権法違反を犯していたことが発覚した。他にも贈収賄の疑いや海外の海賊版の輸入なども手を出していたせいで、アマデウスが契約を切った直後に逮捕されたとニュースが流れていた。
ワーグナーは「やっぱりね」と言った。
「知ってたの?」
「いいえ、知らないわ。ただ、こいつは叩けば埃がわんさか出て来るって第六感が働いたの」
アマデウスは大好きなイチゴミルクのロリポップキャンディを口にしながら、ソファにごろりと横になった。ヴェルディはまたスマホでゲームをしている。
しばらくすると、飴を手にしたまま、アマデウスはくうくうと寝息を立て始めた。
ワーグナーとヴェルディは、見て見ぬふりをする。
BGMはオペラではなく、モーツァルト作曲「きらきら星」のオルゴール・バージョンに変えた。
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