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海の章
弐、六歌仙
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弐、「六歌仙」
明日の三龍王会談の再開に向けて、百官との打ち合わせを終えたエイシャ王のもとに、ヤンジンとエイルが現れた。退出していく官僚らと入れ替わりに、執務室へと入った二人。
エイシャ王はやや疲れを滲ませても笑顔を作る。
「珍しい組み合わせじゃ。竜宮に帰ってきてからエリンがよく星を見ていると耳にしたが、ははあ、星詠みを教えたのは貴殿であったか、真君」
「王子には才能と興味がおありでしたので、提案したまで。エイシャ王、お疲れのところを大変恐縮なのですが、ロンに吸い込まれた三秘宝についてお話しがございます」
エイシャ王は「ほう」と手にしていた巻物をくるくると巻き直して、紐を閉じる。
「この老体でもまだ必要としてくれるか。だが、今日は少々疲れた。来なさい。茶と菓子でゆるりと話そうではないか。急を要するのは解るが、儂と東方王様と西王母様は明日に再度会談があり、セツカはロンの見張りも兼ねて付きっ切りゆえ、少しばかり休んでも罰はあたるまい」
エイシャ王はヤンジンの話をすでに把握していたのだろう。冠をとって、執務室を出た。途中、廊下で、脇に控えた女官に「三人分の茶と菓子を『白玉の間』に頼む」と言って、執務室から少し離れた客間に入る。
『白玉の間』と呼ばれる客室は、その名の通り、真珠飾りが照明に使われたやや薄暗い部屋だった。光源は真珠の放つ淡い光だけ。部屋の奥には、低い座卓と長椅子が三つ、座卓を囲むようにゆったりとした長椅子が用意されている。座卓の上には、すでに湯気を放つ茶と貝を模した蒸し饅頭が置かれていた。
「ここ……母上がお使いになっていた……」
「おお、覚えていたか?」
「あ、いいえ。義姉上が教えてくださったのです」
「そうか。エリンの言うとおり、ここは死んだ我が后が好きでな。儂も疲れるとここで休む。束の間、思い出に浸りながら、杯を傾けるにはうってつけ。しかも密談にも向いておるだろう?」
ヤンジンは下から見上げてくるエイシャ王の視線に、気づき湯気の立つ杯を傾けた。すべて見通されている感覚は、妙な心地になる。
「真君、六歌仙を集めるつもりであろう? さて……集ったところでうまくことが運ぶと良いがのお」
くすくすと菓子を口にしながら笑うエイシャ王に、ヤンジンは諸手を上げた。この賢王には敵わない、ということだろう。
ひとりだけ話についていけないエイルに王は「エリンは六歌仙と呼ばれる最高の術士を知っておるか?」と問うた。
「……存じ上げませんが、高名な術士のお名前を上げるとしたら、東方王様と西王母様、父上と義姉上、真君と――あれ? あと一人……」
「……お前の師匠の玉鼎真人様だ」
ヤンジンがひどく居心地が悪そうに答えた。とうとうエイシャ王は声を上げて笑った。
「六歌仙は呪言を詠唱する際、歌を吟じるが如く紡ぐゆえにそう呼ばれる。しかし、これは愉快じゃ。さしもの清源妙道真君でも、かつての師には敵わぬか」
「……王も御人が悪い。俺は何年経っても、あの方には頭が上がらんのです」
「真君は東方王様の直弟じゃないのですか? 初めて地上に行った時にロンがそう言っていたような……」
「今は、な。だが、清源妙道真君の地位を与えられるまでは玉鼎真人様の門下だったのじゃよ。つまりはお主の師兄にあたる方ぞ」
「え!? なぜ早くおっしゃってくれないんです!!」
「人には誰しも思い出したくもない思い出が一つや二つあるだろうが……!!」
真君のそれはまさしく「玉鼎真人の門下生時代」だったと、エイルは察した。
仙人の鑑のような玉鼎真人と破天荒な型破りの清源妙道真君――これは水と油だとエイルは、茶の杯を少しだけ傾ける。東方王様も変わった師弟関係を指示したものだ。
「……なにをやらかしたのですか?」
「いろいろと、な」
「ゆえに清源妙道真君という肩を並べるお立場になられても、頭が上がらぬのか。これはよい話を聞いたわい。竜宮にいたのは勿論だが、セツカではなく、真っ先に儂のところに話に来たのも納得が行く」
「そこまでお察しならもう説明の必要はありますまい。私が話に行ったら本題に入る前に、説教と愚痴だけで三日三晩は軽く費やされることは自明の理。ゆえに発案はエイシャ王かセツカ姫として頂きたく、こうして参った次第です」
「本当になにをしたんですか!?」と声を荒げるエイルに「うるせえ!!」と騒ぐ二人を至極楽しそうなエイシャ王が茶菓子を片手になだめる。
「よい、よい。三龍会談の発案者も、ロンも我が子なれば、六歌仙の収集も儂がお声がけをするのは自然じゃろう」
エイシャ王の笑い交じりの了承に、ヤンジンは「ありがたい」と頭を下げた。ここでまたエイルが首を傾げる。
「父上、ずっとお尋ねする機会を逸しておりましたが、なぜロンを養子にされたのですか? それでは義姉上と結婚できないんじゃないかと思うのですが」
「懐かしい話じゃなあ。なに、大した理由はない。将軍位を授位する折に庶出であったので後見人になっただけの話じゃ。『ツーエン』の姓は、廃嫡問題で潰れかけていた家でな。ロンとセツカが正式な婚約発表をしたら、儂の後見から外すつもりだったのだが、機を逃しておっただけじゃ」
あっけらかんと話すエイシャ王だが「しかし、早々に後見を外れる予定じゃったが、あの二人があまりにも頑固でなあ」と続ける。
「婚約の前に祝言なのではありませんか? もう暗黙の了解でしょう」
「うむ。しかし、どちらもなかなか首を縦に振らぬ。何度勅命にしようかと思ったことか……。おや、話が脱線してしまった。六歌仙ならば、明日の会談が終わり次第、東方王様と西王母様にお伝えしておこう――ところで真君よ、これを受ける代わりにひとつ頼みがある」
「私にできることであれば、なんなりと」
六歌仙を集める一番の障害だった「玉鼎真人の説得」が回避されたので、ヤンジンはきりりと背筋を伸ばして、王の要求を待った。
「では、ありがたく頼もう。竜宮唯一の王子エイルは、義理の姉弟であるセツカとロンしか身内がおらぬ。あの二人に育てられたせいか、我が王子には許嫁もおらねば、浮いた話ひとつ無い。これでは儂も後添いを取れぬ。ある程度の年齢まで見守るつもりでおったが、あまりにもおなごの匂いがせぬゆえ、ロンに気があるのではなどという懸念まで噂され始めておってのお……。父が口出しするのは、まこと余計な世話じゃが、一手指南を願いたい」
エイルは茶を吹いた。咳き込むエイルをよそにヤンジンは「喜んで承ります」と手を差し出して礼を取る。
「父上!! 真君!!」
「お前、ロンとセツカ姫に育てられたせいか、正室になる女の条件は厳しそうだよなあ。今度はロンじゃなく俺と西王母様のところに遊びに行くか?」
「エリン、よく考えてみよ。世継ぎたるお主が知り合ったおなごの名前が何人挙げられる? 縁談の話なら山ほど来ておる。官や長老どもはいい加減わずらわしい。よい機会じゃ、ロン以外の大人とおなごに触れてみよ」
エイルは軽く眩暈を覚えた。ロンが居てくれればヤンジンを止めてくれるが、海底龍王である父の後ろ盾があってはこの男を止められる者はいない。
しかも哀しいことに父の言う通り、女性の名前を羅列しようにもフロン元帥しか思い浮かばなかった。
「……私は、その、ロンと義姉上のようなあたたかい恋愛に憧れて……」
「乙女のようだが、眼を覚ませ。あの二人は特殊だ」
「それ、真君にだけは言われたくないと思います」
「……ロンのせいで多くの誤解があるようだが、俺は三度結婚した身だぞ。だから、今は好き勝手に遊んでいる」
「え……!!」
「はははっ、エリン、これはよい指南相手じゃ。よおく学んでくるがよい」
ロンがあの状態なので多少の負い目はあったが、きっとこういう状況だからこそ、エイシャ王も明るい話題が欲しいのではないか――エイルは無理やりそう思い込んで、先延ばしにしてきた問題に直面する為に腹を括った。
ヤンジンにあやしい場所に連れて行かれそうになったらロンに密告しようと心に決めて――。
続...
明日の三龍王会談の再開に向けて、百官との打ち合わせを終えたエイシャ王のもとに、ヤンジンとエイルが現れた。退出していく官僚らと入れ替わりに、執務室へと入った二人。
エイシャ王はやや疲れを滲ませても笑顔を作る。
「珍しい組み合わせじゃ。竜宮に帰ってきてからエリンがよく星を見ていると耳にしたが、ははあ、星詠みを教えたのは貴殿であったか、真君」
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エイシャ王は「ほう」と手にしていた巻物をくるくると巻き直して、紐を閉じる。
「この老体でもまだ必要としてくれるか。だが、今日は少々疲れた。来なさい。茶と菓子でゆるりと話そうではないか。急を要するのは解るが、儂と東方王様と西王母様は明日に再度会談があり、セツカはロンの見張りも兼ねて付きっ切りゆえ、少しばかり休んでも罰はあたるまい」
エイシャ王はヤンジンの話をすでに把握していたのだろう。冠をとって、執務室を出た。途中、廊下で、脇に控えた女官に「三人分の茶と菓子を『白玉の間』に頼む」と言って、執務室から少し離れた客間に入る。
『白玉の間』と呼ばれる客室は、その名の通り、真珠飾りが照明に使われたやや薄暗い部屋だった。光源は真珠の放つ淡い光だけ。部屋の奥には、低い座卓と長椅子が三つ、座卓を囲むようにゆったりとした長椅子が用意されている。座卓の上には、すでに湯気を放つ茶と貝を模した蒸し饅頭が置かれていた。
「ここ……母上がお使いになっていた……」
「おお、覚えていたか?」
「あ、いいえ。義姉上が教えてくださったのです」
「そうか。エリンの言うとおり、ここは死んだ我が后が好きでな。儂も疲れるとここで休む。束の間、思い出に浸りながら、杯を傾けるにはうってつけ。しかも密談にも向いておるだろう?」
ヤンジンは下から見上げてくるエイシャ王の視線に、気づき湯気の立つ杯を傾けた。すべて見通されている感覚は、妙な心地になる。
「真君、六歌仙を集めるつもりであろう? さて……集ったところでうまくことが運ぶと良いがのお」
くすくすと菓子を口にしながら笑うエイシャ王に、ヤンジンは諸手を上げた。この賢王には敵わない、ということだろう。
ひとりだけ話についていけないエイルに王は「エリンは六歌仙と呼ばれる最高の術士を知っておるか?」と問うた。
「……存じ上げませんが、高名な術士のお名前を上げるとしたら、東方王様と西王母様、父上と義姉上、真君と――あれ? あと一人……」
「……お前の師匠の玉鼎真人様だ」
ヤンジンがひどく居心地が悪そうに答えた。とうとうエイシャ王は声を上げて笑った。
「六歌仙は呪言を詠唱する際、歌を吟じるが如く紡ぐゆえにそう呼ばれる。しかし、これは愉快じゃ。さしもの清源妙道真君でも、かつての師には敵わぬか」
「……王も御人が悪い。俺は何年経っても、あの方には頭が上がらんのです」
「真君は東方王様の直弟じゃないのですか? 初めて地上に行った時にロンがそう言っていたような……」
「今は、な。だが、清源妙道真君の地位を与えられるまでは玉鼎真人様の門下だったのじゃよ。つまりはお主の師兄にあたる方ぞ」
「え!? なぜ早くおっしゃってくれないんです!!」
「人には誰しも思い出したくもない思い出が一つや二つあるだろうが……!!」
真君のそれはまさしく「玉鼎真人の門下生時代」だったと、エイルは察した。
仙人の鑑のような玉鼎真人と破天荒な型破りの清源妙道真君――これは水と油だとエイルは、茶の杯を少しだけ傾ける。東方王様も変わった師弟関係を指示したものだ。
「……なにをやらかしたのですか?」
「いろいろと、な」
「ゆえに清源妙道真君という肩を並べるお立場になられても、頭が上がらぬのか。これはよい話を聞いたわい。竜宮にいたのは勿論だが、セツカではなく、真っ先に儂のところに話に来たのも納得が行く」
「そこまでお察しならもう説明の必要はありますまい。私が話に行ったら本題に入る前に、説教と愚痴だけで三日三晩は軽く費やされることは自明の理。ゆえに発案はエイシャ王かセツカ姫として頂きたく、こうして参った次第です」
「本当になにをしたんですか!?」と声を荒げるエイルに「うるせえ!!」と騒ぐ二人を至極楽しそうなエイシャ王が茶菓子を片手になだめる。
「よい、よい。三龍会談の発案者も、ロンも我が子なれば、六歌仙の収集も儂がお声がけをするのは自然じゃろう」
エイシャ王の笑い交じりの了承に、ヤンジンは「ありがたい」と頭を下げた。ここでまたエイルが首を傾げる。
「父上、ずっとお尋ねする機会を逸しておりましたが、なぜロンを養子にされたのですか? それでは義姉上と結婚できないんじゃないかと思うのですが」
「懐かしい話じゃなあ。なに、大した理由はない。将軍位を授位する折に庶出であったので後見人になっただけの話じゃ。『ツーエン』の姓は、廃嫡問題で潰れかけていた家でな。ロンとセツカが正式な婚約発表をしたら、儂の後見から外すつもりだったのだが、機を逃しておっただけじゃ」
あっけらかんと話すエイシャ王だが「しかし、早々に後見を外れる予定じゃったが、あの二人があまりにも頑固でなあ」と続ける。
「婚約の前に祝言なのではありませんか? もう暗黙の了解でしょう」
「うむ。しかし、どちらもなかなか首を縦に振らぬ。何度勅命にしようかと思ったことか……。おや、話が脱線してしまった。六歌仙ならば、明日の会談が終わり次第、東方王様と西王母様にお伝えしておこう――ところで真君よ、これを受ける代わりにひとつ頼みがある」
「私にできることであれば、なんなりと」
六歌仙を集める一番の障害だった「玉鼎真人の説得」が回避されたので、ヤンジンはきりりと背筋を伸ばして、王の要求を待った。
「では、ありがたく頼もう。竜宮唯一の王子エイルは、義理の姉弟であるセツカとロンしか身内がおらぬ。あの二人に育てられたせいか、我が王子には許嫁もおらねば、浮いた話ひとつ無い。これでは儂も後添いを取れぬ。ある程度の年齢まで見守るつもりでおったが、あまりにもおなごの匂いがせぬゆえ、ロンに気があるのではなどという懸念まで噂され始めておってのお……。父が口出しするのは、まこと余計な世話じゃが、一手指南を願いたい」
エイルは茶を吹いた。咳き込むエイルをよそにヤンジンは「喜んで承ります」と手を差し出して礼を取る。
「父上!! 真君!!」
「お前、ロンとセツカ姫に育てられたせいか、正室になる女の条件は厳しそうだよなあ。今度はロンじゃなく俺と西王母様のところに遊びに行くか?」
「エリン、よく考えてみよ。世継ぎたるお主が知り合ったおなごの名前が何人挙げられる? 縁談の話なら山ほど来ておる。官や長老どもはいい加減わずらわしい。よい機会じゃ、ロン以外の大人とおなごに触れてみよ」
エイルは軽く眩暈を覚えた。ロンが居てくれればヤンジンを止めてくれるが、海底龍王である父の後ろ盾があってはこの男を止められる者はいない。
しかも哀しいことに父の言う通り、女性の名前を羅列しようにもフロン元帥しか思い浮かばなかった。
「……私は、その、ロンと義姉上のようなあたたかい恋愛に憧れて……」
「乙女のようだが、眼を覚ませ。あの二人は特殊だ」
「それ、真君にだけは言われたくないと思います」
「……ロンのせいで多くの誤解があるようだが、俺は三度結婚した身だぞ。だから、今は好き勝手に遊んでいる」
「え……!!」
「はははっ、エリン、これはよい指南相手じゃ。よおく学んでくるがよい」
ロンがあの状態なので多少の負い目はあったが、きっとこういう状況だからこそ、エイシャ王も明るい話題が欲しいのではないか――エイルは無理やりそう思い込んで、先延ばしにしてきた問題に直面する為に腹を括った。
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