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調合師教育計画
やっと育成できるよ
しおりを挟む結局、解呪が出来るようになるまで、集落で匿うことになった。もちろん、ヘイノは接近禁止令を食らっている。
アルフレードは「解呪できる方法を、隠密に探しなさい」というマイヤの脅しを受けて、大人しく書物をめくっている。
その間にもマイヤは薬草の採取法から栽培法まで住民に伝授していた。
やっと調合を教えられると、アベスカ男爵領から来た調合師は嬉々として指導に当たっている。
「それ、俺らも通った道だし」
「まじっすか。心折れねぇ?」
「折れる折れる。そらもう、ばっきばきに。だけどよぉ、俺もだけどアベスカ男爵領の調合師ってスキル持ちがいねぇのなんの。だからさ、みんなで励ますわけよ。で、それを何とか乗り切る。しかも頑張った分だけ給料に反映されるってなったら、がぜんやる気が」
「納得」
「それを通り越すと、低級とはいえポーションが出来るだろ? だとある程度薬草の取り扱いも分かるわけ。だと給料が上がるぞーー」
その言葉に、調合スキルを取ろうとしている面子ががぜんやる気を出した。こればかりは、経験者の言葉が生きるものである。
「……見事だ」
それを見たヴァルッテリはそれしか出なかった。「失敗したら金にならない」という常識を覆している。
「採取スキルは簡単に上がりますけど、こちらはそうもいきませんもの。このあたりも、わたくしが考えたわけではないので、誇れませんわね」
「いや、誇ろうよ。それでいて高品質の薬を作り出すシステムを維持しているわけだし」
「維持し続けなければ食べていけませんもの」
グラーマル一豊かと言われるはずのアベスカ男爵領。搾取され続けているため、隠すのもうまくなってきている。
「いっそのこと、男爵領に住む方々を全員移住させよっか」
「父が本気にしますから、やめてくださいませ」
そんなことをしたら、あそこに逃げてくる差別されたものを受け入れられなくなる。
「マイヤもだけど、男爵も。王族よりもしっかりと領民を守ってるよね」
「ありがとう存じます」
ぷいっと顔を逸らしたが、マイヤの顔は赤かった。
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