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調合師教育計画
「三人寄れば文殊の知恵」という言葉を思い出した
しおりを挟む「一応はおるし、儂も居場所を知っておるがな」
先代公爵の言葉に、マイヤは食らいついた。
「我が国の聖獣様との盟約でのぅ、居場所を教えてはならぬし、その場所に迷い込む以外で行くのは禁じられておるのじゃよ」
「どうしてですの?」
「ローゼンダール王家を守るためじゃな。あ奴らのことじゃ。間違いなく隷属させるぞ」
聖獣を隷属させる王家など滅べばいい。
「気持ちはわかるがの。流石に白亜の髪をこれ以上外に出すわけにいくまいて」
「当人を目の前に随分なおっしゃり様ですわね」
「仕方あるまいて。お嬢さんも当事者じゃし、これがひと段落着いたら教えるとするかの。まずは、聖獣様の解呪をどのようにするか考えねばな」
人間が解けぬのなら、同じ聖獣に解いてもらえばいいと考えたのはマイヤだけのようで、他の面々は目を見開いていた。
「……ふむ。思いつきもしなかったの」
「え? 聖獣様同士で軽い怪我なら治すものだと」
「お嬢さんや、おそらく機密事項じゃな。儂とて知らぬぞ」
そりゃもう、勝手に突っ込んできたスレイプホッグが怪我をして、他のスレイプホッグが治す。これも男爵領で時折見かける光景だ。
機密事項と言われてしまえば、その内容は言えない。
「とするならば、そこにおわすリヴァイテヒア様が最後の一頭になられたのは、呪いのせいなのかもしれぬの」
「え?」
「お嬢さんの言うように、互いが互いを治していたのなら、呪いの種類によっては内部に呪いが残り、他のリヴァイテヒア様も呪われたと考えるのもいいかもしれぬな。その呪いが蔓延したために滅んだのかもしれぬ」
それは考えなかった。もし、そうだとしたら、他の聖獣に会わせるわけにはいかない。
「ってかさ」
ヴァルッテリが不思議そうに口を開いた。
「もし、その治癒能力で治していたとして、最後の一頭になったとして、どうしてその一頭が何十年と生きられるの?」
「……あ」
それこそ考えていなかった。やはり考える時は一人より複数の方がいい。そんなことをマイヤは思った。
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三人寄れば文殊の知恵……凡人であっても三人集まって考えれば、すばらしい知恵が出るものだというたとえ。
この言葉も、セヴァトがアベスカ男爵領に広めている(のちに大陸中に広まる予定)
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