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領地育成計画?
聖獣様が来たよ
しおりを挟むちょうどその頃。
オヤヤルヴィ公爵領のとある一地域に激震が走っていた。
「……あれって」
「スレイプホッグ様と……そのお隣にいらっしゃるのは……」
間違いなく、ジャイアントマカイロだ。スレイプホッグはおそらくだが、ヴァルッテリについてきたのだろう。まったく、悪戯が過ぎる。
ということは、だ。ジャイアントマカイロは己の縄張りを荒らされてたと出てきた……のではないようである。
何せ一緒に寛いでいる。
「微笑ましい光景ですわねぇ」
「お嬢はそれで済むのか……」
それ以外何を言えというのか。
「ジャイアントマカイロ様に関しては、お義祖父様にお聞きしないことには」
「御大が絡んでると?」
一緒に見ていた店主が呆れている。
「だって、お義祖父様のお話を伺う限りとしか申せませんけども」
「お嬢ん所の聖獣様は、どう言い訳すんだ?」
「悪戯大好きスレイブホッグ様ですわよ。何度わたくしの持つ薬草入れから薬草を食されたことか」
「……それ以外にも色々されてんのな、お嬢は」
「お分かりいただけて何よりですわ。住民も『また悪戯された』と諦めておりますし」
「さすが魔境」
その感想もどうなのだと言いたくなる。
そのようにのほほんとしているのは、元からの住民たちだけで。
一応「従者」という肩書で密偵になったり、「侍女」という名前で偵察に来ていた輩は慌てふためいていた。
主に知らせねば! と表の仕事を放りだす者もいるありさまだ。
「お馬鹿ですわねぇ」
「そうじゃのぅ」
孫嫁と義祖父はそれを見て呆れていた。
そして、そんなやり取りを住民たちがもっと呆れた目で見ていたのであった。
かくしてお馬鹿な密偵たちはいなくなったが「自称」優秀な密偵たちは残っている。あれを見て騒がなかっただけ利口なのだが、ばれていないと思っているあたりが、哀愁を誘うといったのは、はたして誰だったか。
集落の子供たちにも「密偵さんたちにお声をかけてはいけません。逆上してぷちっとされたくないでしょう?」と言い聞かせてあるからこそ、近づかないと教えるべきか。
そんな教えを受けた子供たちは「わかったー」といいながら、近づかずに偽の情報を掴ませているのだ。
そんな子供たちが大きくなったら……と考えると頭が痛くなる神官とレイスだった。
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