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夫婦になります(一応)
扇動者は誰だ?
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一応挙式は終わったため、お披露目等を含めてヴァルッテリには十日ほどの休暇が与えられる。
ただ今回は、色々と出てきた王家の醜聞に、ヴァルッテリとマイヤのお披露目は当社比で控えめなものとなった。
「その『トウシャヒ』って何?」
「独自調査のようなものですわ。今回の場合ですと、いままでのローゼンダール王族に連なる者たちのお披露目と比べて、といったところでしょうか」
「なるほどね。そういう意味でなら、オヤヤルヴィ公爵家としても控えめだね。こちらはマイヤの意向を汲んでだけど」
「わたくしのせいですの?」
「半分くらいは。私としては『マイヤが妻である』という事実をもっと広めたたかったし」
ヴァルッテリが己を私という位には公的な場所ではある。
……ほとんどがオヤヤルヴィ公爵ゆかりの貴族ばかりだが。
「安心して。婚約発表の頃から、皆そろってマイヤに好意的だから」
その言葉を裏付けるように、心からの祝福を述べる客人たち。王家の批判はしないものの、本日オヤヤルヴィ公爵家のお披露目に出るということで、間接的に王家から遠ざかっている。
何せ、件の王女は「ショックのあまり倒れた」らしい。
「自分の悪行がばらされたからでは?」
そうのたまったのはマイヤで、アハトとウルヤナも頷いていた。
そしてそれを理由に「パーティをしばらく自粛するように」というお達しが各貴族へといっている。これは王女の悪行を広めないためだろう。
無理だがな。ヴァルッテリはにやりと笑う。
あの神殿の周りには、何故か民衆が押しかけていた。色々な思惑が重なったのだろうが、そこにヴァルッテリはまったく関わっていない。
つまりは、ヴァルッテリから見れば「嬉しい誤算」でしかない。
「おそらくですけれど、オヤヤルヴィ公爵夫妻は絡んでいらっしゃいますわね」
「そろそろ義両親扱いしてやりなよ」
特に母親なぞ「お義母様」などと呼ばれた狂喜乱舞するだろう。
「公爵夫妻が? 理由をお聞きしても?」
ちょうど挨拶に来た某男爵が不思議そうに尋ねた。この男、元は伯爵家の嫡男だったが、ヴァルッテリの父親についたため、伯爵家を追い出された。たまたま嫡男のいない男爵家に養子に入ることにより、貴族として残っているといった感じだ。
「お話を聞いた限り、公爵夫妻は皆に慕われていらっしゃいますでしょう? そのご子息の婚姻ですもの、民衆が祝いにと駆け付けるということは多聞にあると思いますの。それからあなた方の存在でしょうか」
「我々、ですか」
「えぇ。公爵夫妻が王太子を廃された際、公爵夫妻へつくべく、城から出たと伺っております。貴族籍をはく奪された方もいらっしゃるとか。皆が公爵領へ行ってしまえば、反旗と取られかねませんわ。一部を除き王都などに残っていらっしゃったのでしょう。その方々を扇動すれば、民衆は神殿へと集まるのではないのですか?」
ついでに言えば、ヴァルッテリがやろうとしていたこともある程度把握していたのだろうと。
王家が何も問題を起こさなければただの祝福になり、問題を起こせばそれを広める手はずとして。
あり得ないと言えないのが辛いヴァルッテリである。というか、その線で間違いないはずだ。
「ほぼほぼ間違いはないですね。ただ、一つ言うなれば、あそこに集まるよう指示したのは王太后陛下ですが」
「……」
最初に祝いを述べたあと、「バカ息子が煩いので」と帰った王太后の笑みを思い出したヴァルッテリとマイヤは言葉を失った。
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一応補足で(;'∀')
当社比……従来の自社商品と比べた場合の比率や差異を意味する表現。独自の調査であることを意味合いの中に含んだ表現。
ただ今回は、色々と出てきた王家の醜聞に、ヴァルッテリとマイヤのお披露目は当社比で控えめなものとなった。
「その『トウシャヒ』って何?」
「独自調査のようなものですわ。今回の場合ですと、いままでのローゼンダール王族に連なる者たちのお披露目と比べて、といったところでしょうか」
「なるほどね。そういう意味でなら、オヤヤルヴィ公爵家としても控えめだね。こちらはマイヤの意向を汲んでだけど」
「わたくしのせいですの?」
「半分くらいは。私としては『マイヤが妻である』という事実をもっと広めたたかったし」
ヴァルッテリが己を私という位には公的な場所ではある。
……ほとんどがオヤヤルヴィ公爵ゆかりの貴族ばかりだが。
「安心して。婚約発表の頃から、皆そろってマイヤに好意的だから」
その言葉を裏付けるように、心からの祝福を述べる客人たち。王家の批判はしないものの、本日オヤヤルヴィ公爵家のお披露目に出るということで、間接的に王家から遠ざかっている。
何せ、件の王女は「ショックのあまり倒れた」らしい。
「自分の悪行がばらされたからでは?」
そうのたまったのはマイヤで、アハトとウルヤナも頷いていた。
そしてそれを理由に「パーティをしばらく自粛するように」というお達しが各貴族へといっている。これは王女の悪行を広めないためだろう。
無理だがな。ヴァルッテリはにやりと笑う。
あの神殿の周りには、何故か民衆が押しかけていた。色々な思惑が重なったのだろうが、そこにヴァルッテリはまったく関わっていない。
つまりは、ヴァルッテリから見れば「嬉しい誤算」でしかない。
「おそらくですけれど、オヤヤルヴィ公爵夫妻は絡んでいらっしゃいますわね」
「そろそろ義両親扱いしてやりなよ」
特に母親なぞ「お義母様」などと呼ばれた狂喜乱舞するだろう。
「公爵夫妻が? 理由をお聞きしても?」
ちょうど挨拶に来た某男爵が不思議そうに尋ねた。この男、元は伯爵家の嫡男だったが、ヴァルッテリの父親についたため、伯爵家を追い出された。たまたま嫡男のいない男爵家に養子に入ることにより、貴族として残っているといった感じだ。
「お話を聞いた限り、公爵夫妻は皆に慕われていらっしゃいますでしょう? そのご子息の婚姻ですもの、民衆が祝いにと駆け付けるということは多聞にあると思いますの。それからあなた方の存在でしょうか」
「我々、ですか」
「えぇ。公爵夫妻が王太子を廃された際、公爵夫妻へつくべく、城から出たと伺っております。貴族籍をはく奪された方もいらっしゃるとか。皆が公爵領へ行ってしまえば、反旗と取られかねませんわ。一部を除き王都などに残っていらっしゃったのでしょう。その方々を扇動すれば、民衆は神殿へと集まるのではないのですか?」
ついでに言えば、ヴァルッテリがやろうとしていたこともある程度把握していたのだろうと。
王家が何も問題を起こさなければただの祝福になり、問題を起こせばそれを広める手はずとして。
あり得ないと言えないのが辛いヴァルッテリである。というか、その線で間違いないはずだ。
「ほぼほぼ間違いはないですね。ただ、一つ言うなれば、あそこに集まるよう指示したのは王太后陛下ですが」
「……」
最初に祝いを述べたあと、「バカ息子が煩いので」と帰った王太后の笑みを思い出したヴァルッテリとマイヤは言葉を失った。
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一応補足で(;'∀')
当社比……従来の自社商品と比べた場合の比率や差異を意味する表現。独自の調査であることを意味合いの中に含んだ表現。
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