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調合師教育計画
大事なこと
しおりを挟む「ええい!! 文字がかける奴はどれくらいおる!?」
先代公爵の叫びに、誰一人手をあげない。いや、ある程度文字を知っているだろうが、先代公爵が求めるほどの学力を持つものは片手で充分に足りるのだ。
そして、それくらい文字を知る者は他のことで忙しい。
文字などを教える学問所もすべて、アベスカ男爵領から知恵を借りることとなった。
それ故、マイヤなどは他領でそれが無いということに驚きなのだ。
「学校なんざ、貴族様と金持ちのためだぜ」
あっさりと真実を告げたのは店主だ。
「確かに子供も労働力ですものね。ですから、午前一部と午後を二部、夜間を一部作りまして、その四部で学問を勉強するように整えましたわ」
「は?」
「出来るだけ子供たちは午前の部か午後の部に出てもらいますの。終われば炊き出しを行い、それを持って来た鍋に入れて持たせます。それが昼ご飯であれ夜ご飯であれ、食事になりますの」
どこかに出れば一家に一鍋貰える。兄弟のいるところでは午前と午後で別々に通わせ、昼と夜の飯を調達するところもある。そして、学問所は無料なのだ。
「学問所行けば飢える心配がないってか」
「えぇ。どうしても仕事でという領民には閑散期に内職の代わりに学問を施したそうですわ」
騙されにくくなるために学は必要。それが少しでも浸透すれば、ある程度重きを置くようになる。
根気よく繰り返した結果なのだ。
「我が領にも導入をさせよう。成績の良いものは公爵家で後見をして上級学校に通わせる」
男爵家で後見をしたところでたかが知れているが、公爵家となれば話は別だ。しかも帝都の学校ではなく、公爵と縁のある国外の学校とくれば、偏見もない。
羨ましい限りである。
「アベスカ男爵領の子供も我が公爵家で後見しようかの」
「そうですわね。子供に選択肢として提案いたします。それを理由に取り込まないでくださいましね」
「先手を越されてしまったの」
大事な未来を担う子供たちをそれで取り込まれてはたまったものではないのである。
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