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悪意のレイド
現実世界にて<保と良平と正芳>
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「で、結局どうすんの?」
「ん。しばらくは『TabTapS!』の中でしか会わないって約束してある」
「なんだよそれ、何の縛りプレイだ? 保」
「うっさい。黙れ正芳」
今日は久しぶりに同級生である日内 正芳と酒を飲み交わしている。
ゲーム内では「ジャスティス」と名乗る、ベテランプレーヤーだ。
「そういや、良平先生も来るって言ってたぞ。あと晴香さんも仕事が終わったら合流するとさ」
「見てやがったな」
「ナンノコトヤラ」
わざとらしく棒読みで言ってくるあたり、あれを見ていたのだろう。
「いいんだよ。カナリアはまだ高校生だし、俺の理性がぶっ飛んだりしないようにするには、ゲーム内で会うほうがいい」
それに、ゲーム内のほうが流れる時間が早い。そのため、カナリアが一時間しか繋げなくても、ゲーム内では四時間一緒にいたような感覚になれる。
「うっわぁ……俺引いちゃうわ」
そこまでしないと理性を抑えられないなんて、獣と一緒じゃん。そう後ろから誰かが言ってきた。
「良平先生、悪趣味ですね」
「それくらいしないと。今の可愛い教え子が食われちまう」
「善処します」
「お前、しばらく会うな」
正芳と良平の声がはもっていた。
カナリアが顔をゲーム内でも顔を変えない理由は、母方の祖父に似ているから。そして、一度でいいからここまで長い髪にしてみたかったから。
いっつも似たような服を着せられているから、男物もいいかと思ったから。ワンピースが可愛いから。
そう言って自分で色々試している。
「本当は現実世界でもあれくらい生き生きした表情を見せて欲しいと思うけど、難しいんだろうな」
良平の呟きに、保は何も返せなかった。
「あ、文化祭は行きますから」
「ちょっ!?」
「生カナリアを見に行きます」
しれっと言ってのけた保に、正芳がどん引きしていた。
「ある意味怖いよ、お前」
なんとでも言え。それが保の言い分だった。
「ん。しばらくは『TabTapS!』の中でしか会わないって約束してある」
「なんだよそれ、何の縛りプレイだ? 保」
「うっさい。黙れ正芳」
今日は久しぶりに同級生である日内 正芳と酒を飲み交わしている。
ゲーム内では「ジャスティス」と名乗る、ベテランプレーヤーだ。
「そういや、良平先生も来るって言ってたぞ。あと晴香さんも仕事が終わったら合流するとさ」
「見てやがったな」
「ナンノコトヤラ」
わざとらしく棒読みで言ってくるあたり、あれを見ていたのだろう。
「いいんだよ。カナリアはまだ高校生だし、俺の理性がぶっ飛んだりしないようにするには、ゲーム内で会うほうがいい」
それに、ゲーム内のほうが流れる時間が早い。そのため、カナリアが一時間しか繋げなくても、ゲーム内では四時間一緒にいたような感覚になれる。
「うっわぁ……俺引いちゃうわ」
そこまでしないと理性を抑えられないなんて、獣と一緒じゃん。そう後ろから誰かが言ってきた。
「良平先生、悪趣味ですね」
「それくらいしないと。今の可愛い教え子が食われちまう」
「善処します」
「お前、しばらく会うな」
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いっつも似たような服を着せられているから、男物もいいかと思ったから。ワンピースが可愛いから。
そう言って自分で色々試している。
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「あ、文化祭は行きますから」
「ちょっ!?」
「生カナリアを見に行きます」
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「ある意味怖いよ、お前」
なんとでも言え。それが保の言い分だった。
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