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フレンド
カナリアの苦しみ
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セバスチャンの出したお茶と菓子でまったりと休憩をしていく。ジャッジたちは酒盛りになるらしく、別の部屋に行っている。
「どうでしたか?」
「うん。他の人の作業見るのって、凄く勉強になります。私、付加価値をつけるのは自己流でしたけど、こういった方法もあるんだなって。そうするとMND以外もつけれるんだなって」
人が多くなりすぎて怖くなったのは、仕方ないと思う。
「それはようございました。ただ、さすがに人が多いのは駄目でしたか」
「……悪い人たちじゃないって分かってるんですが、どうしても怖かったんです」
現実世界で成人男性と話す機会があるのは学校と、家くらいだ。あとはいとこ。見ず知らずの男性と話したのは「TabTapS!」内で初めてだった。
ジャッジと話せたのは、おそらくあの時助けてもらえたからだろう。
「仕方ないでしょうね。ミ・レディは人見知りしているようですし。通りすがりのPCともほとんど話しておりませんし、飛び入りでのクエストにも行きませんからね」
「ダメ、なんでしょうか」
「駄目ではありませんよ。ただ、ミ・レディは少し周囲を見渡すことも必要かと思ったのです」
「セバスチャン……」
一番傍にいてくれるのが、セバスチャンでよかったとカナリアは心から思った。
「こちら時間で明日には、ディスカス様が鍛冶師の作業を教えてくれるそうですよ」
「今回はいいです。しっかりと付加価値のつけ方を習いたいですし」
「……左様ですか」
にっこりと微笑んだセバスチャンを見ていると、少しだけ眠くなった。
「少しばかりログアウトなさってはいかがですか? 寝オチは危険ですから、あちらの時間で三十分ほど休んでからいらっしゃるとよろしいかと思います」
「はい」
この場所を次のログイン場所に指定して、カナリアはログアウトした。
「ミ・レディ。あなたは己を苦しめているのです。もっと楽しんでいただきたいのです」
セバスチャンはカナリアがいなくなってから、呟いた。
「どうでしたか?」
「うん。他の人の作業見るのって、凄く勉強になります。私、付加価値をつけるのは自己流でしたけど、こういった方法もあるんだなって。そうするとMND以外もつけれるんだなって」
人が多くなりすぎて怖くなったのは、仕方ないと思う。
「それはようございました。ただ、さすがに人が多いのは駄目でしたか」
「……悪い人たちじゃないって分かってるんですが、どうしても怖かったんです」
現実世界で成人男性と話す機会があるのは学校と、家くらいだ。あとはいとこ。見ず知らずの男性と話したのは「TabTapS!」内で初めてだった。
ジャッジと話せたのは、おそらくあの時助けてもらえたからだろう。
「仕方ないでしょうね。ミ・レディは人見知りしているようですし。通りすがりのPCともほとんど話しておりませんし、飛び入りでのクエストにも行きませんからね」
「ダメ、なんでしょうか」
「駄目ではありませんよ。ただ、ミ・レディは少し周囲を見渡すことも必要かと思ったのです」
「セバスチャン……」
一番傍にいてくれるのが、セバスチャンでよかったとカナリアは心から思った。
「こちら時間で明日には、ディスカス様が鍛冶師の作業を教えてくれるそうですよ」
「今回はいいです。しっかりと付加価値のつけ方を習いたいですし」
「……左様ですか」
にっこりと微笑んだセバスチャンを見ていると、少しだけ眠くなった。
「少しばかりログアウトなさってはいかがですか? 寝オチは危険ですから、あちらの時間で三十分ほど休んでからいらっしゃるとよろしいかと思います」
「はい」
この場所を次のログイン場所に指定して、カナリアはログアウトした。
「ミ・レディ。あなたは己を苦しめているのです。もっと楽しんでいただきたいのです」
セバスチャンはカナリアがいなくなってから、呟いた。
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