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始まりの章
拠点をどうするのか
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何度か戦闘をこなしていくうちに苦労せずクエストをクリアできるようになっていた。
ただし、補助をかけるAIが二人に不要なモンスターを倒すジャッジがいるということが大きいのだが。
「あーーーー!!」
剝ぎ終わり、休息場でセバスチャンが肉を焼いている時にカナリアが叫んだ。
「どうした?」
「皮っ! 腐ってたらどうしましょう!?」
「……何の話だ」
慌てふためくカナリアを、ジャッジが宥める形となっていた。
「最初のクエストで貰った熊さんの毛皮です! 私バッグに入れっぱなしなんです! あれから日にちもかなりたってますから、バッグの中で腐ってたらどうしようかと……」
話を聞いたジャッジは、それこそ腹を抱えて笑った。
「大丈夫だ。鞄に入れた剥ぎ取りアイテムは、その時点から状態保存される。だから問題ない」
「よかったぁ」
ほっとするカナリアを見たジャッジは、なおのこと癒されていくのが分かった。
「今日は予定よりも早くクエストが終わったから、飯食ったら町に戻る。一応あの街にも細工職人と皮のなめし職人がいるからそこに弟子入りしとけ」
「弟子入り、ですか?」
「あぁ。その方がスキルUPしやすいんだ」
ジャッジのその言葉に、カナリアはすぐさまセバスチャンを頼ってタブレットを操作していた。
その間、ジャッジもタブレットを操作している。
ジャッジからしてみれば、半年振りに拠点購入をするのだ。
以前メインとして使っていた拠点を引き払ったのは、知り合いの溜まり場と化したからだ。そんなことになって嫌気が差した。それ以来、倉庫を一つだけ山奥において、ふらふらとしている。
拠点の設定をどうするかによって、だいぶ変わってくる。
自分だけしか入れないのでは、カナリアも大変だろう。だが、フレンド全員にしてしまえば、知り合いがどっと押し寄せてくる。それも勘弁だ。
では、自分が許可した人物だけというのはどうなのだろうか。あいつらのことだ。女を連れ込んで……とからかってくるだろう。ジャッジは一向に構わないが、カナリアはそういったジョークを流せないと思ってしまう。
カナリアと二人でギルドを作ったとしても、同じだ。カナリアが慣れるまでは、あの濃い面々と一緒にいるのは無理だろう。
「マスター。いっそのことカナリア嬢にお金を渡して拠点を購入させ、フレンドしか入れない設定にさせたらいいのではないのですか?」
「……やっぱりそれか」
カナリアがあまりよしとしないだろう。そのあたりはセバスチャンも巻き込んで説得させればいい。
何度かクエストをクリアしたこと、そしてモンスターを倒したことでカナリアのLVは少しずつ上がっている。金銭的余裕があるなら、持っていてもおかしくない。
カナリアとセバスチャンは弟子入りの場所を決めたようだ。
そちらに挨拶するということで、なるべく早めに町に戻るという。
ジャッジもゆっくりと腰を上げ、リースと共に二人のあとを追った。
ただし、補助をかけるAIが二人に不要なモンスターを倒すジャッジがいるということが大きいのだが。
「あーーーー!!」
剝ぎ終わり、休息場でセバスチャンが肉を焼いている時にカナリアが叫んだ。
「どうした?」
「皮っ! 腐ってたらどうしましょう!?」
「……何の話だ」
慌てふためくカナリアを、ジャッジが宥める形となっていた。
「最初のクエストで貰った熊さんの毛皮です! 私バッグに入れっぱなしなんです! あれから日にちもかなりたってますから、バッグの中で腐ってたらどうしようかと……」
話を聞いたジャッジは、それこそ腹を抱えて笑った。
「大丈夫だ。鞄に入れた剥ぎ取りアイテムは、その時点から状態保存される。だから問題ない」
「よかったぁ」
ほっとするカナリアを見たジャッジは、なおのこと癒されていくのが分かった。
「今日は予定よりも早くクエストが終わったから、飯食ったら町に戻る。一応あの街にも細工職人と皮のなめし職人がいるからそこに弟子入りしとけ」
「弟子入り、ですか?」
「あぁ。その方がスキルUPしやすいんだ」
ジャッジのその言葉に、カナリアはすぐさまセバスチャンを頼ってタブレットを操作していた。
その間、ジャッジもタブレットを操作している。
ジャッジからしてみれば、半年振りに拠点購入をするのだ。
以前メインとして使っていた拠点を引き払ったのは、知り合いの溜まり場と化したからだ。そんなことになって嫌気が差した。それ以来、倉庫を一つだけ山奥において、ふらふらとしている。
拠点の設定をどうするかによって、だいぶ変わってくる。
自分だけしか入れないのでは、カナリアも大変だろう。だが、フレンド全員にしてしまえば、知り合いがどっと押し寄せてくる。それも勘弁だ。
では、自分が許可した人物だけというのはどうなのだろうか。あいつらのことだ。女を連れ込んで……とからかってくるだろう。ジャッジは一向に構わないが、カナリアはそういったジョークを流せないと思ってしまう。
カナリアと二人でギルドを作ったとしても、同じだ。カナリアが慣れるまでは、あの濃い面々と一緒にいるのは無理だろう。
「マスター。いっそのことカナリア嬢にお金を渡して拠点を購入させ、フレンドしか入れない設定にさせたらいいのではないのですか?」
「……やっぱりそれか」
カナリアがあまりよしとしないだろう。そのあたりはセバスチャンも巻き込んで説得させればいい。
何度かクエストをクリアしたこと、そしてモンスターを倒したことでカナリアのLVは少しずつ上がっている。金銭的余裕があるなら、持っていてもおかしくない。
カナリアとセバスチャンは弟子入りの場所を決めたようだ。
そちらに挨拶するということで、なるべく早めに町に戻るという。
ジャッジもゆっくりと腰を上げ、リースと共に二人のあとを追った。
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