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ミケ、若い連中との認識のずれに愕然とする
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この家の中で、ナワバリを持つのは禁止事項らしい。厄介な。
『しゃーないだろ? こんなにいるんだし。あとは、〈ひきとり〉に来るニンゲンもいるし』
む? 「ひきとり」とな?
『あとは下で気に入ったヒトに撫でてもらうと、おやつがもらえたりするの!』
……まったく意味分らんのだが。
『おやつもらえることによって、子猫たちのおもちゃが増えたり、病気にならないための処置してもらったりするの』
どうやら、先ほど我に忠告を促した猫と残り二猫のメスがこの中でも古参の部類らしく色々知っておった。
『我としては、この家でねこまんまが出るかが気になるのじゃが』
『ねこまんまって、何?』
この三猫どころか、ほかの猫までもが「それってなぁに」と言い出した。
なんだと!? ねこまんまを知らぬとな?
どうやら、ここではねこまんまは出ないらしい。猫用に作られた餌やおやつがあるらしく、それを貰っているのだとか。
そういえば、最近貰う餌はそういったものであったな。
『最近て……ネコマタ様の時間の流れがめっさきになる』
聞いていた若猫がそんなことを言い出した。ナニユエ?
『俺ら、外で時々味の濃いやつもらう時あったけど、たいてい俺ら用に作られた餌だったよ』
『ふむ。我は人里から離れたところに居ったからの。そういった餌を持っている輩がおらんかったか』
『どんだけ山の中にいたのさ!?』
若いの、煩いぞ。
さすがにネギが我らに悪いことくらい知っておるわ。
『いや、それ以前の問題……』
そこにいた猫たちがうんうんと頷いた。……なんか酷くないかの?
夜に餌を貰った後、だいぶ人間が少なくなった。どうやら、「通い」で来ている者たちらしい。
通いの者たちに給料を支払うためにも、我らが下で頑張るとな。なるほど。
ならば、我も一肌脱ぐとするかの。
「ひとなつっこい」猫への擬態は得意であるぞ? それに一緒に来た母猫の乳の出が悪いらしい。ほかのメスも「ひにんしゅじゅつ」をしているらしく、乳は出ないと言っていた。ならば、この我が撫でられて、餌代を稼ぐしかあるまい。その一部を母猫用にすればいいだけだ。
我は子のために頑張るぞ!!
……そう思っていたのだがのぅ。
『しゃーないだろ? こんなにいるんだし。あとは、〈ひきとり〉に来るニンゲンもいるし』
む? 「ひきとり」とな?
『あとは下で気に入ったヒトに撫でてもらうと、おやつがもらえたりするの!』
……まったく意味分らんのだが。
『おやつもらえることによって、子猫たちのおもちゃが増えたり、病気にならないための処置してもらったりするの』
どうやら、先ほど我に忠告を促した猫と残り二猫のメスがこの中でも古参の部類らしく色々知っておった。
『我としては、この家でねこまんまが出るかが気になるのじゃが』
『ねこまんまって、何?』
この三猫どころか、ほかの猫までもが「それってなぁに」と言い出した。
なんだと!? ねこまんまを知らぬとな?
どうやら、ここではねこまんまは出ないらしい。猫用に作られた餌やおやつがあるらしく、それを貰っているのだとか。
そういえば、最近貰う餌はそういったものであったな。
『最近て……ネコマタ様の時間の流れがめっさきになる』
聞いていた若猫がそんなことを言い出した。ナニユエ?
『俺ら、外で時々味の濃いやつもらう時あったけど、たいてい俺ら用に作られた餌だったよ』
『ふむ。我は人里から離れたところに居ったからの。そういった餌を持っている輩がおらんかったか』
『どんだけ山の中にいたのさ!?』
若いの、煩いぞ。
さすがにネギが我らに悪いことくらい知っておるわ。
『いや、それ以前の問題……』
そこにいた猫たちがうんうんと頷いた。……なんか酷くないかの?
夜に餌を貰った後、だいぶ人間が少なくなった。どうやら、「通い」で来ている者たちらしい。
通いの者たちに給料を支払うためにも、我らが下で頑張るとな。なるほど。
ならば、我も一肌脱ぐとするかの。
「ひとなつっこい」猫への擬態は得意であるぞ? それに一緒に来た母猫の乳の出が悪いらしい。ほかのメスも「ひにんしゅじゅつ」をしているらしく、乳は出ないと言っていた。ならば、この我が撫でられて、餌代を稼ぐしかあるまい。その一部を母猫用にすればいいだけだ。
我は子のために頑張るぞ!!
……そう思っていたのだがのぅ。
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