この恋は恋なんて言わない

文字の大きさ
上 下
12 / 80

12話

しおりを挟む




「何か行けなかったですか?」



僕はその空気に耐えられなくなり聞いてみると



「全然。そんなじゃなくてね、」











少ししてからお母さんは口を開いた















「うちはね、老舗の和食屋でね。




だから、後継ぎ 問題とかあったりしてね。

ウチは、一人っ子だから小さい頃から悟は後継ぎだって言われて来てて…



いつしか、悟も大きくなるにつれて、お父さんともぶつかるようになって(俺は後を継がない)って悟が言ったの。

そしたら、お父さんもまた頑固だから出て行け。って言ってそのまま、20歳の時に出て行ったきりお父さんとは会話もしてないし…ずっとこんな状態なの。」





「じゃ、後継ぎ…は」



「今はね、もう弟子達がいるからその子達に継がせると思うけど、お父さんは多分まだ諦めてないと思うんだよね」




「そうなんですね」





「うん。だからね、あの子が人様に料理するなんて思ってなかったからビックリしちゃって、」






そんな事あったんだ。って思って 卵焼きの事を思い出して ハッとなった





「あの、もしかして…」




「うん」



「この前、現場にお弁当送って下さいませんでしたか?」




「いつだろう?」




「ここ最近なんでけど、うちの社長が最近通ってる和食屋さんがあってそこが美味しいから今度特別にお弁当作ってもらうって言ってて、この前食べたんですよ。お弁当。」






「もしかして、高杉社長さん? 」





「はい、うちの社長です」





「あぁ、実はねあの2人幼馴染なのよ」 



「え?!  そうなんですか!」



「そうなの。だから、最初に高杉さんが成功した時はお父さんすごく喜んでたわ。あいつ成功したから、お父さんも頑張るって!。 今でも、すごく仲良いのよ。  だから、いつもならお弁当なんてうちやってないからね? 絶対作らないのに作ってたから…そういう事だったのね」




「本当に本当に美味しいかったです。ありがとうございました。とお伝え下さい」



「分かりました。」とお母さんは笑っていた





僕は、そんなお母さんに声をかけた


「あの、良かったら悟さんの作った卵焼き食べてみませんか?」



「え…」




「本当に、現場で食べたお弁当と悟さんの味同じなんです」


と言って僕はキッチンへ行きお箸とお皿を持ちお母さんが座ってくれたテーブルの前に用意した




「じゃ1つだけ。 いただきます」


と言ってお母さんは一口食べると涙を流していた








俺は、慌てて「大丈夫ですか?」とティッシュを取りにいき渡すと「ありがとう」と言って涙を拭いていた








「初めて覚えた料理が卵焼きだったの。」



「そうだったんですね」



「……ありがとうね。食べさせてくれて。」



「いえ。僕は何も…」




お母さんは食べ終え洗い物だけするから蓮君は食べててと言われ俺は座ってもう一度「いただきます。」と手を合わせ食事を始めた





少ししてお母さんは洗い物が終わり




「今日はもう帰るね」


「もう帰られるんですか?」



「うん。蓮くんのお陰で部屋が片付いてるし何もする事ないから。」



「そんな事ないですよ」



すると、お母さんは僕の手を掴み


「これから、悟の事よろしくね。また、店にも遊びに来てね。」と言われ…








僕は、困惑しながらも「あ、はい」と返事をし、お母さんを見送った





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

有能社長秘書のマンションでテレワークすることになった平社員の俺

高菜あやめ
BL
【マイペース美形社長秘書×平凡新人営業マン】会社の方針で社員全員リモートワークを義務付けられたが、中途入社二年目の営業・野宮は困っていた。なぜならアパートのインターネットは遅すぎて仕事にならないから。なんとか出社を許可して欲しいと上司に直談判したら、社長の呼び出しをくらってしまい、なりゆきで社長秘書・入江のマンションに居候することに。少し冷たそうでマイペースな入江と、ちょっとビビりな野宮はうまく同居できるだろうか? のんびりほのぼのテレワークしてるリーマンのラブコメディです

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

旦那様と僕

三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。 縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。 本編完結済。 『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。

狼騎士は異世界の男巫女(のおまけ)を追跡中!

Kokonuca.
BL
異世界!召喚!ケモ耳!な王道が書きたかったので ある日、はるひは自分の護衛騎士と関係をもってしまう、けれどその護衛騎士ははるひの兄かすがの秘密の恋人で…… 兄と護衛騎士を守りたいはるひは、二人の前から姿を消すことを選択した 完結しましたが、こぼれ話を更新いたします

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

処理中です...