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11章
11-7 理解を得られないのは当たり前だけど・・・
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「私の身体が不自由なことで私にとって何がどうなのかは私以外の人間はわからない。」ということで、傷つくことは多かった。
もちろん相手側は純粋にわからない。だから私は「本当のこと」を言うことは絶対にしないようにした。
半身不自由であることを話しても都度都度どうあるだとかは言わないようにしていたのだ。
なぜなら気を使わせるからだ。余計な気を使わせたくなかったのだ。
せっかくの楽しい空気を崩したくなかったのだ。
左手足には力が入らない。コントロールが出来ないからうまく力を入れられない。
だからある時、常連さんみんなでふざけていた時、「これは抵抗が出来ない」と思うことがあった。
その時、私はすべてを守ることは諦め、最低限守りたいものだけを守ろうとした。
退院後そんなことは日常茶飯事だった。
倒れる前なら「あれもこれも守る」という発想だったが、でも「あれもこれも守る」ことは出来ないから「最低限守りたいものだけを守る」発想になったのだ。
「なった」というか、ならざるを得なかった。「あれもこれも」は無理だったから。
「守る」という表現は少し誤解が生じるかもしれないが、細かく各物事に当てはめると表現が変わるので大きくまとめて「守る」という表現にしている。
小さなことに自分の気持ちを煩わせても身体が追いつくことが出来ないので小さなことは諦めることにしたのだ。
「絶対これだけは!」というものだけを守れるようにしていようと決めたのだ。
でもそんな私の内側の事情も気持ちも私以外の人間はわからない。
そんな気持ちでやり過ごしていた私に、常連さんの男性のひとりが「(みんなでふざけていた時に抵抗しなかった私に対して)あれはみんなを楽しませるためにしたんでしょう?」と、さも「自分はわかってるよ」という感じで言ってきたことがあった。
それを言われた時私はものすごく悲しくなった。
泣きたい気持ちになった。
本当のことを言いたくなったが、言わなかった。
言ったところで、気を使わせるだけで、その人が「わかる」ことはないと思ったからだ。
だって、その男性がそんなことを言う人であるということは、その人が「わかる」ことはおそらくない。
そもそも私はそれまでもその後も今も誰かに「わかってほしい」と思ったことはない。
「わからない」のは当たり前だと思っているからだ。
なぜなら、「もし自分が健康体だったとして、今の自分のような身体の人がいたら、健康体の自分はその人のことは絶対にわからないな」と思っているからだ。
不自由さやそれに伴う多くのことは本人以外はきっとわかることはないと思っている。
これに関しては、仕方ないことだと思っている。
それでもその人のそんな発言には傷ついた。
それもまぁ仕方ないのだろう。
もちろん相手側は純粋にわからない。だから私は「本当のこと」を言うことは絶対にしないようにした。
半身不自由であることを話しても都度都度どうあるだとかは言わないようにしていたのだ。
なぜなら気を使わせるからだ。余計な気を使わせたくなかったのだ。
せっかくの楽しい空気を崩したくなかったのだ。
左手足には力が入らない。コントロールが出来ないからうまく力を入れられない。
だからある時、常連さんみんなでふざけていた時、「これは抵抗が出来ない」と思うことがあった。
その時、私はすべてを守ることは諦め、最低限守りたいものだけを守ろうとした。
退院後そんなことは日常茶飯事だった。
倒れる前なら「あれもこれも守る」という発想だったが、でも「あれもこれも守る」ことは出来ないから「最低限守りたいものだけを守る」発想になったのだ。
「なった」というか、ならざるを得なかった。「あれもこれも」は無理だったから。
「守る」という表現は少し誤解が生じるかもしれないが、細かく各物事に当てはめると表現が変わるので大きくまとめて「守る」という表現にしている。
小さなことに自分の気持ちを煩わせても身体が追いつくことが出来ないので小さなことは諦めることにしたのだ。
「絶対これだけは!」というものだけを守れるようにしていようと決めたのだ。
でもそんな私の内側の事情も気持ちも私以外の人間はわからない。
そんな気持ちでやり過ごしていた私に、常連さんの男性のひとりが「(みんなでふざけていた時に抵抗しなかった私に対して)あれはみんなを楽しませるためにしたんでしょう?」と、さも「自分はわかってるよ」という感じで言ってきたことがあった。
それを言われた時私はものすごく悲しくなった。
泣きたい気持ちになった。
本当のことを言いたくなったが、言わなかった。
言ったところで、気を使わせるだけで、その人が「わかる」ことはないと思ったからだ。
だって、その男性がそんなことを言う人であるということは、その人が「わかる」ことはおそらくない。
そもそも私はそれまでもその後も今も誰かに「わかってほしい」と思ったことはない。
「わからない」のは当たり前だと思っているからだ。
なぜなら、「もし自分が健康体だったとして、今の自分のような身体の人がいたら、健康体の自分はその人のことは絶対にわからないな」と思っているからだ。
不自由さやそれに伴う多くのことは本人以外はきっとわかることはないと思っている。
これに関しては、仕方ないことだと思っている。
それでもその人のそんな発言には傷ついた。
それもまぁ仕方ないのだろう。
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