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9章
9-1 退院後のリハビリ~病院を変えるきっかけ~
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退院後も毎日自主練リハビリをした。
バランスボールやバランスパッドを買って、それらを使って家の中でリハビリをして、夕方になると外歩きのリハビリをした。
外歩きは日焼けをしたくなかったので日が沈む頃にするようにしていた。
坂を上る時の足の角度を身体に覚えこませるのがいいと聞いていたので、坂道を歩くようにしていた。
この頃いつも思っていたことは、「感覚がほしい」ということだった。
左足の感覚はなかったから。
歩いているのに感覚がないのだ。
歩いてはいるのだけど、左足に私の意思は伝わってはいなくて、「自分で歩いている」という感覚が左足にはなかった。
地面を踏みしめて歩いている感覚がないのだ。
私の左半身は私の右半身に「とりあえずついてきているだけ」という感じだ。
感覚を取り戻せるのか、一生このままなのか、何もわからなかった。
これからどうなるのかわからなかった。
身体がどこまで回復するのか、
いつになれば自由な身体になれるのか、
そもそも回復するのか、
この先この身体で私は生きていくのか、
何もわからない。
いろんなことが不安の塊になっていった。
何もわからなかったけれど、私は信じた。
身体は良くなる、と。
とにかく信じた。
信じるしかなかった。
信じてリハビリを続ける以外、身体が良くなる方法は思いつかなかった。
だから、ただひたすら毎日リハビリをした。自分が出来ることはそれしかなかった。
信じて頑張ること。
それしかなかった。それ以外なかった。
どうしたら身体が良くなるのか。
良くなるまでリハビリを続ける。
身体が良くなると信じてリハビリを続ける。
それだけ。
退院後は回復期病院に通院してリハビリを続けることになっていた。
リハビリの内容は入院時と変わるわけではなく、バランスボールを使ったり歩いたりということをしていた。
ある日、廊下で早歩きの練習をしていた。
「走れるようになりたい」と私が言っていたので、廊下で時間を計りながら早歩きの練習をしていた。
この頃の私の歩行はまだまだ不安定なうえ遅かった。私は自分の身体はまだまだ不自由だと感じていた。しかし、担当の療法士の男性がこんなことを言った。
「あなたは理学療法的にゴールしてるんですよねぇ」
え?
ゴール?
私はゴールしてないけど?
ゴールまでだいぶ遠いけど?
理学療法的にゴールしてるってどういう意味?
私はその言葉を聞いて、病院を変えることを決めた。
診てくれる人にとって「ゴール」しているのなら、私の身体の回復は期待出来ないと思ったからだ。
だって私は「ゴール」していないのに彼の中で「ゴール」しているということは、もうその病院で出来ることはないということになる。
それから、「リハビリがいいらしい」と人から聞いた病院に問い合わせて見学に行ったり、近所の整骨院に行ったりして話を聞いたりした。でもどれもあまりピンとこなかった。
やっぱり急性期病院のリハビリがよかったなぁ・・・
あの病院でリハビリは受けられないのかなぁ・・・
そんなことを思っていたので、その病院に何度か問い合わせ、どうしてもそこのリハビリが受けたいと頼み込んだ。
すると、思いが伝わったのかはわからないが、なんとか受け入れてもらえることになった。
バランスボールやバランスパッドを買って、それらを使って家の中でリハビリをして、夕方になると外歩きのリハビリをした。
外歩きは日焼けをしたくなかったので日が沈む頃にするようにしていた。
坂を上る時の足の角度を身体に覚えこませるのがいいと聞いていたので、坂道を歩くようにしていた。
この頃いつも思っていたことは、「感覚がほしい」ということだった。
左足の感覚はなかったから。
歩いているのに感覚がないのだ。
歩いてはいるのだけど、左足に私の意思は伝わってはいなくて、「自分で歩いている」という感覚が左足にはなかった。
地面を踏みしめて歩いている感覚がないのだ。
私の左半身は私の右半身に「とりあえずついてきているだけ」という感じだ。
感覚を取り戻せるのか、一生このままなのか、何もわからなかった。
これからどうなるのかわからなかった。
身体がどこまで回復するのか、
いつになれば自由な身体になれるのか、
そもそも回復するのか、
この先この身体で私は生きていくのか、
何もわからない。
いろんなことが不安の塊になっていった。
何もわからなかったけれど、私は信じた。
身体は良くなる、と。
とにかく信じた。
信じるしかなかった。
信じてリハビリを続ける以外、身体が良くなる方法は思いつかなかった。
だから、ただひたすら毎日リハビリをした。自分が出来ることはそれしかなかった。
信じて頑張ること。
それしかなかった。それ以外なかった。
どうしたら身体が良くなるのか。
良くなるまでリハビリを続ける。
身体が良くなると信じてリハビリを続ける。
それだけ。
退院後は回復期病院に通院してリハビリを続けることになっていた。
リハビリの内容は入院時と変わるわけではなく、バランスボールを使ったり歩いたりということをしていた。
ある日、廊下で早歩きの練習をしていた。
「走れるようになりたい」と私が言っていたので、廊下で時間を計りながら早歩きの練習をしていた。
この頃の私の歩行はまだまだ不安定なうえ遅かった。私は自分の身体はまだまだ不自由だと感じていた。しかし、担当の療法士の男性がこんなことを言った。
「あなたは理学療法的にゴールしてるんですよねぇ」
え?
ゴール?
私はゴールしてないけど?
ゴールまでだいぶ遠いけど?
理学療法的にゴールしてるってどういう意味?
私はその言葉を聞いて、病院を変えることを決めた。
診てくれる人にとって「ゴール」しているのなら、私の身体の回復は期待出来ないと思ったからだ。
だって私は「ゴール」していないのに彼の中で「ゴール」しているということは、もうその病院で出来ることはないということになる。
それから、「リハビリがいいらしい」と人から聞いた病院に問い合わせて見学に行ったり、近所の整骨院に行ったりして話を聞いたりした。でもどれもあまりピンとこなかった。
やっぱり急性期病院のリハビリがよかったなぁ・・・
あの病院でリハビリは受けられないのかなぁ・・・
そんなことを思っていたので、その病院に何度か問い合わせ、どうしてもそこのリハビリが受けたいと頼み込んだ。
すると、思いが伝わったのかはわからないが、なんとか受け入れてもらえることになった。
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