女30歳、脳梗塞、左半身不自由になりまして

ゆるり

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6章

6-8 回復期病院入院生活~カエル~

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 ある日、食堂の私の席の隣の人が退院され、別の女性がその席に来るようになった。
 穏やかで優しそうな感じの女性だった。話していると、どうやら病室も同じになりそうだった。
 その女性は別の病院からの転院ではなく、同じその病院の別のフロアから4階に来ることになっているらしかった。 
 ほどなくしてその女性が同じ病室にやってきた。 

 これで、病室の窓側に、物静かで目鼻立ちのはっきりしたお顔の年配の女性Aさんと食堂で私と同じテーブルの女性Cさん、廊下側に、私とさばさばしたした女性Bさんの4人になった。 
 同じ部屋で長く過ごした人たちがこの人たちで本当に良かったと思った。それぞれ優しくて温かくて楽しかった。 

 Aさんは長く入院されていたらしく退院日が近かった。
 退院日が近かったからか、彼女のリハビリはほとんど外歩きだった。 
 Aさんは外歩きから帰ってくると、「リハビリの兄ちゃんが速く歩くから追いつかないといけないと思って速く歩いてすごく疲れる」なんて言っていて、それを聞き他3人で「大変だぁ」なんて言って笑っていた。
 でもその「リハビリの兄ちゃん」は、Aさんが速く歩くから速く歩いていると言っていて、それを聞いてまたみんなで笑った。 

 ある日4人で話していると、カエルは「早く家に帰る(かえる)」のゲン担ぎらしいだとかっていう話題が出たことがあった。
 それで、Aさんが退院前の外泊か何かの際に同じ部屋の私たち3人にカエルのマスコットのついたキーホルダーのようなものをプレゼントしてくれた。
 3人色違いのカエルで、私は黄色のカエルをいただいた。 
 Aさんは「早く帰れますように」と言って3人に渡してくれた。 
 嬉しかった。 
 絶対早く帰ろうと改めて思った。 

 そして、Aさんが退院して、窓側が空いた。すると向かいのベッドだったBさんが窓側に移りたいと言って窓側に移った。
 これで窓側にBさんとCさん、廊下側に私と空いたベッドという状況になった。3人になっても明るく楽しく過ごしていた。 

 

 ある日、別の部屋から恰幅のいい女性が移動してきた。
 その女性は別の部屋にいたが、こちらの部屋の空いているベッドの場所(Bさんが元々いたベッドの場所)がトイレに近いということで担当の療法士さんと相談して移動することになったらしかった。
 その女性も脳梗塞で脳幹梗塞という脳梗塞の中でも後遺症がひどいケースの多い脳梗塞らしいとのことだったが、本人曰くそこまでひどい後遺症ではなかったそうだ。
 小学生のお孫さんがいるようだったがそんなに年配な印象は受けなかった。この女性も明るい方だった。 

 この女性をDさんとして、部屋は4人になった。この4人部屋はまるで家族のようだった。 
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