女30歳、脳梗塞、左半身不自由になりまして

ゆるり

文字の大きさ
上 下
14 / 68
4章

4-3 急性期病院でのリハビリ~理学療法士さんのリハビリ~

しおりを挟む
 リハビリの時は、療法士さんたちが病室へ迎えにきてくれて、車椅子に乗り、療法士さんに車椅子を押されてリハビリ室へ行った。 

 リハビリはほぼ毎日あった。 

 理学療法士さんのリハビリでは主に足、作業療法士さんのリハビリでは主に手、言語聴覚士さんのリハビリでは主に口(喋る)のリハビリで、それぞれ1日1時間。 

 病室にいると彼女たちがお迎えに来てくれた。私は彼女たちが迎えに来てくれるのが楽しみだった。
 彼女たちとお喋りするのも楽しかったし、リハビリを頑張って身体を早く良くしたいと思っていたので、「身体を良くする時間」と思うと彼女たちがお迎えに来てくれる時が待ち遠しかった。 

 

 私はリラックマが好きなのだが、理学療法士のKさんもリラックマが好きで、よくリラックマの話で盛り上がった。
 彼女はとてもさばさばした女性だった。 

 Kさんのリハビリでは、平行棒で歩く練習をしたり、仰向けの状態でバランスボールをふくらはぎの下あたりに置いてその上で両足を左右に動かしたり、両手両膝を床につけた状態(四つん這い)から右手と左足を床から離して伸ばしたりその反対をしたり、そんなことをした。 

 ある日の平行棒のリハビリで、「裸足でやってみましょう」ということで、スニーカーを脱いだ。
 車椅子に座った状態でスニーカーを脱ぎ、裸足になり、目の前の平行棒に掴まって立ち上がった。
 そしてその平行棒の中を平行棒に掴まりながら裸足で歩いた。
 左半身の感覚はなかったが、温度を感じる感覚は失っていなかったので、足の裏からリハビリ室の床のヒンヤリしたものを感じることは出来た。
 足裏の皮膚から冷たい床を感じた。
 「冷たい」と感じることは出来ても足の感覚はなかった。
 裸足で歩くのは、足裏から刺激を与えることが出来るということらしく、スニーカーで歩くのとは確かに違った。 


 また別の日の平行棒のリハビリでは、Kさんが可動式の全身鏡を平行棒の先に置いて、「ここに映る自分の歩行姿を見ながら歩いてみましょう」ということで、鏡に映る自分を見ながら歩くことになった。
 鏡に映る自分に向かって歩くことで「前を見る」ことが出来て且つ自分の歩行姿を確認することも出来る、という効果があるらしかった。
 まずは目の前の平行棒に掴まり立ち上がる。
 前を向くと全身鏡に病衣を着た自分が映っていた。鏡に映る自分に向かって平行棒の中を平行棒に掴まりながら歩いた。
 この時の自分の歩行姿を私はあまりきちんと見ることが出来なかった。なぜなら、歩行時私は自分の足元を見ながらじゃないと怖くて歩けなかったからだ。
 前を見ながら歩くという本来の歩行が出来るようになるにはけっこう時間がかかった。 


 他にも、バランスボールを使って色々な運動をした。
 リハビリ室の畳のところで仰向けになってバランスボールを腰の下あたりに置いて片足を畳に置きもう片方の足を伸ばした状態をつくり、この片足を伸ばすのをそれぞれの足で交互に行った。
 バランスボールを腰の下に置いた状態で身体を保つだけでも難しかった。 

 バランスボールを使った運動は他にこんなこともした。
 やはり仰向け状態でバランスボールをふくらはぎの下あたりに置いて、バランスボールに両足を乗せたまま左右にバランスボールを動かすのだ。
 これもなかなかうまく出来なかった。すぐに足が落ちそうになるのだ。
 バランスボールを使った運動は、私にとってかなり難しかった。 


 色々な運動の中でも一番苦手だった運動がある。
 リハビリ室の畳のところで、四つん這いになって、対称の手足を伸ばすというものだ。
 例えば、まずは四つん這いになって、右手を前に伸ばす時は左足を後ろに伸ばす。
 この時、身体を支えているのは左手と右足だ。
 これがなかなか出来なかった。
 伸ばせてもその状態を保つことは出来ずすぐに伸ばした手足が畳についてしまっていた。
 この四つん這いの運動は理学療法士さんのリハビリでも作業療法士さんのリハビリでもよくやった。
 体幹を鍛えるためにこの運動は良いらしく、退院後の通院の時も「この運動は体幹を鍛えるのにいいですよ」と言われた。 

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

本当に体験した怖い話と不思議な話

呂兎来 弥欷助(呂彪 弥欷助)
エッセイ・ノンフィクション
一部を除き、私が本当に体験した怖い話と不思議な話です。 尚、特にお祓いなどは行っておりません。 また、私が話したことで、誰かになにかが起こったことはありませんが、万が一何かが起こりましても自己責任でお願い致します。 ※表紙の画像はhttps://www.pixiv.net/artworks/82600009よりお借りしました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

切り裂きジャックの昔話

切り裂きジャック
エッセイ・ノンフィクション
ノンフィクションとフィクションが混ざっています 注意。 ・次の話に進むまでがくそ遅い。 空想[フィクション]と本当の出来事[ノンフィクション]が混ざっています

毎月一本投稿で、9ヶ月累計30000pt収益について

ちゃぼ茶
エッセイ・ノンフィクション
9ヶ月で毎月一本の投稿にて累計ポイントが30000pt突破した作品が出来ました! ぜひより多くの方に読んでいただけた事についてお話しできたらと思います!

生きる 〜アルコール依存症と戦って〜

いしかわ もずく(ペンネーム)
エッセイ・ノンフィクション
皆より酒が強いと思っていた。最初はごく普通の酒豪だとしか思わなかった。 それがいつに間にか自分で自分をコントロールできないほどの酒浸りに陥ってしまい家族、仕事そして最後は自己破産。 残されたものはたったのひとつ。 命だけ。 アルコール依存専門病院に7回の入退院を繰り返しながら、底なし沼から社会復帰していった著者の12年にわたるセミ・ドキュメンタリー 現在、医療従事者として現役。2024年3月で還暦を迎える男の物語。

道草日記2025【電子書籍作家の日々徒然】

その子四十路
エッセイ・ノンフィクション
原稿が終わらない。電子書籍作家『その子四十路』のまったく丁寧じゃない、道草を食ってばかりの暮らしの記録。 2025年1月〜 ↓昨年の記録はこちら ●混迷日記2024【電子書籍作家の日々徒然】

処理中です...