女30歳、脳梗塞、左半身不自由になりまして

ゆるり

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4章

4-1 心底知りたいことが見つからない

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 「小脳は血管が多いから脳梗塞になりにくい場所なんだけどねぇ」と担当医の先生は言っていたが、同時に「小脳でよかったですね」「左でよかったですね」とも言っていた。
 でもこの時の私は半身不自由になった現実を目の前に「よかった」なんて全く思えなかった。 

 私は「動かせるけどコントロールが出来ない」身体になった。
 麻痺ではなく運動失調症という。「運動失調症も結局麻痺のひとつ」と教えてもらったのは随分後になってからのこと。 

 小脳にはどうやら身体の動かし方を記憶して身体の動きをコントロールする機能があるらしく、私は左半身の運動機能の記憶チップが壊れたようなものだった。 

 どうなるんだろう・・・ 

 いつになれば良くなるんだろう・・・ 

 小脳梗塞になった人はどうなったんだろう・・・ 

 若年性脳梗塞って・・・ 

 スマホを触れる程度に身体を動かせるようになり、スマホ画面を見ることも出来るようになってきた頃、「小脳梗塞」「若年性脳梗塞」「運動失調症」というキーワードでしょっちゅう情報を探した。 

 どのくらいの期間で、どんなことをして、どのくらい回復するのか、知りたいことだらけだった。
 しかし、知りたい情報に巡り合うことはなかった。
 どんなに検索しても出てくる情報のほとんどは「予防」、若しくは病院のホームページだった。
 あとは全く参考にならない情報。
 SEO対策のせいとまで言わないが、知りたいことを知ることがそれらのおかげで出来ず、営利目的の情報の海の中から自分の欲しい情報を見つけることが出来ないことは心底恨めしかった。 

 きっともっと探し続ければたどり着けたかもしれない情報もあったのではないかと思わないでもないが、私が探した限りでは私の知りたい情報を入手することは出来なかった。
 情報はこんなに溢れているのに、探す手段もあるのに、なのに自分が欲しい情報を見つけることが出来ないなんて。 

 
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