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小話集
思ヒ出ハ美シク、時ニ儚ク辛イモノ(前)
しおりを挟む「とうちゃ~ん!」
遊んでいた息子の流が父を呼ぶ。てけてけと駆けて来るその手には何やら黒い布を持ち、ズルズルと引きずっていた。
「…シー、だ。小梅が寝ちまったからな。」
父圭介は流に、自らの人差し指を口に押し当てて『静かにしろ。』とジェスチャーした。その腕にはもうすぐ1歳になる第二子長女の小梅が、グニャグニャの体勢で寝落ちている。
「で、どうしたんだ?流。」
「ん!あのねとうちゃんっ…、…コレなぁに?」
「あ?」
『コレ』と言ってズイと掲げて見せた黒い布。最初こそ何なのかわからなかったのだが…よくよく見て自分の物であると察した。
「お前…どっから引っ張り出して来たんだよ…」
「…。にゃは~♪」
「あ、流くんっ。またクローゼットの中に入って遊んでたの?」
「…。にゃは~♪」
そこに小梅を子供部屋に寝かせて戻って来た母の美優も加わり流に物申すのだが…当の本人は親の言う事に“にゃは♪”と笑って答えるのみ。
妹の小梅が起きていて側にいる時はリビングなどで一緒に遊ぶのが常。だが1人になると、何故か流は両親の部屋にあるクローゼットの中に潜り込み遊ぶのだ。
そして、その息子が見つけた黒い布の正体は…
「流…それは父ちゃんの『特攻服』だ。」
「…。とっこーふく?…ってなに?」
「族の頃、の…ですか?」
「あぁ。…、…懐かしいな…」
「……。」
族が解体となって以降、目に入らないクローゼットの奥へ押し込んだきりだったそれを、まさか倅が見つけ出すなど思いもしてなかった圭介。未だ見つけた『特攻服』をぎゅっと握り持つ流と共に懐かしげに見つめる。
「…とうちゃんの、だいじ、なの?」
「まぁな。…どら、貸してみ。」
息子からそれを受け取ってソファーに置いた圭介は、何故か突然に着ていたシャツを脱いで上半身裸になると、皺を伸ばすように『パン!』と鳴らしバッ!と翻し羽織る。
…フワリと舞った長い裾が落ち着く頃には、自らの背を嫁と倅に向けて見せていた。その背には『北斗鬼神愚連隊二代目特攻隊長』の文字が金色の糸で刺繍されている。
「…ほぁ~、とうちゃんカッコいい!」
「ホントだねー、お父ちゃんカッコ良いねっ、流くんっ。」
「お、そうか?」
「うん!やっぱりゅうのとうちゃん、すごー!」
「…私も凄いと思います。今でも普通に着れるだなんて。」
「くっくく…実のところ、オレもビックリしてる。まさか着られるとは思わなかった。」
族が解体となったのは、今からもう10年以上も前の事。その頃着ていたこの『特攻服』が未だに違和感やキツくなく着れるという事は、30歳を過ぎても尚、圭介の体型があの頃と何ら変わっていないという事だ。
「…。コイツを見れば…やっぱ思い出すな…」
「…流平さん、ですか?」
「……。あの頃は楽しかったけど…それと同時にキツくもある…」
懐かしむようでいて悲しみと寂しさが滲むその表情を見つめる嫁もまた複雑げ。そんな中で圭介はジッと未だに自分を見上げている倅を抱き上げギュッと掻き抱く。
…その脳裏には、一生消える事のない大切な親友の笑顔が浮かんでいた…
・・・・・・
圭介の父は仕事で出張や短期単身赴任が多く、家にいるのは年に数えるくらいしか居つく事がなかった。夫婦仲は特別悪くはなかったものの、離れて暮らしているが為に子供は彼1人。母も責任ある仕事を抱えて、バリバリと働いていた。
その為、圭介は幼い頃から寂しい思いと共に育った。…その寂しさが『ワル』の道へと進ませたのは道理。小さな頃からご近所さんの家に悪戯をし、バイクに興味を持ち改造するようになり…やがて万引きや傷害などの軽犯罪をも犯すようになる。
受験し通っていた高校も悪かった。…まるで『ワルの吹き溜まり』のような学校だったのだ。
そんなつまらない地元函館を出ると決めた時、声を掛け付いて来たのが小さい頃からいつも一緒だった南雲瞬と立花流平。
3人はそれぞれの現状のつまらなさから逃げたい一心からなけなしの金だけを持って、生まれ育った街を捨てた。
こうしてやって来た『札幌』…そこには今まで知らなかった楽しい事や幸せがあると信じて。
けれど待っていたのは現実の厳しさで、3日目にして早くも宿無しとなり食事すら事欠く有り様となってしまった。
加えて見慣れない顔である3人は何かと目立つ存在…必然的に似た毛色の人間から喧嘩を売られる始末。
「オラァ!粋がってんじゃねぇぞ!!」
「るせぇ!その言葉、まんま返してやんぜ!!」
その時も売られた喧嘩を買い、河川敷で数人相手に殴る蹴るの大暴れを演じる。そこを1台のバイクが通りすがった…が、そのまま文字通り通り過ぎて行く。
気にも止めず、相手を伸していく事しばし…ブォーン!という爆音が再び戻って来た。
「…なんだ。やられてんのかと思ったら逆かよ。…お前、強えのな。」
「…。るせぇな、邪魔するってのか…」
「そういうんじゃねぇよ。もしやられてんなら助けてやろうかと思ったんだけど…どうやら手はいらねぇみてぇだな。…そんじゃな。」
「…。な、何なんだよ…」
「…さぁ?」
圭介達は呆気に取られた。わざわざ戻って来たにも関わらず『そんじゃな。』と言ってあっさりと去って行ったのだから。
結果的に倍以上いる相手をフルボッコで返し、売られた喧嘩に勝利した圭介ら。伸びてる相手の山を遠巻きに眺めヤレヤレとひと息ついていると…再びバイクの爆音が聞こえて来た。
「うひゃー、マジで伸しちまったのっ。この人数をたったの3人で!…オイオイ、世も末だぜ。」
「…。アンタ…さっきからチョロチョロしてっけどヒマなのか?それともバカにしてんのか?」
「んー…どっちかと言えば『ヒマ』なんだけど…つうか聞いていいか?お前ら…見ねえ顔だよな、市内ではよ。」
「……。」
「…もしかしなくても…『家出』、して来たか?」
「…。だったら何なんだよっ…」
「フンッ、だと思ったぜ。ひとまずウチ来いや。…メシでも食おうぜ。」
「……、…」
「お、おい…どうする?」
南雲と流平は圭介に身を寄せ、3人はヒソヒソと話し出す。見ず知らずの兄ちゃんにいきなり『メシ食おう』などと言われもすりゃ無理もない。
「ンだよ…ンな怪しい人間じゃねぇって。…ただの世話好きな『お兄さん』なだけだ。」
“はっはは!”と軽快に笑ったヤンキーな兄ちゃんに結局は付いていき、ある一軒家にお邪魔した圭介ら。
「ちょっと~、何なのよさっきからっ。帰ったと思ったらまた出てって…って何、その子たち。」
「……。」
「あ?そこの河川敷で拾って来た。…あー、上がれや、ガキが遠慮なんかすんな。」
「……。」
「……、…」
「ちょっと八雲…この子達、不貞腐れてんの?特に真ん中の子。」
「あ?…あっはは!ちげーだろっ。目つきが悪りぃだけだ…そうだろ?」
「…うぃ。」
「っ!やっと口聞いたわね。」
「おいみずき、ひとまず何か作ってくれや。腹も膨れりゃ機嫌も良くなる。」
「はぁーっ?!何作れってのよ…何もないってばっ。」
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ぶーぶー言いながらも彼女は人数分のインスタントラーメン(卵入り)を作って振る舞った。何を言うでもなく黙々と啜る横で、3人を拾った(声を掛けた)男と家にいた女が見守る。
「俺は笛木八雲、コイツは俺の女のみずきだ。…お前ら、名前は?」
「南雲瞬っす。」
「立花流平っ♪」
「…。…清水、圭介…」
「…ふぅーん。まぁ家出だろうが何だろうが、俺にはどうでも良いけどよ…行くトコがねぇんなら、ウチにしばらく居ればいいぜ。どうせ手持ちだってねぇんだろ?」
「……。」
「ウチは親はいねぇし…俺もみずきも夜はほとんど外に出てっからよ。」
…これが、後に極道組織『北斗聖龍会』の長となる笛木八雲と、土谷みずきとの出会いだった。
赤の他人でありながら親身になってくれる笛木とみずきに、いつしか心を開くようになっていた圭介らは一飯の恩義もあって笛木と行動を共にするようになり、頭(ヘッド)として君臨する族に参加するようになる。
「へぇ~、そら大したタマだなぁ。」
「血気盛んな若者、大歓迎!」
「…つうか八雲。お前いい加減にそこらから拾ってくんの止めろよ。…とはいえ、今回ばかりは良い拾いモンしたな。」
チームの副総長穂積拓馬を始めとするメンバーも、『拾いモン』と揶揄しながらも3人を笑って受け入れる。それは圭介達にとって心地の良い居場所となっていく。
ハタと気付いた頃には圭介は特攻隊長を譲られ二代目に、南雲は遊撃隊長、流平は参謀にと、それぞれがチームになくてはならない要となっていた。
「もう!いったい何だってんだよ!」
「ン何だよ…文句あんのか、あァ?」
時々行動を共にするレディースチーム『ホーリードラゴン』の副総長翠と圭介の痴話喧嘩すら今や名物と化している。
「何だ何だ…また『夫婦喧嘩』かぁ?」
「犬も食わねぇとは言ったモンだぜ。」
「「夫婦なんかじゃねぇ!(ないよ!)」」
くわっ!と食いつく2人だが、あまりに息が合い過ぎていて目を丸くして皆がビックリし黙り込む。
「…。あっははは!圭介ぇ~、ンな見せつけてくれるなよー。」
「そういう事っ♪…いっその事、マジで付き合ったら~?」
「…てめぇら…好き勝手抜かしがってっ。誰がこんな女、好き好んで付き合うか!抱く気にもならねぇっつうの!」
「いやいや…抱く抱かないはまた別な話じゃん。」
「そこまで豪語するってこたぁ…女に『こだわり』でもあんの?お前。」
「ったりめぇだろがっ。…女は当社比で綺麗と可愛いの絶妙な具合を持っていて、かと言って弱いだけじゃなくきっちり『自分』ってモンを持ってる…なおかつボンッキュッボン!で、肌なんか…」
「…ハイハイ。なんか聞いてて恥ずくなって来たぜ…」
「ンな女いねーよ!…翠ぃ~、圭介を落とすには相当大変だよぉ~?頑張って磨かなきゃ!」
「っ!るっさいっ!な、何でそういう話になんのさ!だいたいねぇ、ボンキュボン!に何が出来んのさっ。」
「あっはっはぁ~。てめぇが『まな板』だからってガミガミすんじゃねぇよっ。」
「…、何だってぇ?…もっぺん言ってみなァ!清水!!」
ワナワナと怒りに震えながら、何処からともなく取り出した木刀で殴りかかる翠と、ケラケラと小馬鹿にながら笑い向けられる木刀をヒョイヒョイと交わし逃げる圭介。そんな日常茶飯事をある者は笑い、ある者は生温かい目で呆れたように見守る。
…とはいえ。この時語った女の理想はそのまま、後に出逢う『美優』にすっぽり当てはまるのだが…この頃はさすがに予知出来る訳がないのだった。
そんなこんなで時には面白おかしく、時には他の族と本気の体当たりをする日々は、地元にいたのでは到底味わえなかった楽しい毎日だ。
この頃にもなると、圭介達は生まれ育った街を懐かしむどころか今いる札幌に愛着を持ち…昼間にバイトをして金を稼ぎ、住民資格を得る為にアパートを借りて生活するようになる。もちろん南雲や流平もそうし、個々でそれぞれの暮らしをしていく。
南雲と流平が食う為と身形そしてバイクにひたすら稼いだ金を注ぎ込む一方、圭介はバイクに金を掛けるまでは同じだったが『ナンパ』という遊びを覚えてしまい、次々に女を取っ替え引っ替えしていた。
そんなある日…
「…つうか圭介ぇ…たりぃんだけどぉ。」
「俺も~…帰っていい?今日は集会もねぇしよぉ~…ふぁ…」
「おいっ。そんなんだからてめぇら女が出来ねぇんだよっ。」
圭介に『ナンパしに行こうぜ!』と誘われ、渋々とついて来た南雲と流平がぶーぶーと文句を言う。密かなスポットでもある某所のコンビニ前の近くにバイクを横付けし、ガードレールに並んで腰掛けて行き交う人々を見ていた。
すると1人の女子学生が3人の前を横切って行ったのだがそれに目もくれず、別なターゲットを狙う。南雲も流平も半ばナンパなんかどうでも良いやとキョロキョロしていると…流平の目に入ったのは、さっき過ぎて行った女の子が寄ってたかって男達に囲まれている姿。
「っ?!おい流平!」
見るやダッと走り出した彼は、あっという間に男達と女の子の間に割り込んで行く。
「…イヤがってんじゃん。やめといたら?」
「あァ?!…何なんだよ、いきなり割り込んで来やがってよっ。」
「…。学生サン、歳上の言う事は聞いておいた方が『身の為』だよ?」
「るせぇ!口出しすんなや!!」
「ッ!」
突如と殴り掛かってきた相手の拳を見切り、パシ!と顔面スレスレで受けるとニコリと笑った流平はその拳をあらぬ方向へと捻り上げた。
「いっででででぇ!!」
「…だから言ったじゃん。言う事聞いた方が身の為だって♪」
「…おい流平。何遊んでんだよ…」
「ん?…歳上からの愛の説教、的な?あっはは♪」
「離してやれって。…肩、外れんぜ。」
「あー…そうだねぇ。ほい♪」
「っどぁ!?」
いきなり手を離された事によってつんのめるように仲間を巻き込んで倒れ込んだ男がギ!と睨み上げるが、すぐにそれが怯えに変わる。
「…おいてめぇら。ガキが調子乗って女引っ掛けるなんざ100億年早えんだよ。…さっさと失せな。」
「そうだそうだ。このオニイサンはニコニコしてっけど、めっちゃ怖いんだぜぇ?」
「っ…ひぃ!」
脱兎の如く逃げ出した男達にヤレヤレと息を吐く。ふと気付くと女の子が小さくなって僅か震えていた。
「あ…えと、大丈夫、だった?」
「…、…は、はい…」
「……。」
「…。流平、送ってやれや。なぁ瞬?」
「お、おう…そうしろよ。俺も帰るし。」
「オレもだ。…なんかシラケちまったぜ…」
『そうすんべ、そうすんべ。』言いながら、圭介と南雲が場を去って行く。…ニヤニヤと僅か下世話に笑いながら。
この出会いをキッカケに流平は女子学生と交際を始める。…彼女こそが『渡辺咲希』、その人だった。
その咲希と流平が付き合うようになるまでには1カ月程を要した。何となくこうなると見切っていた圭介からすればイライラする事この上ない。
だけどやっと収まるべき形に収まると、今度は別なイライラが湧き上がる。
「てめぇらっ…今時清い男女交際か!」
ヘラヘラと鼻の下を伸ばして惚気ていた流平だったが、圭介にそう叫ばれ『へ?』と目を丸くする。そして次には黙ってビールを飲んでいた南雲がブ!と吹き出して爆笑した。
「あっははは!さすが圭介!ヤリチン男は言う事が違うなっ。」
「ヤリチン言うな!オレはな、いつか出逢う本気の女の為に『修行』してんだよっ。…てかよ流平、お前咲希の事…マジで惚れてんだろ?」
「うん。マジだよ?」
「だったら!…何でヤラねぇの?」
「えー…何でって?…ンー、マジで好きだから?」
「わっかんね!好きだったらヤれよっ。」
「…それが『全て』ってワケじゃなくない?」
「あー流平、無駄だムダ!圭介にンな綺麗事言ってもわかる訳ねぇっての。」
「はぁ?!だったらてめぇはわかるってのか?まだ童貞野郎のクセによ!」
「るっせぇよ!それ言うんなら流平だって…」
「あ、瞬。俺は違うよ?とっくにバイバイしてるー♪」
「っ?!…マジか。ウソだろおいぃ~…」
「やーい!童貞野郎~♪」
「うるせっ。…俺はちゃんと弁えて、だな…」
ゴニョゴニョと尻すぼみしていく南雲が面白く、圭介と流平がわっはは!と声高に笑う。
族の集会がないこの日は、流平のアパートの部屋に集まり3人で酒盛りをしていた。付き合って2か月も過ぎようという親友の惚気を聞いている内に、話題がソッチに及んでしまったのだ。
「ところで圭介は?今はいないの?」
「いねーよ。」
「はっ?こないだ引っ掛けた女は!」
「…。知らねぇよ…あったら女…」
「ははっ…相変わらずだなぁ、圭介はっ。」
「こりゃ圭介が本気になった女が見ものだなぁ!本気と書いて『マジ』と読むぅ~♪」
本当に愛しいと思うから、大事だからこそ男の邪な欲望などそう易々と見せられない…18歳にして実感する流平は、その時まで待てると思っていた。
けれど日々の限られた時間を一緒に過ごしていると、咲希の全部を知りたいと願うようになり…交際開始から3か月にしてようやくお互いを本当の意味で知る事が出来た。
そうもなると流平の咲希に対する独占欲と自慢したい気持ちが強まる。彼は事あるごとに彼女を連れ歩き、族の集会にも連れて行き…夜は連日のように家に帰さず自分のアパートへ連れ帰る。
咲希もまたこの状態が、学生身分の振る舞いではない事はわかってはいたが大好きな『流ちゃん』とは離れたくなかった。…咲希にとっても彼との初めての恋は何よりも大切な『宝物』だったのだ。
「…咲希。卒業したらどうすんの?進学?」
「あ…そのつもりだった、んだけど…ね…」
「そか…、…んじゃ今の内に『大検』でもやろっかな。」
「…、…へ?」
「たぶんだけど…あと何年かで族は解体になると思うよ。もしそうならないとしても俺は抜けるつもり。…この先、咲希と生きてく為にちゃんとまともな仕事しなきゃねっ。その内、殴られんの覚悟で、咲希の親に挨拶しに行こっかな♪…良い?」
「…、…っ…」
「…?、咲希?…」
「ん…うん!ありがとうっ、流ちゃん!」
「っ、うわぁ?!」
遠回しだが事実上のプロポーズが嬉しくて飛び込んできた彼女を抱き受けはしたものの、勢い余って後ろにひっくり返った流平。…だが『ゴイン!』という鈍い音と共に。
「り、流ちゃん?!大丈夫?ごめんねっ、ごめんなさい!」
「いっつうぅ…あっはは!大丈夫大丈夫っ♪」
…この時の2人は、本当に幸せだった。仲間である圭介や南雲、族の皆も笑って見守る程に。だがその幸せに突然の暗雲が掛かった。
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