壊された結婚 〜幸せの道はどこにある〜

HARUKA

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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

〈高坂 花 side〉


憲司の奥さんが私達の浮気現場を見てから意識不明になっている。

私を選ばなかったらこんな事になったのよ。私は悪くない。

憲司が奥さんと間違えて抱いてきたのがいけないのよ。

憲司と別れてからも私はずっと賢司を愛してる。

うちの都合で別れる事になってしまったけど、絶対に離さないと決めてる。

だから、別れてからも同僚として友人として側にいたの。

憲司はそんな事もすらも気づかずに仕事だと言えばすぐに会いに来てくれた。

憲司と2人で飲んでる時は幸せだった。身体の関係なかったけど、側に居たらまた必ず身体の関係は始まると思っていた矢先に······

賢司に彼女が出来た。

最悪だ。女は当分いらないなんて言っていたくせに。

私が計画していた事が崩れいく·····

憲司は奈央とかいう女に一目惚れで初めてお持ち帰りしたと惚気けている。

私はイライラしていたが、よかったねと大げさに言った。

憲司は嬉しそうにありがとうと言ってきた。

私は何とか別れさせる計画を企んだ。

奈央なんかに渡さない。
私の物に触らないでよ。

憲司は奈央にハマっていく。

私にどれだけいい女のか話してくるけど、訊いている振りして訊いていない。

と言うか、話さないでと思っている。

憲司たちはすぐに同棲を始めていた。
私の時は一度もそんな事を言わなかったくせに。

ムカつく、ムカつく、別れさせてやるわ!


憲司たちはあっと言う間に結婚してしまった。結婚式にも呼ばれて行ったけど、ただただ悔しいしかない。

何なの! あの女! 胸さえあればいいと思ってんじゃないわよ。

2次会にも参加をして奈央に関して探りを入れた。奈央は医者の娘で本人も医師免許を持っているそうだ。

友達も多くて性格もいいのがよくわかる。
男女共に美男美女の友人ばかりだ。

嫌味な女。

憲司の同僚はみんな鼻の下を伸ばしていた。そこまでいい女じゃないわよ。

私も一応、宣戦布告を含めて挨拶をした。奈央は全く気にしていなかった。

鼻につく女ね。これからよ。

憲司は相変わらず惚気が酷かった。

イライラが止まらない私。それを隠すように笑顔で今度飲みながらゆっくり聞くよと言っておく。

私の計画だからね。ふふふふ、、、、

そして、私はたまに仕事と呼び出しては遅くまで付き合わせた。

そうしてるうちに憲司から奥さんが妊娠をして仕事を辞めた話しを訊いた。

何なの? 私の時は避妊を必ずしてたくせに。

奥さんはまだ子供が欲しくなかったが、憲司が無理やり作った話しや奥さんがモテるだの何だと惚気けばかりだ。

うっとしくなった私は妊娠したらセックスはどうするの?と訊いた。

憲司も子供がお腹にいるとなあまり出来ないよなと話してきた。

そうよね。ふふふふふ

私はどうやって落とそうかしか考えていなかった。

奥さんのお腹が大きくなり、セックスしてもいいだけど、どうするべきかと相談してきたから適当な事を話した。


「してもいいならすればいいんじゃない? でも、雑菌とか怖いよね」

「そうだよな。俺も全くしないのもな」

「1人ですればいいじゃない」

「いつも奈央がしてくれるから1人でしない」

「そんなにしてくれるの?」

「あぁ、尽くしてくれる」


何してくれてるのよ! あの女は!
出してたら意味ないのよ。

ムカつく!

でも、私も賢司の感じる所は知ってるのよ。クソ女!

私はいつも憲司と飲む時は強めの香水にしてる。いつも同じ匂いのね。

少しは察してるかしら?

私は憲司の側で仕事を手伝いながら様子を伺っている。

そしてラッキーが重なって一緒に出張に行く事になった。

私は身体の関係に持っていこうと考えた。そうすれば離婚もあるかもしれない。

本当は子供も作ってしまいたけど、さすがにそれはマズい。リスキーだ。

憲司のサイズを知ってるから、出張に行く前に用意しておいた。

少しだけ睡眠薬を飲ませてから襲えばいいわね。楽しみで仕方がなかった。

またラッキーが重なった。
取引き先から地酒を貰っていた。

私は憲司が飲めばと勧めた。

憲司はホテルで飲むわと嬉しそうにしていた。私も賢司と出来ると思ったら身体が熱くなってきた。

ホテルに戻り、私は念入りに身体を洗ってから、時間通りに計画を起こす事にした。

憲司がシャワーを浴びてお酒を飲むだろう時間に仕事のどうでもいい事を訊きにいった。

案の定、バスローブで酔って出てきた。
チャンスだ!

憲司は部屋に入れてくれた。
私もお酒を飲みながらタイミングを見ていた。

賢司はすでに酔っていたから、睡眠薬を入れなくてもすぐにベッドで寝てしまった。

私は布団をめくりモノを確かめた。
よし! 下着をつけていない。

久しぶりの憲司のモノを咥えてペロペロと舐めた。段々と硬くなって、

奈央、今日は酔ってるからいいよと寝言を言っている。

奈央じゃないよ。
私はイカせる為に憲司が感じる所を攻めた。

奥さんとはやってなかったんだろうな。
沢山口の中に出してきた。

気持ちがよかったのか、私の頭を掴んでモノを口に入れさせようとしていた。

これで私の物よ。

私は舐めたり口に入れてイカせた。

奈央、奈央と呼んでるから、
私は憲司の顔にまたがって、蜜壺を舐めるように促した。

私は憲司の愛撫が大好き。
それもあって手放したくない。

賢司の愛撫はすごかった。
今までやってもらった事がないくらい激しかった。何度も舐められて吸われて、声が枯れるくらい喘いだ。

まだまだよとグイグイと顔に押し付けた。
憲司は愛撫をやめなかった。

私は頭が真っ白でイキまくってしまった。
出てくる蜜も賢司が激しく吸ってくれた。

気持ちが良すぎてずっとしてもらいたかったが、憲司が入れたいと言ってきたから、用意したゴムをモノにつけて上に乗って入れた。

憲司は妊婦だからと私を下にして、耳元で今日の奈央は積極的だなと言いながら腰を振ってきた。

憲司のモノが入ってる嬉しさに声が一段と大きくなっていった。

賢司もイク時に奈央と大声で叫んでいた。
まだ足りなかったのか、ゴムの箱を取ってまた付けて私の中に入れてきた。

私は何度イッたかわからないくらい、気持ちがよくて声を出していた。

憲司はイッてからそのまま奈央と言いながら、私を抱きしめて眠りについた。

私も久しぶりの快感と憲司と出来た喜びでそのまま目をつぶった。


翌朝、憲司は固まっていた。

おはようと声を掛けたが、何が起こったのか説明したら、無かった事にしてくれと言われてムカついた。

無かった事にするはずがない。

それから、憲司は私を避け始めた。
何て男よ! やってきたくせに。

離さないから!

またチャンスがやってきた。

1人で憲司が海外との取引で会社に残ってる。

私はバーでお酒を飲んでから会社に向かった。

私の物に早くなりなさい。

憲司はあの外見だからモテる。
既婚者でも狙ってる女は多い。

他の女になんてあげないわ。
奈央にもね。

私は憲司のいるオフィスに急いだ。

ドアを開けて

憲司を後ろから抱きしめた。
やめろと言われたけど関係ない。

話していると誰かが来た。

私は急いで憲司のデスクの下に隠れた。

これが目的だったから都合がいい。

警備の人が来た。
憲司は警備の人と話し始めた。

私ってツイてる。

目の前にあるファスナーをゆっくり下ろす。やめろと手でやってくるが、払い退けてから、下着からモノを出した。

そして、先をゆっくり舐める。

憲司の身体がビクッとして、警備の人に大丈夫ですか?と言われている。

ふふふふ、こんな事されてるなんて言えないわよね。

私の物になるまで抜いてあげる。

私はイク寸前まで咥えた。
そこまで来てるに憲司は耐えている。

警備の人が出て行った瞬間に頭を押さえつけられてイッた。

ほらね! イッちゃったね。

私は憲司から出た液をゴクリと飲んだ。

早く私の中に放ってほしいな。
憲司の子供が欲しくなってきちゃったな。

私はまた咥えた。

憲司はやめろと言いながら私を払いのけてトイレに行ってしまった。

あーあー残念。酔わせないとダメね。
またの機会ね。


憲司の事は知っている。

私は泣きながら憲司に電話をする。
仕事で失敗したと言いながら。

そんなヘマを私がするはずがない。

憲司を居酒屋に呼び出してまた飲ませる作戦。奥さんと間違えてもいいから子供を作る計画よ。

恐ろしい女なのかもね。

いい男はそこまでしないと取られてしまうの。わかってない女たちが多すぎるわ。

奥さんは出産の為に家にいないと情報も掴んだ。

また楽しみが増えたな。
私は憲司を待ちながら笑顔で飲む。

そこに憲司が来た。
来た、来た。私の罠にようこそ!

憲司に飲ませた。

私も飲んで酔ったけど、計画があるからそこまで酔えない。

演技をして憲司の家で休ませてもらう事になった。

嬉しくて顔がニヤけてしまう。
幸運な女だわ。

私はソファで横になっていると憲司はベッドルームに消えた。

時間を置いてからベッドルームに向かう。
奥さんとの写真が飾られていた。

へーこんなの飾って。目障り!

憲司はボクサーパンツで上半身は裸で寝ていた。

この身体がいいのよね。

下着を下ろしてから、ゆっくりと舐めていく。憲司の感じる所だけを重点的にね。

また罠にかかる憲司。

奈央、奈央と呼び出した。
そうよ、奈央よ。

今日は避妊はさせない。

1度イカせてから、憲司にキスをすると舌を絡めてきた。


「奈央、好きだ····愛してる、愛してる」
「もう入れたいよ」

「早く入れてよ」


憲司を誘っているとそこに奥さんが入ってきた。

私は思わず悲鳴をあげた。

奥さんは私と憲司を殴り出ていった。
怖かった。

あんなに怒るんだなと冷静な自分がいた。

奥さんは出血をして病院に運ばれて意識不明になった。

最初は私のせいだと落ち込んでいたのだけど、子供も無事に生まれたしね。

そこまで責任を感じる事はない。
憲司はあの家で1人よ。

今度こそ私と憲司の子供を作る。

会社では会えるから、憲司を観察してから隙があったらまた襲えばいいわ。

相変わらず憲司は無視をしてくる。
最近は顔も疲れている。

同僚も事情を知ってるみたいで、みんな憲司を心配している。


「奥さん意識不明らしいよ」

「出産は命懸けと言うからな」

「あんな可愛い芸能人みたいな奥さんなら特に心配だよな」

「子供が無事でよかったよな」


何よ! 何よ!  勝手にあの女が入ってきて怒ってそうなったのよ。何が心配よ。まったく。

憲司は相変わらず暗い。

職場の女たちも奥さん大丈夫かな?とか心配だよねとかくだらない噂をしてる。

奥さんは私になるよ。
わかってない女ばかりね。

私はイライラが募っていた。


憲司の奥さんはまだ目を覚まさない。
もう3ヶ月にもなる。

憲司は子供にも奥さんにも合わせてもらえないのだろう。

最近は特に顔も疲れてげっそりしている。
それでもカッコいいんだけどね。

この時も私は憲司を手に入れる事しか考えていない。

3ヶ月もしてないなら、また行けるかもな。
今日は雨だな。

同僚たちは憲司が奥さんの見舞いや子育てで大変だと思っている。

本当は違うのにな。

私との秘密って何だか嬉しい。
2人だけしか知らないっていやらしいな。

いやらしい事をしたんだけどね。

だけど、憲司のセックスは奥さんが変えたのかな? あんなにしてもらった事がなかった。

私と結婚したら毎日してくれるよね。
早く結婚したいな。

私は行動を起こす事にした。
あまりにも無視をされるのもキツい。

出張も他の人に頼んで私とは行かなくなった。
ダメだ。憲司が足りない。

私は仕事を早めに終わらせて憲司のスケジュールを見てから、憲司の家に向かった。

傘を持っていたけど、ささずにずぶ濡れ行くことにした。

ちょうど人が出てきたから、そのままマンションに入っていた。

憲司の家の前に着いてドアの前に腰をおろした。どうやって落とすから考えいた。

かなりずぶ濡れで下着も透けている。

よし、これでいいな。
涙で演出する。

足音が聞こえてきた。

足音が止まったから顔を上げると憲司だった。

私は泣きながら、


「ごめんなさい、ごめんなさい。私のせいで奥さんが目を覚まさないだよね。一言謝りたかった」

「ここに来られても困る。帰れよ」

「謝りたいから聞いてよ」

「帰れよ。俺はもうお前の顔も見たくない」
「お前って最低な女だよな。これも演技だろ」

「そんな訳ないよ。こんなにずぶ濡れて待つわけないわ」

「どうだかな。ここは奈央との家だ。帰れよ。ストーカーで訴えるぞ」


酷い! 酷い! 私は泣き叫んだ。

泣けよと言いながら家に入っていった。

私は諦めない。


「ドンドンドン!」

「憲司、開けてよ。ごめんない!」

「ドンドンドン!」

「開けてよ」

「ドンドンドン!」

「ねえ? 聞こえないの?」


何なの? 憲司のくせに開けないなんて。


「ドンドンドン!」

「開けてって!」

「ドンドンドンドンドン!」


何度もドアを叩くが出てこない。


「憲司! あーけーてーーーーー」


憲司! どうして開けれくれないの?

私は泣く演技を繰り返したが、憲司は出てこなかった。


私は次の日も待っていた。

チッと舌打ちが聞こえてきた。

「お前、何なの? やめろって言ったよな? 会社に言うぞ」

「憲司に謝りたくて」

「それなら会社で言えばいい。何で家の前にいるんだよ。誤解されるから帰れよ」

「帰らない」

「俺はお前が嫌いだ。憎んでるよ。お前さえいなかったら、こんな事になってないよ。奈央を返してくれよ」

「慰めてあげる」

「慰める? 」

「強がらないで。早く家に入れて」

「帰れよ」

「ここはどうなの?と憲司のモノを掴んだ」

「離せ! お前とやるくらいなら風俗行くよ。お前ってどんだけ腹黒いんだよ。バレてるぞ。会社の女たちもお前は性格が悪いって噂してるよ。俺の側でウロウロしてるから気をつけて下さいって言われたよ。俺以外はみんな知ってたみたいだよ。お前の演技にな」

「演技なんてしてないよ。お願いだから話そう。いつもの居酒屋に行こう!」

「行かないよ。じゃあな。次は警察を呼ぶ。いいな!」

憲司がドアを開けた瞬間に足を挟んで中に入った。よし、これで妊娠まで持ち込もうと考えた習慣に

憲司に胸ぐらを捕まれて、入るなって言ったよなとドアを開けて外に突き飛ばされた。

「賢司! どうしたの?」
「何かあったの?」

「お前だよ。目障りだよ。証拠は撮ってあるから、俺もお前を訴えるわ。奈央に申し訳ないからな。覚悟しろよ」

憲司が聞いたことない低い声で怒っていた。

「どうしてよ。何度も抱いたじゃない」

憲司にすがりついた。

「やーめーろー!俺は騙されないよ。奈央にも会えないんだよ。お前のせいでな。お前の顔なんて見たくないよ。俺は会社やめるから。お前なんかと働きたくないわ。奈央はまだ意識不明なんだよ。よく来れるよな。俺はお前を選ばないよ」

「そこまで言わなくてもいいでしょう」

「俺と寝たいからここに来たんだろ」

「違うわよ。謝りたいからよ」

「違うだろ。嘘つくな。俺との子供でも作ろうと思ってたか? お前との子供なんていらないよ。
だから何度も来るんだよな? 奈央の家族はお前を訴えるってさ。準備に入ったって言ってたぞ」

「何で私だけなのよ」

「俺の事は奈央が決める事だから。お前は家族で何でもないだろ。不倫したら訴えられる。仕事が出来てもその辺がわからないんだな。バカだな」

「バカって何よ。失礼ね」

「ほらな。演技だろ」

「演技じゃないわよ」

「帰れ。2度来るなよ!」


憲司が変わってしまった。
あんなに優しかったのに。

酷すぎる。

私は諦めないから。
その日は家に帰った。

憲司との子供を作る計画は諦めていない。
絶対に妊娠するわ。

憲司に計画がバレたって関係ないの。
憲司との子供が出来れば私と結婚するわ。

会社は同じだから、憲司には会える。

会社を辞めると言っていたけど、お父さんの会社に行くのだろうか?

場所も知ってるしね。
私から逃げるなんて無理よ。

奥さんは離婚するだろうな。そんなに焦る必要はない。離婚したらこっちの物よ。

側で見守りながら攻めていけばいいわ。
早く憲司と抱き合いたい。

憲司しかいないの。

あんなに怒ってるなんてね。
溜まってるだろうな。

翌朝も会社に出勤する。
憲司がいた。

今日もカッコいい。
早く私の物にしたい。

憲司は黙々と仕事をこなしている。

女子連中が憲司とたまに話している。
わざと聞こえるように奥さんの事を訊いている。

まったくブス共と来たら、憲司とセックスしたいからって近づかないでよ。

私としてるのよ。

前はチラッと見てくれたのに今は見てもくれない。

たまに睨まれる事がある。
でも、きっとチャンスはあるはず。

その時、憲司が席を外した。
私も後をついていった。

電話で誰かと話してるみたいだ。

「そうですか。わかりました」

電話を切った所に話しかけた

「憲司、昨日はごめんなさい。最後に時間を取ってくれない? 話したい」

「話す? 何を話すなんだよ。俺は言ったよな。顔も見たくないって」

「酷いわ。そこまで言う?」

「言うだろ。俺はお前とはやる気はないよ。何度言ったらわかるんだよ」

「わかったら。最後にお願い。うちで待ってる」

「行くわけないだろ」

「じゃあ、死ぬ」

「死ねばいいだろ。奈央の代わりに死んでくれるなら俺は嬉しいよ」

「何て事を言うのよ」

「お前だろ。妻が意識不明なんだよ。俺とお前がやったんだぞ。何とも思わないのか? 3ヶ月もだぞ。俺が代わってやりたいよ。子供にも奈央は会えてないんだ。お前は何だ? 苦しんでる奴がいるのにセックスか? ふざけんなよ。一度サイコパスのテストを受けたほうがいいぞ。狂ってるよ。もう話しかけんなよ。うちに来たら警察を呼ぶ」

「そんな酷い······」

「酷いのどっちだ!」


憲司はバンッと壁を殴った。

怒らせちゃったな。困ったな·····
計画が進まないな······

本当にサイコパスかもね。

ふふふふふ、、、、

憲司の子供は必ず作るからね。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


〈憲司 side〉


花は狂っている。

会社でも話しかけてくる。
家の前にもずぶ濡れで待っていた。

次の日も待っていた。
俺と付き合いたいとでも思っているのか?

奈央があんな状態で俺は2人では会いたくない。奈央の家族が見たら誤解する。

お義母さんには花と一緒になったらどうかと言われている。

ありえない。

今日も職場で話し掛けられて、話したいと言われた。

何を話すんだ? 
俺達は奈央を傷つけた。

それなのにまだ2人で会ってセックスがしたいのか?

どんな気持ちでそんな事ができるんだよ。
俺は毎日奈央が目を覚ますように願っている。

新が奈央の実家にいる時は会いに行ってる。
こんな俺に笑ってくれる新が愛おしい。

俺は新を守るしか考えていない。
出来るなら奈央に包み隠さずに真実を伝えたい。

奈央が離婚を望んでも別れたくない。
もう一度だけチャンスがほしい。

だから、花となんて会ってる暇もない。

俺は今月いっぱいで会社を辞める事にした。
親父の会社に行こうと思っている。

花とは一緒に仕事が出来ないと思ったからだ。異常な行動も気なる。

すべて動画で撮ってあるから、いざと言う時は訴えよう。

親父の会社に移るのはいいが、
妹の佳奈美(かなみ)には白い目で見られている。

佳奈美の夫の祐介君(ゆうすけ)が親父の会社を継ぐ予定だ。佳奈美もずっと親父の会社で働いていたが、妊娠してからは働いていない。

佳奈美は奈央とお茶する仲だった。
年齢も同じで趣味も合うと言ってたから余計に俺には冷たい。

実家に行くと恐ろしい顔で睨んでくる。

そうだよな。俺が悪いよ。

奈央が意識不明になってからは口もきいてくれない。


‘「佳奈美? ちょっといいか?」

「何なのよ。話し掛けないでよ」

「訊いてほしい事があるんだ」

「奈央ちゃんに何かあったの?」

「イヤ、奈央はまだ目を覚まさない」


佳奈美が泣きそうになっている


「誰のせいよ! お兄ちゃんのせいでしょうよ。臨月で·····」

泣き出した。


「その話しじゃないんだよ」


思いっきり鼻をかんでいる。


「じゃあ、何よ。あの元カノのブスと寄りを戻すの? 気持ち悪い」

「花の話しではある」

「はぁ? 呼び捨て? ありえない」

「怒るなよ。話せないだろ」

「怒るわよ。あのブスのせいでしょうよ。私が訴えたいわよ」

「佳奈美?どうした?」


そこに夫の祐介君が来た。


「お兄ちゃんがあのブスと寄り戻すんだって」

「おい! 話しが違うだろ。花の話しだけどと言ったんだよ」

「だーかーらー呼び捨てやめなよ」

「わかったよ」

「佳奈美、少し落ち着けよ。賢司さんの元カノが嫌いのはわかったから」

「何なのよ」

「俺の部屋で話そう。祐介君も来て」


嫌そうな顔で佳奈美が着いてきた。


「さっさとしてよ」

「高坂の行動が狂っていて困ってる」

「············」

「前からおかしいじゃない。自己中な感じだったし、私には裏がありそうな笑顔で笑ってきてたわよ。お兄ちゃんって趣味が悪いわよね。折角、奈央ちゃんみたいな綺麗な子がお嫁に来てくれたのに。あんなに可愛い子よりもあれがいいの? スタイルも悪いじゃない」

「話しを訊けよ。確かに俺が悪い。それはわかってるが、高坂を抱いたのは奈央と間違えたからだ」

「それでも浮気よ。気持ち悪い。隙があったのは事実でしょう」

「そうだな。そこが問題じゃないんだ。奈央が病院に運ばれてからは会社でしか会っていない。仕事の話しかしない」

「当たり前でしょう。奈央ちゃんは意識不明なんだから」

「そうなんだ。奈央が心配で高坂に興味ない。俺が1人で休憩していたり、トイレに行くのを狙って誘ってくるんだんだよ。何度もお前とは会う事はないと話しているのに。この前も家の前にずぶ濡れで俺の事を待ってたんだ。俺は部屋の中にすぐ入ったんだけどな。それでも高坂はドアを叩いて開けてと叫んでる。次の日も家の前にいた。これってストーカーだよな?」

「怖い女。狙われるんじゃない? ブスは奈央ちゃんとお兄ちゃんが離婚すると思ってんでしょう。だから、そうやって近づいてるんじゃない? 」

「また付き合うとでも思ってる事か?」

「そうでしょう。そうじゃなければどうして家の前にいるのよ」

「俺は何度も断ってるし、来るなと行ってる。あれからは一度も家に上げてないよ。入ってこようとしたから、外に出した」

「え! 入ってこようとしたの? 頭おかしいね」

「だろ。会社でも最後に話したいとしつこいんだよ。だから、親父の会社に移る事にした。今日も家に来たら怖いから実家に来たんだ。これ見てくれるか?」


佳奈美と祐介君に動画を見てもらった。


「怖い。何なのこの女! ストーカーじゃない」

「賢司さん、警察に相談したほうがいいんじゃないですか?」

「この女はお兄ちゃんと結婚したいのね。でもね、お兄ちゃんが撒いた種よ。どうして仕事の話しだからと言われてホイホイ会いに行って家に上げるのよ。そこが間違いよ。わかってるの」

「わかってる。俺が悪いが、これはおかしくないか? 断っても家に来るんだぞ」

「引っ越すしかないわね。お父さんの会社にも来るんじゃないの?」

「そこまで考えてなかったな」

「お兄ちゃん、気をつけたほうがいいわよ。あわよくば子供をなんてね。女は怖いわよ。ねえ? 祐介?」

「何で俺に訊くんだよ。ストーカーされるような事はしてないよ。賢司さんみたいなイケメンじゃないだろ」

「イケメンじゃなくてもお金持ってるでしょう。たまに強い香水の匂いがするじゃない」

「あれは秘書たちだろ。香水にまで文句は言えないよ」

「俺の話じゃなくて憲司さんの話しだろ」

「あー誤魔化した! 怪しい!」

「佳奈美さ、俺がどれだけ惚れてると思ってんの。婿養子だぞ。そこまでする男いるか?」

「ごめんね。お兄ちゃんの話しを聞いてたイライラしちゃってね。兄ながら恥ずかしいわ。奈央ちゃんに何て謝ればいいんだろ」

「恥ずかしいはないだろ」

「恥ずかしいでしょう。不倫なんて最低! 最低! 最低! もう切ったらいいじゃない。奈央ちゃんの実家でやってくれるよ」

「お前にそこまで言われる筋合いはないぞ。何か切るだよ」

「それくらいの事をしてるの! 考えてないで、この女を警察に送ればいいでしょう。弁護士だってお父さんに紹介してもらいなさいよ」

「わかってるけどさ、言いにくいだろ。親父に殴られたからさ」

「それくらいでよかったじゃない」

「お袋にも殴られた」

「恥ずかしい。小学生じゃあるまいし。こんな兄を持って最悪だわ」

「佳奈美、憲司さんも反省してるんだし、そこまで言わなくてもいいだろ」

「祐介は気持ちがわかるって言うの?」

「わからないけど、切るとか酷いだろ」

「酷くないわよ。だから、さっさと警察に言いなさいよ。お兄ちゃんとは話したくないから。今度お父さんと奈央ちゃんのお見舞いに行ってくるから。そろそろ4ヶ月にもなるでしょう。心配だから声を掛けてくるね。兄が下半身の切腹しますってね」

ハハハハハッ

妹は笑いながら、出て行った。


「憲司さん、すいません。おやすみなさない」


女って怖いな。
佳奈美の話しもありえなくない。

記憶がなかったにしろ、酔って奈央だと思ったら避妊も忘れてたかもしれない。

もし、そんな事になったら結婚しろと迫ってくるだろ。

結婚と子供か······

怖いな。奈央のお義母さんに話してから引っ越しをしよう。

奈央の実家の近くで探そう。
新とも会いたいしな。

佳奈美も見舞いに行くのか。
俺も奈央に会いたい。

どの面下げてと言われるだろが、
奈央の顔が見たいだけなんだ。

俺の話しも聞いてほしい。

まずは花の事を何とかしないと行けないな。
親父に頼んで弁護士に相談しよう。

俺は新に会いに来ている。

お義母さんには事情を話して引っ越しをする事を伝えた。

お義母さんは大変ねと一言だけだった。
そうだろな。関係のあった女がストーカーだんなて、俺のせいだよな。わかってる。こうやって新に会わせてもらってるだけで感謝しないといけない。

新はすくすく育っている。
声も出すようになって可愛い。

お義母さんがいない時はパパだよと教えておる。

ニコニコ笑う顔が俺に似ている。

こんなの可愛い子がお腹にいたのにな。
俺は何度も悔やむが奈央はまだ眠ったままだ。

お義母さんの仕事が終わるまでは俺が面倒を見ている。絵本を読んだり、オムツを替えたりしている。

この幸せがこのまま続くといいな·····




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

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伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。 しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。 それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。 相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。 最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。

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