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しおりを挟む姉貴はまだ目を覚まさない。
意識を失くしてから3ヶ月も経った。
姉貴が病院を移ってからは憲司さんは実家に来てるらしい。
その時に新とは会ったそうだ。
母親も会わせるのは嫌だったが、あの時の子供だと反省させる意味を込めて会わせたそうだ。
涙を流して新を抱きしめていたそうだ。
でも、母は奈央の味方だ。奈央との家で浮気をしていた事は許していない。
俺も同じだ。
母はこの先また浮気があるかもしれない。その女性と一緒になるべきと話しているそうだ。
きっと母は姉貴と恭弥さんの関係は気づいている。俺と同じで恭弥さんと一緒になればと考えている。
そう思うくらい恭弥さんは姉に尽くしている。日本に置いていった後悔もあるのだろう。
そして、恭弥さんの家族も新を可愛がってくれる。
特に紗子さんはすごい。
可愛くて仕方ないのがわかる。
そして、恭也さんも見合いさせられそうな女性に新を子供だと紹介していた。
俺と同じ事をしてる恭弥さんに笑いを堪えるのが大変だった。
言うなよと目で訴えてくる。
女性はそんな話しは訊いていません!
お見合いはお断りしますと怒って帰っていった。
ブッハハハハハ
俺と恭弥さんで笑った。
2人で新を抱きしめた。
「恭弥さん、新は女避けなんですよ。姉貴には内緒でお願いします」
「わかってる。ハハハハハハ」
憲司さんとはそこまで仲が良くなかったが、恭弥さんは頼れる兄貴だ。
休みの日は病室で恭弥さんと妹さん夫婦と俺でビールを飲みながらワイワイしている。
姉貴ともたまに家で飲んでいたのを思い出す。
恭弥さんを知れば知る程に姉貴が好きだったのがわかる。
恭弥さんは姉貴が結婚したと訊いてショックで荒れていた。寄ってくる女を抱いたとも話してくれた。
「その女たちとは切れてるんでしょうね?」
紗子さんが睨みつけながら訊いている。
「切れてるよ。心配するな」
「俺は奈央しかダメだとわかった」
「今は人妻よ。行動には気をつけてよ」
「紗子さんそれは大丈夫ですよ。俺も両親もわかってますから。俺は恭弥さんとやり直しほしいと思ってます」
「俺も嬉しいな。弟がほしかったからな」
紗子がまた睨んでくる。
「こんなに可愛い妹がいてよく言うわよ」
「何だって? 俺はパシリに使われてるだけだろ。生理用品を買う俺の気持ちにもなれよ」
「お義兄さんも?」
「翼君も?」
ハハハハハハ
「お互いに使われてるな」
恭弥さん家族と話すのは居心地がいい。
生理用品を買ってる恭弥さんを想像して笑ってしまった。
姉貴の脚と腕のストレッチは毎日恭弥さんがやってくれている。恭弥さんは日本に戻る事に決めたそうだ。
一度アメリカに帰って家や荷物の整理をすると話してくれた。
勤務先の病院には事情を話して辞めると伝えたそうだ。たまに手術でアメリカに行く事もあるが、日本拠点にするそうだ。
姉貴は愛されるな。
目覚めたらどうるんだろうか?
憲司さんと恭弥さんか·····
姉貴が何かあれば俺が新を引き取る事は両親には伝えてある。結婚はしたいと思ってないし丁度いい。
新は本当に可愛い。
お風呂にも一緒に入っている。
気持ちいいと言ってる顔がたまらない。
まだ3ヶ月なのにイケメンだな。
叔父バカかな。
うちは美容整形外科のクリック。
口コミのみで広まっているコスメが売れに売れている。
無添加に拘った親父が研究を重ねただけある。俺達が小さい頃は研究に明け暮れて、お袋がクリニックをやっていた。
家にいなかった母親に代わって姉貴が俺の面倒を見てくれた。
いつも一緒に居たからだろうな。
友達にはシスコンと言われる始末だ。
シスコンなんて思った事がない。
ご飯を食べに行ったり、時間が合えば飲んだりしていただけだ。
姉貴はずっと食事を作っていたから、姉貴のご飯は絶品だ。
それもあるかもな。高校も大学も姉貴のお弁当だった。
仲がいい姉弟だと思うな。
喧嘩もするけどな。
その姉貴の子供だ。可愛いよ。
賢司さんには渡したくない。
新、ママは目を覚まさないな。
起きてるママに抱っこされたいよな。
顔が真っ赤になってきたからお袋を呼んだ。
お袋の「あーらーたーちゃん」と呼ぶテンションの高さに呆れる。
俺達の時もそうだったわよと言ってくるが、俺にはその記憶がない。
久しぶりに新と両親と4人でリビングにいる。親父も孫は嬉しそうだが、姉貴が気になってるみたいだ。
「お母さん、このまま奈央が目を覚まさない場合は兄さんの病院で見てみもらうでいいか?
うちでもいいが、奈央の部屋は少し変えないといけないよな」
「お兄義さんの病院で見てもらうしかないわね。私たちが休みの時ここで見るようにして」
「そうだな。新もうちで見よう。賢司君は1人では面倒は見れないだろ。浮気をしてた訳だしな。新しい女性だって来るかもしれない」
「その話しはしたよな。俺が引き取るよ」
「樹はまだ若い。結婚するとなるとな」
「結婚はしたいと思ってないよ」
「新が一番だ」
「お父さんとお母さんが生きてる間は新はここで育てる」
「親父に何かあったら俺は引き取るから。姉貴の面倒も見る」
「本当にそれでいいのか?」
「いいよ」
「樹、お姉ちゃんはきっと樹の幸せを考えいるわよ。結婚しないなんて言わないの。好きな人が出来たなら結婚はしなさない。新とお姉ちゃんは大丈夫だから。瞳にも頼んでるから」
「瞳叔母さんは海外だろ」
「そうだけど、話しておかないとでしょう」
「そうだけど」
「樹は自分の幸せを考えなさい」
「お袋、ありがとう」
俺の日課は仕事が休みの度に新を連れて姉貴に会いに行く。
親父が研究所に行く時はお袋が1人でクリニックをやらないといけないから、新は姉貴の病室で恭弥さん家族に見てもらってる。
今日は恭弥さんが姉貴の足や手をストレッチをしていた。
この人は姉貴を愛してるんだな。
「樹君、休み?」
「そうです。新を連れて来ました」
「奈央、新君が来たよ。あれ?」
「どうしたんですか?」
「一瞬、足の指が動いた気がして」
「本当ですか? 会話が聞こえてるんですね」
「会話は聞こえてる。だから、こうやって話す事は奈央にとっては良いことなんだ」
「そうなんですね。姉貴、可愛い弟が来たよ」
新を姉貴の隣に寝かせる。
俺たちは姉貴と新を見守りながら世間話をしてる。
3ヶ月も子育てをしていると慣れたものだ。
新の荷物も用意が出来るようなり、何を求めて泣いてるのかわかる。
新が泣き始めた。
恭弥さんが
「お腹がすいたのか? ミルク飲んだらお昼寝だな」
「恭弥さん、わかってるじゃないですか」
「時間を見て何となくな」
新はミルクを飲んでから抱っこ紐の中で眠った。
新の小さなベッドにそっと置く。
そして、姉貴の隣にベッドをつける。
俺たちは新が寝てる間は隣の部屋でゆっくりする。
「樹君も子育てに慣れてきてるな」
「家でも面倒を見てるんで余裕です。こうやって姉貴の側で寝る方が安心すると思うんですよね」
「そうだな。母親の匂いもわかると言うしな。奈央はもうすぐ目覚める気がするな。足の指に力が一瞬入ったんだよ。気のせいではない」
「そうなんですか! 目覚めてくれるなら俺は嬉しいです。3ヶ月も寝たきりだから歩くのは難しいそうですよね。」
「リハビリすれば大丈夫だよ。俺も付き添うから」
「ありがとうございます」
「旦那さんはどうなんだ?」
「相変わらずです。新と少し遊んで帰る感じです。疲れが出てるみたいで少し痩せてきてますね。姉貴がいないから家事も大変なんでしょう」
「付き合っていた女性に家事は頼んでないのか?」
「さすがにそれしてたら、うちの親父も叔父さんも怒りますね。向こうのご両親も」
「家に連れこんでやってたんだから、わからないよな」
「そうですね。2人にしかわらないですね。お袋も憲司さんが辛そうなのがわかるみたいで、奈央の事も新の事も大丈夫だから、あなたはそのお相手さんと幸せになったらいいわよと毎回言ってるようです。彼女とはそんなではないんですと言うんだそうです。そんなんじゃないのに家に呼ぶのかと俺は思うんですよね。既婚者ですよ。本命だからこそ呼んでやるんじゃないですかね? 俺は浮気は隠れてするもんだと思ってるんで。バレた時の女の顔が怖いですよね」
「ハハハハハッ 確かに。怖いな。結婚していて2人の家に呼ぶのはありえないよな」
「憲司さんはどうかしてる。姉貴は気づいていたんだと思いますよ。あの日、お袋からの話しだと、いきなり家に忘れ物を取りに行くと行って、急いで出かけたそうです。親父が送って行くと言ったみたいなんですけど、断ったと言ってましたね」
「そうだな。気づいていたから行ったんだろうな」
「俺はまだ続いていると思ってますね」
「家に行ってみたら?」
「嫌ですよ。俺まで目撃するの。姉弟で浮気現場に突入ですよ」
「そうだな。住んでたら嫌だよな」
「それもあるかもしれないですよね。女が居た部屋には姉貴は戻らないと思いますよ」
「戻らないだろうな。うちに来ればいいと言いたいが、まだ既婚者だからな。紗子にグチグチと言われるしな」
「紗子チェックはすごいですよね。お兄さんが面倒な事に巻き込まれないようにと妹愛ですよ」
「そうなのかな。アイツから愛は感じた事ないよ。車出せ、アレ買ってこい、彼氏のふりに他にも色々だな」
「紗子さんならやりそうです」
「だろ。アイツはヤバいんだよ」
ブッハハハハハ
2人で笑った。
恭弥さんは少しだけ仕事をしてくると出ていった。
俺はお腹が空いたから、病院内のカフェにホットサンドとコーヒーを買いに来た。
新が起きない内に戻る。
最近は1人の時間がないが充実してる。
俺はホットサンドを食べてから、新が起きるまでソファで仮眠をする。
いつもの新の鳴き声で起きる。
1時間は寝れたらよかった。
「おはよう。新」
「涙を流しながら俺を見てくる」
「可愛いしか言葉が出ない」
「姉貴、新が起きたよ」
「おっしこしてるみたいだ」
「目が少し動いた気がしたな」
「恭弥さんも言っていたし、そろそろ目が覚めるのかもしれない」
「姉貴、早く起きろ!」
「新は可愛いぞ」
俺はオムツを替えて、ミルクを飲ませてからまた姉貴の横に寝かせた
新もじっと姉貴を見ている。
「ママだぞ。俺はパパの代わりの叔父さんだよ」
俺の顔もじっと見ている。
ほっぺをツンツンとしてみる。
ニコッと笑う。
ヤバいな。こんなに可愛いと誰にも渡したくない。
そこに恭弥さんが戻ってきた。
「新君は起きたのか?」
「さっき起きましたよ。今姉貴の横で遊んます」
「可愛いな」
「恭弥さん、さっき目が少し動いたんですよ」
「そうか。早く目を覚めさしてくれるといいんだけどな」
「そうなんですよね」
「また何かあったら教えてくれ」
「はい、わかりました」
俺達はまた新と遊んでから、俺は新と家に帰った。
恭弥さんはそのまま姉貴の側にいた。
姉貴の事が好きなんだな。
あんなに愛されてたら幸せだな。
恭弥さんは院内の上目遣いの看護師にも仕事の話し以外はしない。俺の事を訊かれても君に関係あるのか?とキツい一言を言っていた。
恭弥さんはモテるが、浮気はしないだろうな。俺はそこも安心している。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
〈憲司 side〉
奈央は3ヶ月も意識がない。身体はどこに異常がないとお義母が言っていた。
俺のせいだよな。
わかってるんだ·。
最低な事をしたのは。
でも····奈央と別れて花と結婚なんて考えてもいない。
お義母さんに会いに行っては奈央と新の事を訊きいている。
奈央は検査の為に病院を移った。
それから俺は奈央の実家に行く事にした。
クリニックの受付でお義母さんに面会を頼んだ。
診察室に通された。
そこに新が寝ていた。
「憲司君はこの子のパパだしね。一応、紹介するわね」
「新です」
俺は感動して涙が止まらなかった。
寝ていたが少しだけ抱かせれもらった。
自分の子供か····実感はないが、奈央が生んでくれたと思うと泣けてくる。
俺は何であの時、花を家に上げたんだ。
後悔が募る。
お義母さんは俺の疲れた顔をみて、ビタミン点滴をしてくれた。
「憲司君、その女性と一緒になりたいなら一緒なりなさい。奈央も新も大丈夫だから。好きな女性と一緒に居ると幸せよ」
「俺は奈央としか一緒に居たくありません」
「それは責任からそう言ってるんじゃない? 」
「そんな事はありません」
「それならどうして奈央の家でもある場所で浮気をしたの? 別れてからすればよかったんじゃない? 奈央は多分気づいていたわ。あなた達の事」
「はい、そうだと思います」
「俺が悪いんです」
「もう責任は感じなくていいのよ。あなたも奈央も幸せになって欲しいから」
お義母さんは花と一緒になった方が幸せなんじゃないと言ってくるが、俺は花とは一緒になりたくない。
責任で奈央と別れないと言ってる訳じゃない。心から愛してるんだ。
そんな事を言っても俺がやらかした事を思えば信用されないだろ。
会社でも俺の様子がおかしいと心配されてる。
花にも責任がある。
2人で背負っていく罪だ。
俺は上司にだけ浮気の事は告げずに妻が子供を生んでから意識不明になっている事を話した。
上司は何かあれば早退していいと言ってくれたが嘘をついた心が痛む。
あれからも花は態度が変わらずに飲みの誘ってきたり、家に誘われたりしている。
俺はそんな気は到底起きない。
こんな状況になってるのにまた騙して俺とセックスがしたいのか。
こんな奴と何度か関係を持った自分に後悔する。
花とは離れるべきだな。
花は奈央が運ばれ後も俺と居たいとゴネねていた。
俺はそれどころではなかったから、服を着せて追い出した。
翌日、会社で花は誘ってきた。
俺は花の考えがよくわからなかった。
俺達は奈央を意識不明にさせた。
罪を背負わなければいけない。
もしかしたら、新は亡くなっていたかもしれないのに····
平然と上目遣いで俺を誘ってくる女に殺意が湧いた。自分の事しか考えていない自己中的な考えだ。
何で俺はこんな女と付き合ってたのだろうか?
俺は本当にバカだ。
「お前! ふざけてんのか?」
「奈央は意識不明で子供も危なかったんだぞ。
俺は面会も許されなかった。自業自得だけどな」
「憲司は気持ちいいって言って抱いたじゃない。何を今更」
「今更じゃない。奈央と間違えたんだ。誘って俺のモノを咥えてきたのはお前だ。泥酔して誰かわらないのに奈央の名前を使ってきたよな? 俺はお前とは結婚しないと言ったはずだ。婿養子なんてごめんだよ」
「酷いわ。何度も抱いたじゃない」
「奈央と間違えて、2回だけだろ。出張の時と奈央に見られた日だけだろ。俺たちは奈央に謝罪するべきだよ」
「どうして私がするのよ」
「当たり前だろ」
「あんな女どこがいいのよ。私を殴りつけてきたのよ。前に腕時計を返しに家に行った仕返しかしら?」
「はぁ? なんだと! もう一度言ってみろ!」
「俺の家に行ったのか?」
「そんなに怒らないでよ。怖いよ」
「そうよ! 奥さんの顔を見に行ったわ!」
「妊娠7ヶ月と言ってたわ。優しい笑顔でお腹を擦りながら、いつも主人がお世話になっています。ありがとうございますだって。出来た妻を装って。プロ彼女じゃないの? 大学生みたいな顔してどこが可愛いのよ」
奈央は時計に関して何も言っていなかった。
「何てことをしてくれたんだよ。妊婦だぞ!」
「お前は心が冷たいな。花を扱う家で生まれたと思えない。奈央は完璧な女なんだよ。俺が好きで落とした女なの。お前の身体とは比べ物にならないくらいスタイルがいいだよ。俺の嫁を悪く言うなよ」
「何よ! 憲司の事が忘れられないから同僚として側に居たのよ。私の気持ちなんてわからないでしょう。好きなの。結婚してくれるなら婿養子に入らないでいいから。お願いだから結婚して」
「お前とはしないよ。言っただろ。お前は結婚向きじゃないよ。相手を思いやれない。俺が好きだからと言って妊婦の嫁によくそんな事が出来るな。まだ奈央は意識不明だ。このままずっと意識不明だった場合は高額の金額の慰謝料を請求される。お前も覚悟しろよ。二度と俺に話しかけるな」
「憲司! 待ってよ」
「言い忘れた憲司じゃなくて西村な」
「待ってよ。最後にもう一度だけ抱いて。これで最後にするから」
「お前とやると思うか?」
「やらないなら不倫をバラす」
「バラせばいい。お前が奈央に会いに行ったから意識不明になったと俺も話すよ」
「やめてよ! 」
「お前がやっちゃいけない事をしたんだろ」
「なぜ奈央に会うんだよ。関係ないだろ。
俺に言え!」
「憲司の奥さんが見たかったの」
「お前に関係ないだろ」
花はとんでもない女だった。
俺はバカすぎるな。
奈央には生涯を掛けて謝罪していかないといけない。
きっと悲しい思いをさせただろうな。
ハァー 深く溜息をついた。
俺は花と別れからは同僚として飲み行ったりしていただけだ。
まったく恋愛感情はなかったが、昔付き合っていたこともあってか、気楽に仕事の愚痴を言えるのはよかった。
花は違ったんだな。
俺は休みの日も花から仕事の話しがあると言われたら、会いに行っていた。
花も好きな素振りはまったく見せてこなかった。
俺が結婚した時も喜んでいた。
私も幸せになると話していた。
俺も花が幸せになる事を望んいた。
俺達の友人関係は結婚しても続いていて、奈央にも同僚と飲みに行く事も伝えていた。
花も仕事が出来る。
お互いの成長してると思っていた。
奈央が妊娠した時も花に伝えたら喜んだ。
花、ありがとう。
よかったね。幸せだね。
そうだな。父親って感覚はまだないけどな。
その日も俺達は居酒屋で乾杯していた。
花とは仕事の話しと花の実家の話しくらいしかしていない。
俺にとっては奈央の結婚が幸せすぎて、花にもいい相手を見つけてほしいと心から願っていた。
奈央は料理も上手い、海外との取り引きで忙しい時も寝ないで待っていてくれた。
俺が身体を毎晩求めても応えてくれる。
疲れてる時は奈央がしてくれていた。
完璧な女だった。
仕事も子供も俺の願いを聞いてくれた。
嫉妬もあって家に閉じ込めたかった。
子供も奈央が30になるまでは2人で居ようと言われたいたが、俺の物にしたくて子供を作った。
すべて俺のわがままだ。
奈央は避妊してとゴムを用意していたが、最初は使うが途中はしない。
嫉妬心がむき出しだったな。
しばらくしてから、奈央は妊娠して仕事を辞めた。続けたそうだったが、子供が出来た事は喜んでいた。
俺も嬉しかった。
段々と大きくなってくお腹を俺がいつも擦っていた。セックスも控えていた。
奈央は大丈夫だよと言ってくれるが、俺は子供に何かあったら怖いから愛撫だけで止めた。
トイレで奈央を想像しながら出していた。
妊婦姿の奈央も綺麗でメチャクチャに抱きたかった。
奈央は俺が我慢してるのを気づいていたのか、寝ている時に咥えてくれる。
奈央は俺の敏感な所を舐めてくれる。
奈央の舌使いはたまらない。
「奈央ーーーイクーーーー」
奈央の口の中に出す。
「奈央、俺はいいよ」
「子供の事を考えてくれ」
「セックスしてもいいんだよ」
「まだ硬くなってる」
「子供が心配でな」
「ほら、入れて」
「俺は後ろからゆっくりと入れる」
「温かくて気持ちがいい」
「奈央、気持ちいいよ。すぐイキそうだ」
「あんっ····あん····‘あん·······」
久しぶりの奈央の鳴き声がたまらない。
俺は激しく腰を動かした。
久しぶりに中に出す。
たまらないな。まだ硬くなる俺のモノ。
「ダメだ止まらないよ。奈央」
「憲司、我慢しないで入れて」
妊婦なのに俺は何度も求めてしまった。
今思えばあの頃に花が会いに行っていた時かもな。
きっと怪しんでいたのだろ。
奈央が臨月に入ってから、俺は出張は続いていた。
妻の出産が近いから国内だけにしてもらっていた。いつも一緒に行く後輩は俺の代わりに海外出張に行っている為に花が同行する事になった。
あの時に1人で行っていればな状況は変わっていたのかもな。
花との出張は順調に進んでいた。
その日は取引先からもらった酒を部屋で飲んでいた。
飲みやすくて飲み過ぎて酔っていた。
シャワーを浴びて下着も履かずにバスローブで飲んでいた。
その時に誰が俺の部屋に来た。
俺は酔いながらドアを開けると花がいた。
仕事の話しがしたいと言われて部屋に入れた。
「飲みすぎだよ」
「ハハハハ 美味くてな」
「少し私にも頂戴よ」
「勝手に飲めばいいだろ」
花も飲みだした。
「美味しいね」
気にしていなかったが花もバスローブだけだ。
俺には気を使ってないんだろと気にも留めていなかった。俺はかなり酔ってベッドに横になった。
布団をかけて寝ようとしたら、布団の中に花が入り混んできた。
俺は酔っていて、奈央と勘違いしていた。
「奈央、今日はいいから。俺酔ってるから」
奈央は俺のモノを咥えてきた。
「あ”ーーーーあんまり激しくするなよーー」
「イクーーーーーー」
奈央の口に吐き出した。
臨月でセックスをしてなかった俺は沢山放ってしまった。
真っ暗で布団の中でモゾモゾしてる奈央はバスローブを脱がせてきた。
俺は酔っていて気持ちよくなり、頭を掴んで俺のモノに誘導させてまた口の中で放った。
奈央は俺の顔に蜜壺を押し付けてきた。
奈央はあんまりしてこない行為に興奮して、激しく愛撫を繰り返す。
奈央の弱い所は知っている。
蕾を舌で転がす。吸うを繰り返すとドロドロに蜜が出てきた。
俺は音を立てながら吸う。
奈央、感じろ。俺の舌が一番だろ?
「ピチャピチャ·····じゅるっじゅる·····」
「あっっっん·······そこそこそこ···もっと」
俺は奈央に言われたまま愛撫を続けた。
いつも以上に押し付けてくる事に疑問を持ったが、酔ってる俺はずっと続けた。
何度もイッた奈央は俺のモノにゴムをつけて、上に乗って中に入れてきた。
「奈央、妊婦なんだから、俺が上になる」
「来いよ」
俺は奈央を下にして腰を打ち付けた。
酔いは増す一方だったが、快感が全身に回ってゴムの中に吐き出した。
久しぶりの酔ってセックスが気持ちがよくて、ゴムをまたつけて入れた。
奈央の声も聞こえなくなるくらい、腰を激しく振った。
「奈央、奈央、愛してる」
俺はベッドに横たわったが、また奈央は布団を被り、俺のモノを喰えてくる。
「奈央、もう無理だよ」
またイッてしまった。
そこで俺は眠りについた。
隣りで奈央を抱きしめて。
翌朝、目を覚まして驚愕した。
「おいっ!! 何でお前が裸で寝てる!」
「憲司、おはよう」
「昨日は激しくてビックリした」
「愛撫もすごくてアソコがヒリヒリしてる」
「············」
「お前は部屋に戻らなかったのか?」
「賢司のココが硬くなってたから咥えてあげたら、奈央、奈央って激しくて逃げれなかった。見てよ。ベッドの下」
「俺は·····」
「悪い。酔ってた。無かった事にしてくれ」
「ココ、ヒリヒリしてる。どうしてくれるの?」
「お前が押し付けてきたんだろ」
「憲司が離してくれなかったんでしょう」
「奈央と間違えた」
〙奥さんにあんなにするの?」
「············」
「やってないの? 溜まってるよね?」
「部屋に戻れ」
「嫌よ」
「間違いだと言ってるだろ。何でお前が咥えるんだよ」
「だって下着つけてないからやりたいと思って」
「そんな訳ないだろ。帰れよ」
花の全裸を見て俺が付けたキスマークに現実を突きつけられた。
バカだ。奈央と間違えるなんて。
これが俺の過ちの始まりだ。
俺はそれからは花と飲みにも2人になるのも避けた。
花も気づいているようで何も言ってこなかった。
その日は俺が海外との取引きで会社に遅くまで残っていた。
デスクで時間を潰していると誰かが部屋に入ってきた。
振り返ると花だった。
胸元が開いたトップにミニスカートだった。
一度家に帰ったのにまた何で会社に来たのだろ?
俺は無視して仕事を続けた。
いきなり後ろから抱きしめられた。
「やめろよ。何だよ!」
「寂しそうな背中だったから」
「ここは会社だよ。やめろ。離れろ」
花は隣に座ってきた。
「何だよ!」
「手伝うよ」
「いいよ。1人で出来る」
「帰れよ。また飲んでのか?」
「そうよ。悪い?」
そこに誰かが入ってぃた。
花は俺のデスクの下に入って身を隠した。
何で隠れる?
俺は疑問だったが、入ってきた警備の人と話した。
警備の人から俺のデスクの下は見えない。
それを知ってだろ。花は俺のスーツのチャックを下ろしてモノを触ってきた。
警備の人にバレてはいけないと普通を装ったが、花はモノを下着から出して口に入れてきた。
俺は身体がビクッとしてしまった。
警備の人に大丈夫ですか?と心配されたが、大丈夫だと答えた。
世間話をしてる間も花は音を出さないように舌で舐めている。
俺のモノは硬くなってイキそうな所まで来ていた。
警備の人は戸締まりはしっかりとお願いしますよと出て行った瞬間に俺は花の頭を思いっきりモノに押し付けて出した。
バカだ。我慢が出来なかった。
花は飲み込み。まだ咥えている。
「やめろって」
「出したじゃない」
「人と話してる時にしてくてるからだろ」
「ねえ? 舐めて」
「イヤだよ」
「私もしてあげたじゃない」
「勝手にしたんだろ。やらないよ」
「俺は既婚者だよ。不倫になる」
「いいじゃない。別れたら」
「別れないよ」
「今出したんだから、入れるか舐めて」
「やらないよ。帰れよ」
「俺は仕事するから。じゃあな」
俺はトイレで花の唾液を洗い流した。
ハァー 奈央になって言うかな。
急に咥えてくるなんてありえないだろ。
俺はなるべく花と一緒にならないように避けていた。
奈央のお腹は今にも生まれそうなくらい大きくなった。予定日までもうすぐだ。
奈央は実家で出産をする事にした。奈央の病院は車で30分くらいで行ける距離だから、生まれたらすぐに駆けつけられる。
やっと生まれてくるな。
生まれてきたら、奈央にはきちんと話そうと思っていた。
奈央が里帰りをして2週間が経った頃に花から泣きながら電話があった。
うちの近くの居酒屋で飲んでるから来てほしいと言われた。仕事で失敗したから話しを聞いてほしいと。
俺は行くのは嫌だったが、仕事の話しなら仕方ないと駅前の居酒屋に行った。
花はすでに酔っていた。
俺にも飲めと言ってくるが、空きっ腹に飲みたくない。
奈央が作り置きしてくれたご飯はすべて食べてしまっていた。
俺はつまみを頼んだが、花が飲めとうるさいから食べる前に飲んだ。
あーやっぱり空きっ腹にはくる。
何杯目かわらないが、俺も酔ってしまった。花はベロベロだ。
「歩けそうか?」
「無理、少しだけ憲司の家で休ませて」
「奥さんいないんでしょう」
「何で知ってる?」
「話してるの聞こえたから」
「少しだけだぞ」
これが悪夢の始まりだった。
俺も酔っていてソファに座った。
花は俺の膝の上に横たわる。
「花、起きろよ」
「うん、起きる」
相当酔ってるみたいだ。
俺は花をソファに寝かせて俺はベッドルームで横になった。
それから眠りについてしまった。
どれくらい経ったのかわからないが、夢なのか俺のモノを擦る感触がする。
舌で舐めまわされている。
「うっうっ······ヤバい······」
「奈央······」
俺は夢の中でイッた。
そして、俺に愛撫してくる奈央。
キスをしながら抱き合う。
「奈央·····好きだ」
「私もよ」
2人で言い合っていると
ドアが突然開いて、明かりがついた。
スマホを構えて動画を撮ってる女が入ってきた。
「ここは私の家よ! 何してるの!」
叫んでいる。
横の奈央はキャーーーと叫んでいる。
俺も訳が分からずやめろーーーと叫んだ。
その瞬間に殴られた。
横を見た瞬間に我に返った。
花だ·····そして····
殴りつけてきた女は····
奈央だった·····
臨月の大きなお腹で肩で息をして泣きそうな顔になっている。
今まで聞いた事もない大きな声で
「子供はあなたに会わせません。
離婚です。そちらにご家族がいるのかしら?
そちらにも請求しますので、宜しくお願いします」
「では、ご機嫌よう」
とお腹を擦りながら去っていった。
俺は呆然としていた。
横にいる花にも奈央が入って来た状況も把握が出来ていなかった。
またやってしまった。
それも奈央とのベッドでだ。
あんなに怒ってる奈央は見た事がなかった。
2度も殴れられた。
俺は横にいる花が騒いでる声も聞こえてこなかった。
「憲司! 外が!」
「何だよ! うるせーな。お前は帰れ!」
「2度とお前の顔を見たくない」
「そうじゃなくて、外が騒がしいわ」
「奥さんじゃないの?」
俺は急いで服を来て飛び出した。
今でも忘れられない。血だらけ奈央。
奈央は意識が朦朧としていた。
横の女性は大丈夫よ。救急車を呼んだからと言っている。
俺は奈央と叫ぶしか出来なかった。
今も眠ったままの奈央。俺が深く傷つけた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
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※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

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