壊された結婚 〜幸せの道はどこにある〜

HARUKA

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私は西村 奈央 29(にしむら なお)
結婚2年目の主婦である。

夫は外資IT会社に務める西村 憲司 31(にしむら けんじ)


やっぱりだった·····

うちにあの女を呼んでるなんて·····


私は臨月の妊婦だ。

実家で出産しようと里帰りしていた。
胸騒ぎがして帰ってきたらこのザマだ。

女の直感は当たるわね。


「子供はあなたに会わせません。離婚です。そちらにご家族がいるのかしら?そちらにも請求しますので、宜しくお願いします」

「では、ご機嫌よう」


涙を堪えながらエレベーターに乗った途端に急にお腹が痛くなった。

エレベーターに乗り合わせた女性に救急車を頼んだ。

脚の間から何か垂れているような感じがする。見ると血が垂れていた。

女性も出血を見て「血が出てる!」と叫んでいる。

エレベーターから下ろしてもらい、乗り合わせた女性に叔父の病院の名前と夫が来ても一緒に救急車には乗らせないように何度も言った。

家の中にいる女性の元に帰れと伝えてくれと強く言った。

そこに誰かが私の名前を呼びながら抱きしめてくる人がいたが朦朧としてわからない。

声だけ聞こえくる。

エレベーターで出会った女性だろう。


「あなただけは一緒に救急車には乗らないようにと伝言を預かりました。女性の元へお帰りくださいとのことです」


その言葉に安心して気を失った。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


〈憲司 side〉


大変な事になってしまった。

こんな事になるなんて·····


俺も花も放心状態で顔の痛みも何も感じなかった。

どれくらいの時間が経ったのだろうか

元カノで同僚の高坂 花(31)が外が騒がしいと言い出した。

俺は急いで外に出た。

そこには人だかりが出来ていて、出血して倒れている妊婦の奈央がいた。

すいませんと言いながら人を掻き分けて奈央に近づいた。

奈央を抱きしめて「おい! 大丈夫か!奈央!」と叫んでいる所に救急車が来た。

俺に「ご家族の方ですか?」と訊いてきたので、夫と答えると、奈央の横で寄り添っていた女性が

この妊婦の女性から


「あなただけは一緒に救急車には乗らないようにと伝言を預かりました。女性の元へお帰りくださいとのことです」


と大きな声で野次馬もいる中で言われた。

その女性はまた口を開く


「あなたは最低です。妊婦のこんなに綺麗な奥さんがいながら浮気ですか? たまにあなた方カップルをお見かけていました。美男美女の素敵なカップルだと思っていたのに。奥さんが可哀想です」


その女性は泣き出した。

その女性以外の奈央を助けていた人たちからの冷たい目にさらされながら、俺はそれでも奈央を抱きしめていた。

女性に言われたが、無視をして救急車が来て乗り込もうとしたら、救急隊員に止められた。

横から女性が母子手帳を渡して、奈央の叔父さん病院に向かうように指示していた。

救急隊員も嘘ではないと判断したようで、すぐに奈央を運んで行ってしまった。

奈央は意識がなかった。
俺は呆然としていた。

野次馬たちもコソコソと浮気か、最低だなと言っている。

俺は居づらくなり、すぐに部屋に戻った。

そこにはまだ花がいた。


「もう帰れ」

「嫌よ。まだ終わってない」

「奈央は意識がなくて出血していた。今から病院に行かないといけない。お前、酔ってるんじゃなかったのか?」

「酔ってたわ。酔いも冷めるわ。この顔の傷はどうしてくれるの?」

「いい加減にしろよ。それくらい治るだろ。奈央は意識がないんだぞ。俺は病院に行くから帰れ。もう会わない。子供に何かあったら、俺もお前も多額の慰謝料を請求される」

「それは憲司が払ってくれるんでしょう」

「払う訳ないだろ。いいから帰れ!」


俺は花を帰らせて、急いで病院に向かった。
だが、奈央の病室を教えてもらえなかった。

面会はできないと言われる。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



私は叔父が祖父から引き継いでいる桜井総合病院に運ばれた。

意識不明で運ばれてきた姉を見たER勤務の弟の桜井 樹(たつき)

驚きのあまり大声で叫んでいた。


「姉貴! おい! どうした!」

「桜井、下がって!」

「姉なんです」

「わかったら。俺が見るから」

「岡本先生、よろしくお願いします」


俺は従兄の麻酔科の桜井 蒼汰(そうた)と産婦人科の蒼汰の姉の亜由美(あゆみ)に電話をした。


「蒼汰兄! 姉貴が運ばれてきた!」

「奈央が? どうした?」

「出血して意識不明だ」

「何だと! 妊婦だっただろ」

「早くきてくれ」

「わかった」


一体どうなってんだよ。
憲司さんはどうしたんだよ。

そこに救急隊員の方が話しかけてきた。


「ご家族の方ですか?」

「はい、姉です」

「えーっとですね、、言いにくいのですが、旦那さんも一緒に居たのですが、救急車を呼んだ女性にお姉さんが旦那さんは救急車には乗せないように頼んだそうです。それと、えーっとですね、、、、」

「なんですか!」

「女性の元に戻るようにおっしゃってたそうです」

「女性?」

「詳しい事はわかりません。そう伝えるように言われたそうです」

「浮気ですか?」

「·············」

「わかりました。ありがとうございます。こちらで事実確認します」

「では」


何て事だ! 賢司さんは姉貴がいない間に女を連れ込んでいたって事か! マジかよ!

俺はベンチに座り込んで頭を抱えた。


「樹! 」


そこに亜由美姉がやってきた。


「奈央は?どうなの?」

「亜由美姉、、、、」

「どうしたの?」

「姉貴は賢司さんの浮気を見たのかもしれない。それでショックで飛び出して倒れたのかも」

「 何ですって! 奈央がいない間に女とやっていた? 何て男なのよ」

「最悪だよ。姉貴は意識不明だ」


亜由美姉は泣き出した。

そこに


「姉ちゃん!」

「蒼汰! お父さんと叔父さんに言ってくれたの?」

「あぁ、すぐ来るって」


亜由美姉はすぐにERの中に入っていった。
俺は蒼汰兄にも説明をした。

蒼汰兄も何て事だと頭を抱えた。


「憲司君が奈央に一目惚れだっただろ。何で浮気するんだ。それも女を奈央と一緒に住んでる部屋に連れ込むんだよ」

「姉貴、大丈夫かな?」

「ショックもあるんだろ」


そこに義之叔父さんが走ってきた。


「蒼汰! 奈央は?」

「奈央は意識不明だ」

「博之たちはまだか?」

「まだ親父は来てないです」

「何でこんな事になった」

「···········」

「樹! 何か言え!」

「憲司さんが家に女を連れ込んでる所を姉貴は見たみたいだ」

「何だって! 女を連れ込んでた!」

「親父、落ち着けって。救急隊員からの話しだ」

「それなら本当だろ。奈央は見てしまったんだろ」


蒼汰兄も俺も黙ってしまった。


「博之たちが来たら院長室に呼べ。俺は今から弁護士に連絡する。向こうのご両親はIT関係の会社だったよな?」

「西村セキュリティです」

「わかった。すぐに連絡を入れておく。可愛い姪の為だな。俺たち兄弟が叩きのめすだけだな」

「親父、あんまり興奮するって。まだ事実はわからないんだから」

「興奮するだろう。博之に電話しておけ」

「わかった。叔父さん、ありがとう」


俺は亜由美姉と岡本先生に委ねるだけだった。

蒼汰兄とひたすらベンチで待っていた。


親父とお袋が走ってきた。


俺達の実家は祖父が持っていたビルをリノベーションして1階に美容整形外科のクリニック、2階3階を自宅にしている。

母親も女医だ。

奈央は医師免許を持っているが医師としては働いていなかった。


「樹! 奈央は!」

「意識不明だ」


母の恵美子は泣き崩れていた。


「美恵子、大丈夫だ。兄貴がいるし、亜由美もいる」

「でも、どうして奈央がこんな事に」

「叔父さん、親父が院長室に来てくれだって」

「わかった。恵美子、行くぞ」

「樹! 頼んだわよ」

「わかってる」


親父たちは叔父さんに会いに向かった。


「樹? 奈央と憲司君は上手くいってなかったのか? 結婚してまだ2年だろ?」

「俺もよくわからない。姉貴は1人で抱え込むタイプだから。前に付き合っていた恭弥(きょうや)さんの時もアメリカ留学について行きたかったみたいだけど、恭弥さんの為に身を引いたんだ。向こうはうちとは比べ物にならないくらいの先端技術を持ってる病院だしな。あの頃の姉貴は見てられなかったな。今回も浮気は前から知っていたのかもしれない」

「そうだな。奈央はインテリアの興味があったのに医者の道に進んだしな」

「姉貴は自分の気持ちを隠す事があるんだ。俺も沢山助けてもらったよ」

「憲司君はどうするつもりなんだ? その女と付き合うのか?」

「魔が差したんじゃないのか?」

「樹は憲司君の気持ちがわかるのか? 俺は妻にしか興味がないから、その気持ちがわからないよ。樹も奈央も美男美女だからモテるんだろうな」

「俺も彼女いる時は浮気はしないよ。結婚したら尚更しない。大学時代は遊んでたから、他に目がいく気持ちはわかる。姉貴は蒼汰兄みたいな男と結婚するべきだったかもな。恭弥さんはそのタイプだったと思うよ」

「元カレは日本にいるのか?」

「まだアメリカにいるんじゃないか?」

「そうか」

「蒼汰兄? 恭弥さんと寄りを戻させるとか考えたのか? 恭弥さんはきっと結婚してるよ。恭弥さんは御曹司でイケメンでかなりのモテ男だよ。女がほっておくわけない」

「そうか。上手く行かないな」
「奈央にも樹にも幸せでいてもらいたい」


どれくらい座っていたのだろ?
遠くから赤ん坊の声が聞こえてきた。

俺と蒼汰兄は目を合わせた。


「よかった! 無事に生まれた!」

「蒼汰! 樹!」


亜由美姉が出てきた。


「可愛い男の子よ。赤ちゃんは無事よ」

「でも····奈央は目をさまさないわ」
「処置してから脳外科に回す」

「わかった」

「私が奈央の側にいるから。あなた達は奈央の旦那を近づけないようにして。受付に病室を教えないように伝えるのよ」

「会わせないのか?」

「こんな状況で浮気した男に合わせるの?」

「あんた達は男だから男の気持ちがわかるって訳ね。気持ち悪い。うちの旦那が同じ事をしたら、私は許さないわ。ボコボコね」

「亜由美姉、、、怖い事を言うなよ」

「何? 蒼汰はよく知ってるわよね?」

「あぁ、意味もなく殴られた」

「意味があるのよ。あんたはわからないけどね」

「わかったよ。受付と事務に伝えておくよ」

「あんた達は事実確認してらっしゃいよ。今もやってるかもしれないでしょう。証拠を掴んできなさないよ」

「わかったよ」

「今は奈央を助けるわ」

「亜由美姉、よろしくお願いします」

「二人はとっと行ってきなさい!」


亜由美姉は怒っているのがわかった。


「蒼汰兄、俺達が行って浮気してましたって言うと思うか?」

「言わないだろうな。相手の女の事も言わないだろうな」

「探偵に頼んだ方がいいんじゃないか?」

「そうだな。親父の弁護士に訊くか」


俺と蒼汰兄と院長室に向かった。



奈央は脳にもどこにも異常はなく個室に移された。

あれから3日経つがまだ目を覚まさない。
その間に子供の名前決めないといけない。

候補がいくつかあるが、両親も俺もどれにしていいのかわからない。

賢司さんに訊く訳にいかずに途方に暮れている。

義之叔父さんは紙に書いてある1番上の名前でいいじゃないかと言ってくるが、お袋はこれだと言ってたとか何とかで話しがまとまらない。

ハァー どうすんだよ。

姉貴、目を覚ませよ。

このままでは困るから、俺と蒼汰兄で憲司さんの職場に行く事にした。

家に行ってもよかったが、何となく俺も蒼汰兄も行きたくなかった。

賢司さんに連絡をして、ランチタイムに賢司さんの職場の近くにある個室のレストランを予約した。

俺達は早めにレストランに到着した。


「樹、名前の紙は持ってきたのか?」

「持ってきたよ。蒼汰兄、浮気してた男に訊いて名前を決めていいのか?」

「仕方ないだろ。あの子の父親なんだ。奈央と何かしらは話してるだろ」

「俺は会いたくないな」

「俺も会いたくないよ」

「子供が生まれたと言うのにな。こんな暗い気持ちで子供の名前を決めるなんてな」


蒼汰兄がポツりと独り言を言った。


蒼汰兄と俺は溜息を深くついた。


トントン


「どうぞ」

「遅くなり申し訳ありません」


憲司さんが入ってきた。

憲司さんは男から見ても彫りが深くてワイルドなイケメンでカッコいい。身長は180はあるんだろうか。引き締まった身体に長い脚。おまけに外資勤務の英語が堪能だ。女がほっとかないだろ。

姉貴の奈央は美人というよりは童顔の可愛い系だ。顔と身体が似合ってないというか、外国人体型だ。大きな胸に少し大きめの上がったケツが男心をくすぐるのか、俺の友達もよく姉貴のケツをジロジロと見ていた。紹介しろと今も医者の仲間に言われている。

姉貴が医師にならかった理由は人と接するのが嫌だったんだろ。ストーカーまでは行かないが、しつこく誘ってくる男にうんざりしていた。

高校、大学時代は相当モテいたと思う。だが、当時研修医だった4つ上の恭弥さんに出会ってからは男たちも言い寄らなくなった。

あの頃の姉貴が1番輝いていた。
あのまま恭弥さんと付き合っていたらな。

憲司さんを見ながら恭介さんを思い出してしまった。


「樹くん、奈央を傷つけて申し訳ない」
「こんな事になるんて.......」

「姉貴はまだ目を覚ましません」
「叔父を含めて担当医も目を覚ましたくないんではと言っています。起きたら現実を突きつけられる。姉はそれが怖いんではないかと」

「俺の責任です」

「そうですよ。どうして外で女と会わなかったんですか? 」

「蒼汰兄、それは後にしよう。名前を先に訊きこうよ」

「そうだな。それが先だな」

「憲司さん、今、子供の名前で困ってます。子供は可愛い男の子です。健康に育ってます」

「よかったです」


憲司さんはうつむいて無言になった。


「それでこの紙に書いある名前なんですが、姉貴と話してましたか?」

「はい、男の子なら新(あらた)、女の子なら百花(ももか)と話していました」

「そうですか。それなら、新に決めますね」

「はい、奈央が決めた名前です」
「子供に会わせてもらえませんか?」

「俺達では決められません。憲司さんを救急車に乗せないで欲しいと奈央が言っていたので、その言葉に従うまでです」

「憲司さんは今後はその女性と付き合っていくんですか?」

「俺は奈央とは別れたくありません」
「奈央にはわかってもらえるように尽くします」

「賢司君、女性とは関係があったんだよね?」

「関係は何度かありました」

「それなら姉貴と別れてその女性と付き合えばいい」


蒼汰兄もそうだなと頷いていた。


「俺は奈央だけを愛しています」
「他の女性には興味ないです」

「それならなぜ不倫するんですか?」

「魔が差した·····」

「魔が差す? よくわからないです」
「姉貴は別れると言うと思いますよ」
「今もその女性と付き合ってるんでしょう?」

「いえ、付き合ってないです」

「憲司さんは寄りを戻してどうするんですか?姉貴と上手くいくわけないですよ。俺はできるなら別れて他の男と付き合ってほしいと思ってます」

「奈央とは別れません」

「奈央が目覚めてから話し会いましょう」
「俺達は行きますね。では」




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


〈憲司 side〉


今日は奈央の弟と従兄が子供の名前を訊きたいと俺に会いに来た。

奈央とは子供について色々と話し合っていた。男の子なら新にしようと決めていた。

俺の息子が生まれたのか。嬉しいが、
奈央はまだ目覚めない。

あんな姿を見たら目覚めたくもないよな。
俺はなんてバカな事をしたんだ。

悔やんでも遅いな。
酔っていた俺を殴り飛ばしたい。

俺と花は同期の元カノ元カレの仲だ。
大学時代がら付き合い始めて、就職先も同じ会社にした。

花の実家は江戸時代から続く華道の家元。反抗するように花は実家を継がずに就職した。

当たり前だが、花は華道やお茶の腕前はプロだ。

俺達は就職してから結婚を考えていたが、花の実家から猛反対を受けて別れる事になった。

元々お互いの性格も合わない所もあり、俺はこれでいいと思っていたが、花は違っていた。

花とは同期で同じ課という事もあって仕事の悩みを打ち明ける良き友人になっていた。

出張も同行する事もあったが、別れてからは身体の関係はなかった。

俺と花はよい友人関係を続けていた。

そんな時に同期の奴に女医との合コンがあるからと誘われた。俺は女医も合コンも興味ないから断ったが、お前が来ると女の子たちも喜ぶからと無理やり連れて行かれた。

合コンや女が多い場所はいつも避けている。上目遣いの女が寄ってきてウザいからだ。

見た目だけで決めるような女とは話しもしたくない。

行きたくないが、ガッシリと肩を組まれて逃げれない。

ハァー 行くしかないか。すぐに帰ろう。

オシャレなイタリアンのお店に着いた。
女の子たちが待ってるテーブルに着くと俺は息を飲んだ。

同期の奴らも奈央に注目していた。

他の女の子たちも綺麗だったが、俺は奈央しか目に入らなかった。

俺は奈央の横に座った。
同期の男たちも奈央の周りに座る。

奈央は顔は童顔で若く見える。顔も美人と言うよりは可愛い系で芸能人になってもおかしくない整った顔している。

顔も完璧だが、スタイルも完璧だった。童顔から想像もつかない程の女性らしい色っぽいスタイルだ。

俺は釘付けになった。

奈央も同じで合コンに興味がないように見えた。

自己紹介が始まり、桜井奈央、コスメを主に研究してる会社に勤めていた。

俺は他の女の子の会話を適当にあしらい、奈央に夢中で話し掛けて飲ませていた。

奈央も少し打ち解けてくれて、俺も笑顔になっていた。

同期の奴らには奈央と話しすぎだと足で蹴られいたが無視していた。

奈央は性格も良いのか女子たちからも好かれているようだった。同期の奴らの質問にも嫌な顔せずに答えていた。


奈央は酔ったのかトイレに行って帰ってこない。

俺は心配になりトイレに行くと、ベンチに座っていた。

大丈夫?と訊くと少し酔ったみたいと目を潤ませて言ってくる。

これがわざとでないのがわかる。
顔も赤いし、少し気分が悪そうだ。


「送るよ」

「大丈夫です。少しここに座ってれば治ります」

「いいよ。送っていくよ」

「では、お言葉に甘えます」


男慣れしてない所も好感が持てた。
俺は奈央の荷物を持って同期の奴らに送っていくから言うと睨みつけられたが関係ない。


「奈央ちゃん、行こう」

「はい、すいません」

「家はどこかな?」


タクシーまでの歩くのもフラフラしている。
気持ちが悪いのか吐きそうになっている。

俺は人影のない場所に奈央を歩かせて、そこで吐かせた。奈央の洋服が少し汚れしまって、奈央は恥ずかしそうにしていた。

奈央のその仕草にも俺はドキっとした。
俺の家は歩いてすぐの場所だった。

持ち帰りと言われたらそうだが、まったく襲うとかそんな気はなかった。


「奈央ちゃん、うちで少し横になってから帰りな。襲ったりしないから」

「襲う? そんな事は思ってないですよ」

「少し歩ける? 洋服も洗おう」

「ありがとうございます。少しだけ休ませください」


俺は奈央を支えて歩いたが、奈央の身体を触った瞬間に電気が走った感覚になった。

柔らかくて手に当たる胸は想像以上に大きい。俺はやらしい気持ちを封印したが、また湧いてくる。

ヤバいな。俺、待てるかな?

家に着き、バスルームに奈央を案内した。

シャワーを浴びて俺のTシャツを着て出てきた。俺はまたいやらしい気持ちが出てきてしまった。

ノーブラで下着も洗濯したのだろう。

ポツンとTシャツから胸先が見える。
脚も細くウエストはくびれているのがわかる。


「奈央ちゃん、ベッドに横になっていいよ」

「いいですよ。ソファで。少し休ませください」

「俺もシャワー浴びてくるね」

「はい、横になってますね。あがったら教えてください」


俺はシャワーから上がるとノーメイクの可愛い奈央がソファで寝ていた。

お酒も弱いのにみんなに付き合ったんだろうな。俺はこの時に奈央と結婚したいと決めてような気がする。

俺は奈央をベッドに運ぶと奈央が抱きついてきた。

きょうや·····と言いながら

俺はきょうやでもいいからとキスをした。

奈央も舌をれてくる。

俺は止められなくなった。Tシャツを脱がすとノーブラの綺麗な大きなバストが目に止まる。

パンティーも脱がすと俺はまた見惚れてしまう。ゴムを取り出して横に置く。

奈央ちゃんがいけないだからな。

俺は無我夢中で奈央を抱いた。

声も可愛くて何度も鳴かせた。
花にもこんなに愛撫をした事がない。

時間をかけて隅々まで見ながら愛撫を繰り返した。

奈央の蜜壺はトロトロになっていた。

俺はモノにゴムをつけてゆっくりと入れた。
入れた瞬間にもうダメだと思った。

締め付けが強く滑らかで絡みつく。
奈央ちゃん、ダメだ。締めるなよ。

俺は止められなくなり激しく腰を振り続けた。


「くっうっ、、、ダメだ、、イクーーーーー」

「奈央、、、結婚しよう」


俺は止められなくなり、ゴムがなくなるまで抱き続けた。こんなに気持ちがいいセックスは久しぶりだな。

花とのセックスも悪くはないが、全身に電気が走る快感はなかった。

奈央とのセックスは格別だ。

酔った勢いだったが責任を取る覚悟で奈央を抱きしめて眠りについた。


翌朝、奈央がもぞもぞと横でしているが、無視して抱きしめていた。


「西村さん? 」


と声を掛けてきた。


「おはよう。早いね」

「あの、、、、昨日、、、、」


気まずそうに奈央が言ってくる。

きょうやって言いながらキスされてね。俺も男だからね、止められなかった。


「そんな事を言ってたんですか? すいません」

「元カレなの?」

「はい、そうです。だいぶ前の元カレです」

「今はいないんだね」

「はい、ずっといません」

「それなら俺と結婚して」

「けっけっけっこん? 」

「そう。今はきょうやを忘れなくても俺が忘れさせるから」

「もう忘れてます。いきなり結婚は、、、」

「いいだろ。俺も彼女いないし、奈央ちゃんに一目惚れした」

「結婚したい。ココの相性もよかった」


奈央は顔を真っ赤にさせてうつむいた。


「奈央ちゃんもだろ?」

「············」

「同棲からしよう」

「昨日会ったばかりですよ。それに西村さんはモテますよね?」

「モテないよ。好きな女にだけモテたいからね」

「俳優さんにいそうなくらいカッコいいので、私とは不釣り合いかと。友人たちもみんな西村さん狙いだったので」

「奈央ちゃんもそうなの?」


うつむいて首を縦に振った。
俺は心の中でガッツポーズをした。


「決まりね。同棲しよう」

「そんな急に困ります」

「一人暮らしなの?」

「はい、そうです」

「家の更新いつなの?」

「来月になります」

「ちょうどいいね。ここに住みなよ。部屋もあるしね」

「そんな急に言われても、、、、」

「今から新しい部屋を見つけに行く?」

「え? 何でそんなに急ぐんですか?」

「他の男も狙ってるから」

「狙ってませんよ」

「俺はもう決めたから。昨日の鳴き声と顔が忘れらない」

「もう、やめてください」

「あんっうっっん、、、、」

「感じやすいね」

「触るからですよ」

「入ってきて言ってるよ」

「あんっあん、、、、西村さん、、、、、」

「西村じゃなくて憲司な。きょうやって言ったらお仕置きするから」


俺はまた朝からガッツいてしまった。
ゴムもないのにそのまま入れてしまった。

さすがに中に出さないが、俺としたこ
事が避妊を忘れくらい奈央にハマるなんてな。

昨日会ったばかりなのにな。


2人が去った後に奈央と出会ったを思い出した。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




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