13 / 19
アクシデントは突然に
しおりを挟む
どうしよう。
どうしようどうしよう!
そんな事言ってる場合じゃないけど、動揺してそれしか考えられない。
今、ガタイのいい男に担がれ、体育館の外れにある体育倉庫に連れて行かれてしまった。
待って待って。
こういうのって普通主人公が連れていかれちゃって、攻略対象が迎えに来るのが王道じゃないの!?
なのに、何で俺!?
「噂で聞いたけどさ、あんた体使って王子以外の男も落としてんだって?」
「……は?」
全く身に覚えがない。
一体どこからそんな話が……。
『…、ビッチが』
頭に浮かんだのはこの間去り際に言われたユウの言葉。
…考えたくないけど、噂の出処はそこかもしれない…。
「俺はそんな事してないし、そんな噂も知らない…!」
「じゃあ何で何人もの奴がお前を気に入ってんだ?」
「それ…は…」
「ほら、答えらんねえんだろ!やっぱりヤッちまってます~って事じゃねえか」
「違うって!」
何度言っても話が進まない……!
本日何度目かのどうしようが頭に浮かぶ。
現代みたいにスマホの様な連絡手段がない世界では、手紙でのやり取りが主流だ。
だとすると突然攫われた俺の、今の状況は絶望的である。
「と、とにかく…それ全部勘違いだから!俺を攫っても面白い事なんてないし、」
「それがそうでもねえんだよなぁ?」
ぐ、と首元のシャツを捕まれ、瞬時理解したものの止める間もなく左右に無理矢理引っ張られ肌が露わになった。
「…!!この、はなせ!やだ!!」
首から胸元まで肌蹴た状態になり、この後の事を想像するだけでゾッとする。
「キズものになっちまえばあの王子も勝手に捨ててくれるだろ」
「そしたら俺らが貰ってやるよ」
ゲラゲラと笑う男達が、酷く下品に見えた。
でも同時に、それだけの事を言う相手の意図が分からない。
何故俺なのか。何故その噂が流れたのか。何故その噂で攫われたのか。
答えは一人に辿り着いた。
やっぱり、関わってるのはユウだ。
周りに細い奴は居るけど、ガタイがいい奴が一番捕まえてるせいで逃げられない。
アルバート以外に触られるのなんて、絶対嫌だ!
…、嫌だけど、俺は…。
助けてもらえる、主人公じゃない。
そう思った途端、ふと力が抜けてしまった。
それを観念したと思ったのか、男が俺の首筋に触れた。
その時。
「うわぁ!!」
「!?」
バチィンッと雷のような電流が相手の指を襲い、俺の首から手を離した。
驚いた俺は何が起こったかを確認する前に、扉がガラリと大きな音を立てて開き…って。
「……え?」
目の前に映し出されたその光景は、信じられない光景だった。
どうしようどうしよう!
そんな事言ってる場合じゃないけど、動揺してそれしか考えられない。
今、ガタイのいい男に担がれ、体育館の外れにある体育倉庫に連れて行かれてしまった。
待って待って。
こういうのって普通主人公が連れていかれちゃって、攻略対象が迎えに来るのが王道じゃないの!?
なのに、何で俺!?
「噂で聞いたけどさ、あんた体使って王子以外の男も落としてんだって?」
「……は?」
全く身に覚えがない。
一体どこからそんな話が……。
『…、ビッチが』
頭に浮かんだのはこの間去り際に言われたユウの言葉。
…考えたくないけど、噂の出処はそこかもしれない…。
「俺はそんな事してないし、そんな噂も知らない…!」
「じゃあ何で何人もの奴がお前を気に入ってんだ?」
「それ…は…」
「ほら、答えらんねえんだろ!やっぱりヤッちまってます~って事じゃねえか」
「違うって!」
何度言っても話が進まない……!
本日何度目かのどうしようが頭に浮かぶ。
現代みたいにスマホの様な連絡手段がない世界では、手紙でのやり取りが主流だ。
だとすると突然攫われた俺の、今の状況は絶望的である。
「と、とにかく…それ全部勘違いだから!俺を攫っても面白い事なんてないし、」
「それがそうでもねえんだよなぁ?」
ぐ、と首元のシャツを捕まれ、瞬時理解したものの止める間もなく左右に無理矢理引っ張られ肌が露わになった。
「…!!この、はなせ!やだ!!」
首から胸元まで肌蹴た状態になり、この後の事を想像するだけでゾッとする。
「キズものになっちまえばあの王子も勝手に捨ててくれるだろ」
「そしたら俺らが貰ってやるよ」
ゲラゲラと笑う男達が、酷く下品に見えた。
でも同時に、それだけの事を言う相手の意図が分からない。
何故俺なのか。何故その噂が流れたのか。何故その噂で攫われたのか。
答えは一人に辿り着いた。
やっぱり、関わってるのはユウだ。
周りに細い奴は居るけど、ガタイがいい奴が一番捕まえてるせいで逃げられない。
アルバート以外に触られるのなんて、絶対嫌だ!
…、嫌だけど、俺は…。
助けてもらえる、主人公じゃない。
そう思った途端、ふと力が抜けてしまった。
それを観念したと思ったのか、男が俺の首筋に触れた。
その時。
「うわぁ!!」
「!?」
バチィンッと雷のような電流が相手の指を襲い、俺の首から手を離した。
驚いた俺は何が起こったかを確認する前に、扉がガラリと大きな音を立てて開き…って。
「……え?」
目の前に映し出されたその光景は、信じられない光景だった。
88
お気に入りに追加
197
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。


転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**


ヒロインの兄は悪役令嬢推し
西楓
BL
異世界転生し、ここは前世でやっていたゲームの世界だと知る。ヒロインの兄の俺は悪役令嬢推し。妹も可愛いが悪役令嬢と王子が幸せになるようにそっと見守ろうと思っていたのに…どうして?

マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください

悪役王子の取り巻きに転生したようですが、破滅は嫌なので全力で足掻いていたら、王子は思いのほか優秀だったようです
魚谷
BL
ジェレミーは自分が転生者であることを思い出す。
ここは、BLマンガ『誓いは星の如くきらめく』の中。
そしてジェレミーは物語の主人公カップルに手を出そうとして破滅する、悪役王子の取り巻き。
このままいけば、王子ともども断罪の未来が待っている。
前世の知識を活かし、破滅確定の未来を回避するため、奮闘する。
※微BL(手を握ったりするくらいで、キス描写はありません)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる