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アクシデントは突然に
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どうしよう。
どうしようどうしよう!
そんな事言ってる場合じゃないけど、動揺してそれしか考えられない。
今、ガタイのいい男に担がれ、体育館の外れにある体育倉庫に連れて行かれてしまった。
待って待って。
こういうのって普通主人公が連れていかれちゃって、攻略対象が迎えに来るのが王道じゃないの!?
なのに、何で俺!?
「噂で聞いたけどさ、あんた体使って王子以外の男も落としてんだって?」
「……は?」
全く身に覚えがない。
一体どこからそんな話が……。
『…、ビッチが』
頭に浮かんだのはこの間去り際に言われたユウの言葉。
…考えたくないけど、噂の出処はそこかもしれない…。
「俺はそんな事してないし、そんな噂も知らない…!」
「じゃあ何で何人もの奴がお前を気に入ってんだ?」
「それ…は…」
「ほら、答えらんねえんだろ!やっぱりヤッちまってます~って事じゃねえか」
「違うって!」
何度言っても話が進まない……!
本日何度目かのどうしようが頭に浮かぶ。
現代みたいにスマホの様な連絡手段がない世界では、手紙でのやり取りが主流だ。
だとすると突然攫われた俺の、今の状況は絶望的である。
「と、とにかく…それ全部勘違いだから!俺を攫っても面白い事なんてないし、」
「それがそうでもねえんだよなぁ?」
ぐ、と首元のシャツを捕まれ、瞬時理解したものの止める間もなく左右に無理矢理引っ張られ肌が露わになった。
「…!!この、はなせ!やだ!!」
首から胸元まで肌蹴た状態になり、この後の事を想像するだけでゾッとする。
「キズものになっちまえばあの王子も勝手に捨ててくれるだろ」
「そしたら俺らが貰ってやるよ」
ゲラゲラと笑う男達が、酷く下品に見えた。
でも同時に、それだけの事を言う相手の意図が分からない。
何故俺なのか。何故その噂が流れたのか。何故その噂で攫われたのか。
答えは一人に辿り着いた。
やっぱり、関わってるのはユウだ。
周りに細い奴は居るけど、ガタイがいい奴が一番捕まえてるせいで逃げられない。
アルバート以外に触られるのなんて、絶対嫌だ!
…、嫌だけど、俺は…。
助けてもらえる、主人公じゃない。
そう思った途端、ふと力が抜けてしまった。
それを観念したと思ったのか、男が俺の首筋に触れた。
その時。
「うわぁ!!」
「!?」
バチィンッと雷のような電流が相手の指を襲い、俺の首から手を離した。
驚いた俺は何が起こったかを確認する前に、扉がガラリと大きな音を立てて開き…って。
「……え?」
目の前に映し出されたその光景は、信じられない光景だった。
どうしようどうしよう!
そんな事言ってる場合じゃないけど、動揺してそれしか考えられない。
今、ガタイのいい男に担がれ、体育館の外れにある体育倉庫に連れて行かれてしまった。
待って待って。
こういうのって普通主人公が連れていかれちゃって、攻略対象が迎えに来るのが王道じゃないの!?
なのに、何で俺!?
「噂で聞いたけどさ、あんた体使って王子以外の男も落としてんだって?」
「……は?」
全く身に覚えがない。
一体どこからそんな話が……。
『…、ビッチが』
頭に浮かんだのはこの間去り際に言われたユウの言葉。
…考えたくないけど、噂の出処はそこかもしれない…。
「俺はそんな事してないし、そんな噂も知らない…!」
「じゃあ何で何人もの奴がお前を気に入ってんだ?」
「それ…は…」
「ほら、答えらんねえんだろ!やっぱりヤッちまってます~って事じゃねえか」
「違うって!」
何度言っても話が進まない……!
本日何度目かのどうしようが頭に浮かぶ。
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だとすると突然攫われた俺の、今の状況は絶望的である。
「と、とにかく…それ全部勘違いだから!俺を攫っても面白い事なんてないし、」
「それがそうでもねえんだよなぁ?」
ぐ、と首元のシャツを捕まれ、瞬時理解したものの止める間もなく左右に無理矢理引っ張られ肌が露わになった。
「…!!この、はなせ!やだ!!」
首から胸元まで肌蹴た状態になり、この後の事を想像するだけでゾッとする。
「キズものになっちまえばあの王子も勝手に捨ててくれるだろ」
「そしたら俺らが貰ってやるよ」
ゲラゲラと笑う男達が、酷く下品に見えた。
でも同時に、それだけの事を言う相手の意図が分からない。
何故俺なのか。何故その噂が流れたのか。何故その噂で攫われたのか。
答えは一人に辿り着いた。
やっぱり、関わってるのはユウだ。
周りに細い奴は居るけど、ガタイがいい奴が一番捕まえてるせいで逃げられない。
アルバート以外に触られるのなんて、絶対嫌だ!
…、嫌だけど、俺は…。
助けてもらえる、主人公じゃない。
そう思った途端、ふと力が抜けてしまった。
それを観念したと思ったのか、男が俺の首筋に触れた。
その時。
「うわぁ!!」
「!?」
バチィンッと雷のような電流が相手の指を襲い、俺の首から手を離した。
驚いた俺は何が起こったかを確認する前に、扉がガラリと大きな音を立てて開き…って。
「……え?」
目の前に映し出されたその光景は、信じられない光景だった。
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