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五十八.生贄娘、村に向かう
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村に近づくにつれ、瘴気の気配が近くなる。
瘴気は半球状に村を覆っているようで、遠くからも村の場所がわかるほどだ。
「あの中に白麗様が……」
香世の言葉に紫水は頷く。
「まずは救助された者達に話を聞こう」
山吹から村から離れたところに助け出された人達が固まっていると聞き、そちらに急いだ。
村人が避難している場所は、村を見下ろす高台にある紫水の社の敷地内だった。
姿を現した紫水に、村人や彼らの手当をしていた眷属が驚いている。
「紫水様⁉」
「どうしてこちらに⁉」
そんな彼らに落ち着いて紫水は答える。
「皆が心配で様子を見に来たのだが。白麗は、やはりまだあの中か?」
「はい……。ご無事かどうかさえわかりません……」
言いにくそうな眷属に、紫水は持ってきた薬草茶を手渡す。
「そうか。ひとまず、これを。浄化の効果のある薬草茶だ。お茶を沸かして皆に配ってくれ。山吹は、彼らを手伝ってくれ」
「かしこまりました」
山吹が頷いたのを見て、紫水は言う。
「私は村を見に行ってくる」
「そんな、危険です」
「紫水様まであれに飲み込まれたら……」
心配する眷属と村人に、紫水は首を振り尋ねる。
「近づかなければ大丈夫だろう。それに、私にも考えがある」
「そうでしたか。出過ぎたことを言い申し訳ありません」
眷属が頭を下げ、村人もそれにならう。
「いい。心配してくれているからだこそ、というのはわかっている。だが、私にも皆を守る者として矜持がある」
「どうか、ご無事でお戻りください」
「もちろんだ」
そうして、紫水と共にその場を後にした。
神社から続く道を歩きながら、香世は紫水に問う。
「どうなさるのですか」
「そうだな……。ここまで来たなら説明しなければならんな」
そうして紫水は続けた。
「香世殿次第だが、私があの瘴気を抑えることができたなら、香世殿に白麗の元に行って欲しいのだが。できそうか?」
紫水の問いに、少し考えて頷く。
「できると思います」
「そして、できたなら、これを堕ち神にぶつけるのだ。これは、香世殿の薬草茶を見て、うちの眷属が思いついた煙玉だ。衝撃を与えることで、薬草茶の成分が煙として噴出するようになっている。おそらくは、堕ち神の生み出す瘴気を中和するはずだ。うまくいけば弱体化もできるだろう」
「このような物をいつの間に……」
「私も知らない間に作っていてな。驚いたわ」
眷属の作品を見て紫水は一瞬柔らかく微笑むも、すぐに真顔に戻った。
「だが、これは一つしか無い」
「使いどころは、香世殿に任せる」
「わかりました」
「煙玉と、香世殿の存在とがあれば、少しは白麗の役に立つだろう。さぁ、そろそろ、村の入り口だ」
いつの間にか下り坂から平らな道に変わっていて、紫水に言われて視線を前に向けると、少し先に村の入り口が見えていた。
瘴気は半球状に村を覆っているようで、遠くからも村の場所がわかるほどだ。
「あの中に白麗様が……」
香世の言葉に紫水は頷く。
「まずは救助された者達に話を聞こう」
山吹から村から離れたところに助け出された人達が固まっていると聞き、そちらに急いだ。
村人が避難している場所は、村を見下ろす高台にある紫水の社の敷地内だった。
姿を現した紫水に、村人や彼らの手当をしていた眷属が驚いている。
「紫水様⁉」
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そんな彼らに落ち着いて紫水は答える。
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「はい……。ご無事かどうかさえわかりません……」
言いにくそうな眷属に、紫水は持ってきた薬草茶を手渡す。
「そうか。ひとまず、これを。浄化の効果のある薬草茶だ。お茶を沸かして皆に配ってくれ。山吹は、彼らを手伝ってくれ」
「かしこまりました」
山吹が頷いたのを見て、紫水は言う。
「私は村を見に行ってくる」
「そんな、危険です」
「紫水様まであれに飲み込まれたら……」
心配する眷属と村人に、紫水は首を振り尋ねる。
「近づかなければ大丈夫だろう。それに、私にも考えがある」
「そうでしたか。出過ぎたことを言い申し訳ありません」
眷属が頭を下げ、村人もそれにならう。
「いい。心配してくれているからだこそ、というのはわかっている。だが、私にも皆を守る者として矜持がある」
「どうか、ご無事でお戻りください」
「もちろんだ」
そうして、紫水と共にその場を後にした。
神社から続く道を歩きながら、香世は紫水に問う。
「どうなさるのですか」
「そうだな……。ここまで来たなら説明しなければならんな」
そうして紫水は続けた。
「香世殿次第だが、私があの瘴気を抑えることができたなら、香世殿に白麗の元に行って欲しいのだが。できそうか?」
紫水の問いに、少し考えて頷く。
「できると思います」
「そして、できたなら、これを堕ち神にぶつけるのだ。これは、香世殿の薬草茶を見て、うちの眷属が思いついた煙玉だ。衝撃を与えることで、薬草茶の成分が煙として噴出するようになっている。おそらくは、堕ち神の生み出す瘴気を中和するはずだ。うまくいけば弱体化もできるだろう」
「このような物をいつの間に……」
「私も知らない間に作っていてな。驚いたわ」
眷属の作品を見て紫水は一瞬柔らかく微笑むも、すぐに真顔に戻った。
「だが、これは一つしか無い」
「使いどころは、香世殿に任せる」
「わかりました」
「煙玉と、香世殿の存在とがあれば、少しは白麗の役に立つだろう。さぁ、そろそろ、村の入り口だ」
いつの間にか下り坂から平らな道に変わっていて、紫水に言われて視線を前に向けると、少し先に村の入り口が見えていた。
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