心晴と手乗り陰陽師

乙原ゆん

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34.林間学校(6) 二日目 キャンプファイヤー

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「あれ、心晴ちゃん、泣いたの?」
「あ、本当だ。何、肝試しが怖かった?」
 肝試しのゴール、キャンプファイヤーが行われる広場に行くと、早速瑠奈ちゃんと理恵ちゃんに涙の跡を見つかってしまった。
「二人ともよく見てるね」
「もう、それより、理由教えてよ。もしかして、土御門君に泣かされた?」
「なに、そうなら、私文句言ってくるけど」
「違う違うから、言わなくていいって」
「そう?」
「本当に、違うから。驚くことがあって、涙が止まらなくなっちゃっただけだから」
「ならいいけど」
 渋々という様子の理恵ちゃん何度もに頷く。
「折角だし、皆でキャンプファイヤー楽しもう!」
「そうだね!」
 まだ肝試しが終わっていないみたいで、全員揃ってから火を付けるみたいだ。私は一言断って、瑠奈ちゃんと理恵ちゃんと離れて草の上に腰を下ろす。
 ハムアキラが見つけてくれるって言ったけど、亜由美ちゃんと会えるのはいつ頃になるんだろう。
 考えていると、隣に誰かが座った。
「颯真君……」
 わざわざ隣に来るなんて、どうしたのかな。
「さっきのこと、お礼を言おうと思って」
「お礼って何かしたっけ?」
「僕だけだったら、きっとあの子の話を聞かずに除霊してたと思うから」
「そうすると、どうなるの?」
「生きてる人を無理やりあちらに送ることはできないけど、魂に傷つけてしまってたと思う」
 魂に傷。どんな様子かはわからないけど、痛そうだ。
「取り返しのつかないことをするところだった。だから、心晴ちゃんがいてくれてよかった。ありがとう」
 言いたいことを言うと、颯真君は立ち上がると川口君の所に向かっていく。
「名前、呼んでくれた……」
 颯真君って呼ぶようになって、苗字でも呼んでくれなかったから、もしかして嫌なのかと思ってたけど。
 名前を呼ばれると、なんだか嬉しいけれど、気恥ずかしい気持ちだった。
 そうしているうちに、全員戻ってきたようだ。薪に火がついて、周りに人が集まってきている。
「心晴ちゃん! 踊るよ!」 
 瑠奈ちゃんと理恵ちゃんが呼んでいる。
「すぐ行く!」
 近寄ると、全員で手を繋いで、マイムマイムが始まった。
 ハムアキラはポケットの中で眠っているけど、起きちゃうかな。
 部屋に帰ったらお菓子をわけてあげなきゃ。
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