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25.颯真君からのお誘い
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次の週の月曜日。
「おはよう! 颯真君」
「おはよう」
教室に入ると颯真君に挨拶をすると、教室に来ていたクラスメイト達の視線が集まった。先週の金曜日に土御門君を占うという話をしていたから、結構みんな気にしているみたい。そういえば、結局ハムアキラが占いを披露する前に解決してしまったけど、颯真君はどんなことを占ってもらうつもりだったのかな。ちょっと気になる。
席に着くと、一番に瑠奈ちゃんが声を掛けてくれた。
「おはよう、心晴ちゃん! 解決した?」
「おはよう、瑠奈ちゃん。うん、誤解は解けたよ。颯真君も心配してたから厳しい言い方になっちゃったんだって」
「そうなんだ。さっきの見てたら、打ち解けたんだろうなってわかったけどね」
「うん」
確かに、颯真君って呼んで普通に返事をしているから、仲直りしたんだってわかるかな。
「じゃ、ちょっと、占いの結果を配りに行くね」
「土御門君とのあれが解決したから、心晴の占いも更に人気が出るんじゃない?」
瑠奈ちゃんの言葉に首を振る。
「それが、しばらく新しい依頼は引き受けられないって言われちゃった」
「そうなの? あ、もしかして、やっぱり土御門君と何かあった?」
「ううん。占い師さん、忙しくなるって」
「そっちか。確かによく当たってたもんね」
「うん」
「残念だけど、いつかテレビに出たりするのかな。そしたら、その時は教えてね!」
「わかった」
その後は、占いをすると約束していたクラスメイトに、占いの結果を渡して、今後は新しい占いを引き受けられないことも伝えていく。
休みの間にハムアキラと話して、新しい占いの依頼は引き受けないことに決めた。瑠奈ちゃんや理恵ちゃんとは占いを頼まれることで仲良くなることができたから悪いことばかりではなかったけど、この間のような悪霊をまた引き寄せてしまったら困るから。
嘘をつくのは心苦しいけど、本当のことを話しても信じてもらえないか無闇に怖がらせるかのどちらかなので、それ以外に解決方法がなかった。
その週は、何事もなく無事に過ぎていった。もうすぐゴールデンウィークが近いから、皆そわそわしている。連休が終わったら林間学校もあるし、楽しいことがたくさんある。
木曜日の昼休み。図書室へ向かっていると、颯真君から声をかけられた。
「少しだけ時間いい?」
「いいよ」
立ち止まると、その場でチラシを渡された。
『春の星座を見てみよう』と夜空を背景に黄色の文字で書いてある。
「市と連携して、公民館で季節ごとに天体観測のワークショップをやってて、父さんが今回主催なんだ。よかったら、来ないかなと思って」
「お父さん、すごいね! 私が行ってもいいの⁉」
「うん。まだ定員が空いてるから。その、よかったら晴明様も一緒に」
「やったー! ハムアキラも喜ぶよ!」
颯真君はほっとした顔をした。
「ところで、この辺りって天体観測なんて出来るの?」
「うん。この辺は都会に近いけど、公民館の周りは自然が多いし、夜は暗いんだ」
「そうなんだ」
東京に居た時は、秋の十五夜の時期には今日は満月ですってニュースでいわれて空を見上げたりしてたけど、星はあんまり見えなかった。そういえば、こっちに来てから夜空を見上げることもなかったかも。
「ただ、ちょっと遅い時間だから、ご両親の許可はもらってきて欲しい」
「わかった。聞いてみる」
チラシには夜の八時に開始で、一時間半後の九時半に終了とある。
小学四年生以上は保護者同伴不要と書いてあるから、許可も貰いやすそうだ。
「誘ってくれてありがとう」
「うん、じゃ、返事待ってる」
颯真君はクラスへと引き返していく。
「春の星座の本、借りてみようかな」
貰ったチラシは図書バックに入れて、図書室へ向かった。
「おはよう! 颯真君」
「おはよう」
教室に入ると颯真君に挨拶をすると、教室に来ていたクラスメイト達の視線が集まった。先週の金曜日に土御門君を占うという話をしていたから、結構みんな気にしているみたい。そういえば、結局ハムアキラが占いを披露する前に解決してしまったけど、颯真君はどんなことを占ってもらうつもりだったのかな。ちょっと気になる。
席に着くと、一番に瑠奈ちゃんが声を掛けてくれた。
「おはよう、心晴ちゃん! 解決した?」
「おはよう、瑠奈ちゃん。うん、誤解は解けたよ。颯真君も心配してたから厳しい言い方になっちゃったんだって」
「そうなんだ。さっきの見てたら、打ち解けたんだろうなってわかったけどね」
「うん」
確かに、颯真君って呼んで普通に返事をしているから、仲直りしたんだってわかるかな。
「じゃ、ちょっと、占いの結果を配りに行くね」
「土御門君とのあれが解決したから、心晴の占いも更に人気が出るんじゃない?」
瑠奈ちゃんの言葉に首を振る。
「それが、しばらく新しい依頼は引き受けられないって言われちゃった」
「そうなの? あ、もしかして、やっぱり土御門君と何かあった?」
「ううん。占い師さん、忙しくなるって」
「そっちか。確かによく当たってたもんね」
「うん」
「残念だけど、いつかテレビに出たりするのかな。そしたら、その時は教えてね!」
「わかった」
その後は、占いをすると約束していたクラスメイトに、占いの結果を渡して、今後は新しい占いを引き受けられないことも伝えていく。
休みの間にハムアキラと話して、新しい占いの依頼は引き受けないことに決めた。瑠奈ちゃんや理恵ちゃんとは占いを頼まれることで仲良くなることができたから悪いことばかりではなかったけど、この間のような悪霊をまた引き寄せてしまったら困るから。
嘘をつくのは心苦しいけど、本当のことを話しても信じてもらえないか無闇に怖がらせるかのどちらかなので、それ以外に解決方法がなかった。
その週は、何事もなく無事に過ぎていった。もうすぐゴールデンウィークが近いから、皆そわそわしている。連休が終わったら林間学校もあるし、楽しいことがたくさんある。
木曜日の昼休み。図書室へ向かっていると、颯真君から声をかけられた。
「少しだけ時間いい?」
「いいよ」
立ち止まると、その場でチラシを渡された。
『春の星座を見てみよう』と夜空を背景に黄色の文字で書いてある。
「市と連携して、公民館で季節ごとに天体観測のワークショップをやってて、父さんが今回主催なんだ。よかったら、来ないかなと思って」
「お父さん、すごいね! 私が行ってもいいの⁉」
「うん。まだ定員が空いてるから。その、よかったら晴明様も一緒に」
「やったー! ハムアキラも喜ぶよ!」
颯真君はほっとした顔をした。
「ところで、この辺りって天体観測なんて出来るの?」
「うん。この辺は都会に近いけど、公民館の周りは自然が多いし、夜は暗いんだ」
「そうなんだ」
東京に居た時は、秋の十五夜の時期には今日は満月ですってニュースでいわれて空を見上げたりしてたけど、星はあんまり見えなかった。そういえば、こっちに来てから夜空を見上げることもなかったかも。
「ただ、ちょっと遅い時間だから、ご両親の許可はもらってきて欲しい」
「わかった。聞いてみる」
チラシには夜の八時に開始で、一時間半後の九時半に終了とある。
小学四年生以上は保護者同伴不要と書いてあるから、許可も貰いやすそうだ。
「誘ってくれてありがとう」
「うん、じゃ、返事待ってる」
颯真君はクラスへと引き返していく。
「春の星座の本、借りてみようかな」
貰ったチラシは図書バックに入れて、図書室へ向かった。
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