心晴と手乗り陰陽師

乙原ゆん

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18.ハムアキラ、変身する

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 クラスメイトの反応は半々だ。応援してるねと好意的に言ってくれる人もいれば、興味ないとばかりに関心を示さない人もいる。占って欲しいという人も、土御門君を占ってからでいいよと、様子見の姿勢だ。
 その位で済んでいるのは、ハムアキラが土御門君の提案を受けてくれたからだろう。ありがたいけど、ハムアキラには占いとか色々して貰ってばっかりな気がする。
 私はハムアキラに何を返せるのかな?
 お菓子はお母さやお父さんが買ってくれている物だし、私もハムアキラに何かしてあげたい。
 そわそわしている間に、その一週間はあっという間に過ぎてしまった。

 土曜日。お昼ご飯を食べた後に、家を出た。
「さて、では行くかの」
 ハムアキラをポシェットに入れ、お菓子を持って公園の図書館に向かう。お菓子は学校の友達の家に遊びに行くことになったと言ったらお母さんが大張り切りで持たせてくれたものだ。
「さて、ではこの辺りでよかろう」
 図書館の手前、公園の人目につかない木の影でハムアキラを下ろす。すると、何やらちょこちょこ動いていたかと思うと、パンっと手を鳴らして、くるりと回った。次の瞬間、そこにいたのは神社の神主さんが着ているような服を着た男の人だった。じっと見ると、なんだか誰かに似ている気がする。
「だ、誰⁉」
 思わず声を上げると、男の人は驚いたように声を上げた。
「わしじゃわし、さっきまでここにおったじゃろう」
「えええー⁉ ハムアキラ⁉」
 声は確かにハムアキラの物だけど、本当に?  
「人間じゃと言ったろう」
「だって、いつもハムスターだったじゃん」
「この姿はとにかくお腹が空くのじゃ」
「そうなんだ」
「ハムアキラと呼んでいいのじゃぞ? わしも気に入っておる」
「うん。じゃ、そう呼ぶ」
 最初は、嫌がってなかったっけ?
 そう思うけど、人間の姿のハムアキラに慣れなくて、ついぶっきらぼうな返事をしてしまった。気まずくて、話題を変える。
「その服はなんて言うの?」
束帯そくたいという。今日は陰陽師としての仕事になるからの。きっちり正装してみたのじゃ」
「束帯? 正装?」
「心晴にわかりやすく言うなら、陰陽師の制服のようなものかの」
「そうなんだ」
 確かに、ハムスターより人間の姿の方が紹介しやすいけど、気合入りすぎじゃないかな?
「では心晴、案内を頼むのじゃ」
「わかった! こっちだよ!」
 促されて、私はハムアキラと共に図書館の入り口へと向かった。
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