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16.土御門君の挑発
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翌日、学校へ行くのは少しだけ憂鬱だった。
でも今日は金曜日だから、頑張ったら二日休みだと気合を入れて学校へ向かった。
教室に着いたのは予鈴ぎりぎりだった。土御門君から視線を感じたけど、気にせずに授業の準備を進めて話さずに済んだ。
「心晴ちゃん、遅かったね」
中休みに、瑠奈ちゃんが話しかけてくれた。
「うん、ちょっと寝坊しちゃった」
「えー、意外」
「そうかな?」
「きっちりしてそうだもん」
「そんなことないよ? お母さんには結構うっかりしてるって言われるよ」
話をしているとあっという間に休み時間が終わっていった。
昼休みは昨日引き受けた占いの結果をクラスメイトに配ってから教室を出る。昼休みを乗り切れば、後は午後からの授業を受けて帰るだけだ。なんとか逃げて、早くハムアキラとお菓子を食べたい。
けれど帰りの会が終わってランドセルを掴んだところで土御門君に捕まってしまった。
「藤崎さん、ちょっといい?」
「ごめん、ちょっと急いでるんだ」
昨日の話の続きかもしれない。そんな気がして断ろうとするのに、土御門君は諦めない。
「その、僕も占って欲しいんだけど」
「えぇ?」
あまりにも意外な言葉に思わず教室を出ようとした足が止まってしまう。
「あんなに否定してたのに?」
何を考えているのかわからなくてじっと見ると、土御門君は居心地が悪そうに視線を逸らした。
「昨日は僕も言いすぎたと思う。よく知らない人に否定的なことばかり言われたら気分が悪くなるよね。冷静になって反省したんだ。それで、占ってもらえるのかな?」
「それは、いいけど」
断る理由はない。
「もしよかったら占っているところを実際に見たいんだ。場所は僕の家に来ていいよ。家族の許可ももらってる」
「えぇ⁉ それは、ちょっと……」
ハムアキラのこと、どう説明したらいいの?
「どうして?」
「えっと、その」
断ろうとするけれど、咄嗟に良い言葉が思い浮かばない。
「できるかどうかだけでも、その占い師さんに聞いてみてくれない?」
「駄目だったら?」
「仕方ないから諦めるけど、でも、僕はそんな人の占い、信じられないな」
土御門君の言葉で、教室が静まり返る。
えっと思って見渡すと、話が聞こえていたのか今日占いの結果を渡した人達とも目があったけど、顔を逸らされてしまう。気まずい雰囲気に、瑠奈ちゃんが声を上げてくれた。
「そんなことないよ。占い、当たってたよ。天気だって当てたし、失くしたと思ってたキーホルダーだって見つけてくれたんだよ」
「腕は確かなんだろうけどね。でも、どうして顔を見せられないの? 当たり前のことだよね」
瑠奈ちゃんの言葉にも、土御門君は揺るがない。
「……とりあえず、聞くだけ聞いてみる」
「返事、楽しみにしてるよ。じゃ、また来週」
言うだけ言って、土御門君はさっさと帰ってしまった。
「心晴ちゃん、気にしちゃだめだよ」
「土御門君、あんな性格だったんだ。普段大人しいからよくわかんなかったけど、性格わっる」
瑠奈ちゃんと理恵ちゃんが言う。
「二人とも、ありがとう。……気にしないようにする」
「うんうん、気にしちゃだめだよ」
二人に元気づけられて、途中まで一緒に帰った。
でも今日は金曜日だから、頑張ったら二日休みだと気合を入れて学校へ向かった。
教室に着いたのは予鈴ぎりぎりだった。土御門君から視線を感じたけど、気にせずに授業の準備を進めて話さずに済んだ。
「心晴ちゃん、遅かったね」
中休みに、瑠奈ちゃんが話しかけてくれた。
「うん、ちょっと寝坊しちゃった」
「えー、意外」
「そうかな?」
「きっちりしてそうだもん」
「そんなことないよ? お母さんには結構うっかりしてるって言われるよ」
話をしているとあっという間に休み時間が終わっていった。
昼休みは昨日引き受けた占いの結果をクラスメイトに配ってから教室を出る。昼休みを乗り切れば、後は午後からの授業を受けて帰るだけだ。なんとか逃げて、早くハムアキラとお菓子を食べたい。
けれど帰りの会が終わってランドセルを掴んだところで土御門君に捕まってしまった。
「藤崎さん、ちょっといい?」
「ごめん、ちょっと急いでるんだ」
昨日の話の続きかもしれない。そんな気がして断ろうとするのに、土御門君は諦めない。
「その、僕も占って欲しいんだけど」
「えぇ?」
あまりにも意外な言葉に思わず教室を出ようとした足が止まってしまう。
「あんなに否定してたのに?」
何を考えているのかわからなくてじっと見ると、土御門君は居心地が悪そうに視線を逸らした。
「昨日は僕も言いすぎたと思う。よく知らない人に否定的なことばかり言われたら気分が悪くなるよね。冷静になって反省したんだ。それで、占ってもらえるのかな?」
「それは、いいけど」
断る理由はない。
「もしよかったら占っているところを実際に見たいんだ。場所は僕の家に来ていいよ。家族の許可ももらってる」
「えぇ⁉ それは、ちょっと……」
ハムアキラのこと、どう説明したらいいの?
「どうして?」
「えっと、その」
断ろうとするけれど、咄嗟に良い言葉が思い浮かばない。
「できるかどうかだけでも、その占い師さんに聞いてみてくれない?」
「駄目だったら?」
「仕方ないから諦めるけど、でも、僕はそんな人の占い、信じられないな」
土御門君の言葉で、教室が静まり返る。
えっと思って見渡すと、話が聞こえていたのか今日占いの結果を渡した人達とも目があったけど、顔を逸らされてしまう。気まずい雰囲気に、瑠奈ちゃんが声を上げてくれた。
「そんなことないよ。占い、当たってたよ。天気だって当てたし、失くしたと思ってたキーホルダーだって見つけてくれたんだよ」
「腕は確かなんだろうけどね。でも、どうして顔を見せられないの? 当たり前のことだよね」
瑠奈ちゃんの言葉にも、土御門君は揺るがない。
「……とりあえず、聞くだけ聞いてみる」
「返事、楽しみにしてるよ。じゃ、また来週」
言うだけ言って、土御門君はさっさと帰ってしまった。
「心晴ちゃん、気にしちゃだめだよ」
「土御門君、あんな性格だったんだ。普段大人しいからよくわかんなかったけど、性格わっる」
瑠奈ちゃんと理恵ちゃんが言う。
「二人とも、ありがとう。……気にしないようにする」
「うんうん、気にしちゃだめだよ」
二人に元気づけられて、途中まで一緒に帰った。
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