15 / 35
15.ハムアキラ、慰める
しおりを挟む
もやもやした気持ちを抱えながら、午後を過ごした。
学校が終わると、ランドセルを掴んで家に走る。
でも、マンションが近づくにつれて足が鈍った。
お菓子が好きで優しいハムアキラが悪霊なんてそんなわけないのに、土御門君に言われ放しでちゃんと反論できなかった。私、友達失格かも。
「ただいま……」
「おかえりなのじゃ」
マンションに帰ると、いつも通りのハムアキラが迎えてくれる。
「元気がないな。体調が悪いのか?」
「ううん」
「では、学校で何かあったのか?」
心配げに見上げてくるハムアキラを手に乗せて、ぬいぐるみの柔らかな布地に頬刷りする。
「くすぐったいのじゃ」
そう言いながらもハムアキラは逃げなかった。
「友達と喧嘩でもしたのか?」
「喧嘩はしてない」
「そうか」
それ以上ハムアキラは何も言わず、小さな手で私の頬を撫でてくれた。
しばらくして気持ちが落ち着いてくると、私はハムアキラを机の上に戻した。
「もうよいのか?」
「うん。ハムアキラ、ありがとう。落ち着いたよ」
「ならよかったのじゃ」
ハムアキラはほっとした表情を浮かべると、カシカシと小さな手で自分の顔を洗っている。
「照れてる?」
「そんなわけないのじゃ」
ハムアキラはふんすと頬を膨らしている。そんなハムアキラに思わず笑っていた。
「おやつ、食べよっか」
途端にハムアキラは顔を輝かせた。
「昨日一緒に買いに行ったお菓子を食べてみたいのじゃ!」
「わかった!」
何がいいかな。まずはハムアキラの好きなポテチにしようかな。
「やったー新しい味のポテチなのじゃ!」
喜ぶハムアキラに嬉しくなる。
「じゃ、開けるね」
袋を開けると甘じょっぱいポテチの良い匂いが広がった。ハムアキラが早速一口齧る。
「う、うまいのじゃ!」
「気に入った?」
「うむ。心晴も食べてみるのじゃ」
私も九州しょうゆを一枚つまむ。
「あ、本当だ。美味しいね!」
私はポテチをつまみながらハムアキラに聞いた。
「ねぇ、ハムアキラはさ、友達の事、悪く言われたらどうする?」
「ふうむ」
ハムアキラは小さな前足を組んで考え始めた。
「わしじゃったら、その悪口を言った者と距離を置くかな」
「え、それだけ?」
「うむ。わしにとって大切な者が、そ奴にとってはそうじゃなかっというだけの話じゃ」
「その、悪口を否定したりとかはしないの?」
「否定しても言い合いになるだけじゃから、無駄なことはせぬ。そ奴にもそ奴の理由があるのじゃろう。無論、わしは友を信じるがな」
「そうなんだ」
ハムアキラの話を聞いて、元気が出てきた。
「そういえば、今日は宿題はせんでよいのか?」
「あっ」
私は慌てて宿題に取り掛かった。
学校が終わると、ランドセルを掴んで家に走る。
でも、マンションが近づくにつれて足が鈍った。
お菓子が好きで優しいハムアキラが悪霊なんてそんなわけないのに、土御門君に言われ放しでちゃんと反論できなかった。私、友達失格かも。
「ただいま……」
「おかえりなのじゃ」
マンションに帰ると、いつも通りのハムアキラが迎えてくれる。
「元気がないな。体調が悪いのか?」
「ううん」
「では、学校で何かあったのか?」
心配げに見上げてくるハムアキラを手に乗せて、ぬいぐるみの柔らかな布地に頬刷りする。
「くすぐったいのじゃ」
そう言いながらもハムアキラは逃げなかった。
「友達と喧嘩でもしたのか?」
「喧嘩はしてない」
「そうか」
それ以上ハムアキラは何も言わず、小さな手で私の頬を撫でてくれた。
しばらくして気持ちが落ち着いてくると、私はハムアキラを机の上に戻した。
「もうよいのか?」
「うん。ハムアキラ、ありがとう。落ち着いたよ」
「ならよかったのじゃ」
ハムアキラはほっとした表情を浮かべると、カシカシと小さな手で自分の顔を洗っている。
「照れてる?」
「そんなわけないのじゃ」
ハムアキラはふんすと頬を膨らしている。そんなハムアキラに思わず笑っていた。
「おやつ、食べよっか」
途端にハムアキラは顔を輝かせた。
「昨日一緒に買いに行ったお菓子を食べてみたいのじゃ!」
「わかった!」
何がいいかな。まずはハムアキラの好きなポテチにしようかな。
「やったー新しい味のポテチなのじゃ!」
喜ぶハムアキラに嬉しくなる。
「じゃ、開けるね」
袋を開けると甘じょっぱいポテチの良い匂いが広がった。ハムアキラが早速一口齧る。
「う、うまいのじゃ!」
「気に入った?」
「うむ。心晴も食べてみるのじゃ」
私も九州しょうゆを一枚つまむ。
「あ、本当だ。美味しいね!」
私はポテチをつまみながらハムアキラに聞いた。
「ねぇ、ハムアキラはさ、友達の事、悪く言われたらどうする?」
「ふうむ」
ハムアキラは小さな前足を組んで考え始めた。
「わしじゃったら、その悪口を言った者と距離を置くかな」
「え、それだけ?」
「うむ。わしにとって大切な者が、そ奴にとってはそうじゃなかっというだけの話じゃ」
「その、悪口を否定したりとかはしないの?」
「否定しても言い合いになるだけじゃから、無駄なことはせぬ。そ奴にもそ奴の理由があるのじゃろう。無論、わしは友を信じるがな」
「そうなんだ」
ハムアキラの話を聞いて、元気が出てきた。
「そういえば、今日は宿題はせんでよいのか?」
「あっ」
私は慌てて宿題に取り掛かった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
GREATEST BOONS+
丹斗大巴
児童書・童話
幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。
異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)を生みだし、規格外のインベントリ&ものづくりスキルを使いこなす! ユニークスキルのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅する、ほのぼの異世界珍道中。
便利な「しおり」機能、「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です!
漂流してきたお姫様と浜辺の巨神
ヒムネ
児童書・童話
「ねぇねぇ、次は砂のお城を作りましょう」
「うん、わかった」
1人浜辺で遊んでいた少年、彼がたまたま見つけたのはオモチャのような潜水艦。その中から出てきたのは、なんと赤いリボンを付けた小人の女の子だった。最初は驚く少年も2人は意気投合し一緒に遊ぶことに。
少年と女の子が届ける現代ファンタジーのショートショートストーリー🎵
※ノベルアップ+、エブリスタでも公開中
月夜にUFOでお散歩
スズキヒサシ
児童書・童話
しょうまくんは、小学二年生です。
その夜は、なかなか寝つけませんでした。
いつもはいっしょに寝ているお母さんがいなかったからです。
ところが、とつぜん窓の外が光って、UFOがあらわれたのです。
UFOから、宇宙人が出てきましたが、どうやらこまっているみたいです。
しょうまくんは、宇宙人をたすけてあげることにしました。
UFOに乗って、地球をめぐります。
最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
緋村燐
児童書・童話
ハンターの父とヴァンパイアの母の間に生まれた弧月望乃。
ヴァンパイアでありながらハンターになる夢を持つ彼女は、全寮制の学園に通うための準備をしていた。
そこに突然、母の友人の子供たちを守る護衛任務を依頼される。
楽しみにしていた学園に行くのは遅れるが、初めての依頼とあってワクワクしていた。
だが、その護衛対象の三兄弟とは中々仲良く出来なくて――。
メイドとして三兄弟を護衛するJCヴァンパイアの奮闘記!
カクヨム、野いちご、ベリカ
にも掲載しています。
ぼくの家族は…内緒だよ!!
まりぃべる
児童書・童話
うちの家族は、ふつうとちょっと違うんだって。ぼくには良く分からないけど、友だちや知らない人がいるところでは力を隠さなきゃならないんだ。本気で走ってはダメとか、ジャンプも手を抜け、とかいろいろ守らないといけない約束がある。面倒だけど、約束破ったら引っ越さないといけないって言われてるから面倒だけど仕方なく守ってる。
それでね、十二月なんて一年で一番忙しくなるからぼく、いやなんだけど。
そんなぼくの話、聞いてくれる?
☆まりぃべるの世界観です。楽しんでもらえたら嬉しいです。
えんのしたのサンタクロース
ななせハチミツ
絵本
クリスマスの日、サンタさんのおうちは あったかくて いいにおい。
みんなにプレゼントをくれる おひげのサンタさんと、えんのしたの サンタさんたちのおはなし。
フィンランド🇫🇮にいる(らしい)動物たちに登場してもらいました。
ステイホームを支えてくれた、全ての人たちに感謝を込めて✨
表紙はイラストACより、川竜さんのイラストをお借りして加工、文字入れしました。
作中の挿絵はイラストACより、konamomさんのイラストをお借りしました。
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
⭐︎登録お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐︎登録して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
鎌倉西小学校ミステリー倶楽部
澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】
https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230
【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】
市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。
学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。
案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。
……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。
※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。
※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる