心晴と手乗り陰陽師

乙原ゆん

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12.おつかいに行こう

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 翌日、教室に入るとランドセルを置いて瑠奈ちゃんのところに向かった。
「おはよー、瑠奈ちゃん」
「おはよう、心晴ちゃん」
「はい、これ昨日の」
「わぁ! ありがとう!」
 瑠奈ちゃんは結果を書いた紙を手に取るとすぐに読み始める。
「リビングの棚の後ろは見てなかったかも。帰ったら早速探してみる」
「うん。見つからなかったら、また占うから教えてねって言ってた」
「わかった」
 瑠奈ちゃんと話していると、理恵ちゃんもやってきた。
「二人とも、おはよー!」
「理恵ちゃん、おはよう」
「おはよー!」
 挨拶をして、理恵ちゃんの分の結果を取り出す。
「はい、これ」
「ありがとう!」
 理恵ちゃんは、周りに人がいないか見回してから紙を開く。
「ほわぁ……!」
「どう、出来そう?」
 占いの結果を書いたのは私なので、理恵ちゃんに聞くと、理恵ちゃんは緊張した面持ちで頷いた。
「私、頑張ってみる」
「うん! 応援してる!」
「なになに? どうしたの?」
 中身を知りたげな瑠奈ちゃんに、理恵ちゃんは頬を赤くして首を振る。
「結果が出たら、瑠奈にもちゃんと話すね」
「わかった! 楽しみにしてる!」
 その後も昨日見た動画の話をしている間に予鈴が鳴って、私達はそれぞれ席に戻った。

「ただいまー!」
「心晴ちゃん、おかえり」
 今日はお母さんがお休みだ。
 手を洗って、ランドセルを置きに行く。
「ハムアキラ、ただいま」
「おかえりなのじゃ」
 今日はあまり騒げなかったようで、私が図書館から借りていた本をハムアキラが読んでいた。
 おやつを取りに行くと、お母さんが困った様子で言う。
「心晴ちゃん、宿題が終わったら、お使いを頼んでも良い?」
「いいよー」
「助かるわ。ジャガイモを買って来て欲しいの。あと、お菓子も多めに買って来て」
「え、お菓子もいいの?」
「心晴ちゃん、最近食べる量増えたみたいだし、週末まで持ちそうにないから」
「あっ」
 ハムアキラにあげてる分、お菓子が減ってるんだ。
「食べる量、減らした方がいい?」
 尋ねると、お母さんは首を振った。
「心晴ちゃん疲れてるみたいだし、夕ご飯はいつも通り食べてるから気にしなくていいわよ」
「そっか」
 部屋に戻ると、お母さんとの話が聞こえていたみたいで、ハムアキラが言う。
「心晴、出かけるのか?」
「うん。おつかい頼まれちゃった。ハムアキラも来る?」
「行きたいのじゃ!」
「じゃ、急いで終わらせるね」
「待ってるのじゃ」
 宿題をいつもより早く終わらせ、おつかいに出かけた。
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