44 / 64
第3章 校外学習で色々稼ごう
42.こっちは
しおりを挟む
「ティアナ、そう言えば初めて2人森に行ったときもこんな感じじゃ無かったか?」
「そうでしたね。つい最近のことのようですがあれから数年も経っています。しかし、エンセリアさん?」
「ん?しかし、なんなんだ?気になるぞ」
エンセリアには自分の言ったことが何か間違っているということまでは気付いたようだが、それが何かまでは分からなかった様子である。
「あのときは2人ではありませんでしたよ?同伴として、村の冒険者の方々もいらしてましたからね」
ティアナの言葉でやっとエンセリアが思い出したようで何度も相槌を打つ。
「そうだったぞ~。さっきまでの記憶では二人きりに補正が勝手にされていたから、ついうっかり」
「全く、しっかりしてくださいよ?今回、採集する薬草までうっかりで全部違うものを採ってきたとなったらセシリアさんとカリスさんに呆れられてしまうかもしれないですからね」
斯く言うティアナも既に若干呆れた様子であるが。
「そうならないために余分に採っていくというのはどうだ?多くて困るようなものでも無いとボクは思うからな」
エンセリアはなかなかいい提案をしてきて、ティアナは少しエンセリアの理解力を上方修正する。
「余分に採ったら依頼とは別に報酬が増える。エンセリアさん、いい提案ですよ!」
特に考えもせず、パッと思い付いたことを言っただけのエンセリアは少し驚いた感じだったが――
「まあ、ボクにとっては造作もないことだぞ~♪」
――まるで当然の如く上機嫌で言葉を返す。
ガサッ、ガサガサッ――
草が他のところより生い茂っているところから物音がする。
自然とエンセリアとティアナの視線もそちらに向いた。茂みからの物音は風で出るような音では無い上、茂みと言っても街路樹の低木が並ぶところほどの密度は無いため中の様子が何となく見えている。
そこから見えたのは数匹の魔物だ。
「ティアナ。魔物がこっちに来てるみたいだぞ」
さっきまでの会話ではほとんどお互いの顔が見える程度に視線が向いていたが、今のエンセリアはそっちから視線は外さなかった。
「エンセリアさん、どうしますか?」
ティアナも同じく視線を外さなかった。その上、自然な動作で腰にある鞘から剣を抜いて構える。
「うーん……ティアナに魔物は1日任せてもいいのか?」
エンセリアは少しだけ考えて結論出す。
「もちろんいいですよ。では、倒してきてしまいますね」
魔物たちはまだ茂みの中にいる。向こうもこちらの存在に気付いているようで物音が今はほとんど消えて向かってきていた。
しかし、そんな警戒の意味も虚しく散ることになった。なぜなら、ティアナが剣を茂みに向かって1振りすると衝撃波のように魔物たちへ躱す暇を与えることなく、ティアナを起点に波紋のように広がっていったモノに斬られたからだ。
「ほんと、いつ見てもティアナの剣は不思議だぞ。前から気になっていたんだが、あれはどういう仕組みなのか?」
魔物が去ったことでさっきのときのように視線は通常時に戻る。
「やはり気になりますか!?」
ティアナは自分の剣技に興味を持たれたことでとても嬉しい感じだ。
「あれは、剣に風の魔法を乗せて剣を振る時の遠心力を利用して高速で放つというものなんです!腐食効果や爆破効果も上乗せしたかったのですが残念ながら2つ同時魔法を使うというのは今の私では少々無理があるといいますか……でも!剣にはしっかりと精神を蝕む効果を付けています!腐食効果や爆破などは私自身に被害が出る可能性があったので却下としましたが、いつかさっきの風の魔法に上乗せするつもりです!――」
「ちょ、ちょっと落ち着いてくれ……ると嬉しいぞ」
流石にエンセリアもティアナの勢いに付き合えきれず、ギブアップする。この判断は良かっただろう。何故なら、ティアナには申し訳ないが遮らせてもらわないと一段落つくまで相当時間がかかってしまうと思われるからだ。
「ゴメンな、ティアナ。話しを遮ってしまって」
まさか、理由が勢いについていけないからなんて言ったらティアナを傷付けてしまうかもしれないし、理由を言わないと遮られたのは自分が悪いと傷付いてしまうかもしれない。だから、いい理由を考えなければとエンセリアは思考する。
そして、ふと目に入ったのは赤い大きな葉っぱが付いた植物だった。
「ほら、今日依頼された【タリーフィ】だったか?それがそこら辺にたくさんあるんだぞ。それで頼みたいことがあるんだけど、先ず聞いてもらってもいいか?」
「別に構いませんよ。それで頼みと言いますとなんですか?」
ティアナはいつもの雰囲気に戻った。エンセリアはそのことに少し安堵する。
「今日は魔物を倒しに来た訳じゃなくて採取で来てる訳だから魔物をティアナに引き受けて欲しいと思うんだけど、頼めるか?ボクは鑑定魔法のために魔力を温存しようと思って」
エンセリアの魔法はどれも過剰に魔力を消費している。だから、鑑定魔法のために魔力を温存するというのは聡明な判断だろう。
この考えが出てきたのは、エンセリアを思考モードに変えたティアナも関わってると言える。
「そんなことならいくらでも引き受けますよ」
「ティアナありがとうだぞ!この借りは近いうちに返すぞ!」
エンセリアにとってこれは相当頑張って得られた結果である。
「借りなんかにこのくらいは入りませんよ?パーティーというのはこうやって助け合うものですから」
「ありがとう!じゃあ、早速タリーフィを採集しようか」
素直に受け入れたように見えるがエンセリアは何らかの機会でティアナにお返しをしてあげると心に留めておいた。
それと同時にこちらでも採集が始まるのであった。
「そうでしたね。つい最近のことのようですがあれから数年も経っています。しかし、エンセリアさん?」
「ん?しかし、なんなんだ?気になるぞ」
エンセリアには自分の言ったことが何か間違っているということまでは気付いたようだが、それが何かまでは分からなかった様子である。
「あのときは2人ではありませんでしたよ?同伴として、村の冒険者の方々もいらしてましたからね」
ティアナの言葉でやっとエンセリアが思い出したようで何度も相槌を打つ。
「そうだったぞ~。さっきまでの記憶では二人きりに補正が勝手にされていたから、ついうっかり」
「全く、しっかりしてくださいよ?今回、採集する薬草までうっかりで全部違うものを採ってきたとなったらセシリアさんとカリスさんに呆れられてしまうかもしれないですからね」
斯く言うティアナも既に若干呆れた様子であるが。
「そうならないために余分に採っていくというのはどうだ?多くて困るようなものでも無いとボクは思うからな」
エンセリアはなかなかいい提案をしてきて、ティアナは少しエンセリアの理解力を上方修正する。
「余分に採ったら依頼とは別に報酬が増える。エンセリアさん、いい提案ですよ!」
特に考えもせず、パッと思い付いたことを言っただけのエンセリアは少し驚いた感じだったが――
「まあ、ボクにとっては造作もないことだぞ~♪」
――まるで当然の如く上機嫌で言葉を返す。
ガサッ、ガサガサッ――
草が他のところより生い茂っているところから物音がする。
自然とエンセリアとティアナの視線もそちらに向いた。茂みからの物音は風で出るような音では無い上、茂みと言っても街路樹の低木が並ぶところほどの密度は無いため中の様子が何となく見えている。
そこから見えたのは数匹の魔物だ。
「ティアナ。魔物がこっちに来てるみたいだぞ」
さっきまでの会話ではほとんどお互いの顔が見える程度に視線が向いていたが、今のエンセリアはそっちから視線は外さなかった。
「エンセリアさん、どうしますか?」
ティアナも同じく視線を外さなかった。その上、自然な動作で腰にある鞘から剣を抜いて構える。
「うーん……ティアナに魔物は1日任せてもいいのか?」
エンセリアは少しだけ考えて結論出す。
「もちろんいいですよ。では、倒してきてしまいますね」
魔物たちはまだ茂みの中にいる。向こうもこちらの存在に気付いているようで物音が今はほとんど消えて向かってきていた。
しかし、そんな警戒の意味も虚しく散ることになった。なぜなら、ティアナが剣を茂みに向かって1振りすると衝撃波のように魔物たちへ躱す暇を与えることなく、ティアナを起点に波紋のように広がっていったモノに斬られたからだ。
「ほんと、いつ見てもティアナの剣は不思議だぞ。前から気になっていたんだが、あれはどういう仕組みなのか?」
魔物が去ったことでさっきのときのように視線は通常時に戻る。
「やはり気になりますか!?」
ティアナは自分の剣技に興味を持たれたことでとても嬉しい感じだ。
「あれは、剣に風の魔法を乗せて剣を振る時の遠心力を利用して高速で放つというものなんです!腐食効果や爆破効果も上乗せしたかったのですが残念ながら2つ同時魔法を使うというのは今の私では少々無理があるといいますか……でも!剣にはしっかりと精神を蝕む効果を付けています!腐食効果や爆破などは私自身に被害が出る可能性があったので却下としましたが、いつかさっきの風の魔法に上乗せするつもりです!――」
「ちょ、ちょっと落ち着いてくれ……ると嬉しいぞ」
流石にエンセリアもティアナの勢いに付き合えきれず、ギブアップする。この判断は良かっただろう。何故なら、ティアナには申し訳ないが遮らせてもらわないと一段落つくまで相当時間がかかってしまうと思われるからだ。
「ゴメンな、ティアナ。話しを遮ってしまって」
まさか、理由が勢いについていけないからなんて言ったらティアナを傷付けてしまうかもしれないし、理由を言わないと遮られたのは自分が悪いと傷付いてしまうかもしれない。だから、いい理由を考えなければとエンセリアは思考する。
そして、ふと目に入ったのは赤い大きな葉っぱが付いた植物だった。
「ほら、今日依頼された【タリーフィ】だったか?それがそこら辺にたくさんあるんだぞ。それで頼みたいことがあるんだけど、先ず聞いてもらってもいいか?」
「別に構いませんよ。それで頼みと言いますとなんですか?」
ティアナはいつもの雰囲気に戻った。エンセリアはそのことに少し安堵する。
「今日は魔物を倒しに来た訳じゃなくて採取で来てる訳だから魔物をティアナに引き受けて欲しいと思うんだけど、頼めるか?ボクは鑑定魔法のために魔力を温存しようと思って」
エンセリアの魔法はどれも過剰に魔力を消費している。だから、鑑定魔法のために魔力を温存するというのは聡明な判断だろう。
この考えが出てきたのは、エンセリアを思考モードに変えたティアナも関わってると言える。
「そんなことならいくらでも引き受けますよ」
「ティアナありがとうだぞ!この借りは近いうちに返すぞ!」
エンセリアにとってこれは相当頑張って得られた結果である。
「借りなんかにこのくらいは入りませんよ?パーティーというのはこうやって助け合うものですから」
「ありがとう!じゃあ、早速タリーフィを採集しようか」
素直に受け入れたように見えるがエンセリアは何らかの機会でティアナにお返しをしてあげると心に留めておいた。
それと同時にこちらでも採集が始まるのであった。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる